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二人目不妊の原因は? 治療法や対処法って?

二人目が欲しい。夫婦揃ってそう思っているのに、なかなか授からない。「そろそろ、きょうだいは?」そんなまわりからのプレッシャーを受けながらも、「一人目は自然に授かったのだから、できないはずはないし」と自分に思い聞かせつつ、焦りを感じ始めたら…。それは、もしかしたら二人目不妊かもしれません。二人目不妊の原因や治療について、不妊治療を専門とする梅ヶ丘産婦人科の辰巳賢一院長にお話をうかがいました。

監修者プロフィール

辰巳賢一医師
梅ヶ丘産婦人科

京都大学医学部卒。京都大学病院不妊外来、体外受精チーム中心メンバーとして多くの妊娠に貢献。神戸中央市民病院副医長を経て’91年より梅ヶ丘産婦人科でお産と不妊治療、’98年からは不妊治療・体外受精専門で診療にあたる。

二人目不妊の原因は?

大半を占めるのは加齢のせい

「二人目の妊娠にいたらない原因の大半は、夫婦ともに年齢が高くなったせいですね」と話すのは、不妊治療専門医の辰巳賢一医師。近年、女性の第一子出産年齢は上がり続けています。厚生労働省の統計によると、下のグラフ(図1)が示すように、第一子出産年齢が20代となる人は減少し、30〜40代で出産する人が上昇。高齢出産が増えており、第一子を出産した年齢が高いがために、第二子を妊娠する率が低くなっているというのです。というのも、女性の卵子は年齢が上がるにつれて老化し、男性の精子も加齢のために妊孕力(にんようりょく)といって、妊娠させる力が弱くなります。このために妊娠しにくくなるのです。
特に出産しても仕事を続けている女性の場合、職場復帰後、すぐには二人目を妊娠しづらいという環境におかれることもあるでしょう。子育てをしながら仕事をするのは想像以上に大変で、「とても二人目なんて考えられない」という声もよく聞かれます。ようやく生活のペースに慣れてきて二人目のことを考えられるようになる頃には、何年も経ってしまっていたというケースも少なくありません。

母の年齢階級別出生率の年次推移

一人目出産後の体の変化も原因に

妊娠しにくい原因のひとつに肥満があげられます。太りすぎているとどうしても妊娠しにくくなるというのです。出産前に比べてかなり太ってしまったという人は、以前より妊娠しにくい体になっている可能性が高くなります。また、極端な産後ダイエットによる痩せすぎで、ホルモンバランスを崩してしまった人も二人目不妊になりがちです。それ以外にも、出産後にかかった病気のせいで妊娠しにくくなることも。例えば、子宮筋腫や子宮内膜症といった婦人科系の病気や、糖尿病の発症、性感染症の放置などが不妊の原因にあげられます。病気ではなくても、子育てや仕事によるストレスで体に負荷がかかっても、妊娠しにくくなるといわれています。

一人目の出産が不妊につながることも

時には、一人目の出産自体が、不妊の原因を生み出すことがあります。帝王切開での出産で、帝王切開瘢痕(はんこん)症候群を起こすと不妊症につながります。帝王切開瘢痕(はんこん)症候群は、帝王切開の傷のふさがり具合が悪かったことで起こります。瘢痕化した傷から微量の出血を起こしたり、頸管粘液や血液が子宮腔に流入し、受精卵が着床しにくくなったりするのです。また、癒着胎盤で胎盤が剥離しにくかった場合にも、子宮内膜が薄くなったりして着床しにくくなります。他にも、妊娠しにくい体だったにもかかわらず、第一子はなんとか妊娠できたということも。奇跡的に授かった第一子だったのかもしれません。

不妊治療はいつから行えばよい?

