生後3ヶ月の赤ちゃんの成長、産後3ヶ月のママの状態は?
生後3ヶ月になると、体重は生まれたときの2倍に! 首がすわってくる赤ちゃんもいます。発達の大きな節目です。首すわりのチェックポイントは? 「魔の3ヶ月」って、いったいどういうこと? クーイングって? 生後3~4ヶ月健診では、どんなことするの? 育児に疲れたときはどうしたらいい? 産後のセックス、避妊も気になる……。赤ちゃんの発達に応じたお世話や、ママの体や心のこと、知っておきましょう。
「生後3ヶ月の赤ちゃんの成長の様子・お世話」監修
宮野孝一(みやのたかかず)先生
みやのこどもクリニック院長
青森県出身。昭和55年弘前大学医学部小児科教室に入局。同大助手講師。 秋田赤十字病院、盛岡赤十字病院、三沢市立三沢病院小児科科長、青森市民病院小児科部長、平成6年墨田区賛育会病院、江戸川区池下クリニック副院長後、平成10年、クリニックを開業。医学博士、小児科学会認定専門医、 日本アレルギー学会認定医、昭和大学医学部兼任講師、日本小児科学会、日本小児アレルギー学会、日本アレルギー学会、日本小児血液学会、日本小児内分秘学会、日本小児保健学会、日本新生児学会に所属。「わかりやすい説明」がモットー。
「産後3ヶ月のママの状態」監修
藤本薫(ふじもと・かおる)先生
看護学博士
臨床助産師9年を経て、(前)横浜市立大学看護短期大学部助手、(前)東邦大学医学部看護学科講師、北里大学看護学部講師、東京医科大学医学部看護学科准教授を経て、2018年4月より文京学院大学保健医療技術学部教授。専門は、母性看護学、ウィメンズヘルス看護学、助産学。「周産期ケアマニュアル」「女性のライフサイクルとナーシング」「看護学生のための実習記録の書き方」の部分執筆、「Women’s Health and Wellness Across the Lifespan」の部分翻訳など担当する。認定産後ケアリスト(産後ケア協会)のテキスト作成や養成講座にも携わる。
生後3ヶ月の赤ちゃんの成長の様子
生後3ヶ月 身長・体重のめやす
■男の子/身長57.5~66.1cm 体重5.1~8.1kg
■女の子/身長56.0~64.5cm 体重4.8~7.5kg
- ※厚生労働省/平成22年乳幼児身体発育調査報告書より
生後3ヶ月ごろまでの赤ちゃんの身体発育のスピードはとても早くて目覚ましいものがあります。とくに体重は、もう生まれたときの約2倍! ほっぺたはふっくらとして、細かった腕や足にも皮下脂肪がつき、体つき全体がまるまるとしてきます。また、あやすとニッコリ笑って応えるようになるなど表情が豊かになり、かわいらしさが一段と増す時期です。
首すわりは、発達の節目
3ヶ月ごろ(ゆっくりの赤ちゃんは4~5ヶ月ごろ)になると、自分の頭を支えられるようになってきて、首の動きをコントロールできる赤ちゃんが多くなってきます。これが「首がすわる」ということです。赤ちゃんの場合、発育は身長、体重の増加など体の成長を指し、発達は体のいろいろな機能面での成熟を意味します。
とくに乳児期の赤ちゃんでは、運動発達は同時に脳の発達の目安にもなります。また、赤ちゃんの運動発達は、首がすわる→おすわりができる→一人で立てる、というように、上半身から下半身へと発達していきますから、首がすわるかどうかは、発達全体を見る第一段階として、非常に重要なポイント。ですから、ほとんどの自治体では3~4ヶ月ごろに乳児健診を実施して、首すわりを中心に赤ちゃんの発育と発達をチェックします。
首すわりのチェックポイント
- 腹ばいにするとひじをついて腕を突っ張りながら、頭と肩を持ち上げ、首を左右や上下に動かすことができる
- あお向けで寝ている状態から赤ちゃんの両手を握って体を引き起こすと、途中から頭が体と一緒についてくる
ただし、パパやママが勝手に自己判断するのではなく、健診でさまざまな観点から小児科医に診てもらうことが大切です。
手を使うことに関心が出てくる
首がすわってくると、音のするほうや目に入る物のほうへ顔を向けることができるようになると同時に、そばにあるガラガラなどのおもちゃに手を出し、握って口に入れたりします。自分の手は、そばにある一番のおもちゃなので、しげしげと眺めたり、こぶしにして口に入れたり、指を吸ったり……。
赤ちゃんはさまざまなものを口に入れて、そのものを理解していきます。つるつるしている、ざらざらしている、ふにゃっとしている、ガチガチと硬い……。自分の手もなめて確かめます。なめたときの口や舌の感覚と、なめられている手の皮膚感覚……こうした感覚が統合され、自分の体の一部だと認識していくのです。
魔の3ヶ月⁉ グズグズ期もやってくる!?
