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母子健康手帳の内容は?どんなことが書いてあるの?

母子健康手帳の内容は?どんなことが書いてあるの?

妊婦さんになるともらえて、出産後も便利な母子健康手帳(通称:母子手帳)。手にすることで「ママになるんだ!」という自覚も出てきます。産院で赤ちゃんがしっかり形になって見えてきたら、市区町村の役所へ必ずもらいに行きましょう!母子健康手帳にはどんなことが書いてあるのか見ていきましょう。

監修者プロフィール

井上裕子先生
井上レディースクリニック 理事長・院長

医学博士。日本産科婦人科学会専門医、日本乳癌学会認定医、日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医、母体保護法指定医師。

診療のかたわら、思春期から更年期の様々な女性に対しての講演活動、また、雑誌などに、出演、監修、執筆するなど多方面で活躍。

著書に「産婦人科の診療室から」(小学館)、「元気になるこころとからだ」(池田書店)、「赤ちゃんとお母さんのための妊娠中のごはん」(池田書店)など。

現在は、リボーンレディースクリニック 理事長、NPO法人マザーシップ 代表を兼務。

母子健康手帳とは?

名前は聞いたことがあっても、妊娠するまでは具体的にどんなものなのかまではわかりませんよね。では、さっそく見ていきましょう。

母子健康手帳の中身

一般的に「母子手帳」と呼ばれることが多いですが、正式には「母子健康手帳」と言い、市区町村ごとに交付します。内容は、妊娠や出産の経過から、小学校入学前までの子どもの健康状態、発育、発達、予防接種などの記録といった全国的に共通している部分と、妊娠中の注意点など、市区町村の任意で書かれる部分とがあります。
そのため多少の違いはあるかもしれませんが、だいたい次のような内容が書かれています。

  • 妊婦の健康状態・妊娠中の経過の記録
  • 出産の状態と産後の経過
  • 乳幼児の発育等の記録(発育曲線)
  • 予防接種や歯科検診の記録
  • 健やかな妊娠・出産・育児のためのアドバイス
  • 妊娠期の注意
  • 妊娠中と産後の食事
  • 新生児についての注意
  • 育児のしおり
  • 母子保健に関する制度紹介など
  • 別冊(妊婦健診・予防接種の受診券など)
  • 実際の内容を厚生労働省HPで見ることができます。

母子健康手帳のもらい方

自分の住んでいる市区町村の役所で「妊娠届」に必要事項を記入して提出すれば、その場でもらうことができます。
ただ、市区町村によっては、産院の証明書などが必要な場合もあるので、何が必要なのかは各市区町村の役所に問い合わせて確認しましょう。
また、妊婦さん本人ではなく代理の人がもらうこともできますが、身分証明書や印鑑などが必要になってくることもあるので、この場合も各市区町村へ事前に確認してください。

  • 新型コロナウイルス感染症の感染防止対策により、役所の来場の密を避けるために、予約制の自治体もあります。

いつごろもらえばいいの?

健診で胎児心拍が確認できて、頭殿長(CRLと呼ばれる、赤ちゃんの頭らからおしりまでの長さ)が2cmくらいになったと診断されたころがよいでしょう。

  • 目安はだいたい妊娠10週以降です。

多胎妊娠の場合は?

母子健康手帳は子ども一人につき一冊なので、双子の場合は二冊もらえます。わかった時点で役所に申し出ましょう!

  • 双子の場合、一卵性で7~8週目、二卵性で早くて5~6週目に超音波検査でわかります。

妊娠中に移転する場合

表紙やデザイン、妊娠中の過ごし方などが書かれたページなどは地域によって違いがありますが、基本的な内容は全国共通なので移転先や里帰り先でも問題なく使えます。
ただし海外に移転する場合は、残念ながら母子健康手帳がある国は少ないようです。移転する国の大使館などで確認してみるとよいでしょう。
また、自治体によっては日本に住む外国人の妊婦さんのために、英語をはじめとした外国語の母子健康手帳を交付している場合もあります。日本人の妊婦さんが入手する際には有料になる場合もありますが、移転先の国の言語のものがあれば、入手して記入しておくと便利。海外でも持参することで、自分の妊娠生活を管理したり、現地の医療機関ともコミュニケーションしたりしやすくなります。外国語の母子健康手帳を自治体が扱っていない場合でも、有料でネットの書店などで購入することもできます。

妊娠中に移転する場合

母子健康手帳の見方

母子健康手帳には健診の様々な記録が書き込まれます。自分と赤ちゃんの状態を正しく把握するためにもちゃんと内容を知っておきたいですね!

母子健康手帳の見方は?

妊娠中の記録は、妊婦さん自身が自分で記入するページと、健診に行った時に病院が記入してもらうページがあります。産院に記入してもらう箇所は、用語や記号の意味を理解していないと、どんなことが記録されているのか理解できませんね。
具体的に言葉の意味とチェックポイントを見ていきましょう。

<見本>

母子健康手帳の見方は?

