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私立受験にご用心!イマドキの塾事情

わが子にはできるだけ良い教育をしてあげたいというのが親心というもの。その影響もあり、近頃は、幼少の頃から子どもを私立の学校へ進学させたいという人が増えています。とはいえ、私立の学校に通わせるには、授業料はもちろんのこと、入学するまでに莫大な塾代がかかります。今回は私立受験をする場合にかかる塾代にフォーカスしてご紹介します。私立受験を考えている人は、どの段階から私立受験をするのかを考え、早めにマネープランを立てることが大切です。

監修者プロフィール

高山一恵(株式会社Money&You取締役/ファイナンシャルプランナー)

(株)Money&You取締役。慶應義塾大学卒業。2005年に(株)エフピーウーマンの創業に携わり10年間取締役を務めた後、現職へ。主に女性向けに、全国で講演、執筆・監修、書籍、マネー相談を行っている。著書は「マンガでわかるiDeCoのはじめ方 ライバルはイデ子!?」(きんざい)、「35歳までにはぜったい知っておきたいお金のきほん」(アスペクト)など多数。ファイナンシャルプランナー(CFP)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士。

私立受験には莫大な「塾代」がかかる!

わが子には少しでも良い教育を受けさせたい!と思うのが親心というもの。現在は、子どもの数も少なく、幼少の頃から教育に力を入れる家庭が増えています。その影響で、幼少の頃から子どもを私立の学校へ進学させたいという家庭も増えていますが、私立の学校に入学するためには、自学自習では難しいケースが多く、塾に通うケースがほとんど。

また、塾代も年間で100万円以上かかるケースも少なくないので、学校の授業料以外にかかる「塾代」は家計を圧迫する要因になります。

私立の学校を希望する場合には、授業料だけではなく、塾代も含めて子どもを進学させるかどうか考えることが大切です。

今回は、小学校受験から大学受験までにかかる「塾代」を中心に費用を見ていきます。

小学校受験をするなら幼児教室に通うケースがほとんど

文部科学省「平成30年度学校基本調査(速報値)」によると、全国の小学生のうち私立小学校に通う子どもは全体の約1.2%で、約99%は近所の公立小学校に通っているようです。首都圏は他の地域と比較して小学校受験をする家庭が多く、人気の私立小学校の場合には、倍率が10倍を超えるところもあるようです。

私立小学校の受験は特殊な世界なので、受験するとなると、ほとんどの家庭で子どもを「幼児教室」に通わせるのが一般的。とはいえ、ひとくちに幼児教室といっても、カリキュラムや教室の雰囲気は実にさまざまです。

幼児教室の種類を大きく分けると、「総合的に受験を指導する教室」や「体操、絵画、製作などの単科教室」、「特定の小学校に絞って指導する教室」などに分けられます。

授業料は1コマ60~90分あたり10,000円~15,000円が相場。授業料が高いところになると、週1回、月に4回通って8万円を超える月謝を払うところもあります。

授業料以外にも入会金や夏期講習代、合宿代、模擬試験代などがあり、トータルでかかる費用は年間100万円以上になります。いつからお受験の準備を始めるかにもよりますが、仮に年中(4歳)から初めて、2年間通う場合、200万円以上もかかることになります。

この他にピアノやリトミックなど、お受験に役立つ習い事をさせたり、家庭教師などもつけたりする家庭も多く、1年間に200万円以上の費用がかかってしまうケースも珍しくありません。

【小学校受験にかかる費用】

幼児教室 月謝4万円~8万円(週1回通う場合)
模擬テスト 1回1万円~2万円
面接時のスーツ スーツ代 3万円~5万円
受験料 国立3300円 私立2万円~3万円

幼児教室以外にかかる費用も見落とせない

幼児教室の授業料だけでも結構な金額がかかりますが、見落としがちなのが、受験料や面接用のスーツや靴、バッグ代など。

お受験シーズンになると、都内のデパートでは、お受験服フェアが開催されているので、覗いてみるのですが、両親と子供の分のスーツ、靴、バッグなど、親子で新調するとなると、最低でも10万円以上、平均では15万円~20万円はかかるようです。

また、受験料ですが、私立小学校の場合、1校あたり20,000円~30,000円、国立小学校の場合、1校あたり3,300円(1次が1,100円、2次が2,200円)。平均3校~5校程度受験するようなので、受験料だけで10万円程度かかります。

さらに見落としがちな費用として、幼児教室の待ち時間の「カフェ代」があります。教室に子どもを預けてから授業が終わるまで1時間半程度ママ友と情報交換をする場合が多いようですが、1回のカフェ代が1,000円程度だとすると、週に3回カフェによれば、月に12,000円の出費に。