「魔の3ヶ月」という言葉を聞いたことがありませんか? この時期になると、明けても暮れても「抱っこ!」「抱っこ!」の赤ちゃん。グズグズと泣いたり、ママから離れられなくなってしまう赤ちゃんが増えて、ママやパパを困らせるのです。
生後3ヶ月は、ちょうど首がすわるようになり、赤ちゃんが劇的に発達する節目の時期です。首がすわることでタテ抱っこができるようになり、赤ちゃんの目の前の景色が急激に変わります。同時に身体の循環機能が変わります。その変化は大人が思っている以上に、とても大きな「進化」。
赤ちゃんは、こうした急激な変化に戸惑っているのかもしれません。ママやパパは、ちょっと疲れてしまうかもしれませんが、これを乗り越えるとまた一つ、赤ちゃんの新しいステージが待っています!
生後3ヶ月の赤ちゃんのお世話
積極的に散歩を楽しみましょう
赤ちゃんは、見たり、聞いたり、肌に触れたりするさまざまな刺激を受けて発達していきます。ですから、家の中にだけ閉じこもらずに、積極的に散歩に出かけましょう。
肌をなでる風の感触、木々の匂い、花の香りなどを体験させてあげましょう。自然だけじゃなく、犬の鳴き声や人の話し声、自動車の音、自転車が走る音など、さまざまな生活音もまた、赤ちゃんにとって大きな刺激になります。近所の公園の他、短い時間なら買い物も赤ちゃん連れで出かけましょう。
ただし、紫外線の強い季節(4~9月)は、日光の強い10~14時頃の間の外出はなるべく避けましょう。
汗をかくのも大事な成長過程
赤ちゃんが生まれた季節にもよりますが、エアコンの使用が赤ちゃんにいいのか、悪いのか、悩んでしまうかもしれません。まだまだか弱い新生児期や生後1ヶ月くらいのころは、エアコンで部屋の温度を22℃~27℃くらいに管理しておいたほうがよいでしょう。
ただし、エアコンの使い過ぎは赤ちゃんの負担にもなります。猛暑日や真夏日でない日は、例えば朝晩など、エアコンを使わない時間帯をつくることも大切です。赤ちゃんが汗をかくと、身体の新陳代謝が促されます。汗をかくことで水分をたくさん摂取するようになり、循環もよくなります。うっすらと汗ばむ程度に、汗をかかせてあげましょう。
あせもが気になるというときは、シャワーやベビーバスで軽く汗を流してあげてください。ただ、毎回石けんを使うと大切な皮脂まで洗い流してしまいますから、サッとべたつきを流す程度にしましょう。
クーイングで、赤ちゃんと話そう
昼間起きている時間が長くなるにつれて、おしりがきれいでおなかもいっぱいで機嫌がいいと、手指を口に入れて一人遊びをしたり、「アー」とか「ウックン」とか声を出すようになります。声を出すのは、「クーイング」の始まりです。
赤ちゃんが「ウックン、ウグウグ…」と声を発したら、それに答えてあげましょう。「ウックン、ウグウグ」と真似して返してもいいですし、「発声練習しているの~?」「おー、ご機嫌な声出しているね~?」と話しかけてもいいですね。赤ちゃんとのコミュニケーションを楽しんでください。
3~4ヶ月健診を受ける時期
1ヶ月健診に続いて再び健診があるころです。自治体によっては生後4ヶ月で行うところもあります。心配事は事前にメモをしておいて、忘れずに質問するようにしましょう。
3~4ヶ月健診の主な内容
- 首のすわり…この月齢に応じた発達をしているか
- 股関節の開き…蛙のようにM字型に両足が左右対称に開くか。先天性股関節脱臼がないか
- 視覚や聴覚の様子…「追視」をするか、正常に聴こえているか。聴覚の異常は今後、言語の発達の遅れにもつながってくるので慎重にみる
- 引き起こし反応…赤ちゃんの手首を医師が持ち、そのまま赤ちゃんを寝た状態から引き上げる。
- 首がちゃんとすわってついてくるか、筋力が弱すぎないかなどをチェック
- 垂直吊り下げテスト…脇の下を支えて立たせるような姿勢に。ぴょんぴょんさせて足のつっぱりをみる。4ヶ月では足で体重は支えず、逆につっぱりが強すぎないかどうかをみる
- 身長、体重などの身体測定
- 内科や整形外科のチェック
産後3ヶ月のママの状態
ママも楽しめる外出先を見つけよう!
