妊娠における超音波検査(エコー検査)のホントの目的とは?

おなかにいる赤ちゃんの姿を確認できるエコー、超音波検査。母親にとっては、赤ちゃんが大きくなっていく姿が目でわかるうれしい検査ですが、ドクターにとっては、あくまで診察。胎児の成長が順調かどうか、異常なところはないか、さまざまなことを確認しています。超音波検査では何がわかるの? どうしておなかの中が映るの? 2D、3D、カラードップラーって何? 超音波検査のいろいろなことを小川博康ドクターに聞きました。
監修者プロフィール
小川博康先生
小川クリニック院長
日本医科大学卒。同大学産婦人科学教室、私学共済下谷病院、恩賜財団母子愛育会愛育病院、横浜赤十字病院副部長などを経て、現職。子宮内胎児交換輸血、一絨毛膜双胎一児死亡例の選択的胎内手術など、世界で一例しか成功していない症例の主治医。優しくも、ときに厳しく本音で語るドクターとして信頼は厚い。主な著書に、『安産をめざすママ&パパへ 妊娠・出産カレンダー』『「安全神話」の過信が招く妊娠・出産の“落とし穴”』(ともに幻冬舎)。監修の『増補改訂版 てるてる天使の妊娠出産百科ハッピーマタニティ』(学研プラス)は、大人気のロングセラー。
楽しみな超音波検査。しかし、ドクターは真剣勝負!
妊婦健診でおなじみのエコー、超音波検査。おなかの赤ちゃんが、モノクロの線画となって、リアルな立体画像となってモニターに映し出され、母親の実感がムクムクとわいてきます。
35週。「パパ似?ママ似?」。3D画像では、顔立ちもわかって愛しさも増してきます。
それは、愛しいわが子の記念撮影――そんなふうに感じることもあるでしょう。
しかし、ドクターにとっては、真剣勝負。何かまずいことがないか?異常なことが起こっていないか?赤ちゃんは本当に元気か? と気を張り詰めてモニターを見つめる緊張の一瞬です。
超音波検査は、母親と赤ちゃんを守るための、とても重要な医療テクニックなのです。
超音波で、どうしておなかの中が映るのか?
超音波検査機器のしくみは魚群探知機と同じ。人間の耳には聞こえない高い周波数の音波が羊水というおなかの中の海を振動して伝わります。すると、魚ならぬ、おなかの赤ちゃんのからだや体液にぶつかって、はね返ってくる。そのはね返り方の違いを画像に再現するのです。
最新の超音波検査装置。経腹法、経腟法で、2D、3D、4D、カラードップラーなど、さまざまな方法を用いて診断する。
超音波検査には、いろいろな種類がある
経腟法(けいちつほう)
正確には、超音波断層検査と呼ばれる方法のひとつで、超音波を発する細長い棒状のプローブを腟の中に入れて、至近距離から子宮の中を観察します。画像が精密で細かい部分も観察できます。
経腟法で使われるプローブ。
赤ちゃんがまだ小さい妊娠初期は、母体に子宮筋腫や卵巣腫瘍がないかなどをチェック。妊娠4~5週目には胎児の入っている胎嚢(袋)が子宮内にあるか、6週目には胎児の心臓が動いているかを確認します。
8週目からは、胎児の頭や胴体などの識別もできるようになります。9~10週目には、赤ちゃんの大きさを測って、妊娠週数を計算しなおすことも。また、妊娠中期には、胎盤の位置や頸管無力症などの診断も行います。
妊娠10週。経腟法を用いた2D画像。頭を右にした胎児の姿が2つ。そう、双子ちゃんです。
経腹法(けいふくほう)
これも超音波断層法のひとつで、主に妊娠中期から分娩直前まで使われます。母体のおなかの上から器具を当てるので、痛みも抵抗もないのが利点です。また超音波源から離れた部分や、広い範囲が観察できます。
経腹法で使われるプローブ。
火を吐く赤ちゃん!? いいえ、羊水を吐き出しているところです。(経腹法 カラースローマッピング)
カラードップラー法
臍帯や赤ちゃんの心臓や腎臓、脳など、臓器ごとに血液の流れる量や速さを測定することができます。臍帯が赤ちゃんに巻きついているのもわかりますし、臍帯の血管の本数、心臓の形の異常などもわかります。赤ちゃんの状態を細部にわたって観察することができます。経腟、経腹のどちらでも、カラードップラー法を使って観察できます。
妊娠18週。経腟法のカラードップラーで血流を見ることで、心拍動の異常や臓器の異常も知ることができる。青や赤に写っている部分が、へその緒(臍帯)。左側の波は臍帯動脈波形。
3D法・4D法
3D、4Dで使われる立体超音波プローブ。おなかの上から当てる経腹法。
15週。経腹法による3D画像。頭、胴体、手足がはっきり。顔の前で手を合わせているように見えますね
