妊娠したら?確認・準備すること
妊活をしている人は、生理予定日の数日前から「妊娠しているかも?」と気になりますね。妊娠検査薬でセルフチェックもできますが、妊娠の兆候となる症状を知っておくと、早い時期から心の準備もできます。妊娠検査薬を使う時は、正確な結果を知るための時期も重要。さらに妊娠がわかったときの産婦人科を受診するタイミング、生活面や手続き面での準備もアドバイス。パートナーにサポートしてもらいながら、気持も体も不安定な時期を気持ちよく乗り越えましょう。
監修者プロフィール
清水なほみ先生
ポートサイド女性総合クリニック ビバリータ 院長
2010年9月「ポートサイド女性総合クリニック~ビバリータ~」を開業。単に「病気を治す」だけでなく、やりがい・生きがいを持って心・体・魂のすべてが輝けるよう多くの女性をサポート。
妊娠したかもしれない!
妊娠初期症状のチェックリスト
もしかして妊娠?妊娠初期症状をチェック
生理が予定より遅れたら、体調の変化に気づいたら、
もしかして妊娠?と、妊活中ならとくに気になりますね。
妊娠したばかりのころ頃に起こる症状を「妊娠初期症状」といいます。これは、ホルモンバランスが急激に変化したことにより、体に起こるさまざまな症状のこと。妊娠の兆候ともいえるのです。
日ごろから体調には気を配る
確実に妊娠したかどうかは、あとでお話しする妊娠検査薬で確定しますが、それよりも前から「もしかして妊娠初期症状?」と気づくことで、薬を使う前から心の準備もできます。とくに妊娠を意識している人は、ちょっとした変化にも気づくよう、日ごろから自分の体調には気を配るようにしましょう。
妊娠初期症状はいつ頃おこる?
妊娠が成立した場合、最後の生理の開始日を「妊娠0週」と数えます。その2週間後(妊娠2週)が排卵日(受精)で、本来の生理予定日が「妊娠4週」です。
妊娠初期症状がおこる時期は人それぞれですが、早い人で妊娠5週、つまり生理予定日の1週間後くらいに感じるようです。
妊娠初期症状チェックリスト
妊娠初期症状には、次のようなものがあります。
とはいえ、人によって症状はそれぞれです。また、すべての項目が必ず起こるわけではなく、逆に下の症状が起こったからといって必ず妊娠したとも言いきれませんが、目安として確認しておくとよいでしょう。
□生理が遅れる | □基礎体温の高温期が続く・熱っぽい |
□胃痛・腹痛 | □なんとなくだるい・疲れやすい |
□吐き気や嘔吐 | □日中にも眠気が襲う |
□胸が張る・痛む | □息切れしやすい |
□腰痛 | □頭痛 |
□貧血 | □イライラすることが多くなる |
□味覚が変化する | □便秘・下痢をしがちになる |
□おりものの量が増える | □大人にきびなど肌が荒れる・乾燥する |
- ※ちなみに「着床出血」という項目を耳にすることがありますが、そのような症状は医学的に存在しません。
妊娠したら?
変えなければいけない生活習慣はこれ!
