初めての授乳(母乳)
おっぱいをあげることは、ママになったよろこびを最も感じられる瞬間のひとつですね。初めての妊娠・出産だと、母乳の出方や与え方は未知の世界。母乳の基礎知識から授乳の仕方までを見ていきましょう!
監修者プロフィール
難波直子さん
NPO法人育児サポートdouce.理事長 兼代表助産師
助産師歴25年!のベテラン助産師 難波さん。
新型コロナウイルスの影響で対面での両親学級が中止となり、不安を抱えるママやパパに向けて妊娠中に聞いておきたい身体の変化や注意点、またおむつの替え方などを楽しく分かりやすくお届けします。
ムーニーサイトで大好評の「ムーニーちゃん学級」の講師を務めるほか、オリジナル両親学級も開催中です。
2019年第8回厚生労働省 健康寿命を伸ばそうアワード 団体部門 優良賞受賞。
母乳はなぜいいの?
母乳は、生まれたばかりの赤ちゃんが摂取できる貴重な栄養源です。栄養として完璧なだけでなく、実は「おっぱいをあげること」自体にも赤ちゃんとママにとってたくさんいいことがあるのです。
母乳は栄養バランスが完璧!
哺乳動物の母親から出る母乳は、いずれもその動物の赤ちゃんが育つために必要な栄養バランスが完璧に整っています。その証拠に、おっぱいしか飲まない時期でも、どの動物の赤ちゃんもぐんぐん育ちます。
でも生まれたての赤ちゃんに牛乳を飲ませてはいけないのはどうしてでしょう。牛乳は牛の赤ちゃんには合っていても、人間の赤ちゃんにはまだ消化しきれないたんぱく質があるからです。
母乳の成分は動物によってそれぞれなので、「人間の赤ちゃんは、人間のママのおっぱいが一番」ということですね。
ちなみに授乳用ミルクだけでも赤ちゃんがちゃんと育つのは、人間のママの栄養豊富な母乳をお手本にして作られているからなんですよ。
特に初乳は大事!
「初乳」とは、出産後1週間くらいの間に出る黄色く粘りのある母乳のこと。その後に出る母乳に比べて、脂肪や糖質が少なく、赤ちゃんを病気から守る抗体をたくさん含んでいて、免疫力を高めてくれるのです。特に、出産後数時間が最も抗体の濃度が高いので、初乳はできる限り飲ませてあげたいものですね。
赤ちゃんとママの最大のコミュニケーション
おっぱいを吸うことは、まさにママと赤ちゃんのスキンシップ。栄養を与えることと同じくらい、赤ちゃんにとってはママの愛情を直接感じる大切なコミュニケーションの時間です。ママも親になった喜びを心身ともに実感できる至福のとき。おっぱいを吸いながら眠ってしまうわが子についうっとり、なんて体験も、授乳期間ならでは感じられることですね。
ママの体にもいい!
母乳授乳で赤ちゃんに乳首を吸ってもらうことで、子宮の収縮を促すホルモンが分泌されます。このホルモンは産後の体の回復を早めてくれると言われているので、母乳をあげることはママにとってもいいことなんです!
母乳授乳の手順
おっぱいのあげ方は、入院中に産院で教えてもらえるので、わからないことはこの機会に助産師さんなどに聞いておきましょう。
おうちで授乳する際の流れは下記の通りです。
1)おむつが汚れていたら取り替えておく
おしりが汚れていたら赤ちゃんも落ち着いておっぱいに集中できませんね。まずはおむつを見てあげましょう。
2)ママの手をキレイに
まずママの手をきれいに洗い、清潔にしましょう。
3)赤ちゃんを抱っこして、乳輪部までくわえさせます
赤ちゃんの顔がママの胸に来るように抱っこします。授乳用クッションなどに赤ちゃんをのせて、ママも赤ちゃんもラクな姿勢が取れるように工夫してみましょう。
乳房を手で支えて、赤ちゃんの鼻をふさがないようにしながら赤ちゃんの舌に乳首をのせるようにして、乳輪部までくわえさせます。
4)タイミングを見て、左右の乳房を交換
最初に吸わせていた方と逆の乳房を吸わせます。片方の乳房を吸わせる目安は3〜5分ですが、母乳の出が安定するまでは飲みたいだけ飲ませると母乳指導される場合もあります。出産施設の助産師さんに相談してみましょう。その際、乳輪部近くの乳房を軽く押すようにして、赤ちゃんの口をそっと離してあげてください。強く引っ張ると乳首が傷つきやすくなるので気をつけましょう。
5)げっぷをさせる
飲み終わったら、赤ちゃんをママの肩にもたれかけさせるようにタテに抱いたり、膝の上に赤ちゃんを座らせて、背中を軽くトントンとたたき、母乳と一緒に飲み込んだ空気を吐き出させます。背中を叩く位置は、胃にあたる部分の背中の真ん中あたりです。真ん中より少し下から、真ん中に向けてトントン叩いたり、さすり上げたりするのも効果があります。げっぷは毎回出る赤ちゃんと出にくい赤ちゃんがいます。5分程度げっぷをしても出ない時は、お顔を横に向けて寝かせて様子をみましょう。
6)赤ちゃんのお口まわりをキレイに
赤ちゃんのお口まわりについた母乳やだ液を、やさしくきれいに拭き取ってあげましょう。
7)「あとしぼり」をする
ママのお乳に飲み残した母乳が残っているようなら、あとしぼりをします。飲み残しがあると次の母乳がうまく作れないためです。搾乳には、正しい手技が伴うので、入院中に助産師に教わっておきましょう。
8)ママの乳首の水分を拭き取る
授乳後は乳首の水分を軽く拭き取って身支度を整えます。授乳期間中はお乳がはって漏れることもありますから、ブラジャーに専用の母乳パットを入れておくと便利です。
母乳授乳で悩んだら
おっぱいが出にくかったり、赤ちゃんが上手に飲めなかったりすると、とかくママは悩みがち。初めてでわからないことがあったら、不安が小さいうちに出産施設や助産師などに相談しましょう。
おっぱいの量で神経質にならないで!
おっぱいの量でママが悩みがちなことのひとつが「ちゃんと飲んでいるかわからない」ということです。飲んでくれているみたいなのに、そう感じてしまうママもいるようです。
ミルクと違い、量を具体的に目で確認できないので心配されるようですが、赤ちゃんの機嫌がよく、体重がちゃんと増えていて、おしっこやうんちがちゃんと出ていれば大丈夫。毎日のことですから、神経質にならずに臨みましょう。
おっぱいが出ない
母乳の出が少ない場合、専門家と相談してミルクという選択もありますよ。授乳用ミルクは赤ちゃんがそれだけで育つのに十分な栄養バランスがとれていますし、ほ乳ビンを使った授乳でも、赤ちゃんをしっかり抱いて見つめてあげて、たくさん声をかけてあげることこそ、授乳の最も大切なことなのです。また、ミルクならパパやパートナーにも授乳ができるというメリットもあります。
※授乳用ミルクの栄養などについて詳しくは「初めての授乳(ミルク)」を参考にしてください。
動画で確認!
「ムーニーちゃん学級」ではこの記事の監修の助産師・難波直子さんが、授乳の仕方を動画で教えてくれています!是非参考にしてください!
監修/NPO法人育児サポートdouce.理事長 兼助産師 難波直子さん
update : 2022.07.27
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