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安産のための帝王切開

手術でおなかを切って赤ちゃんを取り出す「帝王切開」。最近では、出産する人のうちの17%が帝王切開で出産していて、昔に比べるとその割合は増加傾向にあります。つまり、決して他人事ではないということ。いざというときに備えて、帝王切開のココロエを学んでおきましょう。
今回は、国立成育医療センター産科医長・久保隆彦先生を訪ね、「どういう場合に帝王切開になるの?」「手術はどう進むの?」といった帝王切開の基本や、「帝王切開で生まれた赤ちゃんは弱い」といったウワサの真偽について伺いました!

この記事の監修

久保隆彦先生

国立成育医療センター産科医長。医学博士。岡山大学医学部卒業後、聖隷浜松病院NICU、高知医科大学助教授、国立大蔵病院産科医長を経て、現職。専門は周産期医学、胎児・新生児学、周産期ME。妊婦と胎児の安全のために日夜取り組む。本音で話せる熱血医師。

今は6人に1人が 帝王切開

今、帝王切開で出産する人は6人に1人、17%も実施されています。20年前に比べると約2-3倍で、帝王切開でお産することは、もう特別なことではなくなっています。

これは、ハイリスクのお産が増えて、帝王切開でお母さんと赤ちゃんの安全を確保する必要が増しているためです。

たとえば、増え続けている高齢出産は、20代のお産に比べて、合併症や分娩時の異常が起こりやすく、不妊治療で極端に増えた多胎も帝王切開となることが多いのです。

かつては、難病の持病があって子どもをあきらめていた人たちでも、最新の医療のサポートで妊娠、出産までこぎつけられるようにもなってきましたが、これらの妊婦さんの出産では、お母さんの限界が早産時期にくることも多く、帝王切開でしか分娩できなくなるのです。

また、最近は自然経膣分娩では頭蓋内出血などの危険な状態となる未熟児を、帝王切開で赤ちゃんに負担なく取り出して、命を救えるようにもなっています。

予定帝王切開と 緊急帝王切開の違いは?

帝王切開には、あらかじめ予定を立てて行う場合と、分娩中に緊急に行う場合があります。

予定帝王切開は、妊娠中の健診で経膣分娩が難しいと診断された場合、例えばお母さんの骨盤に比較して赤ちゃんが大きい、大きな筋腫、前置胎盤・低位胎盤、逆子、帝王切開を含めた子宮の手術をして妊娠した場合などです。一般的には正期産に入る妊娠37週を過ぎて、赤ちゃんがいつ生まれても大丈夫という時期の手術日を決めます。そうと決まったら、手術前にお産が始まらないように、破水、出血、お腹の張りにいっそう気をつけながら過ごすようにします。

一方、自然分娩の途中で母子にトラブルが生じたときに、急遽、帝王切開に切り替える場合を、緊急帝王切開といいます。たとえば分娩が途中で止まってしまったり、赤ちゃんに酸素が届かなくなって赤ちゃんが苦しくなったときなど。赤ちゃんの安全のために、いち早く手術に切り替えます。

予定帝王切開に成るケースは?

  • 児頭骨盤不均衡
  • 骨盤位(逆子)、横位
  • 前置胎盤、低位胎盤
  • 前回帝王切開
  • 頚部筋腫
  • 多胎
  • 外陰部ヘルペス感染
  • 心臓病、肝臓病などの持病があり、分娩に差し障る場合

緊急帝王切開に成るケースは?

  • 胎児機能不全
  • 回旋異常、遷延分娩、分娩停止
  • 常位胎盤早期剥離、子癇、HELLP症候群

手術方法とプロセスは?

