離乳食の食べさせ方 | 離乳食の食べ過ぎや食べない時はどうしたらいい?
離乳食はうまく進まない時もありますが、ママやパパのイライラや、心配しすぎは禁物です。赤ちゃんの様子をよく観察すれば、ちょっとした工夫で解決する場合もあります。離乳食でよくある悩みについてお答えします!
監修者プロフィール
川口由美子先生
一般社団法人母子栄養協会
一般社団法人母子栄養協会代表理事。管理栄養士。女子栄養大学 生涯学習講師、AllAbout 「離乳食」「幼児食」ガイド。離乳食や幼児食のアドバイザーとしてママやパパはもちろん、栄養士、保育士などのプロに対する講習会や講座で活躍中。『脳とからだが育つママとパパのためのフリージング離乳食』、『フリージング幼児食-1週間分作りおき!」』、『子どもの身長ぐんぐんメソッド」など著書多数。
Q:離乳食は5ヶ月に始めなければダメ?
「離乳食のスタートの目安は生後5〜6ヶ月」とされているけれど、それって60日間もあるからいつ始めればいいかわからないという人も。いったいいつ始めればよいのでしょう。
遅くとも生後6ヶ月のうちには始めましょう
赤ちゃんは生後5ヶ月ごろまでは母乳やミルクだけで十分育ちますが、大人が牛乳だけではエネルギーや栄養が足りないように、成長とともにさまざまな食材をとらなければ発育や発達に影響がでてきてしまうのです。生後6ヶ月になると母乳やミルクだけでは足りない栄養が増えてくるので、遅くとも生後6ヶ月のうちに(生後7ヶ月になる前に)始めるといいでしょう。
生後5〜6ヶ月で赤ちゃんの機嫌のよいときに
初めて子育てをするママやパパにとって、離乳食は新しい挑戦。だからちょっとドキドキしますよね。初めての育児は授乳や食事だけでなく、ママやパパにとって初めてのことだらけで、気持ちになかなか余裕がないものです。だからいつでも離乳食をスタートできる準備だけはしておいて、ママやパパの気持ちに余裕があるときに始めてみましょう。そして大事なのは、赤ちゃんの機嫌がよいこと。機嫌が悪いときに離乳食を始めようとすると、「離乳食はイヤなこと」と赤ちゃんが記憶してしまうこともあります。生後5〜6ヶ月の間で、親子とも機嫌よく始められる日にスタートしましょう。
Q:食べるのを嫌がったら?
離乳食をなかなか上手に食べられないときは、スプーンでの与え方や、食卓の環境を一度見直してみてください。基本は、あくまでも楽しく! 赤ちゃんの気持ちになって、いろいろ工夫してみましょう。
まずはママやパパが楽しそうに食べましょう
赤ちゃんは何でも大人のまねをしたがるもの。食事が楽しいものだと思えば、赤ちゃんもやってみたくなるのです。まずはママやパパが食事をおいしそうに楽しく食べていることが大事。よくあるのは、一生懸命作った離乳食を何としても食べさせようと、ママやパパの顔が必死になっていること。赤ちゃんは大人が思う以上に、親の表情や様子をよく見ています。楽しそうに与えてあげると、赤ちゃんも食べたい気持ちになるはずです。
口にやさしくスプーンを運んで
ママやパパが笑顔であげているのに、赤ちゃんが口に入れるのを嫌がっているように見える時は、食べさせ方を見直してみましょう。スプーンを赤ちゃんの口に押し込むのではなく、下くちびるにそっと乗せ、赤ちゃんが自分で食べ物を取り込むのを待つのがコツ。離乳食が口の中に入ったら、スプーンをゆっくり引き抜きます。また、食べさせるペースが速すぎると、赤ちゃんは丸飲みをしやすくなります。赤ちゃんの口に食べ物がなくなってから、次のスプーンを差し出してみましょう。
粘り気やとろみのある食材を合わせてみましょう
離乳食の固さは月齢に合っているはずなのに食べない場合、例えばひき肉や野菜などの食材のぱさつきで食べにくかったり飲み込みにくく感じていることがあります。その場合、じゃがいもやかぼちゃなど、とろみのある食材と合わせてみると食べやすくなります。また粉ミルクを少し足して、シチューのようにするのもいいですね。離乳食のレシピに水溶き片栗粉を使ったメニューがよくあるのは、とろみをつけると赤ちゃんが食べやすくなるからなのです。
Q:食べないで遊びだしたら?
