生後10ヶ月の成長・発達「後追いの、ここがすごい!」
生後10ヶ月くらいになると、好きな人の後を追いかけるようになります。それは、いつも自分をお世話してくれる人の顔が、はっきりとわかって記憶できるようになり、ハイハイのパワーが増してきたから、できること。「後追い」ってすごいこと! 子どもの体と心の発達研究の第一人者、榊原洋一先生の解説付きです。
監修者プロフィール
榊原洋一先生
お茶の水女子大学名誉教授
医学博士。1976年東京大学医学部卒業後、ワシントン大学小児神経研究部、東京大学医学部附属病院小児科などを経て、お茶の水女子大学理事・副学長。2017年より現職。「子ども学」の研究所「チャイルド・リサーチ・ネット」所長、日本子ども学会副理事長。専門は小児神経学、発達小児科学、特に注意欠陥多動性障がい、アスペルガー症候群などの発達障がいの臨床と脳科学。今後の活動について、「発達障がいには様々な誤解があるので正しい理解を広げていきたい」と語る。『オムツをしたサル』『アスペルガー症候群と学習障害』など著書多数。
ハイハイで大好きな人を大追跡!
ママが大好き
ママは特別
そのことがはっきりわかってしまった!
ママがそばにいないと不安になる
これまでは姿が見えなくなっても
泣くしかできなかった
でも、ついにそばにいられる
最強の手段をゲットした!
それはハイハイ
ママを追いかけて
どこまでもいけるよ
大泣き攻撃とセットにして
「はあ…トイレも一緒か…」
ママが大きなため息
でも、そんなことはしらんぷり
ママといっしょは しあわせだな~
抱っこしてもらいながら
コロンカランという音といっしょに
紙がでてくるおもちゃも発見
「トイレットペーパー出しちゃダメ」
ママがもう一度ため息をついた
Dr.サカキハラの「後追いの、ここがすごい!」
人の顔の区別ができるようになり、覚えているから後を追う
人見知りとともに、赤ちゃんがハイハイで後追いをするのもこの時期です。お母さんなど、いつも世話をしてくれる人がいなくなると、ハイハイで泣いて探したり、トイレの中までついて行ったりするようになります。後追いは、特定の1人だけでなく、親しい2~3人までするようです。
生後4~5ヶ月の赤ちゃんは誰にでもニコニコと笑顔を見せていました。お世話してくれる人なら、誰でもいいとも言えます。
でも、だんだん知っている人と知らない人ということがわかってくるので、人見知りが出てきます。そのうちに、自分のお世話をしてくれる人の顔がはっきりしてきて、そのことを覚えられるようになるから、後追いが始まるのです。
もちろん、後追いはハイハイで移動する能力を獲得したからできること。移動できない間は、お母さんの姿が見えなくなっても泣くしかなかったのです。
トイレにまで、赤ちゃんが追いかけてきたとき、かわいそうと思ったら、抱っこして一緒に入ればいいでしょう。一人でトイレに入りたいと思ったら、ほんの少しの間ですから、危険がないことを確かめて、外で泣かせておくしかないでしょう。
離乳食の回数も増えて、いろいろな味の種類がわかるようになり、そのうちに好みも出てきます。赤ちゃんの舌は、基本的には生まれたときから同じです。味の種類がわかるようになるのは、味覚が発達したからではなく、経験によるものです。経験が多くなって記憶に残るようになったからです。
私たちが、美術品や骨董品、また日常のモノや風景を、美しいと感じたり、価値を評価したりするのは、視力がいいからではないでしょう。たくさん見て経験して、いいモノかどうかわかる能力を養っているからです。赤ちゃんも同じ。たくさんの経験が必要なのです。
release : 2018.06.06
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