妊娠初期症状のチェックリスト!症状や兆候からわかる妊娠
妊娠をしたいと計画している方にとって気がかりな吐き気や眠気などの妊娠初期症状を説明します。白金高輪海老根ウィメンズクリニック院長の海老根真由美先生に、妊娠初期症状のチェックリストを20個選定いただきました。心当たりがある方は、妊娠が疑われる場合に気をつけるべきことも一緒に一読しておきましょう。まだ妊娠をしていない方も、日頃から頭に入れておくと良いですね。
監修者プロフィール
海老根 真由美 院長
白金高輪海老根ウィメンズクリニック
1970年に福島県福島市で生まれる。1997年に埼玉医科大学を卒業後、埼玉医科大学総合医療センター産婦人科で臨床研修を行う。1999年に埼玉医科大学大学院に入学する。2003年4月に埼玉医科大学総合医療センター非常勤医員を経て、2003年10月にさいたま赤十字病院産婦人科に勤務する。2004年に埼玉医科大学総合医療センター産婦人科学講座助手、埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センター母体胎児部門病棟医長を経て、2005年に埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センター母体胎児部門講師に就任する。2008年に埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センター母体胎児部門非常勤講師を経て、2011年に順天堂大学産科婦人科非常勤講師に就任する。埼玉医科大学産婦人科非常勤講師、埼玉医科短期大学非常勤講師、国士舘大学スポーツ学科非常勤講師を兼任する。2013年6月に東京都港区に白金高輪海老根ウィメンズクリニックを開業する。日本産科婦人科学会専門医、日本周産期メンタルヘルス研究会評議員など。日本母性衛生学会、日本周産期・新生児学会にも所属する。
妊娠20のチェックリスト
「妊娠をしたかもしれない。」「今月こそ妊娠して欲しい!」と妊娠を計画している方に向けて、妊娠初期の症状について白金高輪海老根ウィメンズクリニックの海老根真由美院長に話を伺いました。海老根先生が実際に診察をしてきた経験から、妊娠初期に起こる身体の変化を20個まとめました。下記の症状を参考にしながら、ご自身の身体の変化を観察してみましょう。
1.吐き気
ドラマで見かけることも良くあり、妊娠初期に吐き気を感じる方は多いと聞きます。妊娠初期の吐き気の症状は、一般的につわりと呼ばれ、空腹を感じると気分が悪くなる「食べづわり」や、食後に吐いてしまう「吐きづわり」などさまざまな症状があります。
吐き気を感じる時間帯も人それぞれで、朝起きたときに空腹感で吐き気を感じる方や、夕方以降の時間帯に疲れを感じると吐き気を感じる方などがいます。二日酔い、船酔いのような感じと思われる方もいます。
2.匂いに敏感になった
吐き気の原因の一つとしても挙げられますが、匂いに敏感になったと話す方がいます。タバコの匂いなど今まで苦手だった匂いに敏感になる方や、ご飯が炊ける匂い、スーパーの食品売り場の匂い、ラーメン屋の匂いなど食べ物の匂いに反応をする方も。歯磨き粉の匂いが苦手になり、歯磨きができなくなったという方もいます。
匂いに敏感になることも、つわりの作用の一つだと考えられています。つわりの仕組みは、医学的に完全には明らかになっていませんが、エストロゲンの作用が大きいと言われています。妊娠の維持をするためのホルモンで、外的環境から身体を守ってくれる役割もあります。
3.眠気
「一日中眠くてたまらない」「起きたばかりなのにまた眠くなった」「仕事中に猛烈な眠気に襲われる」など強い眠気を感じることがあります。これは、妊娠初期にプロゲステロンというホルモンが増加するためです。
眠気を感じたら、無理をせず横になるようにしましょう。妊娠初期の症状は、赤ちゃんを育てるために身体を休ませるサインとも考えられています。仕事や家事も忙しいかと思いますが、周囲の方の助けを借りながら、なるべく身体を休めるようにしましょう。
4.眠りが浅くなる
