赤ちゃんの予防接種基礎知識

予防接種の基礎知識

新型コロナウイルス感染症の流行で、今まで以上に関心が高まったワクチン。ワクチンによる予防接種は、もともと赤ちゃんを重い感染症から守るためにとても大切なものです。最終的に接種するかどうかは、両親の判断に任せられています。予防接種はなぜ必要で、どんな種類があるのでしょう?正しい知識を持ち、迷った時には医師に相談のうえ、できるだけ受けさせるようにしましょう。

監修者プロフィール

池田裕一先生

池田裕一先生
昭和大学藤が丘病院小児科診療科長

1995年昭和大学医学部卒業後、同大学藤が丘病院小児科に入局。

1998年~神奈川県立こども医療センター感染免疫腎内科、昭和大学医学部小児科講師、カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF ,Children Hospital Oakland,CA, USA)客員研究員等を経て、現在は昭和大学医学部小児科学講座教授、昭和大学藤が丘病院小児科診療科長、昭和大学横浜市北部病院こどもセンター長(小児内科診療科長兼務)。

また、「尿トラブル外来」を担当、HPこどものおねしょとおもらし総合相談室「おしっこトラブルどっとこむ」や講演、執筆、TV出演(NHK)等、子どもの排尿の問題のほか、こどものすいみん総合相談室「すいみんトラブルどっとこむ」で子どもの睡眠問題に取り組んでいます。

予防接種は何のため?

新型コロナウイルス感染症の流行以来、ワクチンに対する関心が高まっていますが、赤ちゃんたちはもともとたくさんの予防接種によってさまざまな病気から守られてきました。まだ抵抗力や体力のない赤ちゃんがかかると、重症になりやすい病気のいくつかは、予防接種でしっかりと防ぐことができます。正しい時期にきちんと受けさせておけば、ママもパパも安心ですね。

赤ちゃんに病気への免疫をつけます

赤ちゃんに病気への免疫をつけます

病気の中には、一度かかると体の中に「抗体」ができ、同じ病気に二度とかからないか、かかっても軽い症状ですむようになる感染症と呼ばれるものがあります。予防接種とは、このしくみを利用したもの。感染症の原因となるウイルスや細菌から「ワクチン」を作り、それを赤ちゃんの体に接種することで、体の中に人工的に「抗体」を作って、病気に対する免疫をつけます。接種のしかたは、皮下注射やスタンプ、飲み薬など、ワクチンの種類別にいくつかあります。

新型コロナウイルスに対するワクチンは、ウイルスそのものではなく、ウイルスを構成するタンパク質の遺伝情報を投与するというもので、今までの予防接種とはしくみがちょっと違っています。いずれにしても、体に抗体などをつくって病気を予防するという目的は同じです。

赤ちゃんに病気への免疫をつけます

予防接種はどうしても必要なの?

予防接種の対象になる病気の中には、今の日本ではほとんどかかる人がいなくなったものもあります。だからといって「予防接種はいらない?」と思うのは誤解。少ないと言ってもゼロではありませんし、感染力が強いため、予防接種をやめればまた流行するかもしれません。実際に近年、風しんの流行が話題になり、定期予防接種の対象外だった40-50代の男性に風しんワクチンが推奨されています。予防接種にはわが子の健康を守るだけでなく、みんなが接種することによって、その病気が流行するのを防ぐ効果もあるのです。

受けるかどうかは親が決めます

昔の日本では予防接種といえば、全員が義務的に受けなければならないものでした。でも、1994年の予防接種法の改正で、すべての予防接種は「受けなければならない」義務接種から、「受けるように努力してほしい」という勧奨接種に変わりました。ですから今は、予防接種を受けるか受けないかは、最終的には親が判断することになっています。

任意だからこそ正しい知識が大切

ただ、「義務」ではなくなったからといって、「赤ちゃんを怖い病気から守る」という予防接種の意味は、何ひとつ変わりません。最近は、予防接種の後に一時的に熱が出たり、皮膚が腫れたりする「副反応」ばかりを気にするママやパパもいるようですが、実際に重い病気にかかるリスクを思えば、できるだけ受けておいたほうが安心です。それぞれの病気について知り、赤ちゃんの月齢や体調を考えて、かかりつけの医師と相談しながら、接種時期を決めていきましょう。

予防接種にはどんな種類がある?

