生後11ヶ月の成長・発達「より長い記憶の、ここがすごい!」

赤ちゃんが白衣を着たお医者さんを見て泣いたのは、以前の注射のときの痛かった記憶が残っていたからかもしれません。電動おもちゃのスイッチを入れて遊べるようになったのも、記憶が発達してきたから。「より長い記憶」ってすごいこと! 子どもの体と心の発達研究の第一人者、榊原洋一先生の解説付きです。

監修者プロフィール

榊原洋一先生

 

お茶の水女子大学名誉教授

医学博士。1976年東京大学医学部卒業後、ワシントン大学小児神経研究部、東京大学医学部附属病院小児科などを経て、お茶の水女子大学理事・副学長。2017年より現職。「子ども学」の研究所「チャイルド・リサーチ・ネット」所長、日本子ども学会副理事長。専門は小児神経学、発達小児科学、特に注意欠陥多動性障害、アスペルガー症候群などの発達障害の臨床と脳科学。今後の活動について、「発達障害には様々な誤解があるので正しい理解を広げていきたい」と語る。『オムツをしたサル』『アスペルガー症候群と学習障害』など著書多数。

不安な気持ちを覚えてるよ

ちょっと鼻水がでるよ

セキも少しでる

「心配だから病院に行こうね」

ママがいった

お出かけした先は

白くて四角いおうち

前にも来たことがあるかも

ママに抱っこされて

白衣を着たおじさんの前に座った

「どうしました?」

おなかを聴診器でモシモシ

なんだろ なんだろ

前にここでイヤ~な思いをした気がする

不安になってワーッと泣き出した

「今日は注射をしないから大丈夫よ」

白衣を着たお姉さんがいう

「お口の中を見せてね」

口の中になにかをつっこまれた

この感覚 知っているよ

不安な気持ちがムクムク

広がっていく

いやだよ やだよ

なにかわからないけど やだよ

ワーンワーン

さらに大きな声で泣いて訴えた

Dr.サカキハラの
「より長い記憶の、ここがすごい!」

手続きの記憶、感情の記憶ができるようになる

生後11ヶ月ごろになると、より長く記憶ができるようになるので、白衣を着たお医者さんを見て泣いたり、スイッチを入れて遊ぶ電動のおもちゃの操作方法を覚え、自分で動かしたりするようになります。

記憶には、長期記憶、中期記憶、短期記憶があります。たとえば5年前に行った旅行先の風景を覚えているなどの年単位の記憶が「長期記憶」で、昨日の記憶が「中期記憶」、ごく短い時間の記憶が「短期記憶」です。この時期の赤ちゃんの記憶は、中期記憶よりも長いので「より長い記憶」としておきましょう。

また、記憶のモダリティ(分類・様式)といいますが、記憶には、音、視覚、手続きなど様々なものがあります。

赤ちゃんが、おもちゃのボタンを押すと音が出ることをわかってやるのは、「手続き記憶」です。手続き記憶は一番早くから発達しています。モノの使い方を覚えることができるのも、手続きを記憶できるからです。

赤ちゃんが白衣を着たお医者さんを見て泣くのは、手続き記憶の可能性もありますが、注射をして痛い思いをしたときの、言葉にできない不安など、感情の記憶が残っているのかもしれません。

赤ちゃんが言葉を話すために必要な条件は、「声を出す」「耳が聞こえる」「自分の意思を伝えたいという意欲」、周りに言葉をかけてくれる人がいる「環境」です。それと、「語彙の記憶」も必要です。語彙の数というのは、生後9ヶ月ごろから少しずつ増えてきて、徐々に勢いを増していくといわれています。

いまは言葉をためこんでいる時期です。話せなくても、「パパはどっち?」と聞かれるとそっちをみたり、「ワンワンは?」と聞くと指差したり、コミュニケーションがとれるようになってきます。

update : 2018.07.18

  • お気に入り機能はブラウザのcookieを使用しています。ご利用の際はcookieを有効にしてください。
    また、iPhone、iPadのSafariにおいては「プライベートブラウズ」 機能をオフにしていただく必要があります
  • cookieをクリアすると、登録したお気に入りもクリアされます。

Share