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分娩とは?かかる時間は?種類、段階についても

10カ月のマタニティライフを終えると、いよいよ出産です。妊娠後期になると、赤ちゃんに早く会いたい気持ちでいっぱいではありますが、分娩時の不安が大きくなる人も多いと思います。ここでは、分娩とはなにか? その種類やかかる時間、費用、分娩第一期から三期までの症状や処置など、分娩についての知識をご紹介します。きちんとした知識を身につけておくと、万が一の事態になっても焦らず落ち着いて対処することができます。分娩時の流れを予習してイメージトレーニングをしておくのもいいですね。赤ちゃんと一緒に、女性にとって奇跡のような素晴らしいお産の瞬間を楽しんでくださいね。

監修者プロフィール

浅川恭行先生
浅川産婦人科

浅川産婦人科院長。婦人科の分野では特に内視鏡を専門としている。これまで開腹手術により行われてきた子宮筋腫、子宮内膜症、卵巣腫瘍などの婦人科系の手術を、身体への負担が少ない内視鏡によって数多く手がけている。

分娩とは? 分娩の方法にはどんな種類があるの?

分娩とは、赤ちゃんが母体から完全に排出・娩出されて妊娠を終了することです。出産予定日が近づくと、おしるしと呼ばれるおりものが出たり、陣痛が来たりと赤ちゃんが産まれる兆候が現れます。陣痛が来たらまずは病院に連絡し指示を仰ぎましょう。分娩全体に要する時間は平均すると初産で約14時間、経産で約8時間と言われています。しかしながらこれはあくまでも平均値。あっという間に生まれたという人も、何日もかかったという人もいて、お産はまさに十人十色です。分娩方法には、経腟分娩(自然分娩)、無痛分娩(和痛分娩)、帝王切開などいくつかの種類があります。

経腟分娩(自然分娩)

胎児が産道を通り、腟から産まれること。医療的な介入を取り入れず行うため、自然分娩とも呼ぶ。陣痛促進剤やバルーンを使用した場合でも、腟から産まれたのであれば、経腟分娩となる。

無痛分娩(和痛分娩)

経腟分娩時の陣痛による苦痛を軽減させる方法として、一般に無痛分娩もしくは和痛分娩がある。無痛、和痛分娩には、局所麻酔、鎮痛剤、ガス麻酔、区域麻酔などさまざまな方法がある。麻酔をすれば、分娩出産中の痛みはある程度取り除くことができるとされている。

帝王切開

児頭骨盤不均衡、前置胎盤、切迫子宮破裂、重症妊娠高血圧症候群、常位胎盤早期剥離、分娩停止、分娩遷延の場合などに適応される。また、胎児機能不全、臍帯脱出、多胎、子宮内胎児発育遅延、早産なども適応となることがある。恥骨上部を約10センチ切開し、赤ちゃんを取り出す手術です。

経腟分娩の流れ・経過は?

お産は大きく3つの期間に分けることができます。第一期は陣痛の期間で、子宮が完全に開大するまで、初期、活動期、移行期と三段階に分かれます。第二期は赤ちゃんが誕生する分娩期、第3期に胎盤が排出されます。

分娩第一期!どんな状態?

分娩開始から子宮口全開大までの期間で、分娩時間を左右するのはこの時期です。分娩は刻一刻と状態が変化し、個人差がとてもあります。10時間程度で子宮口が全開大に至る場合もあれば、明らかな異常がなくても30時間近くかかる場合もあります。また、医師は児頭骨盤不均衡の有無、胎勢、陣痛の強さなどを考慮し、分娩経過に異常があるかどうかを総合的に判断します。第一期初期の一般的な兆候は、生理痛のような痛み、腰痛、消化不良、下痢などです。不安や恐怖などで気分が安定しなくなる人もいれば、リラックスして口数が多くなる人もいます。活動期は陣痛が進行し、子宮収縮が強く長くなり、腰痛、足のだるさ、疲労感の増加などの症状が現れます。気分が落ち着かなくなる人もいれば、集中力が高まる人も。活動後期には2~3分の感覚で陣痛が60~90秒続きます。腰や会陰(えいん)に強い圧迫感を覚え、直腸が圧迫されます。吐き気がしたり、震えが止まらなくなることも。体力や気力の限界を感じて心細くなる人もいます。

分娩第二期!どんな状態?

子宮口全開大から胎児娩出までの期間。子宮口が全開になると、赤ちゃんの頭が産道に向かって進みはじめます。第二期になると、ほとんどの産婦さんがいきみたい衝動にかられます。直腸が圧迫され、収縮のたびに子宮が盛り上がります。いきみの段階にはだいたい30分~1時間かかりますが、10分で終わることもあれば、1~2時間あるいはそれ以上かかることもあります。持てる力のすべてを出し切るときです。状況により、この段階で会陰切開が行われます。

分娩第三期!どんな状態?

