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妊娠中のトキソプラズマ感染 症状と検査、対策について

トキソプラズマは多くの動物や鳥が持っている寄生虫の一種で人にも感染します。感染しても、大人であればほとんど症状は出ません。でも、妊娠中に初めて感染すると、胎児が先天性トキソプラズマ症を発症する心配があります。「ネコが感染源と聞くけど飼っていて大丈夫?」「生肉を食べてしまった! どうしよう」などと不安を抱えないように、トキソプラズマ感染の原因や症状、検査、予防法などを知っておきましょう。

監修者プロフィール

久保隆彦先生

シロタ産婦人科名誉院長、医学博士。

岡山大学医学部卒業後、聖隷浜松病院NICU、高知医科大学助教授、国立大蔵病院産科医長、国立成育医療センター産科医長を経て現職。専門は、周産期医学、胎児・新生児学、妊産褥婦のメンタルヘルス。作成したガイドラインは、「産科危機的出血の対応ガイドライン」、「産科危機的出血への対応指針2017」、「産科危機的出血に対するIVR施行医のためのガイドライン2012」、「産科危機的出血に対するIVR施行医のためのガイドライン2017」、「早期母子接触の留意点」、「CRS診療マニュアル」。評価したガイドラインは、「産婦人科診療ガイドライン産科編2008」、「産婦人科診療ガイドライン産科編2011」。

トキソプラズマとは?

正式名は「トキソプラズマ原虫(Toxoplasma gondii)」といって、多くの動物や鳥が持っている寄生虫の一種です。動物(特に猫)の体内や排泄物、土の中などにいることがあり、人にも感染します。

日本の場合、妊婦健診の検査で過去に感染した証拠となる抗体陽性に出る人は7%程度(*1)。しかし、欧米、特にフランスでの陽性率は高く、生肉や生ハム、サラミなどのお肉をよく食べるなどの食生活が関係しているといわれています。

トキソプラズマ感染の症状は?

トキソプラズマに感染しても、大人であれば、たいていの人は免疫が働いて、症状はほとんど出ません。症状が出たとしても、次のような風邪に似た軽い症状です。

  • リンパ腺が腫れると
  • 熱が出る…など

しかし、胎児は違います。確率は低いのですが、妊娠中に母親が初めてトキソプラズマに感染し、母体から胎児に感染すると「先天性トキソプラズマ症」を発症する心配があります。詳しくは、後述します。

トキソプラズマ感染の原因

トキソプラズマの主な感染ルートには、次のようなものがあります。

□ペット(とくにネコ)の世話

野良ネコや、外に自由に出しているネコからの感染率は、家ネコよりも高いので注意すること。

□ガーデニング・土いじり

トキソプラズマに感染した野良ネコなどが、庭の土や砂場等に糞をしていた場合、土いじり後の手洗いが不十分であれば口から入り込む可能性がある。

□生肉やレアステーキ、生ハム、サラミ、フレッシュチーズなどの摂取

こうした場所や食物にトキソプラズマ原虫が必ずいるわけではありませんが、トキソプラズマへの免疫(抗体)を持っていない妊婦は、気をつけましょう。

胎児への影響は?

妊娠中にトキソプラズマに初感染したとしても、必ず胎児に感染するわけではありません。また、胎児に感染しても、胎児が先天性トキソプラズマ症を発症するとは限りません。

胎児への感染率と胎児に先天性トキソプラズマ症の症状が出るリスクは、妊娠中のどの時期に初感染したかによって、違います。

■感染時期と胎児への感染率、先天性トキソプラズマ症発症リスク

妊娠週数 胎児への感染率 症状出現リスク
妊娠初期 6% 61%
妊娠中期 40% 25%
妊娠後期 72% 9%
  • 2の文献を参考に作成

妊婦トキソプラズマ感染が最も多いフランスでの調査結果を参考にした数字ですが、これを見ると、妊娠初期の胎児への感染率は低く、中期~後期と進むうちに胎児への感染率はどんどん高くなっています。

しかし、胎児に症状が出るリスクは、妊娠初期ほど高く、中期~後期へと進むうちに低くなっています。妊娠後期になると、感染しても症状がまったく出ない不顕性感染ですむことも多くなります。

日本の場合、胎児が先天性トキソプラズマ症を発症する割合は1万出生で1.26人、100万人の赤ちゃんが誕生したとすると126人の赤ちゃんが先天性トキソプラズマ症に感染しますが、そのうち、症状を伴っている赤ちゃんは約10%、13人と推測されます。(*3)