頻繁に眠気を感じる一方で、寝てもすぐに目覚めてしまう方もいます。その理由は、妊娠をすると睡眠中に覚醒しやすくなるからです。胎児はノンレム睡眠とレム睡眠を短い周期で繰り返すため、2〜3時間ごとに覚醒をします。胎児の睡眠リズムに合わせて、ママも目覚めやすくなります。また、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌バランスが崩れることも一因です。妊娠初期に限らず、妊娠中は熟睡できない方が多いので、昼寝をする、早めに寝る、目覚めに日光を浴びるなど睡眠環境を見直すようにしましょう。
5.だるさ
「疲れを感じやすくなった」「身体が重くて動く気がしない」など眠気と並んでよく耳にする症状がだるさです。だるさも、妊娠初期に増加するプロゲステロンという黄体ホルモンの分泌により起こる症状です。黄体ホルモンは、基礎体温を上げる働きがあるため、身体が熱く感じてだるさを訴える方もいます。できるだけ身体を休めて、心身をリラックスさせるようにすると良いでしょう。
6.微熱
「頭がぼーっとするので、風邪をひいたかもしれない」「手足が熱っぽく感じる」など微熱の症状を訴える方もいます。妊娠をすると、普段の基礎体温から1〜2度上がることがあり、体温としては36〜37度になることがあります。基礎体温が高温期になるのも、黄体ホルモンのプロゲステロンの作用です。妊娠中は飲めない市販薬も多いため、安易に風邪薬を飲まないように注意をしましょう。
7.頭痛
「目の周辺やこめかみがズキズキする」「首筋から肩にかけてガチガチ」と頭痛を訴える方もいます。頭痛の原因も、妊娠初期に増加する黄体ホルモンのプロゲステロンの影響と言われています。プロゲステロンが分泌されると、脳の血管が拡張しやすくなり周辺の神経を刺激するため、頭痛を感じる仕組みです。頭痛の症状は、妊娠初期から妊娠20週目ごろまで感じる方がいます。
つらくなると痛み止めの薬に頼りたくなりますが、妊娠中に飲んではいけない薬もあるので注意が必要です。まずは妊娠をしているか確認した上で、医師に相談をするようにしましょう。また、ストレス、緊張、不安感などが頭痛の原因になることもあります。リラックスできる時間を取り、気持ちを落ち着けるよう心がけてみてください。
8.むくみ
「手足がパンパンになる」「下半身がだるく、重たく感じる」などむくみの症状を訴える方もいます。むくみとは、体内に余分な水分がたまっている状態。妊娠をするとエストロゲンの分泌が増加し、水分をため込む作用が働きます。また、子宮に血液を集めるため血液量が増加することも一因とされています。食欲の増加による塩分の取りすぎはむくみの原因になることもあるので、食生活を整えるように心がけましょう。足首を回すなど軽いストレッチもオススメです。
9.胸の張り
妊娠をすると、プロラクチンというホルモンが分泌され、乳腺が発達します。乳腺の発達により、胸が大きくなり、母乳を作るための準備ができます。「乳首が痛い」「乳房が張る」など胸に違和感を覚えたら、ワイヤー入りのブラジャーをやめて、柔らかいマタニティブラジャーを着用しましょう。
乳腺は脇の下から発達します。そのため、ワイヤー入りのブラジャーをつけると、自然な乳腺の発達が妨げられることがあります。
10.おりものの変化
おりものは、子宮を細菌の感染から守り乾燥を防ぐ役割があります。そのため、妊娠をするとおりものの量が増えたり、色や粘度が変わったりすることがあります。子宮や胎児を守るためにおりものの量が増えるのです。ただし、「いつもよりおりものが多い」「水っぽい状態に変化した」「茶色のおりものがあった」など変化が気になるときは病院を受診しましょう。
11.よだれが多くなった
よだれの分泌が増えるのもエストロゲンの作用によるものです。妊娠をすると口腔内の環境が変化し、細菌に感染しやすい状態になります。細菌感染から守るバリア機能が弱まると、虫歯になりやすい状態にもなります。そのため、口の中を洗い流し細菌の感染を防ぐ作用があるよだれの分泌が増えるのです。
なかには、よだれが多すぎて気持ちが悪くなる「よだれづわり」になる方もいます。
12.喉が痛くなる
「喉がイガイガする」「喉の奥に違和感がある」など喉の痛みを訴える方もいます。これは、妊娠時の血液増加による喉のうっ血が一因と考えられます。妊娠初期は、風邪に感染しやすい状態でもあるので、喉の痛みと合わせて他の症状がないか注意をしましょう。
13.歯ぐきの腫れ
