妊娠12週。胎児の様子は？妊婦に起こりやすいことは？

胎児は自分が育つために必要な物は、自分で作る力をもっています。卵膜、羊水、胎盤、臍帯（さいたい）です。これらをまとめて胎児附属物といいますが、胎児は子宮内膜にくっついたときから、受精卵の一部を使って、これらを作り出すのです。神秘のパワーです。

妊娠12週は、胎盤が完成期に入る時期です。初めはまん丸い形ですが、徐々に楕円形へ変化します。妊娠12週の胎盤は長径が10cmくらい。完成する妊娠15～16週には14～15cmになります。胎児への栄養は初め母体の卵巣から届いていますが、胎盤完成と同時に胎盤経由になります。妊娠12～15週は栄養の道筋の移行期です。胎盤から栄養がとれるようになると、胎児の発達のスピードにも、勢いが出てきます。

妊娠中は、妊娠週数に応じて体重が増えていきます。出産予定日までの体重増加は、胎児増加分と母体増加分の合計です。胎児増加分の内訳は、胎児体重が約３kg、羊水や胎盤が約１～1.5kgで合わせて４～4.5kgです。母体は大きくなった子宮や増えた血液量、皮下脂肪などで、最低でも約４kgは増えます。合計すると妊娠中に増える体重は8～8.5kg！　意外に少ないのですね。

『至適体重増加量』という言葉を知っていますか？　出産予定日までに増える体重増加量の目標値です。数値は、妊娠前の体格によって違います。やせの人は多く、太りすぎの人は少なくなっています。やせすぎの人や太りすぎの人に起こりやすいトラブルを防ぐためです。

目標値は妊娠前のBMIから設定されます。妊娠前のBMIはわからないという人は、幸い妊娠12週まではほとんど体重が変わらない人が多いので、すぐにBMIを計算しましょう。

BMI　=　体重（kg）÷｛（身長（ｍ）×身長（ｍ）｝

最近は、スリムな体型を維持しようと、妊娠前からダイエットに励む女性が増えています。当然ながらBMIは低く、なかにはBMI16とかなりやせている人もいます。極端なやせの場合、体は慢性的な飢餓状態になっています。そのため、食べると急激に血糖値が上がる血糖値スパイクとなります。

母体が高血糖になると糖分が胎児に届き、出生体重4000g以上の巨大児や出生直後の低血糖につながる心配があります。かかりつけ医や保健所などの栄養相談を活用するなどして、栄養バランスのとれた食事を基本に、適正な体重管理を心がけていきましょう。