先天性トキソプラズマ症の赤ちゃんの症状

先天性トキソプラズマ症を発症した赤ちゃんには、次のような症状が起こることがあります。

  • 運動発達の遅れ
  • 精神発達の遅れ
  • 脳性麻痺
  • 視力障害
  • 流産、死産

こうした症状は、早期発見と治療によって、重症ケースを減らす可能性も報告されています。

妊娠中のトキソプラズマ検査方法

妊婦全員が受ける検査ではありませんが、検査を勧める病院もあります。また、妊婦が希望すれば、どの病院でも検査は受けられます。妊娠中の検査時期や方法、検査内容は次の通りです。ただし、評価が難しく、専門家の判断が大切です。

  • 検査時期:妊娠初期(4~12週)
  • 検査方法:血液検査
  • 検査内容:トキソプラズマ抗体(IgG,IgM)の有無を調べる。
  • 検査結果:基準値:IgG抗体陰性(-)は未感染であり、妊娠中の感染に留意する。

IgG抗体陽性は過去の感染を意味しますが、感染時期は特定できません。IgM抗体陽性は最近の感染の可能性はありますが、断定はできず、さらなる検査が必要。

  • 母子健康手帳への記入例:トキソプラズマIgG,IgM抗体検査:陰性あるいは陽性

検査の結果、IgG抗体(免疫)があれば、「陽性=トキソプラズマにこれまでに感染している」ということ。「IgG抗体陰性」であれば妊娠中にトキソプラズマに感染する可能性があるので、後述する対策を取る必要があります。

ただし、母子感染が心配なのは「妊娠中の初感染」なので、IgG抗体「陽性」と出ても、妊娠する前に感染していた、というのであれば心配ありません。

「IgM抗体が陰性」ならば、妊娠前の感染なので心配いりません。

「IgM抗体が陽性」と出たら、「最近の感染=妊娠後の感染」なのか、「古い感染=妊娠前の感染」なのかを推測するため、「IgGアビデティー検査」を行います。この検査で最近の感染かどうかがおおよそ分かることもありますが、確実で断定的な検査ではありません。このような場合にはトキソプラズマ母子感染の専門家に相談しましょう。

トキソプラズマ検査では、抗体を獲得した時期が、妊娠前なのか後なのかを判定するのは非常に困難で確実ではありません。そのため、「陽性」と診断されても安心と不安が交錯してしまうことがあります。

一方で「陰性」と出たとしても、今度は感染しないように生活の注意が必要になってくる――。「どちらの結果が出ても心配」というのが、やっかいなのです。

妊娠中のトキソプラズマ感染の治療法は?

妊娠中に初めてトキソプラズマに感染した場合、または感染が強く疑われる場合には、胎児への感染を防ぐために、アセチルスピラマイシンという薬を飲みます。

この薬で胎児への感染を完全に防ぐことはできませんが、もし、胎児に先天性トキソプラズマ症が起こった場合、重症化を防ぐという報告もあります。アセチルスピラマイシンは胎児への危険性は特にはありません。

妊娠中のトキソプラズマ感染の予防法は?

まずは、主な感染ルートに注意すること。食ベ物やペット(ネコ)の世話、土いじり(野良ネコの糞)に、気をつけましょう。

  • 肉料理は十分に加熱して食べる。
  • 果物や野菜は調理前に十分に洗う。
  • 生の肉や生野菜などに触れたあとは、手をよく洗う。
  • ガーデニングや畑仕事はマスク、手袋を使い、終わったあとは手をよく洗う。
  • ネコの排泄物処理は手袋を使い、終わったあとは手をよく洗う。

生肉・生ハム・サラミ、またネコのフンや土の中に、トキソプラズマが必ずいるというわけではありませんし、生肉や半生の肉を食べたとしても、その肉にトキソプラズマが含まれていなければ感染の心配はありません。しかし、トキソプラズマがいたかどうか、確かめる方法はありません。

ですから、よけいな不安を抱えないためにも、妊娠中に生肉や半生の肉類を食べるのは控えましょう。生肉を1回食べて感染する可能性はとても低いですが、絶対に感染していないとはいえません。うっかり食べてしまって、どうしても心配なら、医師に相談してください。再度、検査することはできます。

抗体ができるまでには約2週間かかるので、検査は生肉(半生の肉)食べてから2~3週間後に受けることになるでしょう。

赤ちゃんとお母さんの感染予防対策5ヶ条

「母親から感染して、赤ちゃんに病気を引き起こす感染症は、トキソプラズマだけではありません。風疹ウイルス、サイトメガロウイルス、B型肝炎ウイルスなどにも注意しないといけません。こうした感染症を予防するための対策として、『赤ちゃんとお母さんの感染予防対策5ヶ条』を作りました。ぜひ、実行してください」

正しい知識と行動で、妊娠ライフを楽しみましょう!

赤ちゃんとお母さんの感染予防対策5ヶ条

  1. 妊娠中は家族、産後は自分にワクチンで予防しましょう!