35歳未満なら1年、35歳以上なら半年で

一人目は自然に妊娠したため「体には特に問題はないはず」と思ってのんびりかまえていたら、何年かが過ぎてしまったというケースも珍しくありません。「このままでは出産適齢期をすぎてしまう?」と慌てて不妊治療の専門病院を受診したという人もいるでしょう。治療の開始が遅れることで、ますます妊娠しにくい状況になります。一人目を不妊治療の末に出産した人は、経験から早めのスタートが出来るのですが、二人目不妊は不妊に気づかない人が多く、スタートが遅れがちです。では、二人目不妊を疑った場合、いったいいつから治療をスタートさせればよいのでしょう?
「35歳前なら、妊娠を望んでいるにもかかわらず1年たっても妊娠しなければ、治療を考えた方がいいと思います。35歳を過ぎているなら、半年しても妊娠しなければ、できる限り早く治療をスタートさせましょう」と辰巳先生。とはいえ、一人目の子がまだ乳児の場合でも、不妊治療ははじめられるのでしょうか?

原則、授乳期間を終えてからのスタートで

「授乳中でも排卵があって妊娠することはありますが、治療をはじめるなら授乳を終えてからがいいでしょう」と辰巳先生。授乳中は周期的な排卵がないのが一般的なので、不妊治療を受けるのに不向きの時期なうえ、授乳で乳首が刺激されると子宮が収縮し、せっかく妊娠しても流産の危険性が高まります。授乳をやめて生理が来たら、治療スタートとの準備が出来たと考えてよいでしょう。治療を受けるにあたり、病院によっては子どもを連れて行きにくい場合もあります。その際は誰かに子どもを預けることになるので、おっぱいでの授乳が続いているとそれも支障となります。

二人目不妊の治療法 不妊治療の方針は?

まずは、すぐに出来る生活改善を

まず、本人が出来ることとして、生活スタイルの改善が上げられます。不妊につながるような生活は改めましょう。栄養バランスのよい食事、早寝早起きの規則正しい生活、適正な睡眠時間、適度な運動を心がけてください。喫煙している人は、タバコをやめることも必要でしょう。太りすぎ、痩せすぎの人は、体重管理をして適正体重になることも大切です。基礎体温をつけておくと、排卵日がいつなのかを把握しやすく、治療スタートの際に参考になります。

治療方針は、検査結果と年齢を考慮して

年齢次第で治療方針が変わってきますが、まずは不妊の原因を調べる検査を行います。行う検査は下記です。一人目の場合と二人目の場合で、検査の内容や治療の内容が変わることはありません。

不妊治療で行う検査

排卵期を調べる検査と、不妊の原因を調べる検査があります。

  • 超音波検査
  • ホルモン検査
  • 尿中LH検査
  • 子宮卵管造影検査 または、通気・通水検査
  • 精液検査

必要な際は、下記の検査も行います。

  • 子宮鏡検査
  • 腹腔鏡(ふくくうきょう)検査

タイミング法→人工授精→体外受精・顕微授精の順番で

治療では、まず超音波検査と尿中LH検査を併用して排卵の時期を推定し、タイミング法を行います。タイミング法とは、排卵時期に合わせて性交をするというものです。病院によっては、排卵誘発剤を使用する場合もあります。また、検査の結果、排卵障害だとわかれば、その薬物治療を行い、子宮内膜症や子宮体部因子に対しては手術を行います。
タイミング法を数周期やっても妊娠しなければ、人工授精を行います。数周期の目安は病院によっても違いますし年齢によっても違います。人工授精とは、男性の精子を女性の子宮へ医師が注入し、卵子と精子が出会う確率を高めるものです。排卵前日から当日に行う治療です。人工授精にトライする回数は、年齢によって変わるのが一般的だと言います。「当院の場合は、35歳未満なら6回、35歳から39歳までが3回で、40歳以上だと省略して次のステップへ進むこともあります」と辰巳先生。

人工授精で妊娠しなかった場合、体外受精へと治療が進みます。体外受精とは、女性の卵子を採卵し、男性の精子と体外で受精させるという方法。体外受精で受精した受精卵を、女性の子宮へと戻し、着床を促します。体外受精の条件は、先に挙げた年齢別の回数により人工授精で妊娠しない場合、卵管が閉塞している、卵管の周囲に癒着がある場合などです。一方、顕微授精が必要となるカップルもあります。顕微授精はひとつの精子を卵子に直接針で注入します。精子の状態が悪い場合は顕微授精となります。