赤ちゃんの予防接種は、それぞれ親たちがしっかり判断して受けさせることが大事です。ここでは、できるだけ受けさせたい主な予防接種の種類を見ていきましょう。

*この情報は2021年8月現在のものです。予防接種の情報は随時更新されていきますので、最新の詳細は各自治体にお問い合わせください。

主に定期接種と任意接種の2種類と、場合によって臨時接種があります

予防接種には平常時は「定期接種」と「任意接種」の2種類があります。新型コロナウイルス感染症の流行のような非常時の場合、「臨時接種」が追加されます。

「定期接種」とは、国が「一定の年齢になったら、受けるように務めなければいけない」とし、感染力が強く、予防の必要性が高いものです。決められた期間内なら、基本的に無料で受けられますが、自治体によっては有料のところもあります。万が一、重い副反応が出てしまった場合も、予防接種と副反応の因果関係が認められれば国から保障が受けられます。

「任意接種」は、希望者が個別に病院へ行って受けるもの。基本的には費用は自己負担になりますが、自治体によっては助成金が出るところもあります。任意とはいえ赤ちゃんがその病気にかかって重症になるリスクを考えると、受けておいた方が安心で、小児科学会などでも接種を推奨しています。

「臨時接種」は、まさにみなさん自身が2021年に体験した新型コロナウイルスワクチンのように、世界的、全国的な感染症が流行した場合に臨時で接種するワクチンのこと。そのときの流行状況やワクチンの製造状況などによって、対象や受け方、費用などはケースバイケース。また、新型コロナウイルスワクチンについては、2021年8月現在ではまだ赤ちゃんへの接種は日本では始まっていません。今後どのような方針になるかわからないため、常に最新の正しい情報に接することを心がけたいですね。

ワクチンのタイプによる種類

予防接種には、ワクチンの性質によって「生ワクチン」と「不活化ワクチン」、新型コロナウイルスワクチンで耳にするようになった「メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチン」などがあります。

生ワクチンは生きた細菌やウィルスの毒素を弱めたワクチンで、その病気に軽くかかったのと同様の状態にして免疫をつけます。注射生ワクチン接種後に次の注射生ワクチンを接種するまで4週間以上間隔をあけます。

不活化ワクチンは、細菌やウィルスを殺して免疫成分だけを取り出したワクチンです。不活化ワクチン接種後の接種間隔に制限はありません。

令和2年10月1日からの「異なる種類のワクチンを接種する際の接種間隔のルール」

令和2年10月1日からの「異なる種類のワクチンを接種する際の接種間隔のルール」

「mRNAワクチン」「DNAワクチン」などは、ウイルスそのものではなく、ウイルスを構成するタンパク質の遺伝情報を投与するもので、遺伝情報をもとに体内で抗体がつくられるしくみです。回数、次のワクチンまでの期間などは、ワクチンの種類や状況によって異なります。

赤ちゃんのための定期や任意の予防接種は、現状では「生ワクチン」か「不活化ワクチン」のどちらかです。

受けておきたい予防接種の種類

※下記の情報は2021年8月の情報です。そのときの状況で新たなワクチンが追加されたり、任意接種のものが定期接種に変更したり、その逆もあるなど、種類は状況によって変更されることが多いため、かかりつけの医師に相談したり、自治体や厚生労働省のホームページなどで最新の情報を確認してください。

1.定期接種

定期接種には、以下の10種があります。それぞれ決められた接種の時期が近づくと、自治体からお知らせが送られてきますが、接種スケジュールのタイミングなどで個別に受けたい場合は、かかりつけの小児科に相談してください。