    風疹、麻疹、水痘、おたふくかぜは、ワクチンで予防できます。(注1)ただし、妊娠中 はワクチンを接種できません。特に風疹は、妊娠中に感染すると、胎児に先天性風疹症 候群を起こすことがあります。そこで、妊婦健診で、風疹抗体を持っていない、あるい は抗体の値が低い(注 2.3)場合は、同居の家族に麻しん風しん混合ワクチン(MRワクチン)を接種してもらいましょう(注 4)。

    注1:妊娠中でもインフルエンザ不活化ワクチンは安全かつ有効とされています 注2:HI 法で 16 倍以下、EIA 法で 8 IU/ml 未満 注3:妊娠中の麻疹、水痘、おたふくかぜの感染の赤ちゃんへの影響はまだ分かっていません。妊娠 前や産後に抗体を検査し、抗体を持っていない、または抗体の値が低いときは、ワクチンを接種 することで感染を予防できます 注 4:MR ワクチンが推奨されるのは、麻疹に感染すると流早産の可能性があり、しかも若年成人の 麻疹抗体保有率が低いためです。

  2. 手をよく洗いましょう!

    手洗いは感染予防に重要です。特に、食事の前にしっかり洗いましょう。 調理時に生肉を扱う時、ガーデニングをする時、動物(猫など)の糞を処理する時などは、使い捨て手袋を着けるか、その後、丁寧に手を洗いましょう。

  3. 体液に注意!

    尿、だ液、体液などには感染の原因となる微生物が含まれることがあります。 ご自分のお子さんのおむつでも使い捨ての手袋を着けて処理するか、その後で、丁寧に手を洗いましょう。また、家族でも歯ブラシ等は共有せず、食べ物の口移しはやめましょう。妊娠中の性生活ではコンドームを着用し、オーラルセックスは避けましょう。

  4. しっかり加熱したものを食べましょう!

    生肉(火を十分に通していない肉)、生ハム、サラミ、加熱していないチーズなどは感染の原因となる微生物が含まれることがあります。妊娠中は食べないようにしましょう。 生野菜はしっかり洗いましょう。

  5. 人ごみは避けましょう!

    風疹、インフルエンザなどの飛沫で感染する病気が流行している時は、人ごみは避け、 外出時にはマスクを着用しましょう。 子どもはいろいろな感染症にかかりやすく、子どもを介して感染する病気もあります。 特に熱や発疹のある子どもには注意しましょう。

妊娠中のトキソプラズマ検査Q&A

最初の検査で、「陰性」と出たのですが、どうしたらいいのですか?

検査した時点で感染していないので、もしかしたら今後、妊娠中に感染する可能性がある、ということです。母子感染の心配があるのは「妊娠中の初感染」なので、感染しないように気をつける必要があります。

おなかの赤ちゃんに感染しているかどうか、調べる方法はありますか?

妊娠中に胎児への感染を調べる方法としては、羊水検査があります(PCR法)。ただし、検査の精度は高くなく、トキソプラズマが検出されたとしても赤ちゃんへの感染、赤ちゃんの異常を証明するものではありません。羊水検査には流産のリスクもあります。医師やカウンセラー、家族ともよく相談して、判断してください。

生まれた赤ちゃんが先天性トキソプラズマ症かどうか、どうやって調べるのですか?

妊婦が妊娠中にトキソプラズマに初感染した可能性がある場合、産後、赤ちゃんの臍帯血でIgM抗体を調べます。IgM抗体が陽性の場合は、先天性トキソプラズマ症が疑われます。さらに、母体から赤ちゃんへの移行抗体が無くなる満1歳になったときに血液検査をして、IgG抗体が陽性なら、赤ちゃんが作った抗体といえるので、赤ちゃんは、先天性トキソプラズマ症と診断されます。しかし、感染していたからといって赤ちゃんに異常を起こすとは限りません。

トキソプラズマ陰性と言われたのですが、飼っているネコをどうしたらいいでしょう?

外に出したことがない家ネコなら、まず心配ありません。念のため、動物病院でトキソプラズマに感染しているかどうか、調べてもらうといいでしょう。

トキソプラズマ原虫は、フンを排出してから2~3日後に感染力を持つといわれていますから、ネコのトイレは毎日、清潔に保ちましょう。掃除はゴムやビニールの手袋をして、終わったらしっかり手を洗います。できれば、掃除は家族にしてもらいましょう。また、ネコとキスするなどの濃厚な接触は避けましょう。

参考文献

  • *1
    小島俊行、周産期学シンポジウム1999、18:9-19.
  • *2
    Dunn D.et al.:Mother-to-child transmission of toxoplasmosis:risk estimates for clonicalcounselling.Lancet 1999:353:1829-1833 PMID:10359407(Ⅱ)
  • *3
    Yamada H,et al,J Clin Microbiol 2011;49:2552-2556.

update : 2017.12.26

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