手づかみしたり、食べないで食べ物で遊び出したりしてそこらじゅうを散らかしたらママやパパはびっくり!そんなときはどうしたらいいのでしょう?
手づかみ食べは発育に大事なこと
スプーンがまだ上手に持てないとき、赤ちゃんがママやパパが与えるのを待たずに手づかみして食べ始めることがあります。お行儀が悪いからとしつけだと思って怒るのはちょっと待って!赤ちゃんにとって食べ物の触感を覚えたり、手づかみしてでも食べたいという食への意欲をもたせるために大事なことなのです。1つだけ手づかみにさせてあげるけれど、あとは親があげるなど、ある程度は好きにさせて見守りながら、一緒に楽しんであげましょう。スプーンが持てるように指を動かせるように成長すれば、自然と大人と同じようにスプーンを使って食べたがるようになります。
食べこぼし対策をしっかりと
離乳後期へと進むにつれて、食器や食べ物への興味が強くなりますが、自分で食べたい欲求が強まるほど、食卓がグチャグチャになって大変なことになります。赤ちゃんにはエプロンをつけ、食卓にはランチョンマット、床にシートを敷くなど、食べこぼし対策をあらかじめ万全にしておけば、ママやパパのストレスもなくなります。スプーンでボウルをつついたり、手づかみで食べることもすべて練習になるので、できるだけチャレンジさせてあげましょう。
遊び食べはママやパパの笑顔基準で切り上げましょう
赤ちゃんが食べることに集中できるのは、せいぜい長くて10分くらいのもの。手づかみしていても食べていればいいのですが、食べ終わってもただ食べ物で遊び始めたら、ママやパパも我慢の限度がありますよね。その場合、「これ以上は無理!」とママやパパが思ったところで切り上げて食事を下げてしまいましょう。ママやパパが「これ以上笑顔で見守れない」と思ったときがタイミングです。
Q:食べる量が少ない時はどうすればいい?
せっかくがんばって作った離乳食なのに、ほとんど食べてくれない時は、ママやパパもがっかり。栄養は足りているの?と心配にもなりますね。メニューが赤ちゃんに合っているかどうか、生活リズムについても、チェックしてみてください。
食べる量が少ないと思っても、母子健康手帳の成長曲線に沿った発育をしていれば大丈夫です。
食欲がない理由を考えてみましょう
大人にも食欲があるときとないときがありますよね。それには理由があると思います。赤ちゃんにも食べたくない理由があるのかもしれません。例えば、前回の食事やおやつを、いつもよりたくさん食べなかったか、今日はいつもより遊んだり動くことが少なくなかったかなど、おなかがすいていない原因があるかもしれません。また、大人も季節や気温によって食欲が変わるように、気候や気温も影響します。ほかにも、離乳食のステップを進めたくて、急に新しい食材ばかり使っていないか、調理した物の温度はどうか、スプーンやイスを変えたなど、赤ちゃんが「いつもと違う」と感じて戸惑っている場合もあります。
授乳のときは、おむつ替えしてからしていたのに、おむつを取り替えるのを忘れて食事をさせてしまうと、赤ちゃんは気持ち悪くて食べたがらないことも。
思い当たることがあったら、次に工夫する参考にしてみてください。
かむ力に合わせたメニューを
赤ちゃんが離乳食をあまり食べないとき、好き嫌いではなく「食べにくさ」にあることが多いようです。べーっと吐き出してしまう時は、「かむ力」にまだ合わないのかもしれません。「このかたさはまだ早いのね」と感じたら、もっと小さく切る、裏ごしするなど、調理法を変えてみましょう。ただし、よく食べるからといって、発達段階よりやわらかいものばかり与えると、かむ力が育たないので注意。口の様子をよく見ながら進めましょう。
また前述のように、パサつきで食べにくそうなときは、水溶き片栗粉などでとろみをつけるのも、食べやすさをグンとアップさせるコツです。
ママやパパの焦りは禁物です
ママやパパの「どうして食べないの!」という気持ちは、赤ちゃんにしっかり伝わります。無理強いすると、離乳食が嫌いになるだけでなく、親子ともどもストレスになるので、赤ちゃんの個性や、食べる意欲に任せて見守りましょう。多少食べむらがあるように見えても、長い目で見れば、必要な量はちゃんと食べていることが多いのです。また、しばらく放っておいてママやパパが美味しそうに自分たちの食事をしていると、赤ちゃんも食べたくなることもあります。
思うように食べないことが続いても、体重が母子健康手帳の成長曲線に沿って順調に増えて、普段のご機嫌がよければ栄養的にも心配ありませんよ。
Q:食べすぎる時はどうすればいい?