妊娠の可能性がある場合は早めに対応を
まだ妊娠が確定していなくても、思い当たる場合は、念のために妊娠を想定して生活習慣を見直しましょう。
喫煙・飲酒をやめる
当然のことながら、妊婦さんは喫煙・飲酒は絶対NG。習慣になっていて「やめたらかえってストレスになる!」という場合も絶対にダメです。喫煙は赤ちゃんの発育に影響を与えるだけでなく、胎盤へ十分な酸素が届かなくなり、流産や早産のリスクも高くなります。
また飲酒も同様で、発育不全や神経系の異常が生じる危険が高まります。
少しだけならいいのでは…と甘えるのではなく、妊娠したら自分の体を守るためにも、赤ちゃんのためにタバコも、お酒もキッパリとやめましょう。
薬の服用に注意する
妊娠中は、胎児への薬の影響が気になりますね。今はネットで薬に関してもいろいろな情報が入手できますが、自己判断は禁物です。妊娠の可能性があるなら、ふだん飲んでいる薬でも要注意。かかりつけ医に聞いたほうが安心です。
妊活中の人は、前もって医師にそのことを伝えておくといいですね。
動きの激しいスポーツは避ける
走る、ぶつかるなど激しいスポーツはもちろん、高い所になど登るなど危険を伴うスポーツも避けましょう。
見逃しがちなのが、炎天下や極端に寒い場所で行うもの。激しい動きがなくても体に負担をかけることには違いないので、注意してください。
仕事も家事も無理をしない
妊娠中のストレスは禁物。睡眠はたっぷりとって、心も体もゆったり過ごしましょう。家事は手抜きするなり、夫に手伝ってもらうなりして、疲れをためないように心がけてください。どうしても辛いときは、がまんせずに横になるのが理想です。そういうわけにもいかないときは、暗い場所でしばらく目を閉じて静かに休みましょう。短時間でもスッキリします。
食事内容に気を配る
栄養バランスのいい食事を心がけるのはもちろんですが、意外なのが生肉と大型の魚を食べてはいけないということ。妊婦さんは生肉や大型の魚(キンメダイ、クロマグロ、メカジキなど)は過剰な摂取を避けたほうがいいといわれます。
生肉に気をつけるのは、母体を通して赤ちゃんがトキソプラズマに感染するのを避けるため。しっかり火を通したお肉なら問題ありません。
魚に関しては、厚生労働省から「妊婦への魚介類の摂食と水銀に関する注意」が出されたことが話題になりました。ただ、魚介類には赤ちゃんに必要なDHAなどの必須脂肪酸も含まれます。全く食べないのではなく、マグロやキンメダイなど大型魚や深海魚(食物連鎖の末端にいる魚なので、水銀が蓄積されている可能性が大きいと言われます)を控えて、サバやイワシなど小魚中心を心がけましょう。
忘れてはならないのが、葉酸です。神経管閉鎖障害の発症リスクを減らすなどの働きがある葉酸ですが、食べ物から十分に摂るのは難しいので、妊娠前からサプリメントで摂取するのが理想です。
厚生労働省は、妊娠1ヶ月以上前から妊娠3ヶ月までの間、葉酸を摂取することを推奨しています。妊娠中も飲んで安心な葉酸サプリメントは、たくさん市販されています。今まで飲んできた人もそうでない人も、妊娠初期から積極的に摂取してください。
妊娠検査薬で確認ができるのはいつから?
妊娠検査薬は、自分で妊娠を確認できる、とても頼りになるアイテムです。
確認できるタイミングを理解して、正しい結果が得られるようにしましょう。
使えるのは生理予定日の1週間後から
妊娠した場合、排卵日から2週間を過ぎれば陽性反応がでます。つまり生理予定日の1週間後くらいから使えます。
基礎体温をつけている人なら、高温期が2週間続いたら検査が可能です。
ちなみに妊娠した場合、一般的に最後の性交渉から2週間後が妊娠4週(本来の生理予定日)、3週間後が妊娠5週です。3週間たっても「生理がこない」というときは、妊娠の可能性があります。
フライングは意味がない
「早く結果を知りたいから」といって、フライングしても意味はありません。たとえ妊娠していても、検査する時期が早すぎると陽性反応は出ないのです。フライングで「陰性だったから」と早合点してうっかり薬などを飲んでしまい、あとで妊娠がわかって不安になったという例もあります。判定可能な時期を理解して使用しましょう。
生理不順な人はどうする?
何度も検査するしかありません。「そろそろ生理かな?でもこない」という時は、いちど検査薬を試してみましょう。もし陰性なら、1週間後に再び検査を。。それでも陰性でさらに1週間生理がこない場合(つまり生理が2週間以上遅れている場合)は、何か他の原因があるかもしれないので、いちど婦人科を受診しましょう。
どの妊娠検査薬でも大きな違いはない
妊娠検査薬にはいろいろな種類がありますが、品質に大きな違いはありません。正確さと価格が比例しているわけではなく、どれも信頼できます。自分が使いやすいもの、入手しやすいもので大丈夫です。
病院にいくのはいつから?
陽性反応が出たらすぐに受診を
妊娠検査薬で陽性反応がでたら、とにかくすぐに受診するのがベター。地域によっては、その時点で手続きをしないと、分娩予約がとれないところがあります。
病院だと検査薬より早く結果がわかる?
