あたためて妊娠できるカラダへ!
そろそろ赤ちゃんが欲しいな・・・妊活をスタートするのなら、まずは体づくりをしたいもの。実は妊活中の人たちは「冷えない体」を心がけていることが多いのです。冷えと妊娠の関係って? どんな生活をしたらいいの? 不妊専門の治療院、アキュラ鍼灸院院長・徐大兼先生に東洋医学の見地から「妊娠できるカラダづくり」について聞きました。
監修者プロフィール
徐大兼先生
アキュラ鍼灸院院長
鍼灸師。1967年、代々鍼灸師を営む家系の4代目として生まれる。 University of Southern California卒業。2002年にアキュラ鍼灸院(東京都渋谷区)を開業。一般社団法人日本生殖鍼灸標準化機関の設立、不妊カウンセラー・体外受精コーディネーター養成講座講師など、不妊鍼灸の啓発活動に注力。著書に『カラダを温めれば不妊は治る!』など。近年は産科婦人科クリニック内での統合医療の実現に積極的に取り組んでいる。
まずは体の冷えをチェック
血の流れが滞ると子宮や卵巣に栄養が届きにくい
赤ちゃんを待つ女性の中には、冷えを気にする人が多いようです。体が冷えていると妊娠しにくいのでしょうか?
「体が冷えるのは血液の流れが滞っているということ。東洋思想では、体の『気・血・水』の流れに滞りがなく、スムーズに巡っているのが健康な状態です。血が滞ると大事な子宮や卵巣に栄養が届きにくくなるだけでなく、子宮筋腫などの病気を招くこともあります。また、手足の冷えを引き起こす血管の収縮が、子宮や卵巣の血管でも同様に起こる可能性もあるのです」と徐大兼先生。
まずは、あなたの「冷え」の度合いをチェックしてみましょう。
【冷えチェック:カラダ編】
- おなかを触ると冷たい
- 手足が冷える
- 靴下をはかないと寒くて眠れない
- おしっこが近い
- 平熱が36.4度以下
*チェックした数が多いほど、体が冷えていると考えられます。
「自覚のない冷え」こそ、要注意!
手足の冷えは体の先まで血液が巡っていないから
「おなかを触ると冷たい、手足が冷える、靴下をはかないと寒くて眠れない・・・これらは血液の循環が悪くなって、体の末端まで血液がめぐっていないため、先端にある手足が冷えるのです。また、おしっこが近いのは、余分な水分が体にあって、それを出して体をあたためようとしているのです」
体の表面が冷たいだけでなく、体温も関係があるのですね。最近は平熱が低い人も多いようです。
「平熱が36.4度以下という人は、体温調整を司る脳の中枢が、不規則な生活などによってその働きが乱れている可能性があります」
睡眠不足や過度のストレスなどで自律神経のバランスが崩れて、その影響でうまく体温を調整できなくなることがあるのだそうです。
自律神経の乱れは免疫やホルモン分泌にも影響が
「自律神経の乱れは、免疫に異常をきたし、免疫的に妊娠を妨げる原因となる場合があります。さらに、体の各細胞を形成したり、ホルモンバランスの調整など、生命活動に欠かせない体内酵素の働きに変動をきたすといわれています」
すると、妊娠に必要なホルモン分泌の乱れにもつながることに。冷えは想像以上に体に影響があるようです。
自覚がないほど冷えていることも
「実はこれらは『自覚できる冷え』。それよりも心配なのは、自分では気がつかない『自覚のない冷え』です。冷えの強い患者さんに『冷えていますね』と伝えても、『私はいつも手足があたたかいですよ』と取り合わない方がいます。冷えに気づかずにその状態に慣れてしまうと、本能が狂って冷えを感じる自覚を妨げてしまうのです」
たとえば、雪の中に手を30秒ほど入れると、最初は冷たいけれど、あとから火照る感じがすることがあります。また、しもやけになると、その部位が火照ってかゆくなります。つまり、冷えがひどいと逆に冷たさを感じなくなってしまうことがあるのです。
「肩こりや生理痛、目の疲れ、むくみなども、血液の循環が滞って起こっていることが多く、そうした症状を訴える方は、体が冷えているケースがほとんどですね」
好きな食べ物が体を冷やすことも
実は、普段なにげなく食べているものが体の冷えを招くことも。あなたは大丈夫でしょうか?
自分の状態をチェックしてみましょう。
【冷えチェック:冷たい飲み物・食べ物大好き編】
- 南国のフルーツ(バナナ・パパイヤ・マンゴーなど)が好き
- アイスコーヒー、アイスクリーム、ビールなどの冷たい飲み物・食べ物が好き
- 生野菜をよく食べる。夏野菜(きゅうり・トマトなど)などを1年中食べている
- 常にペットボトルを持ち歩いて、「水をできるだけ多く飲んだほうが健康にいい」と思っている
- 甘いものが好き(白砂糖を使ったもの)
*チェックした数が多いほど、体が冷えていると考えられます。
水分のとり過ぎに注意! 水は適量を常温で
「水を多くとったほうがいいというのは、ナンセンスです。水のとり過ぎは、体に水を溜めてしまい、冷えの原因になることも。水は季節や運動量などに応じて適量を、できれば常温でとりましょう。また、アイスクリームなどの冷たい食べ物やキンキンに冷えたビール、氷の入った飲み物などは、体を内側から冷やしてしまいます。妊活時期は避けましょう」
お風呂上がりのアイスやビールを習慣にしていると、お風呂でせっかく体があたたまっても、内側から体を冷やして台無し、ということに。
「好きな物を食べて幸せな気持ちになることを否定はしません。妊活で頑張っているのですから、体づくりができた自分へのごほうびなど、特別なときだけにしましょう」
体を冷やす「陰」の食べ物、あたためる「陽」の食べ物
白砂糖などの精製された食品、生クリームやバター、清涼飲料水などは、東洋思想では「陰性」で体を冷やす食べ物とされます。
「東洋の思想では、森羅万象を『陰陽(いんよう)』に当てはめて考えます。男性・女性、太陽と月、熱い・寒いなど、私たちの体も陰陽のバランスが大事です。冷えのある生活をしているのなら、『陰』の食べ物を避けて、できるだけ体をあたためる『陽』の食べ物をとりましょう」
陽の食品には、肉や魚、根菜類、貝、自然塩、味噌などの発酵食品、卵などがあります。
生活全般を見直して冷えを解消しよう
食事だけでなく、生活スタイルもチェック
「体は全体でバランスをとっています。冷えの原因は一つではなく、食事や運動、睡眠などのライフスタイル、そしてストレスも影響します。冷えが強いほど回復に時間がかかるので、冷えが軽いうちから冷え対策をしましょう」
早寝早起きの規則正しい生活や、体のエネルギー源となる食事をちゃんととること。適度な運動、夜更かしをしないで夜12時頃には布団に入る・・・などなど。特別なことではなく、意識を変えればできることばかり。また、1日の生活にリズムをつけることは、ホルモン分泌などにもよい影響があるといいます。
首・手首・足首を冷やさない
「女性にとってファッションは大事だとは思いますが、体を冷やさない服装を心がけて。特に『首・手首・足首』はあたたかく保ってください。これらは皮膚が薄い部分なので冷えやすいのです。また、冷え解消のツボも、このあたりに数多くあります。体をあたためるツボを押したり、自宅でできるワンタッチタイプのお灸もおすすめですよ」
update : 2017.10.10
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