生後9ヶ月の赤ちゃんの成長、産後9ヶ月のママの状態は?
生後9ヶ月。ハイハイやずりばいで移動しながら、一人遊びができるようになる赤ちゃん。まねっこも大好き。いたずらもしてくれます。9~10ヶ月健診では、どんな発育発達をチェックしているの? 「後追い」にはどう対処する? じぃじ、ばぁばとの付き合い方は? この時期の赤ちゃんの発達のこと、お世話のしかた、ママの体と心のこと、知っておきましょう。
「生後9ヶ月の赤ちゃんの成長の様子・お世話」監修
宮野孝一(みやのたかかず)先生
みやのこどもクリニック院長
青森県出身。昭和55年弘前大学医学部小児科教室に入局。同大助手講師。 秋田赤十字病院、盛岡赤十字病院、三沢市立三沢病院小児科科長、青森市民病院小児科部長、平成6年墨田区賛育会病院、江戸川区池下クリニック副院長後、平成10年、クリニックを開業。医学博士、小児科学会認定専門医、 日本アレルギー学会認定医、昭和大学医学部兼任講師、日本小児科学会、日本小児アレルギー学会、日本アレルギー学会、日本小児血液学会、日本小児内分秘学会、日本小児保健学会、日本新生児学会に所属。「わかりやすい説明」がモットー。
「産後9ヶ月のママの状態」監修
藤本薫(ふじもと・かおる)先生
看護学博士
臨床助産師9年を経て、(前)横浜市立大学看護短期大学部助手、(前)東邦大学医学部看護学科講師、北里大学看護学部講師、東京医科大学医学部看護学科准教授を経て、2018年4月より文京学院大学保健医療技術学部教授。専門は、母性看護学、ウィメンズヘルス看護学、助産学。「周産期ケアマニュアル」「女性のライフサイクルとナーシング」「看護学生のための実習記録の書き方」の部分執筆、「Women’s Health and Wellness Across the Lifespan」の部分翻訳など担当する。認定産後ケアリスト(産後ケア協会)のテキスト作成や養成講座にも携わる。
生後9ヶ月の赤ちゃんの成長の様子
生後9ヶ月 身長・体重のめやす
■男の子/身長67.4~76.2cm 体重7.2~10.4kg
■女の子/身長65.5~74.5cm 体重6.7~9.9kg
- ※厚生労働省/平成22年乳幼児身体発育調査報告書より
おすわりが安定し、ハイハイで自由自在に動き回る子、つかまり立ちで器用に移動してしまう子が増えてきます。「いま。ここに居たはずなのに!?」とビックリするほど動きが機敏な子もいますが、のんびりどっしり一人の世界を楽しむタイプの子も。個性がはっきり見えてくる時期です。
一人遊びができるように
ハイハイができ、自由に移動できるようになって行動半径が広くなるにしたがって、しばらくの間は、あっちこっちと移動しながら一人遊びができるようになります。クルマなどの動くおもちゃ、たいこなどの音の出るおもちゃ、動くボールなどを喜ぶようになります。
おもちゃだけでなく、室内にある物はなんでも好奇心の対象です。静かだな~と思っていると、どこかでイタズラしていることも。ティッシュの箱から中身を引っ張り出していたり、本箱から雑誌や本を引き出していたり、スリッパや家具の脚をなめていたり……。
指先の細かい動きも上手になるので、小さい物をつまめるようになります。手にとった物は何でも口に入れて確かめるので、床や手が届くところに、口に入れて危ない物、のどにつまる心配のあるボタンやコイン、電池などがないか、いつも点検するようにしましょう。
一人遊びが上手になると、ちょっと手が離れる時間ができて、ママもホッとできる時間が少し持てるようになるでしょう。本を読んだりおいしいお茶を入れたり、これまでなかなかできなかったことが少しずつやれるようになってきます。
後追いする子が増えてくる
赤ちゃんが「いないいないばあ」を好むのは、短期の記憶力が発達してきた証拠。「いないいない」の後に「ばあ」と、ママの顔が現れると予測する力も少しついてきたのです。でもまだ、赤ちゃんには目に見える物だけが存在している段階。「いないいない」のまま、ママの顔や姿が現れないと不安になって激しく泣いたりします。
これが後追いです。赤ちゃんは目に見えるママの姿を探して、泣きながら家中を探します。ママがちょっと隣の部屋に行っただけで「ギャー!」、ベランダに出ただけで「ワーン!」、いつもは慣れているパパに抱かれていても、ママの姿が見えなくなると大騒ぎです。
トイレにまで追ってくると、さすがにウンザリすることもあるでしょうが、後追いは、赤ちゃんがママを一番絆の強い特別の人と認識している成長の証(あかし)。大泣きしたときには、「ママはここよ」「かえってきたよ」と、しっかり抱っこしてなだめてあげましょう。
生後9ヶ月の赤ちゃんのお世話
離乳食はそろそろ3回に。手づかみ食べも始まる。
舌と上あごで食べ物をモグモグつぶしてゴックン。こんな離乳食を1日2回、しっかり食べられるようになったら、まずは2回食のまま、歯ぐきでつぶれるくらいの固さへと進めてみましょう。めやすは、スプーンやママの指で簡単につぶれる程度の固さ。大きさも最初は小さいツブツブですが、だんだんに大きなツブツブにしていきます。
手づかみ食べが始まる時期です。上手にできず、散らかすばかりかもしれませんが、自分で食べたい!という意欲を大切にして、やらせてあげましょう。