項目 検査(記入)する時期 内容
妊娠週数 毎回 健診時の妊娠週数
子宮低長 妊娠中期以降毎回 恥骨の上から子宮の最も高い位置(子宮底)までの長さ。
妊娠20週前後から、赤ちゃんの発育と羊水量を調べるために測ります。
妊娠4ヵ月で12cm、5ヵ月で15cm、6ヵ月以降は妊娠の月数×3+3cmがおおよその目安
腹囲 妊娠中期以降毎回 お腹の周囲の長さ。おへその位置で測ります。
これで子宮の増大をチェックします。
最近は超音波で胎児、羊水量などを確認するので、省いている施設も多いです。
体重 毎回 体重の増加は1週間に300g以内に抑えるようにしましょう。急激に増加すると妊娠高血圧症候群や難産の原因にもなりかねないので注意が必要です。
血圧 毎回 安静時に測定します。最高血圧が140mmHg以上、最低血圧が90mmHg以上の高血圧が続く場合は、妊娠高血圧症候群を発症している可能性があります。
浮腫 毎回 むくみのことを言います。足のすねを指で押し、へこんだ部分の戻りが悪いとむくんでいる証拠。その時は「+」になります。 「+」が続くと以前は、妊娠高血圧症候群の症状の一つとされていましたが、現在では無関係とされており、単なる浮腫なら心配はいりません。ただし、妊娠28週未満で浮腫が発生した妊婦の3分の1は、後に高血圧や蛋白尿を合併すると言われているので、塩分や同じ姿勢で長時間いることを控えるなどの注意は必要です。
尿蛋白 毎回 尿にタンパク質が出ているかを調べる検査です。タンパク質が検出されない時は「−」、問題ない量のタンパク質が検出された時は「±」、検出された時は「+」、より多く検出された時は「++」と表記されます。一度検出されても、次の検査で「−」に戻ればあまり心配はいりません。ただし、「+」以上が連続する場合は、妊娠高血圧症候群の可能性があります。
尿糖 毎回 尿に糖が出ていないかを調べる検査です。尿から糖が検出されない時は「−」、検出された時は「+」、より多く検出された時は「++」と表記されます。
連続して糖が検出されると妊娠糖尿病の可能性があるので、血糖値を調べることになります。
その他の検査
(血液検査、血糖、超音波など)
妊娠中に2~3回(初期ともう1・2回) 超音波検査による赤ちゃんの胎位(さかごや頭位など)や心音などを記入しますが、特に異常がなければ空欄のままの時も。また、「含ヘモグロビン」とは、貧血かどうかを調べる検査のことを言います。ヘモグロビン(血色素)の濃度が11g/dlの時は貧血と診断されます。
特記指示事項
 (安静・休業などの指示や切 早産等の産科疾患や合併症など )
妊婦さんに処方した薬や治療内容を記入します。また、「体重増加注意」などの注意事項についても記入されます。

母子健康手帳の活用術

せっかく母子健康手帳を手に入れても、持っているだけでは意味がありませんよね。母子健康手帳を有効に活用するためのポイントを見ていきましょう。

常に携帯しましょう

妊娠中は、定期健診やその他検査、両親学級・母親学級、歯科治療の時など常に携帯して、そのつど医師や助産師などに必要事項を記入してもらいましょう。
そして、外出の際にその母子健康手帳を持参していれば、妊娠の経過が詳しく書かれているので、急に産気づくなどのアクシデントが起こっても応急処置に必要な情報がすぐにわかり、適切な対応をしてもらうことができます。

常に携帯しましょう

公的サービスを利用しましょう

母子健康手帳を受け取ると、妊婦のための公的サービスを受けることができます。 サービスの内容は市区町村によって違いがありますが、母子健康手帳と一緒に、健診費を補助される妊婦健康診査受診票(平均14回分)や、妊婦訪問指導のお知らせなど、行政のサービスを受ける際に必要な書類を一緒に渡されることが多いようです。
また、市区町村主催の母親学級や両親学級などもこのサービスの一環であることが多いです。さらに、離乳食講習会など産後に参加できるものもあるので、積極的に有効活用していきたいですね。

大切に保管しましょう

母子健康手帳は、妊娠中、出産の経過だけではなく、生まれた後の赤ちゃんの定期健診や予防接種なども記録する大切なものです。
また、産休にはいる際、母子健康手帳のコピーを提出しなければならなかったり、子どもが幼稚園や小学校へ入学する時に健康診断の参考にする場合もあるようです。万が一紛失してしまった場合は、役所に申し出れば再交付をしてくれますが、今まで記入した記録を記入し直さなければならないので、失くさないように大切に保管しましょう。
妊娠中から子どもが学校に入るころまで活躍してくれる母子健康手帳は、かけがえのない成長記録。長期間使用するので、お好みで市販のカバーなどで保護するなど工夫して、子どもが大きくなったときに本人に見せてあげるのも楽しい思い出づくりにもなりますね。

update : 2022.05.16

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