生後5ヶ月の成長・発達「おすわりの、ここがすごい!」
生後5ヶ月。寝返りから早くもおすわりができる赤ちゃんが出てきます。上から目線で視野が広がり、両手も自由に使えると、あっちに行きたい!こっちが見たい!移動意欲がふつふつ…。赤ちゃんにみなぎる力強いパワーを、もう一度、発見して、かみしめて、味わって、感動! 子どもの体と心の発達研究の第一人者、榊原洋一先生の解説付きです。
監修者プロフィール
榊原洋一先生
お茶の水女子大学名誉教授
医学博士。1976年東京大学医学部卒業後、ワシントン大学小児神経研究部、東京大学医学部附属病院小児科などを経て、お茶の水女子大学理事・副学長。2017年より現職。「子ども学」の研究所「チャイルド・リサーチ・ネット」所長、日本子ども学会副理事長。専門は小児神経学、発達小児科学、特に注意欠陥多動性障害、アスペルガー症候群などの発達障害の臨床と脳科学。今後の活動について、「発達障害には様々な誤解があるので正しい理解を広げていきたい」と語る。『オムツをしたサル』『アスペルガー症候群と学習障害』など著書多数。
見えるから行きたい!意欲ふつふつ
まだちょっと危なっかしいけれど
おすわりができるようになってきた
2個の積み木を
カチカチと打ち合わせて
両手を使って遊べるよ
目線が高くなって上から見たら、
おきあがりこぼしのおもちゃは
丸かったんだね
いつものおもちゃも違ってみえる
前と同じ感触かな?
ペロッ なめてみた
腹ばいで見ていたとき
壁だと思っていたのに
どうやらこれは棚らしい
何やらオモシロそうなモノが
のっているぞ
部屋の隅にあるのは新聞だ
めくるたび、クシャクシャッと
音がするんだよね
触ってみたいなあ
「ちょっと待っててね!」
ママが部屋を出ていく姿が見えたよ
どこ行くの~!?
ママを追いかけ、扉の向こうまで
行ってみたい!!
探検意欲がモーレツにわいてきた!
Dr.サカキハラの「おすわり、ここがすごい!」
両手が使える! 視野が広がる
おすわりで高まる「移動」の欲求
生後5ヶ月くらいになると、寝返りでけっこう移動するので、「あれ、いつの間にこんなところまで?」とびっくりすることがあります。早くもおすわりができる赤ちゃんも出てきます。
おすわりがすごいのは、体を垂直に保持することができる、ということ。両手が自由になる、ということ。さまざまな角度からおもちゃを見たり、触ったり……手を使う動作も活発になります。
赤ちゃんはこれまでと違うおすわりした高い位置から、おもちゃを見たり触ったり新たな感覚も楽しんでいることでしょう。
おすわりで、視野も広がります。寝返りをして腹ばいになった姿勢から見える世界は、床に近いものだけでした。壁も家具も見分けがつかなかったかもしれません。でも、おすわりになるとぐんと目線が高くなり、これまでに見えなかったものが見えてきます。あれをさわってみたい、なめてみたい、と興味がわいて、「移動したい」という欲求につながっていくのです。
生後5~6ヶ月になると、「手を放すとボールが下に落ちる」といった因果関係もわかるようになります。このことを証明した有名な実験があります。
6ヶ月の赤ちゃんを衝立の前に座らせ、その衝立の周囲をボールがころがっている様子を見せて、眼球の動きを調べたのです。
すると、ボールが衝立の裏側に消えたとき、赤ちゃんの視線は、ボールが反対側から出てくることを予測し、先回りして待っていたのです。
心理学者ピアジェによる、物の永続性(外力が働かないと物が同じ位置にあること)と予測をテーマにした実験です。
私たちの毎日の生活は、こうした永続性や予測の連続で成り立っています。向こうから車が走ってくる…だから今渡ると危ない! 水道の蛇口をひねれば水が出てお風呂に水が溜まる…でも、止めないと溢れてしまう! 大人ならごく当たり前のこうした理解や判断は、赤ちゃんの頃から学んできたのです。
update : 2018.01.03
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