生理がこない!妊娠かなと思ったときの対処法と、妊娠以外で考えられる原因とは?
子どもがほしくて心の準備をしていても、初めての妊娠の場合、何が妊娠のサインかもわからないものですね。 一番気づきやすいのは生理が予定通りこないこと。でも生理の周期が不安定な人もいるので、さまざまな妊娠のサインを知っておきましょう。基礎体温をつけている人は妊娠の兆候に気づきやすいものです。便利な妊娠検査薬も用意しておくとよいですね。
監修者プロフィール
井上裕子先生
井上レディースクリニック 理事長・院長
医学博士。日本産科婦人科学会専門医、日本乳癌学会認定医、日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医、母体保護法指定医師。
診療のかたわら、思春期から更年期の様々な女性に対しての講演活動、また、雑誌などに、出演、監修、執筆するなど多方面で活躍。
著書に「産婦人科の診療室から」(小学館)、「元気になるこころとからだ」(池田書店)、「赤ちゃんとお母さんのための妊娠中のごはん」(池田書店)など。
現在は、リボーンレディースクリニック 理事長、NPO法人マザーシップ 代表を兼務。
そもそも生理周期とは?
妊娠に気づくきっかけのひとつが生理(月経)の遅れですね。そもそも生理(月経)周期について、正しく知っていますか?
生理周期とは、生理の出血が始まった日から、次の生理が始まる前日までを1サイクルととらえた日数のこと。この周期は卵胞ホルモンと黄体ホルモンの分泌によって調整されています。1回の周期は、月経期、増殖期(卵胞期)、排卵期、分泌期(黄体期)の4つの期間に分かれます。
生理前になるとイライラしたり、甘いものが食べたくなったり、生理中に眠くなるなど、毎月なんとなく体調の変化が周期的にくることを感じている女性は少なくないと思います。それらはホルモンの分泌の変化によるものと考えられています。生理周期のそれぞれの時期で、体にどんなことが起きているか見ていきましょう。
増殖期(卵胞期)
女性は生まれつき、卵子のもとである原子卵胞を卵巣にもっています。月経が終わった後に、卵胞が卵巣内で成熟していき、卵胞ホルモンの分泌量が増え、子宮内膜が少しずつ厚くなっていきます。この時期は月経期から引き続き、基礎体温は低温が続きます。
排卵期
成熟した卵胞から卵子が卵管に排出されるのが排卵。排卵日には卵胞ホルモンの分泌量が最も多くピークとなります。排卵の前後2〜3日を排卵期といい妊娠の準備ができている時期です。排卵日に基礎体温は一度低下してから急激に高温期に入っていきます。
分泌期(黄体期)
排卵後の卵胞が黄体に変化して黄体ホルモンが分泌されます。卵胞ホルモンも多い状態が続いており、妊娠に備えて子宮内膜が厚くなり、体内に水分をため込む時期なので、むくみをおこしやすくなります。イライラや肌荒れ、頭痛などを起こしやすくなるのもこの時期。基礎体温は高温が続きます。
月経期
妊娠しなかった場合、黄体ホルモン・卵胞ホルモンとも分泌が減って、必要なくなった子宮内膜がはがれ落ちて血液とともに排出されるのが月経です。基礎体温は月経の開始とともに下がり、低温期が始まります。妊娠した場合は子宮内膜がはがれず月経が来ないため、高温期が続きます。
生理周期には個人差がある
生理の周期には個人差がありますが、一般的に25〜38日間であれば正常範囲とされています。また、生理の出血期間も個人差がありますが、一般的には3〜7日間が正常とされています。これらの正常範囲に当てはまらない以下のような場合はホルモンバランスの乱れなどが考えられますが、続いている場合は、婦人科の診察を受けてみることをおすすめします。
頻発月経
生理周期が24日以内で、頻繁に生理が来る状態のことです。黄体ホルモンの分泌量の減少が原因の場合、妊娠しにくくなったり流産しやすくなる場合もあるため、婦人体温計で基礎体温をつけてから、早めに婦人科の診察を受けるとよいでしょう。
希発月経
生理周期が39日以上で、生理周期が長い状態のこと。無排卵周期になっているケースもあるため、婦人科の検査を受けてみましょう。
不整周期月経
生理周期が安定せず、短かったり長かったりする状態です。思春期や更年期、産後や授乳中などに多く見られますが、それ以外の時期に起こる場合は、婦人科に相談してみるとよいでしょう。
過長月経
生理の出血が8日以上続いたり、血液内に凝血(血のかたまり)が出る状態です。ホルモンバランスの乱れや、子宮内膜症などの子宮の病気も考えられるので、婦人科に相談してみるとよいでしょう。
過短月経