予防接種の名称 標準的な接種期間 注意事項など
ワクチンの種類と接種方法
Hib(インフルエンザ菌b型) 初回接種:生後2ヶ月~7ヶ月未満
4~8週間の間隔で3回
追加接種:3回目接種後7ヶ月~13ヶ月あけて1回
初回を受ける時期によって、接種の回数が変わってきます。
生後2~7ヶ月未満:初回接種3回、追加接種1回
生後7ヶ月~1歳未満:初回接種2回、追加接種1回
1~5歳未満:1回で接種は終了
不活化ワクチン/皮下注射
肺炎球菌 初回接種:生後2ヶ月~7ヶ月未満27日以上の間隔で3回
追加接種:3回目接種終了後60日以上の間隔をあけて、生後12ヶ月~15ヶ月で1回
初回を受ける時期によって、接種の回数が変わってきます。
生後2ヶ月~7ヶ月未満:初回接種3回、追加接種1回
生後7ヶ月~1歳未満:初回接種2回、追加接種1回
1~2歳未満:2回
2~5才未満:1回
不活化ワクチン/皮下注射
B型肝炎 生後2ヶ月以降4週間隔で2回
その20~24週間後に1回
2016年10月1日から、2016年4月1日以降に生まれた0歳児対象の定期接種となりました。母子感染予防のためのB型肝炎ワクチン接種を含む治療を受けた方については、定期接種ではなく、健康保険対象となります。
不活化ワクチン/皮下注射
ロタウイルス 初回は生後6週から接種可能で、初回接種は出生14週6日後までに行う。
※使用するワクチンによって接種回数が違います。
2020年8月1日以降に生まれた赤ちゃんを対象に定期接種となりました。
「ロタリックス®」「ロタテック®」の2種類のワクチンがあります。
「ロタリックス®」:接種回数は2回 (生後24週未満までに完了)
「ロタテック®」:接種回数は3回 (生後32週未満までに完了)
生ワクチン/経口投与
4種混合(DTP+IPV)
<D=ジフテリア・T=百日せき・P=破傷風・IPV=ポリオ>
I期 初回接種:生後3ヶ月~12ヶ月
20~56日の間隔で3回
I期 追加接種:I期3回接種終了後、生後12ヶ月~18ヶ月の間に1回
II期 11歳でDT(ジフテリア・破傷風)ワクチンを1回接種
「DPT-IPV4回接種」または、「DPT4回接種+IPV4回接種」から選択可能。原則として同一種類のワクチンを必要回数接種します。
任意接種にはなりますが,5-7歳の間に三種混合(DPT)1回接種が勧められます(小学校入学前の1年間)。
不活化ワクチン/皮下注射
BCG(結核) 生後5ヶ月~8ヶ月に1回 乳幼児は結核に対する抵抗力が弱く、重い後遺症を残す可能性があるので早めの接種が必要です。
生ワクチン/スタンプ方式
麻しん(はしか)・風しん混合(MR) I期:1歳~2歳の間に1回
II期:5~7歳の間に1回(小学校入学前の1年間)
1~2歳にかかる可能性が高いので1歳になったらできるだけ早く受けましょう。
生ワクチン/皮下注射
水痘(水ぼうそう) 初回接種:生後12ヶ月~15ヶ月
追加接種:1回目接種後6ヶ月~12ヶ月まで経過した時期
伝染力がとても高い病気です。2014年10月1日から定期接種になりました。
生ワクチン/皮下注射
日本脳炎 I期初回:3歳に2回
I期追加:4歳に1回
II期:9歳に1回
※2021年度に限り、ワクチン供給量が減少するため、I期追加が5歳、II期が10歳となります。
不活化ワクチン/皮下注射
ヒトパピローマウイルス(子宮頸がん) 中学1年生となる年度に接種します。2種類のワクチンどちらかを受けることになります。
サーバリックス®については、1回目の接種を行った1ヶ月後に2回目を、6ヶ月後に3回目の接種を行います。
ガーダシル®については、1回目の接種を行った2ヶ月後に2回目を、6ヶ月後に3回目の接種を行います。
2013年6月より、積極的接種推奨が中止されていますが、さまざまな対策が講じられたことを受けて、専門家は積極的な接種を推奨しています。
不活化ワクチン

2.任意接種

両親の希望により、必要に応じて接種をするもの。自治体からのお知らせはなく、個別に病院へ行って受けます。下記以外にもあるので、かかりつけの小児科に相談してください。

予防接種の名称 標準的な接種期間 注意事項など
ワクチンの種類と接種方法
おたふくかぜ 1歳以降に1回、5歳~7歳未満で1回 4歳以降にかかる可能性の高い病気です。まれに髄膜炎や難聴など、重い後遺症が残る場合もあります。
生ワクチン/皮下注射
インフルエンザ 生後6ヶ月以降 毎年 秋~冬に2-4週間あけて2回(13歳以上は1回) 乳幼児がインフルエンザかかると重症化しやすいうえ、脳症などの合併症を起こす可能性もあります。
不活化ワクチン/皮下注射

update : 2022.01.26

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