妊活のプロが伝授する、妊活中の生活の仕方
赤ちゃんが欲しいと思ったら、どんなことに気をつければいいのでしょうか。タバコやお酒、運動は? 夜更かしやストレスは、やっぱりよくないの? できれば妊活にいいことをして、赤ちゃんを待ちたいもの。
妊活のプロ、不妊治療を専門とする高橋ウイメンズクリニック院長・高橋敬一先生にお話を聞きました。
監修者プロフィール
高橋敬一
高橋ウイメンズクリニック(千葉県千葉市)院長
国立金沢大学医学部卒業。虎の門病院、ワシントン大学留学などを経て、1999年に千葉市初の不妊治療専門クリニックを開業。医師の十分な説明を受けたうえで患者自身が治療を選択する「インフォームド・セレクション(説明と選択)」を方針とし、これまでに1万3000人以上を妊娠に導く。
性交渉は、回数を多く!
まずは健康的な生活が基本
妊活中は、毎日どんなことに気をつけて生活すればいいでしょうか?
「規則正しい生活、バランスのとれた食事、しっかり眠り、適度に運動する。一般的に健康によいとされる生活を心がけるといいでしょう」と高橋先生。
日ごろからもっと性交渉を持って
妊娠を望むのなら、最も大事なのがセックスのこと。
「性交渉の数を増やしましょう。排卵日にタイミングをとるだけではなく、日頃から性交渉を持ってくださいね。回数が多いほど妊娠の確率が高いことは、さまざまなデータでわかっています。Mcleodらの報告では、性交渉が週1回未満のカップルが、半年以内に妊娠する確率は17%、週1~2回で32%、週2~3回で46%、週3~4で51%、週5回以上で83%という結果も出ています」
そして、基礎体温表をつけている場合は、排卵が近いと思ったら少なくとも1日おきに関係を持ちましょう、と高橋先生。
「排卵日がずれることも珍しくありませんから、“この日だけ”ではなく、その前後もチャンスを増やすことが大事です」
肥満もやせも注意!適切な体重維持を
肥満だと排卵が起きないことがある
体型や体質は妊娠に関係がありますか? 太っていると妊娠しにくいと聞いたことがあります。
「肥満になると、体脂肪が増えて、インスリンや男性ホルモンの増加や様々なホルモンのバランスが乱れて、排卵を抑制したり、卵子の質を低下させると考えられます」
やせすぎも妊娠しにくい
一方、やせすぎの女性も、ホルモンバランスが崩れて排卵抑制がおきるなど、妊娠しにくいケースがあります。無理なダイエットで急激に体重を落としたり、激しいスポーツを続けて生理が止まるケースは注意が必要です。
「やせすぎの状態が続くと、『この状態で妊娠したら命が危ない』と脳が判断し、排卵にかかわるホルモンの分泌を抑えてしまい、排卵が起きなくなることがあります。月経周期が乱れても、すぐに元に戻ればいいのですが、数カ月経っても元に戻らなければ、産婦人科を受診してください」
妊娠への第一歩といえる排卵。まずは、ちゃんと排卵があるかどうか、産婦人科で調べてもらうといいでしょう。
適切な体重をキープして
適正体重はBMI(体格指数)を参考にするといいでしょう。
◎計算の方法:体重(kg)÷(身長(m)×身長(m))
例:身長160cm。体重50kgの場合⇒ 50÷(1.6×1.6)=19.53
日本肥満学会の基準では、BMI・18.5以上25未満が「普通体重」、25以上が「肥満」とされます。
タバコは精子と卵子に悪影響が!
卵子の老化を早め、流産しやすくなる
「女性の喫煙は、卵子の老化を早め、妊娠しにくい原因に。また、喫煙していない人と比べて流産率は2倍高く、低体重児出生のリスクが高まります」
男性の喫煙は、影響がありますか?
「喫煙する男性では、精子の濃度が低下する、勃起力が低下する、という報告があります。また、精子のDNA損傷率が高くなり、妊娠しにくくなるとともに、妊娠しても流産率が上がります」
受動喫煙の影響もあるので、妊活を始めたら、男女ともに「すぐに禁煙」です。
良質の睡眠、運動で卵巣を元気に
運動で子宮や卵巣への血流を改善する
妊活中の運動は、ウォーキングやヨガ、ストレッチが人気のようです。おすすめはありますか?
「卵巣の血流をよくすることで、質のよい卵子を育てて排卵させる。それが妊活中の運動の目的です。心拍数が少し上がったり、体がポカポカとあたたかくなるのが血流改善の目安。早歩きや階段の昇り降り、ラジオ体操など、なんでもいいので1日に何度でも、こまめにできることを続けましょう」
良質な睡眠はアンチエイジングに役立つ
規則正しい生活の基本のひとつに睡眠があります。
「睡眠ホルモンとよばれるメラトニンが近年、妊活で注目されています。抗酸化作用で細胞の代謝を促し、老化予防にも効果があるといわれます。そのため、海外ではサプリメントでとるケースも多いんですよ」
布団に入ったら、スマホもおやすみなさい
メラトニンの分泌は、おもに光によって調整されるので、「朝起きて夜眠る」という1日のリズムを大事にしたいもの。
「夜更かしすると眠りが浅くなりますし、パソコンなどのブルーライトは脳を刺激してメラトニンの分泌を抑えるので気をつけて。布団に入ってからのスマホいじりは、おすすめしません」
update : 2017.05.29
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