生後2ヶ月の成長発達「クーイング、ここがすごい!」
生後2ヶ月…。「あーうー」「うぐんうぐん」……おや? これまでの泣き声とはあきらかに違う声が聞こえてきました。そう、クーイングです。言葉によるコミュニケーションの基礎練習が始まったのですね。
赤ちゃんにみなぎる力強いパワーをもう一度発見して、かみしめて、味わって、感動! 子どもの体と心の発達研究の第一人者、榊原洋一先生の解説付きです。
監修者プロフィール
榊原洋一先生
お茶の水女子大学名誉教授
医学博士。1976年東京大学医学部卒業後、ワシントン大学小児神経研究部、東京大学医学部附属病院小児科などを経て、お茶の水女子大学理事・副学長。2017年より現職。「子ども学」の研究所「チャイルド・リサーチ・ネット」所長、日本子ども学会副理事長。専門は小児神経学、発達小児科学、特に注意欠陥多動性障がい、アスペルガー症候群などの発達障がいの臨床と脳科学。今後の活動について、「発達障がいには様々な誤解があるので正しい理解を広げていきたい」と語る。『オムツをしたサル』『アスペルガー症候群と学習障害』など著書多数。
あーうー、ただいま発声テスト中
おなかもいっぱい~♪
なんだかいいきぶん~♪
そう思ったらどこからか
「あー」「うー」
何か聞こえてきた
どこから聞こえてくるのかな?
む、むむっ!
これは自分で出しているみたいだぞ
どういうときに出せるのか
試してみなくちゃ
「あーうー」
ただいま発声のテスト中
「うぐんうぐん」
大きな声が出すぎて
びっくりしたよ
ママがやってきた パパもやってきた
「お話ししているの?」
声を出すのをやめて
ママやパパの声に耳を傾けた
もう一度「あーうー」といってみる
「おなかもいっぱいでゴキゲンだね」
とママの声 パパの声
どうやら「あーうー」というと
返事をしてくれるらしい
今度ママを呼ぶとき パパを呼ぶときにも
「あーうー」を使ってみよう
Dr.サカキハラの「クーイングの、ここがすごい!」
生後2ヶ月くらいすると、赤ちゃんは、泣き声とは違う声を出すようになります。「あーあー」「うーうー」といった母音を使った声です。鳩の泣き声「Coo」になぞらえて、クーイングと呼ばれています。
赤ちゃんは、思わず出た「あーうー」という自分の声に、自分でびっくりして楽しんでいるように見えます。自分で出した声を自分で聞いて、こんなふうに声が出るのか、と試してもいるようです。
発声のテスト、試運転を始めた赤ちゃん。それは同時にコミュニケーションのきっかけになる行為です。
京都大学霊長類研究所の正高信男さんの実験で、赤ちゃんのクーイングに対して親がまったく反応しないでいると、赤ちゃんはクーイングを出し続けました。ところが、その声に応えて声をかけると、「あっ」という感じでクーイングをやめることが確認されています。
赤ちゃんのクーイングによって、交互に反応しあう、コミュニケーションが生まれているのです。
はじめての育児。赤ちゃんにどう接していいかわからない、というママ、パパもいることでしょう。でも、特別なことをする必要はありません。
クーイングは赤ちゃんがご機嫌のいいときに出てきます。「あーうー」といったら、同じように「あーうー」と返してもいいし、「どうした?」「ごきげんだね」「楽しい?」など、声がけしてもいい。言葉は何でもいいのです。反応してかまってあげればいいのです。
といっても、1日中、赤ちゃんと付き合って、かまってあげないといけない、というものでもありません。泣いたり、ぐずったり、クーイングで声を出したときなど、赤ちゃんが求めたときに、かまってあげればいいんです。
何を話していいか、わからないときは、「いいお天気だね」「雨がザーザー降っているね」「おしっこでたね」「おっぱい・ミルクおいしかった?」「お風呂いい気持ちだね」……日常の生活の中のなにげないことを語りかければいい。ときには、だれかのグチ、仕事のグチをこぼしてもいいんです。赤ちゃんはかまってもらっている、ということに満足するでしょう。ただし、あまり怖い顔、怒りの感情はぶつけないでくださいね。子どもは不安になるでしょうから。
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update : 2017.10.02
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