妊娠検査薬で陰性だったのに、「早く結果が知りたいから」と思って病院に行っても、それ以上の結果がわかるというものではありません。病院でも、行う検査は同じです。エコーで胎児が確認できるより、妊娠検査薬で陽性反応が出るほうが早いのです。
陽性反応でもエコーに映らないことも
妊娠4週6日を過ぎたら、エコー(超音波検査)で胎嚢(妊娠の袋)が見えるといわれます。ですから、早めに陽性反応が出た場合(例えば4週入ってすぐに検査した場合など)は、エコーで確認できないかもしれません。それでもすでに述べたように、わかった時点でいちど受診してもらうと安心です。
妊娠したら準備しなければならないことは?
<手続き編>
病院に行って妊娠が確定したら、手続きすべきことがいくつかあります。
母子健康手帳(母子手帳)をもらう
母子手帳は、妊娠中の母子の健康状態はもちろん、出産後も子どもが6歳になるまでの予防接種や検診の結果など、大切な情報を記録します。
母子手帳は、市町村役所か保健センターで交付されます。手続きの際は「妊娠届出書」が必要ですが、これは病院でもらう場合や各自で用意する場合があるので、事前に確認が必要です。
なお、母子手帳の交付といっしょに「妊婦健康診査受診票」がもらえます。これを使えば、妊婦健診に公費補助が受けられるので、母子手帳とともに大切に保管しましょう。
勤務先で産休・育休の手続きをする
妊娠前から仕事をしている場合、「産前産後休暇(産休)」と「育児休業(育休)」の申請が利用できます。
産前産後休暇は、出産予定日の6週間以内(双子以上の多胎妊娠は14週間以内)、出産後8週間の「産後休暇」の2つが取得可能です。産休時は給料はなしという会社がほとんどですが、そのかわりに会社員や公務員として働いていれば、健康保険組合や共済組合から支給される「出産手当金」が支給されます。ちなみに国民健康保険では支給されません。
また育休は、勤続1年以上であれば子どもが基本1歳になるまで休業できるという制度です。これまでも、保育園が定員オーバーで入所待ちだったり、配偶者が病気であったりなどの「特別な事情」があれば1歳6ヶ月まで取得できることになっていましたが、2017年10月より、1歳6ヶ月の時点で保育園が見つからないなどの事情が続いていれば、延長されることになりました(最長2年まで)。さらに雇用保険の加入状況や勤務状況の条件をクリアすれば、育児休業給付金がもらえる場合もあります。
他にも会社ごとに独自の制度を決めているところもあるので、手続き方法なども含めて、まずは妊娠の届け出とともに、勤務先に問い合わせておきましょう。最近は、夫も産休・育休がとれる会社もあります。
出産育児一時金の確認
出産育児一時金とは、赤ちゃん1人につき42万円が健康保険から支払われる制度のことです。妊娠・出産はなにかと出費が多いので、この制度はとても助かります。出産育児一時金をもらうためには、
- 「国民健康保険」または「健康保険」に加入していること
- 妊娠85日以上(妊娠4ヶ月以上)で出産していること
の2つの条件をクリアしていればOK。病院の窓口で入院費用と一時金の差額を支払うだけですむので、経済的な負担が減ってとても助かります。
特にこちらから手続きする必要ありませんが、条件を満たしているか、念のために確認しておきましょう。
妊娠したら準備しなければならないことは?
<買い物編>
すぐ必要なものは意外とない?でも気になるなら…
妊娠してすぐは、急いで買い揃えるものは特にありません。
でも下着の締め付けが気になる人は、マタニティ用のショーツやブラジャーを購入すると快適に過ごせます。
マタニティウェアも、すぐに必要になるものではありません。できるだけゆったりとした服を選べば、妊娠初期は乗り越えられます。
便利なのが、アジャスターバンド。手持ちのスカートやパンツも、これがあれば簡単にウエストが緩められ、少しならお腹が大きくなってきても着用できます。
清水先生もずっとこれを愛用していたそう。そのうちお腹が大きくなって、いよいよアジャスターバンドで追いつかなくなったら、マタニティ用のパンツやスカートを購入したとのことです。
妊娠したらパートナーに気をつけてもらいたいこと
パートナーは気づいていないだけ!?
