もしかしてできにくい!? 不妊リスクチェック![男性編]
赤ちゃんを望んでいるのに、なかなか妊娠しない・・・・・・もしかして、妊娠しにくいのかも? 女性はついそう思ってしまいがちですが、男性のほうに原因があることも! そして、これまでの生活や日頃のなにげない生活習慣が妊娠を遠ざけているケースもあるのです! 長年にわたり生殖医療の第一線で活躍し、若年層への不妊予防を目的にNPO法人日本不妊予防協会を立ち上げて啓発に努める、渋谷橋レディースクリニック(東京都渋谷区)院長・久保春海先生にお話をうかがいました。
監修者プロフィール
久保春海先生
NPO法人日本不妊予防協会理事長
渋谷橋レディースクリニック院長
東邦大学医学部等にて、40年以上にわたり不妊医療に携わる。2006年、女性の一生を通して生殖医学や女性健康医学に基づく不妊の治療法と予防法の開発、啓発等の活動を行うNPO法人日本不妊予防協会を発足。男女の健全で健康な生殖機能の保持と増進に寄与することを願って活動を続けている。東邦大学医学部名誉教授、日本生殖心理学会名誉理事長等を務める。
男性も 不妊チェックをしよう
不妊の原因の半分は男性にある
WHO(世界保健機関)の調査によると、不妊原因の48%は男性にあります。
「精子が基準値よりも少し少ないといった状態から先天的な問題まで、男性不妊の内容はさまざまです。自分では気づかないことが多いので『自分だけは大丈夫』と思わず、検査を受けることが大事です。これまでの経験や生活習慣などで妊娠しにくくなっていることもあるので、まずは『不妊リスクチェック』をしてみてください」と久保先生。
不妊リスクチェック[男性編]
- 子どもの頃、耳下腺炎(おたふくかぜ)などで高熱を出したことがある。
- 陰嚢に触れると、睾丸(精巣)が小さい、あるいは片方(1個)しかないようだ。
- 睾丸(精巣)を触れると、痛みがある。
- スポーツや遊びで、睾丸を打撲したり、けがをしたことがある。
- 鼠径(そけい)ヘルニアや停留精巣の手術を受けたことがある。
- スリムジーンズやぴっちりしたブリーフなど、いつも下半身にぴったりした衣服・下着を着けている。
- ノートブックパソコンをいつも太ももの上に置いて使用する。
- 性感染症(クラミジア、淋病、梅毒など)にかかったことがある。
- 喫煙の習慣がある。
- 健康診断で高脂血症、高血圧や糖尿、その他の異常を指摘された。
チェックの数が多いほど、不妊のリスクが高くなります。
子どもの頃の 病気やトラブルが 精子に影響する!
高熱が続くと精子をつくる機能が低下
「耳下腺炎で睾丸(精巣)が腫れた場合、精子をつくる造精機能に障がいが起こったり、精子の通り道である精路がふさがったりすることがあります。また、39度以上の高熱が長期間続くと、造精機能に影響することがあります」
妊娠するためには、元気な精子が数多くつくられて、射精によって女性の体内に送られることが重要です。造精機能に問題があると、精子の数や運動率(元気な精子の割合)などが低下し、妊娠しにくいということに。精子の状態は、泌尿器科や産婦人科で受ける「精液検査」でわかります。
精子をつくる機能を落とす「精索静脈瘤」
「左右の陰嚢の大きさや感触が違うと感じたり、触って痛みがある場合、精索静脈瘤(せいさくじょうみゃくりゅう)かもしれません。これは、精巣につながる静脈に瘤(こぶ)のようなものができた状態で、造精機能に影響を与えることがあります。また、睾丸(精巣)が小さい、本来は2つある睾丸が1つしかないということは、つくられる精子の数が少ないと考えられます」
腫れるほど睾丸(精巣)をぶつけるとダメージが
「陰嚢付近をぶつけて腫れるなどの外傷があった場合、その中にある精巣が傷ついて造精機能が低下したり、精子の通り道がふさがって無精子症につながることがあります」
子どもの頃の手術で精管が閉塞することも
「鼠径(そけい)ヘルニアとは、いわゆる脱腸のこと。また、停留精巣(睾丸)は、本来は胎児のときに体の中から下に下りてくる陰嚢が途中で止まってしまうもの。乳児検診で見つかることが多く、子どもの頃に精巣を下ろす手術を受けますが、これらの手術が原因で、精子の通り道である精管が詰まってしまうことが。すると、射精した精液の中に精子が見当たらないということに」
精子がつくられていて、精子の通り道だけが問題であれば、精路再建術や精巣から精子を取り出して体外受精(顕微授精)をすることで妊娠が望めます。
精子をつくる機能は 熱に弱い!