食の細い赤ちゃんのママやパパから見ればうらやましい限りですが、食欲がありすぎるのもそれなりに気がかりなもの。でも、月齢別の離乳食の量といわれるものはあくまでも「目安」。赤ちゃんの体格がみんな違うように、消化の能力にも個人差があるのです。
丸のみしたり早食いになっていませんか
ママ・パパがスプーンを口に運ぶペースが速すぎませんか? あるいは、食べ物が小さくてやわらかすぎたり、逆に「かむ力」以上に大きくてかたかったりしてはいませんか? 食欲旺盛な赤ちゃんはそんな場合、どんどん丸飲みして早食いになり、かむ力の訓練になりません。まずは、赤ちゃんの発達段階に合わせて、適切な大きさとかたさに調理すること。さらに一口ずつゆっくり、よくかんで食べさせるよう心がけましょう。
よくあるのがスマホやテレビを見ながら離乳食をあげて、知らず知らずに食べさせすぎていること。ママやパパが心ここにあらずだと、赤ちゃんが機械的に食べ続けていることがあります。
家族も一緒に食事を楽しみましょう
食べ過ぎるときも食べなさすぎのときも、実は家族で一緒に食事を楽しむことで解決することが多いのです。大人がせわしなく食事をしていると赤ちゃんもそれをまねしたり、テレビを見ながら食事をしていると、つい食べ過ぎてしまったり。また、赤ちゃんが食べる姿が可愛くて、SNSなどにあげるためにカメラをかまえたりすると、「もっと食べて」という気持ちになって与えすぎることもあります。家族一緒に食べることを楽しみながら食事を進めると、早食いや丸のみすることも減って、適度な食事ができるようになります。
元気で機嫌がよいなら大丈夫
食べすぎで消化不良を起こしていれば、赤ちゃんは吐いたり下痢をしたりします。ただ、多少下痢や便秘をしたとしても、いつも元気で機嫌がよければ、食べすぎを気にする必要はありません。下痢をするようなら、少し材料の切り方を小さくしたり、便秘がちなら、もう少し水分を多くするなどして調理してあげましょう。
食べ過ぎているなと思っても、母子健康手帳の成長曲線に沿った体重の伸びであれば、心配する必要はありません。
Q:離乳食を作るのが大変なときは?
大人の食事と別に必要な離乳食。それを毎回作るのを大変と感じるのは無理もないことです。離乳食のレシピ本通りに完璧に作らなくても大丈夫なので、大人の食事の取り分けから作ったり、ときには市販のベビーフードを利用するのも手です。
成長段階の固さにあっていれば大丈夫
離乳食は、複雑で手の込んだものを作る必要はありません。大人の食事を作るときの食材をちょっと柔らかめに煮たり、つぶしたりするだけで十分なので、むずかしく考えなくても大丈夫です。
ただ、赤ちゃんは消化機能やかむ力が未発達なので、成長段階に合わせた食材を使うことや、そのときのお口の発達にあった固さに食材を調節していくことだけ心にとめておけばよいのです。
※離乳食の進め方の目安はこちら>>
大人の食事の取り分けを上手に利用
大人の食事を作る途中で、赤ちゃん用に取り分けて離乳食を作ると効率的で簡単。例えば豆腐の味噌汁を作るときに、赤ちゃん用に豆腐を一かけよけておくなどです。野菜やお肉なども、赤ちゃんが食べる量はほんの少しなので、取り分けて細かく切ったり、長めに煮込めばOK。
ただし味付けは薄めで、塩分は大人の半分を基準にしてください。離乳食の味付けの目安を知るために、市販のベビーフードを使ってみるのも手です。ベビーフードは月齢に合わせて作られているので、そのときに使える食材や固さ、味付けの参考にもなります。
離乳食だけを単独で作る場合は、多めに作って冷凍ストックすれば、次に作る手間は省けますね。
監修/一般社団法人母子栄養協会 川口由美子先生
update : 2022.07.27
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