予定帝王切開の場合は、手術の前日に入院し、血圧測定や超音波検査、ノンストレステストを受け、当日の朝に血管確保や導尿などの手術前の処置を受けます。

その後、麻酔をして皮膚、筋膜、腹膜、漿膜(しょうまく)、子宮壁を順番に切開し、赤ちゃんを取り出します。そして、へその緒を切り、胎盤を取り出し、切った反対の順番で縫合します。

出産後は、母体の血圧、脈拍、呼吸、出血の状態を診察し、経過を見守ります。

赤ちゃんは、臍帯の結紮(けっさつ)をして、新生児室へ移動して呼吸、循環の状態を見守られます。

麻酔にはいくつか種類があります。局所麻酔の場合、脊椎の硬膜外腔に麻酔注射をする硬膜外麻酔と、脊椎腔に麻酔薬を入れる方法、さらにはその両者の併用がありますが、最近は両者併用のCSE麻酔が主流です。

また、妊娠高血圧症候群で母体の血圧が上がる、前置胎盤で大量出血が予想されるなど非常に母体が危険な場合は、母体の安全を第一にするため、全身麻酔を行うこともあります。また、赤ちゃんの状態が急に悪くなり、一刻の猶予がない場合にも全身麻酔となります。全身麻酔では、母体の呼吸、血圧などを管理しながら手術をすすめます。

いずれの麻酔にしても、麻酔が赤ちゃんの健康に影響を及ぼすことはめったにありません。局所麻酔の場合は、赤ちゃんの産声もしっかり聞くことができ、すぐに赤ちゃんと対面、タッチングできます。

関西は縦切り、 関東は横切りが主流

皮膚切開は、下腹部を横に切開する方法(横切開)と、おへその下あたりから縦に切開する方法(縦切開)があります。西日本は縦切開が主流で、関東は横切開が主流です。

傷が目立たないなどの理由で、横に切開することを希望する妊婦さんが最近は増えています。ただ、緊急に赤ちゃんを出さなければならないときや、癒着などで手術が難しい時には、縦に切開したほうが安全なこともあります。

また、横切開は、腹直筋などの組織を縦切開するので、皮下組織を大きく剥離し、操作するために、縦に切開するよりも時間がかかり、術後の痛みも長引く傾向があります。

大切なのは 皮膚の切り方ではなく、 子宮の切り方

帝王切開の方法で最も大切なのは皮膚切開ではなく、子宮の切開方法です。皮膚を縦に切ろうと横に切ろうと、大抵の場合には子宮下部を横切開にします。この横切開が一番子宮に与えるダメージが少なく、次回の妊娠の時にも安全だからです。しかし、非常に早い早産の帝王切開では、赤ちゃんへのダメージを避けるために子宮を縦切開(古典的帝王切開)することがあります。あるいは、横切開しても赤ちゃんの娩出に手間取る時には横切開中央から上に縦切開(逆T字切開)を加えることがあります。これは大きな子宮筋腫があり、通常の横切開ができない時にも行います。これらの場合には、次回妊娠の際に子宮破裂する確率が高くなります。

国立成育医療センターでは子宮の縦切開、逆T字切開を避けるために、ミリスロールというお薬を帝王切開の時に使用し、横切開で安全に小さな赤ちゃんを娩出することを我国で最初に試みています。この方法は全国の大きな周産期センターを中心として除々に広がっています。

どういう子宮筋の切開方法であったかは次回の妊娠の時に重要な情報なので、帝王切開を受けた方は必ず担当の先生に聞いておく必要があります。

子宮切開の縫合方法は、医師によって多少違いがありますが、どの先生も確実に縫合してくださるので心配ありません。

手術にかかる時間は、手術前の麻酔処置を含め、だいたい1時間位です。

帝王切開になったら、子宮をどう切ったか、ドクターに確認しておこう!

術後は血栓症に注意。 母乳は当日から

帝王切開後の合併症として最も恐ろしいのは血栓症です。女性であり、妊娠をしていて、開腹手術をしているだけで血栓の発症リスクは高くなります。といっても1000例に1-2例と少ないのですが、一旦発症すると命に関わる事態となります。

予防のために手術前から弾力ストッキングを着用すること、脚をエアーマッサージャーでときどき圧迫すること、早期離床が薦められています。手術の翌日にはゆっくり歩いてもらいます。血栓症は術後1週間以内まで起こるので注意が必要です。肥満、巨大筋腫などの血栓のリスクがより高い人にはヘパリンなどの予防する注射も行なわれます。