胎児娩出から胎盤娩出までの期間。赤ちゃんが生まれると子宮が縮小し、後陣痛と呼ばれる5分程度での弱い陣痛があります。胎盤が剥離し、おおよそ20~30分以内に胎盤が出ます。胎盤が出た後は、弛緩出血などの産後出血が生じやすいので注意が必要な時期です。

分娩ってどれくらい時間がかかるの?

分娩の経過は個人差があるので、教科書通りというわけにはいきません。最初に弱い陣痛が定期的に訪れ、予想通りのペースで進行しながら赤ちゃんとご対面!ということはほとんどないのです。また、初産婦と経産婦でも差があります。一般的な目安の時間はありますが、参考程度にしてくださいね。

分娩第一期 初産婦/経産婦=10~12時間/4~6時間
分娩第二期 初産婦/経産婦=1.5時間/0.5~1時間
分娩第三期 初産婦/経産婦=15~30分/10~20
合計 初産婦/経産婦=12~15時間/5~8時間

分娩の費用は?いくらぐらいかかるの?

分娩費用とは、分娩介助や手術にかかる費用のことです。これは一律の金額ではなく、産院によってさまざま。個人病院か総合病院か、著名私立病院か、個室か大部屋か、分娩方法でも異なります。さらには、朝に分娩を行うのか、夜に行うのか、また平日に行うか土日に行うかでも異なります。ほかに、新生児管理保育料などもかかります。一般的な平均額は50万円前後と言われていますが、大都市圏と地方での差は10万円近く差が出る場合もあるのです。「里帰り出産をした方が安かった!」と後悔したという東京ママも少なくありません。また、豪華な個室や食事がおいしいなど高級ホテルに宿泊しているような気分を味わえる、いわゆる「セレブ病院」と呼ばれる産院では、100万円を超えるところもあります。妊娠・出産は基本的に健康保険が適用されないので、妊婦健診費用も合わせると大きなお金がかかりますが、この費用を補ってくれるのが出産育児一時金。健康保険から42万円が給付されるので、なかにはプラスになった!という人もいるそうです。また、必ずしも病院で産まなければいけないというわけではありません。いつもの慣れた空間で家族に見守られながらの自宅出産を希望する人もいます。ただ、緊急帝王切開や赤ちゃんの蘇生ができないという問題もあるので、助産師さんと相談して進めましょう。

分娩方法別出産費用

自然分娩

麻酔や陣痛促進剤などを使用せずに行った場合、費用は40~80万円が相場。(地域差があります)

帝王切開

医療行為となり、保険が適用される。費用は40~100万円が相場、帝王切開の場合は入院日数が増えるので、その分の室料も加算される。

無痛分娩

医療機関によって差はあるが、分娩費用の金額に麻酔代として10万円前後プラスされる。無痛分娩の場合は子宮口を広げる処置や陣痛促進剤を使うことが多いので、その分の費用もプラスされる。

分娩を誘発するにはどうすればいいの?

子宮の開きが遅い場合など、分娩が順調に進まない場合は陣痛を誘発・促進する場合があります。陣痛誘発は子宮収縮薬により、人工的に周期的な子宮収縮を誘発することで、陣痛促進は陣痛が微弱の場合に増強を図ること。主な方法は、子宮収縮薬を点滴する、ラミナリアと呼ばれる海藻でできた器具を子宮頸管部に注入し広げる、風船のようなバルーンを注入して子宮頸管を広げる、人工破膜などです。海藻?風船?!と、陣痛誘発の方法は不安を感じたり驚いたりすることが多いですが、分娩の経過を見て医師が提案してくれるので、じっくり説明を聞いて臨みましょう。

誘発分娩が適用される場合

  • 正産期と言われる41週6日を過ぎそう、または過ぎた場合

    正産期を過ぎると胎盤機能が低下し、母体と胎児へのリスクが高まるため。

  • 微弱陣痛になった

    陣痛が来て入院したが、陣痛が弱まり分娩が進まない場合。微弱陣痛になると母体と胎児が長時間辛い思いをして体力が奪われてしまうため。

  • 陣痛がはじまる前に破水した

    破水が起きると子宮内感染の可能性があり、胎児に危険が及ぶため、誘発分娩が適用される。

いかがでしたか?分娩の流れや種類はざっくりつかめたでしょうか?陣痛が始まり、入院してから分娩が終わるまでの時間は本当に個人差があるのですが、どのようなお産になっても、母子ともに健康な状態であれば、それは“良いお産”だったと言えます。壮絶な痛みを経験した後に、緊急帝王切開になったという人、無痛分娩を選び、あまり痛みを感じることなく赤ちゃんに出逢えたという人。お母さんの数だけ分娩にはドラマがあります。分娩時の思い出は子育てをするうちに薄れていくと言いますが、分娩は10ヶ月お腹の中で守り育ててきた命をこの世に送り出す、最高の瞬間。できるだけポジティブな時間を過ごすことができたらいいですね。

監修/浅川産婦人科院長 浅川恭行先生

update : 2018.06.28

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