妊娠7ヶ月(妊娠24週、25週、26週、27週)の胎児と母体の状態
妊娠7ヶ月に入ると、赤ちゃんの感覚器官の発達がスピードアップ! パパやママが話しかける声が聞こえるようになったり、甘味と苦味の区別がついてきたり……。ママは大きくなった子宮に胸苦しさを覚えたり、妊娠線が気になり始めたりするころ。できるだけ快適に過ごせるように、さまざまな方法を試してみましょう。妊娠7ヶ月の胎児の様子、ママの状態をご紹介します。
監修者プロフィール
島岡昌幸
島岡医院(京都市南区)院長
「母と子がハッピーになってほしい」と願い、専門の周産期医療はもとより、育児や子どもの皮膚のことなど、日夜勉強を重ねている。母と子が集い学び楽しむ「親育ち、子育ち」の場も多数企画。1970年関西医科大学医学部卒業。同大学附属病院産科主任、大阪府済生会泉尾病院産婦人科医長、奈良東生駒病院初代院長を経て、1983年、島岡医院院長。
妊娠7ヶ月(妊娠24週、25週、26週、27週)の
胎児の様子
妊娠24週:羊水の海で、胎位を変えて遊泳中
妊娠24週0日の胎児の大きさ/体重461g~859g(*)
ますます活発に動いている胎児。胎児の姿勢を「胎位(たいい)」といい、頭を下にした姿勢を「頭位」、頭が上になっている姿勢を「骨盤位」といいます。赤ちゃんは頭位でいることが多いのですが、くるくる動いているうちに骨盤位になることもあります。
このころは子宮の容積に余裕があって、羊水量と赤ちゃんの体の大きさとのバランスもよく、自由に姿勢を変えられるのです。妊娠32週(妊娠9ヶ月)頃には、頭位に落ち着いてくるでしょう。
妊娠25週:超音波写真で見る脚もたくましく
妊娠25週5日の超音波写真です。
妊娠25週:聴覚の発達が完成に近づく
妊娠25週0日の胎児の大きさ/体重546g~996g(*)
聴覚の発達は完成に近づきます。胎児の耳にまず届くのが、母体の中に響いている音です。子宮の壁ごしに、血管を流れる血液の音やママの声のリズム、それに抑揚のパターンなどを聞いて記憶します。
誕生後、泣いている赤ちゃんにママが抱いて語りかけたり、ザザーッという波の音を聞かせたりすると泣きやむことが多いのは、聞き慣れたママの声や、血液の流れる音に似た波の音のおかげで安心できるからです。
また、胎児は高音のほうが聞き取りやすいので、パートナーが話しかけるときは、少し声を高くするといいでしょう。ママのおなかに口を寄せて話しかけると、より声が届きやすくなります。赤ちゃんが胎動で応えたら、「パパ、聞こえたよ!」のサインかも…。
妊娠26週:味覚、嗅覚が発達する
妊娠26週0日の胎児の大きさ/体重639g~1144g(*)
味覚が発達して甘味や苦味の区別ができるようになります。味覚には甘味、酸味、塩味、苦味、旨味があって、味覚を感じるセンサー、味蕾(みらい)は主に舌にあります。
嗅覚も発達してきます。赤ちゃんは誕生直後に、ママの乳房が発散するフェロモンのにおいに誘われて、乳首へ口を寄せ、おっぱいを飲もうとします。このにおいは子宮の中で赤ちゃんが慣れ親しんだ羊水のにおいに似ているといわれています。
また生まれた赤ちゃんは、自分のママのおっぱいのにおいを他のママのにおいと区別する力を持っているとも。胎児のころから、おっぱいを探す能力を身につけているのですね。
赤ちゃんは甘味が好き、って本当?
本当です! 有名な実験があります。羊水にリピオドールという苦い液体を注入したところ、胎児が羊水を飲みこむ回数は減少。甘いサッカリンを注入したら、飲み込む回数が増えたそうです。
赤ちゃんが甘味を好み、苦味を嫌うのは、命を守るために自然に備わった力! 甘い食べ物は体を大きくする糖分がある…、苦い食べ物は毒物や腐敗物の可能性がある…と、区別しているのです。
妊娠27週:視覚が発達!明暗がわかる?
妊娠27週0日の胎児の大きさ/体重742g~1304g(*)
胎児の五感の中で一番ゆっくり発達するのが視覚ですが、妊娠27週ごろになると、光の明暗を感じるようになります。母体の子宮とお腹の壁ごしに、外界の光を「明るい」と感じるとき、活躍するのがメラトニンというホルモンです。
母体の脳の中で分泌されたメラトニンは、胎盤経由で赤ちゃんの血液の中に入り、赤ちゃんの脳に届きます。赤ちゃんはメラトニンと脳の協同作業のお蔭で、外界の明暗を感じるようになります。これは、私たちが体内にもつ「生物時計」の発達の第一歩! 睡眠と覚醒、昼と夜の区別、あるいは1日24時間のリズムなどが発達する基本ともいえるのです。
妊娠7ヶ月のママの体調
大きくなった子宮が胃を圧迫する
妊娠7ヶ月になると、子宮はかなり大きくなります。子宮底(子宮の一番上の部分)は、おへその上まで届き、子宮底長(恥骨結合から子宮底までの長さ)は、妊娠7ヶ月の終わり(妊娠27週)ごろには、約22~26cmになります。
大きくなった子宮は、内臓を圧迫しはじめます。子宮が胃を圧迫すると胸がつかえたような感じになって、1回に食べられる量が減ることもあります。でも、これはとても理にかなったこと。妊娠7ヶ月の終わりごろから急に食欲が出てくるママも多いのですが、食欲があるわりには胃がつかえて1回に食べられる量が減るので、食べすぎを防ぐことができます!