帝王切開でも手術当日から母乳をあげられます。ただし、赤ちゃんが未熟児だったり、母体の血圧が高いような場合は、少し様子をみることになります。

授乳や抱っこなど、育児も通常と同じに始めていきます。

手術後6日めには、傷もほぼ治って抜糸なども行い、8〜10日めには退院できます。

帝王切開だと、悪露が長引くのではないかと気にする人がいますが、根拠はありません。

退院後のセックス再開も、経膣分娩の場合と同じ。1ヶ月健診後、医師のOKが出たら再開できます。ただし、1年くらいは子宮の傷を癒すために避妊してください。

また、手術時に出血が多かった場合や、輸血した場合、重症の妊娠高血圧症だった場合は、子宮の回復状況や貧血がないかなど、健診でチェックしてから通常の性生活に戻してください。

「帝王切開で生まれた赤ちゃんは弱い」は俗説

帝王切開で生まれた子どもは、「虚弱になりやすい」という人がいます。しかし、これはまったくのでたらめです。

帝王切開で生まれた赤ちゃんには、時に肺呼吸の手助けが必要なことがあるので、そういわれるのかもしれません。子宮の中にいる胎児の肺は羊水で満たされていますが、経膣分娩で産道を通ると約1トンもの圧力がかかり、出てくるときには肺の中の羊水を押し出して、肺呼吸をスムースにスタートするのです。帝王切開の場合は、その圧力(ストレス)が児にかからないので、生まれて直ぐに呼吸が苦しくなることがあります。この時は口の中を吸引したり、酸素を一時的に使うこともありますが、大抵の場合、自然分娩と同じです。帝王切開で生まれた赤ちゃんは、健康面に問題があるという医学的根拠はありません。むしろ、予定帝王切開が自然分娩より赤ちゃんの頭蓋内出血の頻度が少ないという研究さえあります。

VBAC(ブイバック)は リスクを知って

最初は帝王切開で出産したけれど、次は経膣分娩がしたいと望む人が増えています。医学的には、VBAC(Vaginal birth after cesarean section帝王切開後の経膣分娩)と呼ばれ、日本では1980年代ごろから行われています。欧米ではほとんど行なわれなくなりました。自分と赤ちゃんと力を合わせて産んでみたい、という気持ちはわかります。しかし、危険な面もあるのです。

最も怖いのは子宮破裂。帝王切開の手術法や縫合に使う糸の改良などで、以前より安全にはなっているとはいえ、縫い目は他の組織より弱く、陣痛のいきみで裂けてしまうことがあるのです。子宮破裂の頻度は子宮筋を横切開で約1%、縦切開・逆T字では10%以上といわれています。

子宮破裂の危険性は、妊婦さんがそれまでに受けた帝王切開の回数や子宮切開の方法、前回の妊娠との間隔によっても違ってきますが、万一、子宮破裂を起こした場合、赤ちゃんが命を失ったり重篤な後遺症を残したり、お母さんは救命のために子宮を取ることなどが必要になってきます。

VBACで、経膣分娩にトライしても、子宮破裂の危険性があれば、すぐに帝王切開に切り替えなければなりませんが、子宮破裂を予想することは極めて困難で、赤ちゃんの状態が悪くなってから初めてわかることが大部分です。そのため、米国ではVBACは手術室で行い、極めて短期間(15-30分以内)に赤ちゃんを出せる施設に限定しています。しかし、日本でそのような施設はほとんどないのが現状で、現実にVBACを行うことは不可能といって良いのです。成育医療センターでも原則VBACは行っていません。

私は、前回帝王切開で、今回また帝王切開手術をしているときに、子宮が薄くなっていて赤ちゃんの顔が透けて見えるようなあと一歩で破裂する、という場面に出会ってぞっとしたことが何度もあります。私はそうしたリスク(1%の子宮破裂)を重く見て、VBACはおすすめしていません。

また、帝王切開での出産は何回までできるのか、という質問もよく受けますが、はっきり断定はできません。アメリカで「9回」という報告があります。宗教上の理由で避妊できないということもあったようです。

日本では「3回」はよくあるケース。「4回」という人も少ないけれどいます。最近は出産の高齢化と少子化で、子どもは3人くらいまで、と考えている人が多いということでしょうか。

帝王切開は、赤ちゃんのために危険性を乗り越えての出産です。自然分娩より大変な経験をしているので、むしろ胸を張って、「私はあなたのためにがんばったのよ」と自信をもってお母さんになってほしいと思います。

update : 2008.01.02

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