妊娠中は、女性ホルモンの分泌が盛んになり、歯ぐきが腫れたり、出血したりしやすくなります。また、つわりの症状により歯磨きがきちんとできなかったり、頻繁に食べ物を口にしたりすることも一因として挙げられます。今までより注意をして口の中を清潔に保ちましょう。
14.鼻水やくしゃみがでる
「鼻水がダラダラでて止まらない」「ムズムズしてくしゃみが頻繁にでる」などの症状を訴える方もいます。妊娠中は免疫が低下するため、防御反応として鼻水やくしゃみが頻繁にでることがあります。妊娠をしている場合、市販の点鼻薬や鼻炎薬は使用できないものもあるので注意をしましょう。
15.食欲の増加
「たくさん食べてもおなかが満たされない」「いつもはこんなに食べないのに最近食欲が止まらない」など食欲が増加する方がいます。なかには、おなかが空くと気持ち悪く感じる食べづわりになる方も。
食欲が増加する一因として、最近ではダイエットをしている女性が多く、脂質が足りない傾向にあることを海老根先生は指摘しています。「無性にフライドポテトが食べたくなる」など揚げ物を欲する方も多いです。
妊娠初期は胎児の脳や肝臓など重要な臓器が作られる期間。脳は脂質から形成されているため、良質な脂質をとるようにしましょう。
16.おなかの張り
「おなかがパンパン」「下腹部が重く感じる」「最近太った気がする」などおなかの張りを訴える方もいます。胎児の大きさはまだ小さく、子宮収縮も少ない時期ですが、子宮の筋肉や血管が大きく伸びることによる違和感を感じる方がいます。また、子宮を支えているじん帯も引っ張られるため、おなかの張りを感じやすくなります。
17.おなかの痛み
生理痛のように下腹部に痛みを感じる方もいます。上述したおなかの張りの原因と同様に、子宮の筋肉の成長に伴い痛みを感じることがあります。おなかに痛みを感じるときは、横になり安静にしましょう。しばらく休んでも痛みが続く、出血があるなどの気になる症状があれば、医師に相談をするようにしてください。
18.便秘
「おなかが張っている感じがする」「いつもより便が硬くてコロコロしている」など便秘の症状が出ることがあります。妊娠をすると胎盤内に血液が集まり、腸管のうっ血が生じて、ぜん動運動が行いにくい状態になります。未消化物が腸内にたまることで、下腹部の張りやガスがたまっているように感じることがあります。妊娠中は飲んではいけない市販薬があるため、安易に便秘薬に手を出さないよう注意が必要です。積極的に水分を取り、食物繊維の多い食材を食べることを心がけましょう。また、心配であれば医師に相談をしましょう。
19.情緒不安定
ホルモンバランスの変化により、自律神経が乱れるため情緒不安定になる方もいます。「訳もなく涙がでてくる」「仕事を続けられないかも」「子どもを育てることができるかな」など恐怖や不安感を感じやすくなります。妊娠期に起こる一過性の気分の落ち込みは、多くの妊婦さんが経験することです。不安を感じやすい時期だと頭に入れておき、家族や周囲の方に話を聞いてもらうようにしましょう。
20.色彩感覚の変化
妊娠をすると、黒色や紺色などの暗い色や暗闇が怖くなると言われています。これは、動物として子どもを守るための本能と言えるでしょう。そのため、産科病棟ではカーテンや椅子などのインテリアを、ピンク色を基調としているところが多くなっています。ピンク色は幸福感や安心感を得やすい色とされているので、自宅でもパジャマや寝具に取り入れると良いでしょう。
妊娠超初期症状が起こる理由
妊娠超初期症状とは
妊娠超初期という言葉を耳にしたことがあるかもしれませんが、実は医学的な定義はありません。妊娠超初期症状に気付く時期は個人差がありますが、妊娠判定が出てから1週間後、すなわち妊娠6週目ごろに身体の異変を訴える方が多いです。なかには、生理予定日前に身体の異変に気付く方もいます。
ホルモンの影響で身体の変化が
妊娠超初期症状が起こる理由は、妊娠に伴うホルモンの影響で身体が変化するためです。受精卵が子宮内膜に着床すると分泌され始めるhCG(human Chorionic Gonadotropin:ヒト絨毛性ゴナドトロピン)と、着床後に分泌量が増加するプロゲステロン、エストロゲン、プロラクチンなどのホルモンの影響が大きいと考えられています。
チェックが多く当てはまった人は妊娠検査薬を使おう
