生後11ヶ月の成長・発達 | 歩き始めの時期はいつから?
歩き始めの時期には、大きな個人差があります。8ヶ月で立ち上がる子もいれば、1歳半になってようやく歩き出す子もいて、どちらも正常範囲。その差は子どもが持っている運動能力や個性(気質)の違いから生まれてくるそう。「歩き始める」ってすごいこと! 子どもの体と心の発達研究の第一人者、榊原洋一先生の解説付きです。
監修者プロフィール
榊原洋一先生
お茶の水女子大学名誉教授
医学博士。1976年東京大学医学部卒業後、ワシントン大学小児神経研究部、東京大学医学部附属病院小児科などを経て、お茶の水女子大学理事・副学長。2017年より現職。「子ども学」の研究所「チャイルド・リサーチ・ネット」所長、日本子ども学会副理事長。専門は小児神経学、発達小児科学、特に注意欠陥多動性障害、アスペルガー症候群などの発達障害の臨床と脳科学。今後の活動について、「発達障害には様々な誤解があるので正しい理解を広げていきたい」と語る。『オムツをしたサル』『アスペルガー症候群と学習障害』など著書多数。
こわいもの知らずvsこわがりさん
わたしはこわいもの知らず
ママは「どうしてかな?」というけれど
あまり人見知りもしないの
知らない人もこわくないから
あれをさわってみたいと思ったら即行動
ハイハイでアプローチするし
今日はつかまり立ちした
手を放して一歩を踏み出してみたけど
イタタッ
歩けないで転んじゃった
でもわたしは またチャレンジする!
ぼくはちょっぴりこわがりさん
ママがいなくなると
不安になってビェーンって泣いちゃう
もう歩けそうだけど
まだいいかなと思っているんだ
慎重派と呼んでね
でも安心して
早い遅いはあるけれど
わたしも ぼくも
かならず歩き始めるから
Dr.サカキハラの
「歩き始めの、ここがすごい!」
歩き始めの早い遅いは、運動能力、個性、気質の違い
生後11ヶ月ごろになると、もう歩き始める直前です。この時期になると、赤ちゃんに「パラシュート反射」といって、ころんだときに手がパッと前に出る、特殊な反射が完成していきます。それに合わせて、赤ちゃんは歩くようになるのです。
この時期の赤ちゃんの重心は低いけれど、三頭身、四頭身で、頭でっかちでころびやすい。パラシュート反射がないと転んだときに頭を打ってしまいます。
「反射」は発達に応じてうまく作られています。赤ちゃんが生まれたときには、たとえば、授乳のために必要な、唇に触れたものに吸い付くなどの「原始反射」が見られました。それはだんだん消えていくのですが、発達に伴って出てくる反射もあるのです。
歩き始めは、ハイハイのほうが安定しているのですが、赤ちゃんはチャレンジして歩くようになります。初めて歩いたときの赤ちゃんの顔は、ほんとうにうれしそうです。これで自分もママやパパと同じように一人前になったと思っているのかもしれません。
運動発達では、不思議なことに世界中どこでも、1歳ごろになると歩くようになります。でも、生後8ヶ月位から立ちあがる子もいるし、1歳6ヶ月になってようやく歩き出す子もいます。どちらも正常の範囲で、すごく幅があります。
それは、それぞれの子どもが持っている運動能力の違いと、個性の違いによるものです。
歩くためには、動機が必要です。「あれに触りたい」という好奇心が強くて、そこへ行こうと歩く子もいれば、立って歩くのがちょっと怖いからいいや、という子もいるでしょう。こうした一人一人の個性の違いで差が出てくるのです。
この個性をつくる要素のひとつに「気質」がありますが、これは生まれつきのもので、育て方によって変わるものではありません。
アメリカの精神科医トーマス博士は、活動性、順応性、持続性など、子どもの9つの気質を見い出しました。それぞれの気質が、子どもごとに違うレベルで組み合わされているのです。
たとえば、誰にでもニコニコ笑う、人見知りしない子もいれば、人見知りが激しい子もいる。両極端ですが、どちらも気質によるものなので、心配することはありません。
update : 2018.07.25
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