出産してからというもの、毎日夜も昼もなく、必死に育児に奮闘してきたママ。ここまで、よくがんばりましたね!
日々の疲労やストレスはピークに達し、パートナー以外に話をする大人がいないことや、社会とかかわるきっかけがないことなどから、孤独感を感じる人も増えてきます。「産後うつ」を発症しやすい時期も、出産直後からだいたい3ヶ月ごろまでという報告が多く、この時期をいかに乗り切るかが鍵になってきます。
赤ちゃんはにっこりと笑顔を見せてくれるようになり、首がすわる子も出てきます。一緒にお外へ連れ出しても、もうあまり心配ありません。ママのリフレッシュと、話し相手や居場所を見つけるため、積極的に外に出てみましょう。
【おすすめの外出先】
- 地域の子育て支援施設
- 保健センターや児童館の催し
- ママフェスなどママ向けのイベント
- 親子向けのカフェや民間施設
- ショッピング
産後の避妊方法はどうする?
産後3ヶ月になると月経(生理)が始まっているママが多くなり、妊娠の可能性も出てきます。まだ妊娠したくない場合は、最初のセックスから必ず避妊しましょう。
避妊の方法はいろいろありますが、産後の避妊に利用しやすい順としては、コンドーム、IUD(子宮内避妊リング)、ピル(経口避妊薬)による避妊です。基礎体温は妊娠しやすい時期の目安となります。
■コンドーム
IUDやピルは一度月経が来てからになりますし、ピルは母乳育児中は飲むことができません。その点、コンドームは産後の手軽な避妊法です。しかし、正しく使わないと失敗率が高くなります。挿入の最初から必ずコンドームをつけ、殺精子剤を含む避妊ゼリーなどを併用するといいでしょう。
■IUD
子宮内に装着して受精卵の着床を妨げる避妊法です。成功率も約95%と高いので、産後の避妊法として最適ともいえます。一度月経が来たら使えます。産婦人科で相談しましょう。黄体ホルモンを付加した避妊リング(IUS/ミレーナ)は、経血の量も減り長期(5年ほど)の避妊効果が期待できます。
■ピル
飲み忘れがなければ100%の避妊成功率ですが、母乳育児中は飲むことができません。ミルクのママも一度月経が来てからになります。産婦人科で処方してもらいます。
基礎体温での避妊は、危険
産後しばらくの間は、基礎体温をつけるのは排卵があるかどうか(低温相から高温相に移行すると排卵があったとわかります)をみて、卵巣の回復を知ることが目的です。月経周期が安定したら、排卵日前後3日くらいが妊娠しやすい時期となります。基礎体温は本来、妊娠しやすい時期やホルモンバランスを知ることに使われます。排卵の時期は、その時の体調によっても変化するので、基礎体温を目安に避妊するのは危険です。
帝王切開の場合の避妊期間
一般的に帝王切開をした後の次の妊娠は、6ヶ月から1年、間をおくように勧められています。ただし、帝王切開をした時の切開の仕方や、帝王切開になった理由によって違ってきます。
通常の子宮の下を横に切開した場合には傷は3ヶ月ぐらいできれいになり、6ヶ月ぐらいの避妊期間で大丈夫とされています。しかし、巨大児出産や双胎、未熟児出産で縦切開や逆T字切開では最低1年間は妊娠をしないように避妊することが大切です。
update : 2020.05.22
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