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2人目不妊について【不妊治療の基礎知識】

今回のテーマは「2人目不妊」。最初の赤ちゃんが生まれてからしばらくして2人目の赤ちゃんが欲しいと思っても、なかなかできない人が増えているようです。2人目を妊娠しづらくなってしまうのは、どうしてなのでしょうか?
ここでは、ドクターに聞いた2人目不妊の原因や、1人目の不妊治療後に2人目不妊の治療をするケースの進め方・治療期間についてご紹介! あわせて、1人目の小さな子どもを連れていても治療を続けられるクリニックの選び方も解説します。

気がつくと2人目不妊?

1人目が3歳ぐらいになって育児も一段落、ようやく2人目が欲しいと思いはじめた頃には、なかなか妊娠できなくなっていて、不妊かも?と悩み始める人が最近多くなっているといいます。

「加齢の問題が一番大きいんですね。晩婚化で第1子を産む年齢が高くなっているので、30代前半で第1子を産んで育児で2~3年過ごしていると、すぐに37歳ぐらいになってしまいます。38歳を過ぎると、卵子が急速に老化してしまうので、妊娠しづらくなるんですね。それと、日本の場合、ひとりっ子だとわがままになる、などと周囲から言われたりして、ひとりっ子のイメージがあまりよくないので、2人目がほしいというのは通念のようになっているんです」と中村はるね先生。

「1人目を妊娠するのに何年もかかった人は、1人で十分という人もいますが、たいていの人は健診などのついでに受診しますね。また、体外受精をする人も増えてきていて、今や80人に1人が体外受精をしている時代。体外受精をして、1人目のときに受精卵を凍結している人は、出産後生理が再開してしばらくすると、“受精卵を移植してください”と言って受診しにきます。そういう意味でも、2人目不妊での受診率は高くなっていると言えます」(はるね先生)。

『はるねクリニック銀座』の待合室。不妊を心身両面からサポート。妊娠成績も高い。毎月第4火曜日には「不妊学級」を行っている。

2人目不妊の原因は?

2人目不妊の原因として一番大きいのは加齢の問題。前述したように、38歳を過ぎると卵子の老化が急速に進むので、なかなか妊娠できなくなります。また、卵子とともに子宮内膜も老化が始まり、内膜の血流も悪くなったりして、せっかく卵子が受精していても、それが子宮内膜に着床できず、妊娠が成立しなくなるのです。

また、なかには1回目の分娩時に感染症があったり、出産後にクラミジアなどに感染したりして、卵管が詰まってしまうこともあります。第1子のときに子宮内膜症だった人は、妊娠すると生理が止まるので内膜症もよくなりますが、生理が再開すると内膜症になりやすくなり、また、卵巣機能不全といって、排卵が起こりにくかった人も、出産後も同じように卵巣機能不全になることもあります。

「子宮内膜症だった人で2人目が欲しいなら、生理が再開して3ヶ月から半年は様子を見て、それでも妊娠しなければ、早めに受診するといいですね。加齢の問題もあるので、できるだけ早いうちに治療をしましょう」(はるね先生)。

治療の進め方

治療の進め方は、1人目不妊も2人目不妊もだいたい同じです。検査もたいてい1回目と同様に、ひと通り行います。ただし、産んで間もない人で、卵巣機能不全だったような人は、排卵誘発の薬を使えばスムーズに妊娠することもあるので、卵管造影などの検査を省くこともあります。

1回目の出産で胎盤が癒着や剥離を起こした人、産褥(さんじょく)熱を起こした人などは、トラブルの原因がそれなりに考えられるので、2人目不妊のときも卵管造影検査は行います。

「不妊の原因が卵管にあるケースは、不妊症の3分の1から半数を占めているんですね。1人目の妊娠で卵管が通ってうまく妊娠しても、しばらく経つとまた詰まってしまうことはよくあるので、2人目不妊の時にも卵管造影検査をします。卵管造影検査をすると、卵管の通りがよくなるので、治療にもつながるんですね」(はるね先生)。

1回目の妊娠から3~4年経っている人の場合は、加齢によりホルモンの状態が変化している可能性もあるので、卵管造影検査に加えて、ホルモンバランスを見る検査も行っていきます。もちろん、1人目は治療せずに妊娠・出産し、その後3~4年経って妊娠しない人も、原因を突き止めるために、卵管造影検査やホルモン検査など、すべての検査を行います。

「高プロラクチン血症など、1人目がホルモン異常だった人は、2人目もホルモン異常になりやすいのですが、薬で治療しやすいんですね。このように、原因がはっきりしている人は、もう一度検査をやり直して治療を進めていきます。それに対して、加齢の要因が加わると、さらに妊娠しにくくなってしまうので、あまり悩まずに、早めに受診したほうがいいですね」(はるね先生)。

中村先生のクリニックでは、2人目不妊で訪れる人に対し、人工授精なら6回ぐらい、体外受精なら3回ぐらい(胚移植を3回、採卵を3回など)という具合に、だいたいの目安を立てて治療を進めています。期間にするとだいたい2年ぐらい。というのも、2人目不妊の場合は加齢の問題や、子連れでも通院する不便さなどがあるからです。

「第1子の不妊の場合、いつまでたっても妊娠できないと、治療者側もつらい治療になりますが、2人目不妊だと最終的には“1人でいいね”ということになりますね。ただし、患者さんにとって欲しい気持ちは、1人目も2人目も同じ。あくまでも、2人目が欲しいかどうか、そして夫もほしいかどうか、そして、どこまでがんばるかにかかっています。目安としては2年ぐらいですが、患者さんとよく話し合ってプランを立てていきます」(はるね先生)。

卵管造影検査
造影剤(ヨード)を膣からカテーテルを入れて子宮に注入する。卵管が正常なら、写真の左から右のように、時間の経過とともに、しだいに卵管の先から造影剤が腹腔に流れ出て散らばる。

クリニックの選び方

「2人目不妊の場合、2~3歳ぐらいの幼児がいるケースが多いでしょうから、自宅の近くで、不妊専門のクリニックに通うのがいいと思います」(はるね先生)。

第1子を不妊治療で出産した場合、同じクリニックに通院すれば、前の検査データなどもすべてそろっているので、治療は進めやすくなりますが、自宅から遠いと子連れで通院するのは大変。こんな場合は、前のクリニックで検査データなどをもらい、近所のクリニックに持参するといいでしょう。事情を話せば前のクリニックも快く渡してくれるはずです。

クリニックによっては、他の不妊に悩む患者さんの精神面を考えて、子連れで通院できないというところもあります。あらかじめ電話で、子連れでOKかどうか問い合わせてから受診しましょう。また、保育園や幼稚園に行っている時間に受診したい場合は、診療時間の確認もしておきましょう。

『はるねクリニック銀座』のカウンセリングルーム
ともすると、先の見えない不安からつらい治療になりがちな不妊治療。『はるねクリニック銀座』では「心のケアが大切」と、不妊治療経験のある心理カウンセラーが、さまざまな相談にのってくれる。第1・3・5週の金・土。カウンセリング初診料2100円(再診料1050円)、30分ごと1575円。

update : 2006.02.01

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