3D法では、赤ちゃんの様子を立体画像で再現。4D法は、立体の赤ちゃんの動きを見ることができますが、基本的には3D法と変わりません。表面的な形態がはっきりわかって、リアルな赤ちゃんを見ることができます。成長するにつれ、顔立ちなどもはっきりとわかるので、妊婦健診では、とくにこの3D、4Dを見るのが楽しみ、という人が多いでしょう。
「パパ似?ママ似?」。臍帯が顔の前にかかっているのがわかります。
しかし3Dは、医学的には、赤ちゃんの体の中の臓器や元気さの確認などの診断はできません。経腟法や経腹法の2D画像、カラードップラー法などと合わせて診断します。
超音波検査機器は、産科医の聴診器
妊娠・出産は、いつの時代も命がけです。今日までは順調でも、明日どんなトラブルが起こるかわかりません。できる限りふだんから自分の体の状態を知って、トラブルを遠ざけるようにしなければいけません。それでも避けられない異常事態には、いち早く適切な対応をすることで、母と子の安全を守っていく――。
そのために、超音波検査(エコー検査)は、ぜひとも必要な診察方法なのです。
「超音波検査は産科医にとっての聴診器」という小川先生。しかし、公費負担で目安とされているのは、妊娠期間中に4回(自治体により異なる)ですが、経過をきめ細かくフォローしていくには、必ずしも充分ではありません。そこで健診のたびに、超音波検査を行うドクターも増えています。追加料金は自費になりますが、「よく診察するためなので、理解してほしい」と小川先生。
また最近は胎児観察を「胎児ドック」という名前で、別枠を組み、超音波検査を行なう病院も出てきています。
超音波写真を、安産のお守りにしよう!
超音波検査で、赤ちゃんが大きくなっていく姿や元気さを確認できる健診日。
「超音波写真をもらったら、すぐにアルバムなどに貼ってしまわずに、テレビの横や冷蔵庫など1日に何度も目にする場所に貼るといい」と小川先生。
この写真こそ、自分の体の中で、赤ちゃんが育っていることの証。
「ときに油断したり、ムチャをしそうになったときも、この超音波写真を見れば、そうだ赤ちゃんが育っているんだ、と再確認できます。安産の"お守り"にしてください」
チョーオンパ私の「ギモン&ナットク」体験
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「ピクピク心臓が動くのを見て感動!中絶を思いとどまりました」
さやか 22歳 妊娠4ヶ月
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「私の夫は、超音波写真をパウチしてカードケースに入れて持ち歩いています」
AIKO 25歳 妊娠3ヶ月
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「この前、うちの両親が遊びに来たときに4Dエコー試写会上映! 初孫のお父さんたら、泣いてるの」
めぐみ 28歳 妊娠7ヶ月
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「この前3Dを見せてもらったんだけど、なんとなんとうちの子、笑ったのよ、にーって! ほんと、ほんとよー!」
優子 30歳 妊娠9ヶ月
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「うちの病院は4Dくれないの。なんでなの?・・・・・・」
カオル子 25歳 妊娠6ヶ月
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「超音波で胞状奇胎とわかって・・・・・・。泣く泣く諦めました」
希 28歳
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「はじめて腟に超音波の棒を入れられて、大緊張。肩の力を抜いて深呼吸したら、あー、よかった。だいじょうぶでした」
飛鳥 23歳 妊娠3ヶ月
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「私の産院では4Dを2000円でくれます。ただのところもあると聞くけど、なぜ?」
さやかママ 28歳 妊娠5ヶ月
監修:小川博康先生(小川クリニック院長)
取材協力:小川クリニック(神奈川県横浜市戸塚区)
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release : 2020.06.22
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