妊娠中は、「私はこんなにガマンしているのに、どうしてわかってくれないの?」などとパートナーにイライラをぶつけたくなることは、たくさんあるでしょう。でもパートナーにしてみれば、決して悪気があるわけではなく、単に「気づいていない」ことが多いものなのです。
たとえば家事を手伝う、重い荷物は率先して持つなどはわかりやすいのですが、妊婦さんのように自分の体が変化しているわけではないので、つい普段どおりのことをしてしまいがち。そのとき「どうしてわからないのッ」とストレスをぶつけるのではなく、「言わないとわからないのね」と割り切り、落ち着いて相談しましょう。
パートナーが気づきにくいことを、いくつかピックアップしておきます。「気づいていない」ことに気づけば、自分もイライラせずにすみますね。
可能なら一緒に禁酒してもらう
妊娠するとお酒が飲めないのに、目の前でいつも通りにおいしそうに晩酌されるとイラっとくることもありますよね「できれば一緒に禁酒してくれると嬉しいのだけれど」などと言ってみましょう。お酒は一切禁止!となるとパートナーも辛いでしょうから、「飲むなら外で飲んでね」と言ってあげられるといいですね。
匂いの強いソープやコロンは控えてもらう
妊娠初期は、匂いにも敏感になるものです。今まで平気だった匂いでも、突然気持ちが悪くなることも。ただ、パートナーにすればいつも通りのコロンやソープを使っているだけなので、ちゃんと言わないとわかってもらいにくいですね。「好きだった匂いが急に気になるのも、つわりの一つ」と伝えて、しばらく控えるようにしてもらいましょう。
セックスは控える
妊娠したらセックスしたくなくなるのは、よくあることです。これは、妊娠したら女性は胎児を守るために「セックスしたくないモード」になる、一種の防御反応、いわば女性の本能なのです。
母体と赤ちゃんのことを考えると、基本的に妊娠中はセックスを控えてほしいというのが私の考えです。「決してあなたのことが嫌いになったわけではなくて、女性の本能のようなもの」と伝えれば、傷つけずに理解してもらえるのではないでしょうか。そしてできるだけセックス以外の方法でコミュニケーションをとるようにしましょう。
もしセックスする場合は感染予防のためにコンドームは必ず使ってください。
お互いに思いやる気持ちを大切に
妊娠すると体も心も大きく変化して、気持ちが落ち着かないことが多くなります。幸せなことではある一方、仕事は?これからのライフスタイルはどなるの?などと、不安でいっぱいになるもの。でも、辛い気持を感情的にぶつけているだけでは、お互いにストレスがたまってよけいにこじれてしまいます。彼も経済的なことや将来設計など、女性とはまた違った見方で考えているはず。もしかすると彼も「どうしてわかってくれない?」と思っているかもしれません。
自分だけが辛いわけじゃない。相手も悩みや不安を抱えているんだと考え、ゆっくり時間をかけて、今の気持ちや将来のことを話し合ってみましょう。
まだ妊娠がわかったばかり。二人だけの時間を大切に過ごしながら、出産の日を迎えられるといいですね。
生理が遅れる、高温が続いてなんとなくだるい、などの「妊娠初期症状」は、妊活中なら誰もが気になるところ。予定日1週間を過ぎても生理がこない場合は、妊娠検査薬で反応を確認できます。たとえ陰性でも、生理が2週間遅れたらいちど婦人科を受診するほうがベター。妊娠していても、検査が早すぎると陽性反応が出ないので、フライングには注意を。陽性がでたら、すぐに受診しましょう。早めだとエコーで胎児の反応がない場合がありますが、医師の診察は受けたほうが安心です。妊娠が確定したら、まずは母子手帳の交付手続きを。仕事をしているなら、会社に妊娠を報告して、産休・育休について確認しておきます。体調の変化で、体の締め付けが気になるならマタニティ用の下着があるといいですが、あとは早急に揃えるものは特にありません。妊娠すると体の変化とともに気持ちが落ち着かないことも多いのですが、不安な気持ちを互いに相談しながら、マタニティ生活を送りましょう。
監修/ポートサイド女性総合クリニック ビバリータ 清水なほみ先生
update : 2018.07.03
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