生後4ヶ月の成長・発達「触覚の、ここがすごい!」
生後4ヶ月ごろになると、触覚を積極的に使って学習します。なんでも手でつかんで、唇や舌で触って、どんな感じかな? つるつる、ざらざら、ぷにょぷにょ・・・大人になると見ただけでわかるのは、このころの学びがあったから。赤ちゃんにみなぎる力強いパワーを、もう一度、発見して、かみしめて、味わって、感動! 子どもの体と心の発達研究の第一人者、榊原洋一先生の解説付きです。
監修者プロフィール
榊原洋一先生
お茶の水女子大学名誉教授
医学博士。1976年東京大学医学部卒業後、ワシントン大学小児神経研究部、東京大学医学部附属病院小児科などを経て、お茶の水女子大学理事・副学長。2017年より現職。「子ども学」の研究所「チャイルド・リサーチ・ネット」所長、日本子ども学会副理事長。専門は小児神経学、発達小児科学、特に注意欠陥多動性障害、アスペルガー症候群などの発達障害の臨床と脳科学。今後の活動について、「発達障害には様々な誤解があるので正しい理解を広げていきたい」と語る。『オムツをしたサル』『アスペルガー症候群と学習障害』など著書多数。
手のひら・唇・舌センサーで研究の日々
「これなに?」を追求する
ぼくは科学者 わたしも科学者
研究の毎日は なかなか忙しい
いまフル活用しているツールは
「手のひら」センサー
ガシッ! 何でもつかんでみるよ
プラスチック製のガラガラは
ツルツル、ちょっと冷たいな
コットンでできた羊のおもちゃは
ふわんとやわらかく、ぬくもりがある
唇と舌もつかって
どんなものか探ってみるよ
チュパチュパペロペロ
ペロペロチュパパ…
今日はくねくね動くモノを 手でキャッチ
ぷにょんとしていて あったかい
ママの手と似てるかな?
そうだ これもなめてみよう!
「あはは、自分の足をなめているよ!」とパパ
「なんて体がやわらかいの!」とママ
「ばっちいでしょう」とばあば
みんな何も理解してないんだね
“ぷにょん”としたものの正体が
いったい何なのか
大事な研究をしているっていうのに
Dr.サカキハラの「触覚の、ここがすごい!」
つるつる、ざらざら…の感覚を
手と唇・舌の触覚で学習中
生後4ヶ月ごろになると、これまで赤ちゃんがまわりのことをじっと見てきた結果が出てきます。この世界のことが、だんだんわかってきます。
たとえば、スイスの心理学者ピアジェが生後4ヶ月の赤ちゃんに見せて実験したのは……。ボールがゴロゴロゴロ……ところがる映像。ボールはころがっている途中で、パッと消えます。すると赤ちゃんは「えっ、なんだ?」という素振りを見せました。不自然なことがわかったのです。
4ヶ月の赤ちゃんにボールを投げようとすると、赤ちゃんは手を前に出します。これも次に何が起こるのか、自分のところに飛んでくるだろう、ということがわかっているからです。
身近にあるものを、自分の意志で手を伸ばしてつかみに行くようにもなります。新生児のころは、手に触れたものを反射的に握るだけだったのに、なんという進歩でしょう!!
ますます積極的、能動的になる赤ちゃん。手のひらを使って、いろいろなものをつかめるようになり、つかんだものは何でも口へ持っていって、唇で触り、舌でなめて、どんなものかを確認します。
大人は見ただけで、「これはざらざら」「これは冷たい」などの感触を理解できますが、それがわかるのは、赤ちゃん時代のこうした体験の積み重ねがあったからなのです。
これまでの赤ちゃんの触覚の多くは、親の手や体、着ている下着、お風呂のお湯など、皮膚で感じるものでした。それが、手のひらや唇、舌などを積極的、能動的に使い、いろいろなものに触れることで、触覚を養い始めたのです。
赤ちゃんのこの旺盛な好奇心に応えるために、周囲の積極的な働きかけも大事になってきます。とはいっても、特別なことをする必要はありません。おもちゃでいっしょに遊んだり、おむつ替えや着替え、授乳、お風呂…のふだんの生活の中で声をかけ、おおいにスキンシップを楽しめばいいのです。
update : 2017.12.27
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