生後6ヶ月の成長・発達「リーチングの、ここがすごい!」

生後6ヶ月。赤ちゃんの好奇心は、目の前にあるモノに触れようとする「リーチング」にも現れます。どのくらい手を伸ばすと触れるのかな? どのくらいの力で持てるのかな? 柔らかいのか硬いのか? 視覚情報と手でさわったときの感覚情報を脳の中で統合していきます。リーチング、ってすごいこと!赤ちゃんにみなぎる力強いパワーを、もう一度、発見して、かみしめて、味わって、感動! 子どもの体と心の発達研究の第一人者、榊原洋一先生の解説付きです。

監修者プロフィール

榊原洋一先生

お茶の水女子大学名誉教授

医学博士。1976年東京大学医学部卒業後、ワシントン大学小児神経研究部、東京大学医学部附属病院小児科などを経て、お茶の水女子大学理事・副学長。2017年より現職。「子ども学」の研究所「チャイルド・リサーチ・ネット」所長、日本子ども学会副理事長。専門は小児神経学、発達小児科学、特に注意欠陥多動性障害、アスペルガー症候群などの発達障害の臨床と脳科学。今後の活動について、「発達障害には様々な誤解があるので正しい理解を広げていきたい」と語る。『オムツをしたサル』『アスペルガー症候群と学習障害』など著書多数。

近い・遠い? 軽い・重い?

「なんだろう?」

オモシロそうなモノをみつけたら

手をすくっと伸ばして、手のひらでタッチ

目で見た情報と

手でさわった情報を

合体させる作業をしているんだ

これまでとどう違うかって?

それはね、目で見たモノの形や

そのモノまでの距離の感覚を

手でさわって確認

脳のなかで、一致させているんだ

ついでに舌と口で味わった感触も

いっしょにしてね

今日もまたナニカを発見

ぎりぎり手が届いたよ

積み木感覚で持ち上げたら軽かった

今度はもうちょっと少ない力で持ち上げよう

仕上げは舌と口を使ってチュパチュパ…

ふーん、なんだかかたくてつめたいぞ

「あらやだ、パパのメガネケースをなめている」

ママの声

取られちゃった…

でも大丈夫!

次のターゲットを見つけたよ

「今度はガラガラをなめている」

パパの声がした

Dr.サカキハラの「リーチングの、ここがすごい!」

興味あるモノを見つけて手を伸ばす
脳では視覚・感覚情報を統合

生後6ヶ月ごろは、おすわりがだいたいできるようになる、離乳食が始まる、人見知りも出てくる、社会的な笑いも出てくる、手の使い方もうまくなる――。成長の階段をさらに一段上がるときです。

一方、お母さんからもらった免疫(抗体)は尽きてくるので、風邪など感染症にかかる子が多くなります。これからは、自分で免疫を獲得していかなければなりません。

いずれにしても生後6ヶ月は、成長の節目。まさにハーフバースディなのです。

赤ちゃんの好奇心は、目の前にあるものに触ろうとする「リーチング(reaching)」にも現れます。まだ指先は器用に使えないけれど、手のひらを使って触り、握って持つようになります。これは、とても重要な発達のステップです。

「目と手の協応」というのですが、目で見たモノの形や距離感などの視覚情報と、手で触ったときの感覚情報とを、脳の中で統合する作業をしているのです。

どのくらい手を伸ばしたらそのモノがつかめるのか。遠いのか近いのか。それはどのくらいの力を出すと持てるのか。重いのか軽いのか。どのくらいの硬さのものなのか。硬いのか柔らかいのか。つるつるなのか、ふわふわなのか、ざらざらなのか……。

たとえば大人は、紙コップとグラスで、握る強さを変えています。紙コップを強く握れば、つぶれてしまうことを知っています。しかし、赤ちゃんはまだ、そのことを知りません。「目と手の協応」の作業で、これから学んでいくのです。

さらには、それを口の中に入れて、なめたりくわえたり、舌や唇を使って確かめて、そのモノの情報を統合していきます。

モノに手を伸ばし、手のひらで握り、口に持っていく――赤ちゃんは、いままさに猛勉強中。この世界を生きるための能力を獲得しようと、頑張っているのです。

update : 2018.02.07

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