トイレトレーニングを始める目安や準備したいものは?
みなさんはいつ頃、お子さまのトイレトレーニング(トイトレ)を始めようと思っていますか。2歳になったら? 次の夏が来たら? でも月齢や季節よりももっと大事なことがあるのです。トイトレを始める前に、ママやパパに知っておいてもらいたい大切なトイレトレーニングの三原則や、準備したいもの、心がけなどについてご紹介します。
監修者プロフィール
池田裕一先生
昭和大学藤が丘病院小児科診療科長
1995年昭和大学医学部卒業後、同大学藤が丘病院小児科に入局。
1998年~神奈川県立こども医療センター感染免疫腎内科、昭和大学医学部小児科講師、カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF ,Children Hospital Oakland,CA, USA)客員研究員等を経て、現在は昭和大学医学部小児科学講座教授、昭和大学藤が丘病院小児科診療科長、昭和大学横浜市北部病院こどもセンター長(小児内科診療科長兼務)。
また、「尿トラブル外来」を担当、HPこどものおねしょとおもらし総合相談室「おしっこトラブルどっとこむ」や講演、執筆、TV出演(NHK)等、子どもの排尿の問題のほか、こどものすいみん総合相談室「すいみんトラブルどっとこむ」で子どもの睡眠問題に取り組んでいます。
トイレトレーニングの三原則
子どもの成長は一人ひとり個性がありますね。トイレトレーニングを始める時期や進め方も、子どもそれぞれ。また、早く始めれば早くおむつを卒業できるわけではないのです。絶対という正解がないのもトイレトレーニング。それでも、ママやパパにこれだけは知っておいてほしいということがあります。
1)子どもがトイレトーニングを始める上で十分発育している
「トイレに行こうか?」など、ママやパパからかけられる言葉が理解できたり、「おしっこ」や「うんち」が何であるかわかったり、ズボンやパンツが自分で脱げたり、トイレやおまるまで歩いて行けるなどができないと、トイレトレーニングはスタートできません。さらに、おしっこの間隔が1~2時間程度空くことも大切。まずは、からだや言葉、心の発育が、トイレトレーニングする準備ができているかが何より肝心です。
2)親の都合だけでトレーニングを開始しない
おむつはいずれ誰でもはずれていくものです。それを「もう2歳になったから」とか、「おむつをしているのが恥ずかしい」、「おむつ代がかかるから」など、親の都合でスタートしてもうまくいきません。大事なのは1)のように子どもの発育状態なのです。
3)無理強いしたり、失敗したときにしかったりしない。うまくできたらたくさんほめる
そもそもおむつは、子どもが好きでしているものではありませんね。大人の空間を汚さないために、大人の都合でさせているものです。だから、無理強いしても実は逆効果。トイレトーニングを無理強いしたり、失敗したことをたびたびしかったりすると、トイレトーニングの完了が遅れる原因になるからです。それだけでなく、おむつがとれた後も尿漏れや便漏れを起したり、トイレが近くなる原因となる場合もあるのです。子どものペースに合わせるのがトイレトレーニングでは大事なことなのです。
十分に成長すればいつかははずれるものなので、ママやパパが焦っておむつをはずそうとしないであげてください。トレーニング中におもらしをしてしまったり、上手にトイレやおまるでできなくても、決してしからないであげてください。
そのかわり、上手にできたら、たくさんほめてあげましょう。ほめられることが、次のやる気につながり、スムーズなトイレトレーニングへの近道なのです。
「おしっこしたい」と「がまん!」のしくみ
赤ちゃんはなぜおむつが必要で、成長するとなぜおむつがなくてもトイレまで我慢できるようになるのでしょう。それにはからだの発達とおしっこが出るしくみが関係しています。
おしっこは腎臓でつくられ、尿管を通って膀胱にためられます。そして、いっぱいになると膀胱がきゅっと縮まっておしっこが出ます。おしっこを膀胱に貯めたり出したりするのは意識されずに行われる「反射」です。一方で、膀胱がいっぱいになってもおしっこが出ないように制御する機能が大脳にはあり、大人が尿意を感じてもおしっこをがまんできるのはこの大脳の機能が備わっているからなのです。
おしっこをがまんするメカニズムは、無意識の反射と大脳の制御が組み合わされた意外と複雑なしくみ。だから、膀胱の機能や、脳機能がある程度発達するまでは、とっても難しいことなんです。
だから、トイレトレーニングは早く始めても早くおむつを卒業できるとは限らなかったり、親が無理強いしてはいけないのですね。
トイレトレーニングを始める目安
「トイレトレーニングの三原則」で、最も大事なことは「子どもの十分な発育」でした。ではどのような状態まで発育していればよいか見ていきましょう。
身体的な発育
・ひとりで歩けるようになる (ドアを開けられる) 。
・定期的にうんちをしている。
・おしっこの間隔が1~2時間くらいあいている(おむつが乾いている状態が1~2時間ある)。
社会・精神的な発育
・おまるやトイレに関心を示す。
・トレーニングパンツをいやがらない。
・ズボンやスカート、パンツを自分ではいたり脱いだりできる。
・「いや」という気持ちを言葉や態度で表すことができる。
・ママやパパについてトイレに入ることができる。
・ママやパパのやっていることを真似できる。
・ママやパパの言うことがだいたい理解できる。
・「おしっこ(チー、チッチなど)」や「うんち(ウーン、ウンウンなど)」など、排泄したことを言葉や表情で自分から伝えることができる。
トイレトレーニングで準備するもの
トイレトレーニングをスタートするために、また、スムーズに進めるために準備しておきたいのは以下のものです。
・おまる
・小児用の補助便座、補助便座の場合は踏み台も
・トレーニング用パンツ
・パンツの脱ぎ着がしやすい、ゆったりした服装
・トイレトレーニングごっこをして、やる気を起こすための人形など
・トイレを楽しい場所にデコレーションするもの
・達成感のごほうびになるもの(シールなど)
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トイレトレーニングで心がけたいこと
トイレトレーニングはちょっとしたポイントで、うまく進んだり進まなかったりすることがあります。大切な2つのポイントをおさえておきましょう。
毎回同じところで、同じようにおしっこやうんちをさせる
「おしっこやうんちは決まった場所でするもの」と子どもが理解するためには、一貫性が必要です。トイレで補助便座を使う場合は大丈夫ですが、おまるを使う場合、リビングの隅など、いつも同じ固定位置を決めて、そこ以外では座らせないようにしましょう。
上手にできたら、とにかく「ほめる」!
困難に立ち向かうときには達成感があるとやる気が出ますよね。それは子どもも同じで、特に大好きなママやパパにほめてもらいたいのです。達成感をもたせて、次もやる気にさせるために、上手にトイレやおまるで座れたり、おしっこしたいことをちゃんと伝えられたら、「ママやパパもうれしい」という気持ちを、笑顔で、言葉でほめて伝えてあげてください。ご褒美(シールなど)を与えるのも効果的です。
監修/昭和大学藤が丘病院小児科診療科長 池田裕一先生
update : 2022.03.24
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