治療のステップ

タイミング法 → 人工授精 → 体外受精・顕微授精

二人目不妊はつらい!
家族で支えよう

治療を受ける病院選びがポイントに

「ひとりいるなら、もういいじゃない?」という目で見られたり、「ひとり産んでいるんだから、そのうち出来るでしょ?」と思われたり、二人目不妊に関する治療の必要性やそのつらさを、まわりの人たちに理解してもらえないケースも珍しくありません。実際、子どもがいる状況で不妊治療に通うのは、自分1人のスケジュールを調整して通うよりずっと大変です。病院も、子どもを連れて行きにくいところ、同伴不可のところ、子連れでもOKの病院があります。二人目不妊で治療に通う場合は、その点も考慮して病院選びをするとよいでしょう。

育児や家事の協力について、夫婦で話し合いを

二人目不妊の治療では、通院するための時間をどう作るかが大きなポイントとなります。夫をはじめ、祖父母など、手助けしてもらえるよう協力をお願いしましょう。ファミリーサポート※1など、公的支援を利用するのもひとつの手です。一人目の子育ては、初めてのことばかりで右往左往しがちです。さらに不妊治療となると、今までのように家事の手が回らなくなることも考えられます。子育てをしながら働いて、さらに不妊治療となると、まわりの協力なしには治療を続けづらいでしょう。特に、夫の家事・育児への協力は不可欠になるので、二人目不妊で治療をスタートさせるならば、夫婦でしっかり話し合い、妻だけに負担がかからないよう支え合うことが重要です。

  • ※1
    ファミリーサポート
    地域で子育てを有料で相互援助する会員制の事業。一般的に、民営のベビーシッターよりも低料金で子どもを預かってもらえます。

大変だった二人目不妊!
先輩ママの体験談

(ゆうこみさん)

(前略)二人目がなかなかできずに不妊治療を始めました。
一人目が自然妊娠したため、病院でも治療しなくても良いんじゃない?という雰囲気でした。
その応対に頑張ることができず、体外受精の病院へ移りました。
その病院は、先生も看護師さんもとても親切で、親身になってくれました。
そのお陰で片道一時間半の道のりも何とか通い、双子を出産出来ました。

(チンシャンさん)

(前略)
1人目の時もなかなか出来なくて不妊専門病院に通った経験あり。
2人目が欲しい!と思ってすぐにまた不妊専門病院へ。
なかなか大変だった・・・。でも通い始めて半年で妊娠。
毎月毎月、病院へ行って辛かったなぁ。本当に妊娠できるんだろうか?という不安に押しつぶされそうになったけど、旦那が言ってくれた。
「娘(4歳)をお姉ちゃんにしてあげたい!!」
この言葉のおかげで、夫婦で頑張れたんだ。

(スイカ大好きっ子さん)

私は現在40歳で、昨年不妊治療の末にようやく第1子を出産しました。
高齢の為、第2子の不妊治療を早く始めたいですが、
病院の先生に「断乳を済ませてから」と言われています。
(中略)
親戚の子が次々に2人目を授かるので、私もめちゃくちゃ焦っています。

「一人目を30代になってから出産し、さらに二人目を考えているなら、なるべく早く妊活をはじめた方がよいでしょう。スタートが遅くなればなるほど、妊娠しづらくなります」と辰巳先生は強調します。
年齢が上がれば、自然妊娠だけでなく、不妊治療を受けての妊娠も、その確率が下がっていくというのです。二人目を授かりたいと思ったらできる限り早く妊活を始め、二人目不妊が疑われるなら、不妊治療の専門医がいる病院で早めの検査を受けましょう。治療が必要となった場合は、出来るだけまわりの協力を得て、不妊治療を進めやすい環境づくりを目指しましょう。

監修/辰巳賢一医師

update : 2018.07.12

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