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生後11ヶ月の赤ちゃんの成長、産後11ヶ月のママの状態は?

生後11ヶ月。ハイハイで階段を上ろうとしたり、座卓に上ったり。目が離せなくなります。危ないときは、どう叱ればいい? 食が細いとき、好き嫌いが多い子には、どう対処する? ママは産後1年の節目に産婦人科を受診して体調チェック! 仕事復帰のウォーミングアップも始めましょう。この時期の赤ちゃんの発達、お世話のしかた、ママの体と心のこと、知っておきましょう。

「生後11か月の赤ちゃんの成長の様子・お世話」監修

宮野孝一(みやのたかかず)先生
みやのこどもクリニック院長

青森県出身。昭和55年弘前大学医学部小児科教室に入局。同大助手講師。 秋田赤十字病院、盛岡赤十字病院、三沢市立三沢病院小児科科長、青森市民病院小児科部長、平成6年墨田区賛育会病院、江戸川区池下クリニック副院長後、平成10年、クリニックを開業。医学博士、小児科学会認定専門医、 日本アレルギー学会認定医、昭和大学医学部兼任講師、日本小児科学会、日本小児アレルギー学会、日本アレルギー学会、日本小児血液学会、日本小児内分秘学会、日本小児保健学会、日本新生児学会に所属。「わかりやすい説明」がモットー。

「産後11ヶ月のママの状態」監修

藤本薫(ふじもと・かおる)先生
看護学博士

臨床助産師9年を経て、(前)横浜市立大学看護短期大学部助手、(前)東邦大学医学部看護学科講師、北里大学看護学部講師、東京医科大学医学部看護学科准教授を経て、2018年4月より文京学院大学保健医療技術学部教授。専門は、母性看護学、ウィメンズヘルス看護学、助産学。「周産期ケアマニュアル」「女性のライフサイクルとナーシング」「看護学生のための実習記録の書き方」の部分執筆、「Women’s Health and Wellness Across the Lifespan」の部分翻訳など担当する。認定産後ケアリスト(産後ケア協会)のテキスト作成や養成講座にも携わる。

生後11ヶ月の赤ちゃんの成長の様子

生後11ヶ月 身長・体重のめやす

■男の子/身長69.4~78.5cm 体重7.5~10.8kg

■女の子/身長67.4~76.7cm 体重7.0~10.3kg

  • 厚生労働省/平成22年乳幼児身体発育調査報告書より

1歳を迎える頃になると、体重は出生時の約3倍に、身長は約1.5倍になります。しかし、このデータを見てもわかるように、個人差が大きく、男の子、女の子ともにやっと7kgを超える赤ちゃんもいます。他の子と比較しないで、その子なりのペースで成長していくのを見守りましょう。

体の動きはますます多彩に

ハイハイのスピードはかなり速くなって、興味を引く物を見つけるとアッという間にそこへ行くこともできるように。つたい歩きが達者になって、椅子からテーブル、ソファに壁、ありとあらゆるものを駆使して動き回ります。

両腕の力もかなり強くなり、ハイハイの要領で階段に上るのを試したり、椅子の上によじ登ろうとしたりします。座卓などは軽々と登ってしまう赤ちゃんも増えてきます。

もちろん個人差はありますが、赤ちゃんの動きはますます多彩になって、その分、椅子や階段からの転落事故なども増えてきます。赤ちゃんの動きを、いつも目で追って安全確認をしないといけなくなる時期です。

言葉は、コミュニケーションで育つもの

赤ちゃんの言葉は、ママや周囲の大人とのコミュニケーションによって育てられます。この時期、食べ物を指さして「マンマ」というなど、単純な言葉を発する赤ちゃんもいますが、それは少数派。

多くの赤ちゃんはまだ意味のある言葉は出始めていませんが、大人が考える以上に、まわりの大人の動作や言葉を吸収し、よく理解しています。

赤ちゃんは、ものすごい好奇心で、周囲の物や大人がする動作や表情を目で見て観察しています。耳で繰り返し言葉を聞いているうちに、記憶力を発達させています。そうしているうちに、物と言葉がつながり、動作と言葉がつながるようになっていくのです。

ある日、赤ちゃんがお気に入りのぬいぐるみにハンカチをかけて「ネンネ…」と言いながらトントンしていた――。そんなことも起きるでしょう。これこそが模倣。ママがいつも赤ちゃんにネンネといって背中を叩いてあげていたからです。

赤ちゃんは、周囲の大人の語りかけやお世話などのしぐさを模倣することで、発達していきます。

生後11ヶ月の赤ちゃんのお世話

危ないことはハッキリ禁止!

体の動きが自由自在になって行動半径が広がり、指で物をつまむなどの動きも上手になると、イタズラも増えてきます。引き出しを引っ張って中の物を一つ一つ取り出したり、ママやパパの財布を見つけてお札を出してクシャクシャにしたり、なめてビショビショにしてしまったり……。

この程度のイタズラなら大目にみたいのですが、困るのは危ない物に手を出したとき。もちろん、誤飲の原因になるもの、危ないものは家中点検して遠ざけますが、危ない物をすべて片づけるのは、なかなか至難の技です。

アイロンをかけている途中に手を出してきたり、台所のガス台に手をかけようとしたり……。危ないときは、「ダメ!」と怖い顔でキッパリ叱りましょう。「これは熱いんだよ。さわると火傷するんだよ」。言葉の意味はわかっていなくても、真剣に注意すれば、その声のトーンだけで赤ちゃんはビクッとして手を止めます。「これは、やっていけないことだ」ということが、気迫から伝わるのです。

