赤ちゃんのうんちの色で成長と健康チェック!
赤ちゃんのうんちは、おしっこよりもいっそう成長のようすや健康状態が反映されます。新生児の頃のゆるゆるうんちからだんだんとうんちが固まってきますが、離乳食完了前までの赤ちゃんのうんちは大人とずいぶん違います。「コレって大丈夫!?」とあわてないように赤ちゃんのうんちの状態や色でわかる健康状態のことを知っておきましょう。
監修者プロフィール
池田裕一先生
昭和大学藤が丘病院小児科診療科長
1995年昭和大学医学部卒業後、同大学藤が丘病院小児科に入局。
1998年~神奈川県立こども医療センター感染免疫腎内科、昭和大学医学部小児科講師、カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF ,Children Hospital Oakland,CA, USA)客員研究員等を経て、現在は昭和大学医学部小児科学講座教授、昭和大学藤が丘病院小児科診療科長、昭和大学横浜市北部病院こどもセンター長(小児内科診療科長兼務)。
また、「尿トラブル外来」を担当、HPこどものおねしょとおもらし総合相談室「おしっこトラブルどっとこむ」や講演、執筆、TV出演(NHK)等、子どもの排尿の問題のほか、こどものすいみん総合相談室「すいみんトラブルどっとこむ」で子どもの睡眠問題に取り組んでいます。
うんちの状態
うんちは、栄養として利用されなかった食べ物のカスや腸管の老廃物です。つまり何を食べたかによって状態が変わりやすいものです。ふだんのうんちの状態を毎日チェックし、気になるところがあれば、食べた物や量などをメモしておきましょう。
成長とともにうんちの状態が変わります
新生児の頃の赤ちゃんの栄養は、母乳やミルクなどの液体だけなので、うんちはいつもだいたい同じ。だから小さいうちは、液体状のゆるゆるのうんちのことが多いのでしっかりキャッチする紙おむつがとっても便利です。
この頃は、1日に10回近くうんちをする赤ちゃんも珍しくありません。
生後5ヶ月頃から離乳食が始まると、食べ物が液体から徐々に固さのあるものへと変わっていきます。それにともない、うんちもドロドロ状が多くなっていき、卒乳の頃には大人のように形のあるうんちになってきます。
赤ちゃんの月齢別おしっこ・うんちの回数の目安
月齢 | おしっこ | うんち | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
1日の尿量(ml/日) | 1回の尿量(ml/回) | 1日のおしっこの回数 | 1日の便量(g/日) | 1日の便回数(回/日) | |||
母乳の赤ちゃん | ミルクの赤ちゃん | 母乳の赤ちゃん | ミルクの赤ちゃん | ||||
出生時 | 100〜200ml | 5〜10ml | 15〜20回 | 20〜30g | 40〜60g | 7〜10回 | |
1ヶ月 | 250〜400ml | 15〜30ml | 60〜80g | 3〜5回 | 2〜3回 | ||
3ヶ月 | 60〜100g | 1〜2回 | |||||
6ヶ月 | 400〜500ml | 25〜50ml | 10〜16回 | ||||
9ヶ月 | |||||||
12ヶ月 | |||||||
18ヶ月(1歳6ヶ月) | 500〜600ml | 40〜75ml | 8〜12回 | ||||
24ヶ月(満2歳) |
*表の区切りや数値は目安です。実際には個人差があります。
*参考:(一社)日本衛生材料工業連合会 許可番号21-0026
うんちを出す力の発達
生まれたての赤ちゃんは、おなかに力を入れてうんちを出す力が弱くやうんちを出す機能が未熟なため、腸の反射的な動きでうんちが出てきます。また、新生児のうんちは軟らかいので力を入れなくても出てきます。
生後3ヵ月くらいになると、消化吸収力が発達し、離乳食が本格的に始まる前でも徐々にうんちが固くなってきます。この頃には首がすわったり、寝返りを打ちはじめたり、体全体や腸の周りの筋肉の力でうんちを出せるようになります。
うんちの色
生まれてから離乳食完了前頃までの赤ちゃんのうんちの色は、ちょっと大人と違っています。また消化能力が未発達のため、食べ物の色がそのまま出てしまうこともあります。どんな色なら安心か見ていきましょう!
鮮やかな黄色
健康な証拠です!
離乳食が始まる前の赤ちゃんのうんちは、胆汁の色がそのままうんちに残り、鮮やかな黄色をしています。初めて見たママはちょっとビックリするかもしれませんが、これは健康な証拠です。
緑色
健康な証拠です!
上記の鮮やかな黄色が濃くなったように、緑色をおびることがあります。これはうんちが酸性になり黄色い胆汁が酸化されて緑色に変化したもの。特に母乳の場合は、含まれる乳糖が乳酸菌の生成を促してうんちが酸性になるので、緑色になりやすいのです。同時に甘酸っぱいような臭いがするのが特徴です。乳酸菌は腸の働きを促すため、うんちが酸性なのはよいことなのです。
茶系の色
健康な証拠です!
みなさんのうんちも茶系の色が多いですよね。離乳食が始まると、上記の黄色や緑色から茶系の色に変化していきます。
赤色
赤い色の食べ物を食べたときなら大丈夫。血が混ざっているときは要注意
消化機能が未熟な赤ちゃんは、食べたものがそのまま出てくることがよくあります。ニンジン、トマト、スイカ等の果汁によって、赤いうんちが出ることもよくありますから、異常ではないので大丈夫。
ただし、血の混じった黒いうんちは、消化管からの出血が原因かもしれません。突然吐いたり、おなかが痛そうに強く泣いていちごジャムのような赤いうんちをしたときは腸重積症の疑いもあります。このような色のうんちが出た時は、使用済みの紙おむつを持参して、早めに受診しましょう。
黒色
血が混じった黒いうんちは、早めにお医者さんへ!
赤いうんちのところでも述べましたが、血の混じった黒いうんちは、消化管の出血が原因かもしれません。肛門の近くでの出血の場合は赤く、胃など腸の奥での出血の場合は、血とうんちが奥で混ざるため黒くなります。早めに専門医に相談しましょう。
黒くても安心な赤ちゃんの胎便
生まれたての赤ちゃんが出すうんちは「胎便」と呼ばれ、まだママのおなかにいたときに腸管内にたまったカスが出てきます。色は黒くてどろっとしていますが、産院から退院するころには黄色や緑の便にガラッと変わります。
白色・灰白色・クリーム色
白いブツブツや粘液が混ざっているだけなら大丈夫。うんち全体が白いときは早めに小児科へ!
母乳やミルクを飲んでいる頃に見られる、うんちの中の白いブツブツは、母乳やミルクに含まれる脂肪分が他の成分と反応してできた固まりで、心配なものではありません。実はこの固まりは石けんと同じ成分なのです。腸管からの粘液も混じることがあり、異常ではありません。うんち全体が灰白色でそれが長く続く場合は、胆汁が分泌していない証拠(胆汁が混ざるとうんちは黄色くなります)。この場合は胆道閉鎖症や肝炎などの病気の可能性が考えられます。また、冬の風邪のときウィルスによってはうんちが白色になることがあります。これらの色のうんちが出た場合は、早めに小児科を受診しましょう。
監修/昭和大学藤が丘病院小児科診療科長 池田裕一先生
画像提供/故・巷野悟郎先生
update : 2022.01.26
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