生後0ヶ月の成長発達「おぎゃ~は、ここがすごい!」
「おぎゃ~!」の合図で、この世界に生きるスイッチをオンした赤ちゃん。この産声で始まった呼吸する能力。さらに、体の熱を作り出す能力、おっぱいを力強く吸って食べ物を獲る能力……。生きるために生まれてきた、赤ちゃんにみなぎる力強いパワーを、もう一度、発見して、かみしめて、味わって、感動! 子どもの体と心の発達研究の第一人者、榊原洋一先生の解説付きです。
監修者プロフィール
榊原洋一先生
お茶の水女子大学名誉教授
医学博士。1976年東京大学医学部卒業後、ワシントン大学小児神経研究部、東京大学医学部附属病院小児科などを経て、お茶の水女子大学理事・副学長。2017年より現職。「子ども学」の研究所「チャイルド・リサーチ・ネット」所長、日本子ども学会副理事長。専門は小児神経学、発達小児科学、特に注意欠陥多動性障害、アスペルガー症候群などの発達障害の臨床と脳科学。今後の活動について、「発達障害には様々な誤解があるので正しい理解を広げていきたい」と語る。『オムツをしたサル』『アスペルガー症候群と学習障害』など著書多数。
「おぎゃ~」で人生のスイッチオン!
「おぎゃ~!」
せまい産道をグッとこらえてくぐり抜け
外に飛び出すと大きな産声をあげた
Let’s Go !
新世界で生きるためのスイッチをオン!
「うんぎゃ~、おぎゃ~、ぎゃ~」
肺に新鮮な酸素を取り込んで
不要な二酸化炭素を吐き出して
カラダを目覚めさせているんだ
これからはおっぱいやミルクを
エネルギーに替えて大きくなっていく
そのためにもたくさん酸素が必要なんだ
毎日毎日 いっぱい泣くよ
泣くと肺やおなかまわりの筋肉も
あちこちいろいろ使うからね
泣くのは筋トレにもなるのさ
ママの子宮の中では
なあ~んにもしなくてよかったけど
これからは自分の力を育てて
発揮して生きていく
まずは呼吸して、おっぱいを飲んで
おしっことうんちをするところから
ママ、パパ、まわりの大人のみなさん
どうぞ、手を貸してください
Dr.サカキハラの「おぎゃ~、のここがすごい!」
生きるために必要なことは、ちゃんと自分でやっている
赤ちゃんは、ただ寝て、おなかが空くと泣いて、おっぱいを飲んでまた寝ているだけ――。そんなふうに映っているかもしれません。
でも、ちょっと視点を変えると、ものすごい能力を発揮していることに驚かされます。胎内は、へその緒から酸素と栄養をもらい、体温調節の必要もない、無菌状態の温室だった。それが、いきなり雑菌だらけのこの世に出て、初めて肺で呼吸をして、口から栄養をとって、おしっことうんちをする――。
胎内と180度違う異次元の世界で、最初にしなければいけないのは、「おぎゃ~」と泣くこと。酸素を取り入れる最初の行為です。
産道を抜けて外に出た途端、肺に空気が流れ込んで膨らみ、横隔膜を動かし産声をあげます。それに合わせて肺に血液が流れるようになる――。うまく仕組みができあがっています。
次に体温調節。人は運動して筋肉を動かしたり、食事を摂って栄養素を内臓や肝臓などでエネルギーに変えたりすることで、体の熱を作っています。生まれたばかりの赤ちゃんも、すぐに自分の体内で熱を作り始めます。
外の世界の音や光、肌で感じる様々な感覚も、赤ちゃんにはとても刺激的。これから五感を総動員して、まわりからの情報を脳にストックしていきます。
生まれて最初の2週間は、この世界に慣れるための適応の時期。この時期に必要なお世話は、母乳やミルクをあげること、おむつを替えおふろに入れて体を清潔にしてあげること、気持ちのいいお部屋の環境を整えてあげること、この3つだけです。
難しいことは考えず、赤ちゃんとのハネムーンを過ごしましょう。
あれこれ思い悩まなくても、赤ちゃんは呼吸をして、おっぱいに吸い付いて栄養を摂り、おしっことうんちをしている。生きていくために必要なことは、ちゃんと自分でやっています。
update : 2017.08.07
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