下着は風通しのいいトランクスを
「精巣で精子をつくる機能は熱に弱く、ぴっちりした下着や衣類で圧迫されると下半身に熱がこもり、ダメージを与えかねません。妊活中の下着は、風通しのいいトランクスタイプがおすすめです」
膝上のPC操作は最小限に
「膝の上でのPC操作も、熱が問題です。PCは使っているうちに熱を発し、その熱が下半身に伝わってしまうと、熱に弱い精巣へのダメージが心配です」
どうしても、のとき以外は膝上でのPC操作はやめて、デスクなどで操作しましょう。
性感染症で 無精子症になることも
性感染症のリスクは女性の不妊にもおよぶ
「クラミジアや淋病、梅毒などの性感染症は、精液の中の白血球を増加させることが多く、それにより精子の機能が低下することが。また、炎症が尿道炎から精巣上体炎を併発すると精子の通り道がふさがって無精子症をまねくことも。女性に感染すると不妊原因になることもあるので、しっかり治療することが重要です」
妊活カップルの 禁煙は、もはや常識
タバコがEDの原因に!
「喫煙すると血流が悪くなり、ペニスにも血液が届きにくくなって、ED(勃起不全)の原因に。また、喫煙すると精子の数や運動率が低下したり、酸化ストレスにより精子のDNAが損傷するリスクもいわれています。すると、受精しにくい、妊娠しても流産しやすいなどのリスクが上がります」
女性にも喫煙のリスクは大きい
男性ばかりか女性も、タバコは百害あって一利なし。喫煙は卵巣機能を抑制し、卵子発育やホルモンバランスが悪くなります。このため喫煙女性は更年期障がいが早く起きるといわれています。
「妊娠・出産したら、そのあとには長い子育て期間が待っています。親としての先々の健康を考えても、すぐにやめるべきですね」
将来のためにも 生活習慣病には要注意
親になるための妊活、大事な意識
高脂血症、高血圧や糖尿などは、いずれも生活習慣病といわれるものですね。
「肥満の男性は精液検査の結果が悪くなるという説もありますが、男女にかかわらず生活習慣病は健康によくありません。これから親になるのならば、長い育児をやりとげるためにも健康第一。食事や運動などの生活習慣は自分で変えられるので、健康管理への意識も妊活には大事だと思います」
また、糖尿病の末梢神経障がいとして、逆行性射精が起こることがあるといいます。これは、本来は尿道口から体外に射精される精液が、膀胱のほうに逆行してしまうもの。
「若い年代にも糖尿病が増えています。注意が必要です」と久保先生。
可能性は広がっている。 ぜひ、ふたりで検査を
男性不妊の原因は自覚症状がないことが多く、病院で調べないとわからないことも。
「男性が検査を先延ばしにすると、その間にも女性は年齢を重ねて妊娠しにくくなってしまいます。そんなことがないように、妊活のスタートは男女そろって検査を」と久保先生。
不妊リスクを少しでも感じたら、すぐに受診を。以前は自分の子どもを望めなかった男性不妊のケースでも、治療法が増えた現在は、子どもを持つ可能性が広がっています。
参考
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update : 2017.07.17
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