他にも複数の学校を受験する場合、受験日程によっては、滑り止めとして第一志望ではない学校に入学金を支払わなくてはならない可能性があります。

私立中学受験の「塾代」は、教育費の最初の山場

私立小学校の受験は、まだ一般的ではないところがありますが、私立中学校受験については、首都圏を中心に希望する家庭が増えているようです。

というのも、上位大学への進学実績を見ると、私立中高一貫校の出身者が大半を占めている現状があるからです。例えば、東京大学への進学上位トップ10の高校の例では、高校からは受け入れのない完全中高一貫校が多いようです。東京都の例では、中高一貫校に進学する児童の割合は、4分の1を占めています。

最近は、中学受験をする場合、小学3年生から塾に通うのが一般的となっており、塾代が家計に重くのしかかってきます。

例えば、中学受験塾で有名なSAPIXの費用(2018年9月調べ)を見てみましょう。小学校3年生は週1回の授業で、月額20,520円(消費税込)、小学校4年生は週2回の授業で、月額39,960円(消費税込)、小学校5年生は週3回の授業で、月額50,760円(消費税込)、小学校6年生は週3回の授業で月額58,320円(消費税込)となっています。

※費用は例外もあるので、実際の費用については、各塾にお問い合わせください。

授業料だけを計算してみると、小学校3年生から小学校6年生までSAPIXに通った場合には、合計で203万4,720円と200万円を超えます。

この他にも、入会金や春期講習、夏期講習などがかかるので、50万円~100万円程度上乗せになります。

小学校受験をしない場合、まず、教育費の山場となるのが、中学受験のための塾代といえるでしょう。

【私立中学に通う割合】(都道府県別上位5位)

都道府県 全体(人) 私立(人) 私立に通う割合(%)
全国 3,465,245 243,390 7.00%
東京 310,874 74,357 23.90%
高知 19,341 3,461 17.90%
京都 70,853 8,557 12.10%
奈良 39,408 4,646 11.80%
神奈川 235,344 25,696 10.90%

中学受験塾に通ったらほとんどのケースで私立中学へ進学

中学受験を考えている場合、中学に入学する前に、塾代で200万円~300万円かかるので、計画的にお金を貯めていく必要があります。

「希望の私立中学に受からなかったら公立に行けばいい」と当初は考えていても、結果的にスベリ止めの私立中学へ進学し、よほどのことがない限り公立には進学しないケースが多いようです。

ですから、一度中学受験のための塾に通い始めたら、私立中学に通うというプランで学費をシミュレーションしておいた方が良いでしょう。

中学受験は、塾の送り迎えや子どもの学習意欲を継続させるための親の働きかけなど、何かと親のサポートが求められます。そのため、子どもが中学受験をするのをきっかけに仕事との両立が困難になり、仕事を辞めてしまうというママも少なくありません。

仕事を辞めてしまうと、収入が減るのに、費用はどんどん右肩上がりになってしまいます。このように、不測の事態になることも想定して、子どもが小さい時期から余裕を持って教育費を準備していきたいですね。

高校受験の費用は、公立が私立の1.5倍に!?

今回は私立の学校に受験する場合の塾代について見てきていますが、実は、子どもが中学生になると、子どもが通う学校が公立でも私立でも大差ない教育費が必要になってきます。それはなぜなのでしょうか。

学費だけを見ると、文部科学省の「平成28年度子供の学習費調査」によれば、公立中学の3年間の学習費総額は、143万7,000円、私立中学の3年間の学習費総額は、398万1,000円と、大きく差があります。

しかし、文部科学省の「平成28年度子供の学習費調査」の「中学生学年別補助費用」の学習塾費における中学3年時の塾費用によると、公立中学に通う中学3年生の塾代の平均は37万円、私立中学に通う中学3年生の塾代の平均は23万4,000円となっており、公立が私立の1.5倍以上かかっていることになります。

これは、私立中学の場合、中学、高校一貫校となっているケースが多く、あまり塾に通わなくても学校の勉強をがんばっていれば、高校にエスカレーターで進学できるケースが多いことが背景にあるようです。

さらにこのデータは、全国平均なので、都内に目を向けると32万円に収まらないケースがほとんどです。

ちなみに、高校受験塾大手の「早稲田アカデミー」の授業料(2018年9月調べ)を見ると、中学3年生の5教科レギュラーコースの授業料は月に33,800円(消費税込)、5教科特訓コース(選抜コース)の場合には、月に43,900円(消費税込)かかります。この他にも参考書代、模擬試験代、夏期講習代などを含めると、年間で60万円以上はかかります。

