ファミリーサポートについて【育児支援活用シリーズ】

少しずつ膨らんでいくお腹、愛おしい赤ちゃん。いまはまだ、大切な命を無事に産むことだけで頭がいっぱいでしょう。でもちょっとだけ、生まれたあとのことを想像してみてください。もしママが体調を崩して病院に行くとき、赤ちゃんを預けるところはある?美容院に行きたいとき、赤ちゃんはどうする?保育園のお迎えが間に合わないときに代わりに行ってくれる人は?そんなときに頼れる公的サービスが、「ファミリーサポート」です。

取材協力・監修

杉並ファミリーサポートセンター

事業を行っているところ:杉並区が杉並区社会福祉協議会に委託。

利用できる人:杉並区在住でおおむね10歳までの子どもがいる人

利用できる回数:原則、週3回まで

利用料:9時~20時・800円/1時間あたり

早朝・夜間・1,000円/1時間あたり(食事、おやつ代実費)

利用できる日:協力会員との調整による

(年末年始、お盆期間中なども応相談)

"ご近所さん"の力を借りて、子どもを育てる

ファミリーサポートって、何だったっけ。たしか、母子手帳をもらったときに説明されたような…。えーっと、子どもを預かってくれるんだったっけ……?

プレママにとってのファミリーサポート、「ファミサポ」は、まだまだ謎多き存在。言葉だけはなんとなく知っていても、実際には、どういうサポートなのか、どうもボンヤリとしていて曖昧です。

そこで、ファミリーサポート事業の運営を杉並区から委託されている、杉並区社会福祉協議会を直撃!担当の新宅泉さんが答えてくれました。

「ひと言で言うと、ファミリーサポートは区民同士のささえあいです。育児の"手助けがほしい"ママやパパが、"手助けできる"という人の力を借りて、地域の中で一緒に子育てをしていく仕組みなんです」

ファミリーサポートでは、利用するママやパパは「利用会員」、サポートしてくれる人を「協力会員」と呼んでいますが、つまりは、昭和の時代にはよくあった、お隣さんやご近所同士の助け合いに似た制度。

「残業で保育園のお迎えに間に合わない!すみませ~ん」「ちょっと子どもお願いできない?」「今日はうちで預かるわ。ごはんもいっしょに食べさせておくから」……。かつてあった、そんな地域の交流を今の時代に合わせて復活させたのです。

杉並区で、子どもを預かってくれる協力会員は、子育て経験のある50~60代の女性が中心。でも中にはリタイア後の男性や子育て中のママ、保育を勉強中の学生など、いろいろな人がいます。全員が、赤ちゃんや子どものお世話について研修を受けた人たちです。

ファミサポ協力会員は、わが子、わが孫のような気持ちで、子どもと接してくれる。

はじめての「ファミサポ」、赤ちゃんはどんなかな?

杉並区のファミリーサポートは生後0ヶ月から利用できます。ただ新生児のうちには、預けるママも、預かるほうも不安なもの。多くは4、5ヶ月くらいから、2~3時間程度、預かってもらうケースが多いそうです。

「保育園や幼稚園の送迎が一番多いのですが、赤ちゃんが小さいうちは、ママのリフレッシュのためのお預かりが多いですね。ほんのひととき、赤ちゃんから離れて、美容院に行ったり、ショッピングしたりして気分転換。外の空気を吸って帰ってくると、赤ちゃんをあらためて愛しく感じたりして。育児の活力になればいいですね」(新宅さん)

初めて預けられた赤ちゃんの反応はいろいろ。見慣れないおうちで大泣きしてしまう赤ちゃんもいれば、ママが持参したミルクをたっぷり飲んでスヤスヤと眠ってしまう子も。預け先が大家族だったりすると、好奇心でキラキラ目を輝かせる赤ちゃんもいるそう。

初めての利用はママも不安だけれど、お迎えに行って「お帰りなさい」と笑顔で迎えられて、赤ちゃんを抱っこすれば、ホッとひと安心。ところが、それまでごきげんだった赤ちゃんが、ママの顔を見たとたん、急に泣き出してしまうことも。

「どんなにあたたかく見守られていても、最初のうちは、赤ちゃんも赤ちゃんなりに頑張っているんですね。ママのお顔を見たとたん、泣いたりすると、母と子の絆の強さを感じずにはいられません」(新宅さん)

預かり中の様子は「活動報告書」に手書きで記載され、赤ちゃんを引き取るときに、一緒に渡されます。赤ちゃんに飲ませたミルクの量、あそびの様子、ご機嫌、おむつ換えの回数などが、書かれています。

まずは顔合わせから。赤ちゃんとの相性を見ます。

杉並区のファミリーサポートを利用するには、事前に入会手続きが必要です。

入会にあたっては、まず「手引き」を入手して、ファミサポの仕組みを理解してから、予約し入会面接を受けます。そのときにどのようなサポートを希望するのか、また赤ちゃんの様子などを伝えます。