妊娠20のチェックリストを見て、心当たりのある項目はいくつあったでしょうか。妊娠の確率を上記のチェックリストだけで判断することは難しいですが、当てはまる症状がある方は妊娠検査薬を使用して妊娠判定をするようにしましょう。
妊娠検査薬の正しい使い方・仕組み
妊娠検査薬は、生理予定日1週間後に
妊娠をしたかもと心当たりがある方は、早く検査をしたくなるかもしれません。しかし、妊娠検査薬で判定をすべき正しいタイミングは「生理予定日から1週間後」です。早く検査をしすぎると正しく判定できずに、本当は妊娠しているのに陰性だと勘違いしてしまう可能性もあります。
尿検査で妊娠判定ができる
妊娠をすると、hCGと呼ばれるホルモンが体内でつくられます。hCGは、妊娠を維持し、胎盤や胎児の成長を促す役割を担う黄体ホルモンのプロゲステロンを分泌させる役割があります。
hCGは血液内に入り、その後尿中に出されます。尿中のhCGを調べるために、検査薬で尿をチェックします。
妊娠と疑われる場合に気をつけること
こまめな休息を心がける
疲れを感じたら、すぐに横になったり、安静にしたりするように心がけましょう。また、眠気を感じたらできるだけ眠るようにしましょう。妊娠初期は、胎盤をつくるために骨盤内に血液を集める重要な時期です。身体を休めて安静にすることで、血液循環を促すようにします。
夜の外出を控える
夜は風邪をひきやすい時間帯です。夜中は免疫力が低下するため風邪をひきやすくなると海老根先生は警鐘を鳴らしています。また、風邪のほかに感染症にかかるリスクもあります。妊娠中は免疫が落ちていて感染症にもかかりやすい時期ですが、使うことのできる薬が限られるため注意が必要です。
バランスの良い食事を心がける
塩分・糖分・化学調味料のとりすぎに気をつけて、栄養バランスを考えた食事をとりましょう。食べたいものがあれば、身体が欲しているサインと考えて食べるようにしましょう。
食中毒の原因となり得る食品を避ける
妊娠中は食中毒に気をつけるようにしましょう。厚生労働省では、下記の食品をリステリア食中毒の主な原因食品例として挙げています。
- 生ハムなどの食肉加工品
- 未殺菌乳、ナチュラルチーズなどの乳製品(加熱をせずに製造されるもの)
- スモークサーモンなどの魚介類加工品
その他にも、生肉・生卵などサルモネラ食中毒の原因となる食べ物にも気をつけましょう。また、アレルギーを持っている方は、食べ物に細心の注意が必要です。母体がアレルギー反応を起こすと、胎児に影響が及ぶ危険性があります。
禁煙をする
厚生労働省の調査によると、喫煙している妊婦から産まれた赤ちゃんは、喫煙していない妊婦から産まれた赤ちゃんに比べて、低出生体重児の産まれる頻度が約2倍高くなるといわれています。さらに、喫煙している妊婦は喫煙していない妊婦に比べ、早産、自然流産の危険性が高くなっています。(注1)また、受動喫煙にも注意が必要です。自分自身はもちろんですが、家族にも禁煙の協力を求めましょう。
葉酸を積極的にとる
厚生労働省では、妊婦は480μg(マイクログラム)の葉酸をとることを推奨しています。サプリメントも活用しながら、積極的に葉酸をとるようにしましょう。(注2)
移動中は細心の注意を
妊娠をすると注意力が散漫になり、思わぬ事故が起こりやすくなります。車の運転中は細心の注意を払い、歩行中の階段では手すりを使用するようにしましょう。衝突をする、小さな段差を踏み外すなど思わぬ事故の恐れがあります。
自転車の利用を控える
第二子以降の場合、上のお子さんの送り迎えなどで使用している方も多いですが、特に妊娠初期でまだ胎盤が完成していない時期の自転車は危険です。衝突事故や、振動による不正出血などの事例もあるため自転車で移動は避けましょう。
無理な運動を控える
今までの運動習慣は、無理のない程度に継続しても良いですが、妊娠をきっかけに新たな運動を始めることは避けましょう。例えば、毎日ウォーキングをする習慣がある方は継続しても良いですが、急にウォーキングを始め、筋肉を痛めてしまう方もいます。妊娠をすると筋肉が緩まり怪我をしやすくなるので、注意をしましょう。
- 注1・注2: 出典 「妊産婦のための食生活指針」(厚生労働省)
update : 2018.03.29
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