シムスの姿勢で寝てみよう
妊娠前と同じ姿勢で眠ると、息苦しくなったり、眠りが浅くなったりすることがあります。妊娠7~8ヶ月ごろには、母体の心拍数がピークになるので、動悸がして熟睡しにくいことも。
あお向けに寝ると、低血圧になることもあります。これは仰臥位(ぎょうがい)低血圧症候群といって、大きくなった子宮が下大静脈を圧迫して、心臓に戻る血液の流れが滞るためです。
あお向け寝が苦しいと感じたら、姿勢を変えてみましょう。体の左側を下にして横向きに寝る「シムスの姿勢」のほか、おなかやひざの下にクッションを挟んでもいいでしょう。自分なりに一番眠りやすく楽な姿勢を工夫しましょう。
おなかや乳房に妊娠線ができることも
おなかの皮膚に赤いミミズ腫れのような筋ができるのが、妊娠線です。乳房や太ももなどにできることもあります。妊娠線は、皮下脂肪が増えるのにともない、表面の皮膚が急に引き伸ばされてできた皮膚の断裂です。一度できてしまった妊娠線は完全には消えないので、予防が大切です。急に皮下脂肪が増えたり、皮膚が乾燥したりするとできやすくなるので、注意しましょう。
妊娠線を予防するには
- 食べ過ぎて一気に太らないようにする
- 保湿効果のあるローションやクリームを塗る
(手のひらにたっぷりとって肌になじませる。マッサージの必要はない) - 厚着や熱いお風呂に長く入るなどは控える
(温めすぎると皮脂を落として乾燥肌につながるため)
妊娠7ヶ月のママがしたほうがいいこと、
注意するべきこと
まめに体を動かして体重増加をセーブ
体重管理の基本はとてもシンプルです。「食べたら動く。食べすぎたら、たくさん体を動かす!」。摂取したカロリーは早めに消費して、脂肪貯金を作らないことです。
医師の許可が出ていたら、ヨガやピラティス、スイミングなど、妊婦の体に配慮したマタニティエクササイズもいいですね。誰でも簡単にできるのは、早足ウォーキングです。適切な運動には、お産のときに使う骨盤底筋群(自転車に乗るときサドルに当たる三角形の股の部分)が鍛えられるメリットもあります。
過ごしやすい環境をつくろう
体内を循環する血液量が増えるので、体温が高くなり、汗をかきやすくなります。夏はもちろん冬も厚着をしたり、室温を上げすぎたりすると、不快になりがちです。夏は冷房をうまく使い、冬は暖房のしすぎに気をつけましょう。
冬の寒さ対策や冷え性のママは、上手に保温を。でも、保温目的で妊婦帯やコルセットをするのは控えましょう。おなかをしめつけ、太い血管の血行を低下させる心配があります。保温には手足と首を温めるのがコツ。ソックスや手袋、スカーフなどをうまく使いましょう。
パートナーと赤ちゃんの絆づくりを
マタニティライフも半分以上が過ぎて、出産のこと、「母」になること、赤ちゃんのいる暮らしなどが現実みを帯びてきます。でも、ママと比べると現実感が薄いのが、パートナー! 性差があるので仕方ないのですが、「父になる自覚」を促す意味でも、パートナーが赤ちゃんとコミュニケーションを持つ工夫をしましょう。
胎動は、おなかの赤ちゃんからの呼びかけです。グニュッとおなかが突き出て、赤ちゃんの足の形を感じることもありますね。そんなときはパートナーに触らせてあげて! エコー写真とは違う実感がもてるでしょう。
赤ちゃんに胎名をつけて、いっしょに呼び掛けたり、いっしょに名づけを考えたりして、赤ちゃんへの愛情をともに育みましょう。
シングルママは、ひとり親家庭支援を利用しよう
シングルで出産・育児するママ。たいへんなことも多いでしょうが、多くのサポートを得て、子育てしていきましょう。厚生労働省も「ひとり親家庭支援事業」に力を入れてきています。
ひとり親家庭には、さまざまな支援があります。児童扶養手当、教育訓練や資格取得のための給付金、資金の貸付、医療費助成などの経済的な支援もあります。また養育費のこと、住宅のこと、仕事のことなど、さまざまな問題について相談できる窓口もあります。
産後は育児に追われてなかなか時間がとれませんから、今のうちに、どんなサポートが受けられるのか、自治体のホームページで確認したり、相談窓口に出向いたりして、情報を収集しましょう。
赤ちゃんのいる暮らしをシミュレーション
妊娠7ヶ月が終わりころになると、おなかもかなり大きくなってフットワークが低下しがち。でも、そろそろ赤ちゃんを迎える準備を整えていきましょう。
とくにママが仕事をもっている場合は、産休や育休のスケジュール、パートナーの育休、保育園への入所申込など、具体的にシミュレーションしましょう。またどんな「子育て支援」が利用できるのか、自治体のホームページや窓口で、情報収集しましょう。
update : 2018.04.16
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