仮に中学1年生から早稲田アカデミーに通うとなると、さらに費用がかさみ、中学1年生の5教科レギュラーコースの授業料は月に25,900円(消費税込)、中学2年生の5教科レギュラーコースの授業料は月に31,000円(消費税込)かかるので、3年間の塾費用の総額は、120万円を超えることになります。

※費用は例外もあるので、実際の費用については、各塾にお問い合わせください。

高校卒業後も大学進学を目指して塾に通い続けることに

財務省が発表した「日本の統計2017」によると、高校卒業者の大学進学率は男子が52.1%、女子が56.9%となっており、高校卒業者の半数以上が大学に進学しています。つまり、高校に入学してからも大学受験を目指して塾に通い続ける子どもが多いということです。

大学受験のための塾の費用は、高校受験以上にまとまった金額がかかります。河合塾、代々木ゼミナール、駿台予備学校の大手予備校3校の例を見ると、高校3年生の私立文系、英語、国語(現代文・古文)、世界史を1年間受講、夏期講習や冬期講習などの季節講習を含めて受講するケースで年間90万円~110万円程度かかります。また、高校3年生になると、模擬試験を受ける機会も多く、模擬テストの費用として年間5万円~10万円程度かかります。

仮に高校1年生から上記の大手予備校に通う例を見てみましょう。高校1年生、2年生で英語、数学を1年間受講し、季節講習も含めると、年間で40万円~50万円程度かかります。つまり、高校1年生から塾に通うとなると、総額200万円以上かかることになります。

いざ受験となった場合には、塾代の他にも、願書関連費や受験料がかかり私立大学を1校受験するだけでも10万円を超える費用がかかります。

学資保険の短期払いを活用して教育資金を貯める

今回は塾代を中心に見てきましたが、塾代だけでもかなりの金額がかかることがおわかりになったのではないでしょうか。

例えば、特に小学校受験、中学受験をする場合には子どもが小さいうちから数百万円程度の塾代がかかりますから、より計画的にお金を貯めていくことが必要です。

例えば、中学受験をする場合、小学校4年生から塾代で年間50万円以上かかります。塾代を支払いつつ、それとは別に毎月家計から教育費の積み立てをするのはなかなか厳しいものがあります。

そこで、活用したいのが「学資保険」の「短期払い」です。学資保険はマイナス金利の影響もあり、お得度は下がっていますが、ソニー生命の学資保険のように返戻率が高い商品もあるので、上手に活用したいものです。

例えば、学資保険を活用して大学資金用に保険料を積み立てる場合、0歳から18歳まで毎月保険料をコツコツ支払い18歳で受け取るプランよりも、保険料の支払いを0歳から10歳まで支払い18歳で受け取るプランの方が、返礼率が高くなり効果的です。

これは、保険料の払い込み期間が短いほど、まとまったお金を保険会社で運用できる期間が長くなるため、返戻率が高くなるからです。

保険料の短期払いの場合、本格的に教育費がかかる前に保険料の払い込みが終わり、しかも返戻率も高いので、1粒で2度おいしいといえるでしょう。

私立の学校に通う場合には、先を見越した早めのマネープランを!

今まで見てきたように、塾代だけでも大きな金額がかかりますが、授業料、その他お稽古事などを考えると、ますます計画的な準備が大切ですね。

ちなみに、今までの相談経験から、もし、中学から私立に進学を希望する場合、小学6年生の時の塾代を無理なく支払える家庭であれば、中学、高校と私立の学校に通ったとしても経済的な問題はクリアできる家庭が多いようです。もし、家計的に厳しい状況であれば、収入アップできるように手立てを打つなど、対策が必要になります。

私立受験を希望する場合には、どこの段階から私立に行くのかを決め、先を見越した早めのマネープランを考えましょう。

教育費というと、授業料をメインに考えてしまいがちですが、その前に希望の学校に入るための学習塾の「塾代」がかかり、家計を圧迫します。例えば、私立中学に通う場合には、そもそも授業料自体も高いのに、入学前に数百万円もの塾代がかかります。私立の学校に子どもを進学させようと考えている場合には、早い段階で、いつの段階から私立に行かせるのかを決め、塾代も含めてトータルで教育費を考え、準備することが大切です。教育費を貯める方法はいろいろあります。今回記事の中でご紹介した学資保険の短期払いなども活用しながら、家計に無理なく効果的な方法で貯めていきたいですね。

監修/高山一恵(株式会社Money&You取締役/ファイナンシャルプランナー)

update : 2018.10.24

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