食べ物の固さと大きさに慣れたら、回数を1日3回食に進めてみます。もちろん、遅めに離乳食を始めた赤ちゃんはもう少しあとでも大丈夫! 一方、これまであまり食べてくれなかった子が、少し食べ物が固くなったとたんに積極的になるケースもあります。食べ物の好みはひとりひとり違います。その子の「ツボ」が見つかると、離乳食もぐっとラクになります。
いろいろな食品を食べるようになると、食べ物が十分に消化されずにウンチに混じり、ママをびっくりさせることもあります。消化する力がまだまだ未熟なのです。とくに繊維質の多い食べ物によくあります。ニンジンやホウレンソウなどが未消化で出てきても、栄養はある程度吸収されているので気にしないでだいじょうぶです。
このころは、鉄分が不足しがちなので、ホウレンソウ、レバーや赤身の魚なども離乳食に取り入れましょう。ミルクの赤ちゃんは、体重の増えが順調ならフォローアップミルクに変えてもいい時期です。
まねっこで、楽しく学習
たとえば、パパが出勤するときに「バイバイ」と手を振ると、それを真似て「バイバイ」をしたりします。ママが両手を打って「パチパチ」とすると同じようにパチパチしますし、頭を下げて「コンニチワ」をすると、一緒に頭を下げたりします。
赤ちゃんは繰り返しが好きなので、何度も何度も同じことをしたがったりしますが、赤ちゃんが喜ぶときはできるだけつきあって、もの真似をする楽しさを教えてあげましょう。
赤ちゃんはママや大人の真似をしながら、日常の動作やあいさつなどの生活習慣を身につけていきます。人と人とのコミュニケーションを楽しみながら、社会性が発達していくのです。
9~10ヶ月健診で発達チェック
地域によって異なりますが、9~10ヶ月健診が行われます。健診の内容は、ハイハイやつかまり立ちなど運動発達のチェック、耳や目の異常があるか、離乳の進み具合はどうかなどです。
身体発育や運動発達の面で、個人差が大きくなる時期なので、ママが深刻に心配していることでも、小児科医の目から見ると順調に育っていて心配は何もない、ということも多いものです。ママの思い過ごしのこともよくありますから、一人で考えすぎずに相談しましょう。
【9~10ヶ月健診の内容】
- ハイハイの様子…月齢に応じた運動発達があるかどうか
- おすわりの様子…手を離してもどっしり座っていられるかどうか
- つかまり立ちの様子…月齢に応じた運動発達があるかどうか
- パラシュート反応テスト…赤ちゃんの顔を下に向けて背中から抱きかかえます。体を支えようとして手が出るかどうかなど、神経の発達をチェック
- 耳や目の異常がないか…この時期、聴覚や視覚の異常が発見されることがある
- 離乳食の進み具合
- 喃語が出るか
- 身長、体重などの身体測定 …など
産後9ヶ月のママの状態
じぃじ、ばぁばへの上手な頼り方
一人で赤ちゃんのお世話を抱えこんでしまうと、どんなに気丈なママでも疲れが出てきます。体の疲れはもちろんですが、心の疲労も見逃せません。そんなときは、自由時間を作って、気分転換をしてみましょう。
いちばんに頼れるのは、やっぱり、じぃじ&ばぁばの存在です。しかし、今と昔では価値観が違うし、育児法もだいぶ違ってきています。昔は当たり前とされていたことが、今は否定されているものもいろいろあります。
たとえば、かつては大人が口の中で噛んで柔らかくしたものを、赤ちゃんに与えることがありました。しかし、今は控えたほうがいいと言われています。細菌と砂糖、唾液の悪い条件が長時間揃うと虫歯のリスクが高くなると言われているからです。甘いものを大人のスプーンで食べさせるのも控えましょう。
アレルギーの認識も、昔と今ではまったく違います。食べさせても大丈夫な食材、気を付けなければいけない食材など、最低限気を付けてほしいことなどを、簡単にメモにまとめて渡しておくと、預かるほうも安心です。
じぃじ&ばぁばは、プロのシッターではありません。半日や1日ぐらい、離乳食のスケジュールが乱れても、ちょっとくらい甘いジュースを飲まされても、大目にみて感謝する心のゆとりを持ちましょう。昔の常識で育てられたママもパートナーも、こうして育児ができる元気な大人に成長しているのですから。
家族でマッサージを楽しもう
アロマオイルを使って、ボディマッサージをしてみませんか?
アロマオイルにはいろいろなエッセンシャルオイルがあります。たとえば、ラベンダーオイルを入浴時に使うと、精神的なストレスを緩和するリラクゼーション効果が期待できるし、肩こりがひどいときにも効果的です。また、肩こりにはローズマリーの他、サイプレスやジュニパーなどの森林系エッセンシャルオイルを使ってのマッサージも効果的。ベースオイルに数滴たらして混ぜてから、適量を手のひらにつけながらマッサージします。
最近は、アロマテラピー(芳香療法)関連の専門店も増えています。エッセンシャルオイルはそれぞれに効能が違いますし、妊娠中や授乳中のママは避けたいものもあります。専門店で相談するといいですね。
パートナーとマッサージしあえば、体のこりをほぐすだけでなく、スキンシップを兼ねますし、仲良しセックスへのきっかけになることも!
また、赤ちゃんには、腕や足、背中などを手のひらで愛撫するようにやさしくマッサージします。皮膚への刺激は赤ちゃんの五感の発達につながります。ただし、ベビーマッサージに使うオイルはエッセンシャルオイルは避けて、グレープシード、ココナッツ、スィートアーモンドなどのベースオイルだけにします。
update : 2020.05.22
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