「このときは赤ちゃんもいっしょでかまいません。エーン!と泣いても、気にしないで大丈夫(笑)。赤ちゃんにも個性がありますから、どのくらい元気かな?とか、人見知りが始まっているかな?とか、アレルギーは?など、いろいろ様子を見て、そのうえでマッチする方を探します」(新宅さん)

ママからは、今困っていること、お願いしたいことなどを話します。「残業が多く、保育園のお迎えに間に合わない」「仕事を探しているので、その間、昼間預かってほしい」「たまに、美容院や映画、買い物などでリフレッシュしたい」……。

また、「アレルギーがあるのでペットがいる家は避けたい」「きょうだいみたいなお兄ちゃん、お姉ちゃんのいる家庭がいい」「おじいさんやおばあさんがいる家がいい」など、希望も出せます。

「すべての要望にお答えできるわけではありませんが、できるだけ添えるように、ママと子と、サポートしてくれる人とのマッチングを考えていきます」(新宅さん)

協力会員の候補が見つかったら、次はその自宅へ、ママと赤ちゃんが一緒に訪問します。ママは預ける家の雰囲気や人柄にふれることができるし、預かるほうは赤ちゃんやママの様子を見ることができます。そして、お互いに「だいじょうぶそう」となれば、お見合い成立です。

事前にアポをとって、コーディネーターと入会面接。どんなサポートがほしいのか、子どもの様子を伝える。

ファミリーサポート 利用の流れ

  1. 【入会手続き】

    書類に必要事項を記入。杉並区社会福祉協議会でコーディネーターと入会面接。

  2. 【協力会員の候補選定】

    社会福祉協議会が利用会員に合う協力会員の候補を選定。

  3. 【初顔合わせ】

    協力会員が利用会員の家で赤ちゃんといっしょに顔合わせ。利用したい内容や頻度、時間帯、移動手段などを伝える。

  4. 【援助の依頼】

    両者ともOKなら成立。初回のみ、利用する日を社会福祉協議会に連絡して調整。

  5. 【当日】

    赤ちゃんを預けてから引き取るまでが活動時間。

  6. 【清算】

    活動報告書にサインをし、当事者同士で支払いを完了。

  7. 【2回目以降の利用】

    協力会員と利用会員とで直接交渉・調整する。

利用しているママたちの声、預かっている協力会員の声

実際に利用しているママたちの声を聞いてみましょう。

「ママの先輩として、離乳食やしつけのことも気軽に聞けたりして、すごく心強い存在です」

「協力会員さんは、わが子同様に子育てをしてくれる。親戚以上の家族のような存在です!」

「うちの子は、協力会員さんのおうちが大好き。まるでわが家のようにくつろいでいて、迎えに行ってもなかなか帰りたがらない。親としてはちょっと複雑なときも」

「仕事を続けられるのは、協力会員さんのおかげです。感謝しても感謝しきれません」

一方の協力会員さんも、親との接し方に悩んだり、好き嫌いのある子の献立に悩んだり、家の安全や片付けに神経を遣ったり……と、たいへんなこともあるけれど、いきがいや楽しみにつながっているようです。

「子どもから生き生きしたエネルギーをもらえる」

「子どもの姿に心がいやされる」

「同居のおばあちゃんの笑顔が増えた」

「末娘に、まるできょうだいができたよう」

「地域のジイジになった実感が湧いた」

「預かる日は、夫が早く帰ってくるようになった」

……など、こうした声がたくさん聞かれます。親だけでなく、地域の人たちに愛されて育つ子どもたち。ファミサポの利用で、ママやパパが助かる、というだけでなく、地域の人たちとの新たな、そして豊かな人間関係が生まれているのですね。

自治体によって、
「できること」「できないこと」が違う。

ファミサポの利用料は1時間あたり800円~。民間のベビーシッターと比べると料金は格安です。しかし、お願いできることも限られているようです。

「ファミリーサポートは、自治体によってかなり内容が異なります。杉並区では専業ママの利用もOKですが、働いているママでないと利用できないところもあります。また、保育園のような長時間の預かりや、毎日の利用はできません」(新宅さん)

そのほか、家事の手伝い、入浴や宿泊のサポート、病時の預かりなども杉並区の場合は不可。そのため、ファミサポと民間のベビーシッターなどをうまく組み合わせて、利用している家庭が多いのだそう。

杉並区では、現在、約1500人の利用会員に対して、サポートしてくれる協力会員は約400人。利用したい人が圧倒的に多いため、週3回まで、と利用回数の制限もあります。

ファミサポ事情は、自治体によってだいぶ異なるようです。まずは自分が住んでいる地域のお役所の保育課などに、どんなことが可能なのか、尋ねてみましょう。

update : 2020.03.12

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