生理の出血が2日以内で終わる状態です。女性ホルモンの分泌量が少ないなどの原因が考えられますが、不妊の原因となる無排卵月経の場合もあるため、婦人科の診察を受けてみましょう。
妊娠のサイン-1 生理(月経)周期を把握している人
生理周期が正確な人や基礎体温をつけている人は、妊娠のサインをキャッチしやすいと言えます。
月経が遅れている(止まる)
月経周期が正確な人の場合、予定日よりも1週間すぎても月経が来なかったら、ほぼ妊娠と考えられるでしょう。
でも、女性の体はとってもデリケート。
普段は正確でも、環境の変化や精神的なストレスやショックなどで月経が遅れたり止まったりすることもあります。
そのような要因がなかったかを振り返りながら、以下で紹介する他のサインにも目を向けて見ましょう。
基礎体温の高温期が続く
妊娠を望んでいる人や、体調管理のために基礎体温をつけている人もいらっしゃるかと思います。
通常は月経予定日に体温が下がりますが、妊娠すると体温が下がらず高温期が続きます。
継続的に基礎体温をつけていて、高温期(排卵日以降の約2週間)と低温期(月経予定日から排卵日までの約2週間)がはっきりわかっている人の場合、通常約2週間のはずの高温期が3週間すぎても続くようなら妊娠の可能性が高いでしょう。
もちろんこの時期に、風邪などの原因で発熱しているようなら話は別です。
妊娠のサイン-2 生理(月経)周期を把握してない人(不安定な人など)
月経周期が不安定な場合、月経が来ない状態で下記の徴候が見られたら、妊娠の可能性を考えて産婦人科に行ってみるか、妊娠検査薬を試してみましょう。
胃や胸がむかむかする(つわり)
早い人だと月経が少し遅れた状態で、胃や胸がむかむかする、いわゆる「つわり」の症状があらわれることがあります。吐き気をもよおしたり、食べ物のにおいが気になるなど、症状は人によって異なります。
乳首が敏感になる
乳首や乳頭が敏感になり、下着や衣服に触れるとチクチク違和感を覚えることがあります。
トイレが近くなる
妊娠すると子宮がそれまでより大きくなるため、膀胱を圧迫しトイレ(尿)が近くなることがあります。また、同じ原因で、便秘になることもあります。
肌荒れ
妊娠によるホルモンバランスの変化で、肌が荒れたり、メラニン色素が増えるため、シミ・そばかすが目立ってきたり、乳首が黒ずんだりすることがあります。
熱っぽい
基礎体温の高温期が長く続いているため、「風邪かな?」と熱っぽく感じることがあります。
おりものが増える
ホルモンの影響で膣の分泌物が増えるため、おりものの量が増えます。この場合のおりものは乳白色で粘りがありますが、においは強くありません。
体がだるくなったりイライラする
ホルモン環境の変化により、なんとなく体がだるくてやる気がなくなったり、情緒不安定になってイライラしたり、わけもなく泣きたい気分になったりすることがあります。
妊娠検査薬で確認してみましょう
これまで産婦人科に行った経験のない人が、確信がない状態で産婦人科へ行くのは勇気がいることですね。妊娠したら誰でも行く場所ですし、専門医の診断が最も確実。でも、手軽に調べられるのが市販の妊娠検査薬です。
妊娠検査薬のしくみ
妊娠すると胎盤のもととなる胎盤絨毛細胞からヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(human Chorionic Gonadotropin;hCG)が尿の中に大量に分泌されるようになります。そのしくみを利用して作られたものです。
妊娠検査薬のタイプ
妊娠検査薬は薬局で入手できます。
いずれも試薬がスティックなどに含まれているもので、尿をかける、あるいは尿をためた容器につけて判定します。 判定の仕方は、色の変化で陽性かどうかわかるもの、デジタル表示ではっきりと「+(陽性)」か「-(陰性)」かがわかるものがあります。
また、多くのタイプが月経予定日の1週間後くらいから判定可能ですが、月経予定日から使えるものもあります。
判定が出たら…?
陽性の場合
今の検査薬は性能が高く、ほとんど正確に判断できます。陽性の場合、妊娠している確率が非常に高いので、なるべく早めに産婦人科医の診断を受けましょう。
陰性の場合
検査薬を正しく使えていない場合や、時期が早すぎたフライング検査の場合もありますので、妊娠の徴候が継続している場合は日を改めて試してみるか、産婦人科医の診断を受けましょう。
監修/井上レディースクリニック院長 井上裕子先生
update : 2023.03.01
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