ママやパパの制止で、イタズラを止めたら「いけないのがわかったのね。いい子ね」とほめてあげましょう。

真剣で怖い顔→笑顔という変化を見て、だんだんとママやパパが叱るのはどんな物に手を出したときか、どんなイタズラをしたときかを理解するようになります。

食事の量・内容はその子に合った形で

赤ちゃんがごはんをたくさん食べてくれない、好き嫌いが多くて困る、3回とも同じ量を食べてくれない……など離乳食の悩みが増えてくるころ。赤ちゃんだって、好き嫌いやムラ食いがあってもおかしくありません。無理にたくさん食べさせようとしたり、好き嫌いをなくそうと焦ったりしないで、食事を楽しい時間にするように心がけましょう。

最近は、保育園の給食でも、苦手な食材をムリして食べさせることはあまりしなくなってきています。食事は楽しいもの、おいしいもの。どうか気をラクにして、ごはんを楽しみましょう。

食べてくれないときは、食べ物の固さや大きさが、ムラ食いや好き嫌いの原因になっていないか、チェックしてみましょう。離乳食が進むとママはホッとして、調理のしかたが急に大人の感覚になってしまっていることもあります。まだ歯ぐきと歯ぐきでつぶして食べる時期なので、食べやすく調理されていたか、もう一度チェックしてみましょう。

おかゆは苦手だった赤ちゃんが、離乳食が進んで軟飯になったとたんパクパク食べるようになった!という話もよく聞きます。おやつもやわらかい溶けやすいものではなく、固いおせんべいをガリガリかじるのが好き、という子も。食べ応えのある食材が好みの赤ちゃんもいます。喉に詰まらせないよう注意しながら、いろいろとチャレンジしてみましょう。

公園などで赤ちゃん同士の交流を

赤ちゃんなりの社会性が芽生えてきて、自分と同じくらいか少し年上の子に興味を持ち始めます。まだいっしょに遊ぶことはできませんが、公園などでみんなが遊ぶのをうれしそうに見るようになったり、お友だち同士でお互いにお尻をくっつけた状態で、それぞれで一人遊びをしていたりします。

月齢や成長がちょっぴり早いお友達の姿を見て「あんなこともできるんだ!」と好奇心を持ち、影響されて、新しいことにチャレンジしようとする赤ちゃんも少なくありません。

きょうだいが家にいると、こうした傾向はよくみられます。ひとり目の場合は、近所の子育て支援施設などでママ友を作り、子ども同士を一緒に遊ばせる機会をつくってみるのもおすすめです。

産後11ヶ月のママの状態

産後1年、産婦人科受診のススメ

妊娠中や出産時にトラブルを経験したママや、心臓病や腎臓病などの合併症妊娠・出産の場合には、産後1ヶ月の健診後も、継続して定期検診を受ける場合があります。育児に忙しいとおろそかになりがちですが、指示された定期検診は、必ず受けるようにしましょう。

産後1年間は、広い意味での産褥期(さんじょくき)です。妊娠中や出産時にとくにトラブルのなかったママも、赤ちゃんが満1歳の誕生日を迎えるのを機会に、産婦人科で体調チェックを受けるといいでしょう。

月経やおりもののこと、避妊方法や次の子の妊娠の時期など、検診を機会に何でも相談しておくと安心です。妊娠中、子宮筋腫があると指摘された人も、一度きちんと検査をしておくことをおすすめします。また、まれとはいえ、20代、30代のママも子宮頸ガンになる可能性があります。10代のママもならないとは限りません。1年に1回は子宮ガン検診を兼ねて、婦人科の定期検診を受けるといいですね。

仕事復帰のママはウォーミングアップを

1年間の育児休業をとって元の職場に戻るママ、妊娠・出産を機に退職し、改めて求職活動を始めるママもいるでしょう。仕事の再開に向けてウォーミングアップを開始しましょう。

まず、ママ自身の体調はどうでしょう。仕事、育児、家事が重なると、想像以上に体力を消耗するものです。睡眠、食事、運動を中心に、規則正しい生活を心がけて体力づくりに精を出しましょう。また、仕事の内容にもよりますが、1年間のブランクを埋める準備を始めましょう。

この時期に一時保育や預かりサービスを利用して、ママと赤ちゃんがお互いに「離れる」ことに慣れていくのもおすすめです。赤ちゃんから手が離れている間に、仕事の準備を進めることもできます。

パートナーとの家事育児の分担、じぃじやばぁば、知人やベビーシッターさんなどには、どういうサポートをお願いするのか、などを書き出して、話し合いをしましょう。朝食はどちらが作る? どちらが食べさせる? 保育園の送りは? 迎えは? 買い物は?……。

シングルマザー(ひとり親家庭)の場合も、どういう人、どういう場所に、どういうサポートをお願いするのか、シミュレーションしてみましょう。自治体の支援制度を最大限に活用し、さらに民間やNPOなどのサポートも探してみましょう。ひとりでがんばりすぎないように、最大限のサポートを受けて、たくさんの人と関わって育児をしていきましょう。

やることはじつに膨大ですが、書き出すことで、現実がはっきりと見えてきて、みんなにも伝わりやすくなります。うまく分担して、仕事にスムーズに復帰できるようにしたいですね。

この1年、赤ちゃんと密着して過ごしたのですから、離れがたいし、寂しい気持ちに襲われるママもいるでしょう。でも、育児は長距離マラソンです。長い時間一緒にいることだけが、赤ちゃんへの愛情表現とは限りません。一緒に過ごす時間が短いからこそ、集中して育児を楽しめるということもあります。

育児は、赤ちゃんという幼い人格を、人生の先輩である親たちがゆっくりと育むことです。仕事に復帰することで、ママの人間性を豊かに醸成しながら、赤ちゃんと向き合えるといいですね。

update : 2020.05.22

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