つわりで病院に受診する目安は?点滴の効果は?

つわりがつらいけれど、病院に行っていいのか迷うという人も多いようです。つわりはみんなが経験すること、いつか終わる、我慢するのが当たり前と考えがちです。でも、早目の治療でつわりから解放されることも多いもの。そして、つわりの治療で活躍するのが点滴! 受診の目安のほか、気になる点滴の中身や効果について、産婦人科医、島岡昌幸先生(京都市・島岡医院)にうかがいました。

監修者プロフィール

島岡医院(京都市南区)院長
島岡昌幸

「母と子がハッピーになってほしい」と願い、専門の周産期医療はもとより、育児や子どもの皮膚のことなど、日夜勉強を重ねている。母と子が集い学び楽しむ「親育ち、子育ち」の場も多数企画。1970年関西医科大学医学部卒業。同大学附属病院産科主任、大阪府済生会泉尾病院産婦人科医長、奈良東生駒病院初代院長を経て、1983年、島岡医院院長。

「重いつわり」で受診する目安は…

繰り返す嘔吐、体のだるさ、つらさ…が目安

今回取材した産婦人科の島岡先生は、「つわりで受診する目安は本人がつらいこと! 我慢せずに病院に行きしょう」といいます。合わせて「私の診療経験からですが…」と前置きして、具体的な目安を教えてくれました。

つわりで受診する目安

  • 食べると吐く、飲むと吐く
  • 湯気や臭いをきっかけに吐く
  • 体がだるくて何もする気にならない
  • 料理をするのは無理、お風呂に入るのも無理

こんな状態のほかに、脱水予防に経口補水液のOS-1(オーエスワン)を飲んで
OS-1がまずいと感じたら軽いつわり、おいしいと飲めるのは重いつわりといえますね」。

つわりは怖がらず、侮らず

島岡先生

医師は立場上、重症例や合併症を説明しますが、ほとんどの人は軽いつわりですし、つらい症状があっても長くは続きません。つわりをあまり怖がってほしくないのですが、侮ってもいけません。

つわりごときで診察を受けるなんて…などと思わずに早目に受診するように勧めています。

点滴は頼りになる治療法

点滴で栄養と水分補給

つわりが重く、体重減少や尿中のケトン体陽性など、脱水や栄養不足が心配なときは点滴治療を行います。目的は電解質のバランスを整えて脱水を治すこと、合わせてブドウ糖で栄養を補います。また、つわり症状の軽減に有効なビタミンB1・B6を加えます。ビタミンB1はウェルニッケ脳症の予防にもつながります。

島岡医院で使用している点滴。

点滴は、妊娠悪阻の予防にもつながる

点滴治療は妊娠悪阻の診断がついたときだけではありません。重いつわりと妊娠悪阻の境界線は必ずしもはっきりしませんし、重いつわりは妊娠悪阻に進む可能性があります。このため、点滴治療はつわり症状を軽くすることと妊娠悪阻の予防のために行われます。

入院が必要なのはどんなとき?

つわり対策をしてみても効果が少なく、投薬治療(小半夏加茯苓湯・ビタミンB6など)の効果がなく、外来での500~1000mlの点滴治療でも症状が改善されない場合、入院治療が必要となります。普通、点滴1袋には1日の基礎代謝で使うエネルギーの半分の量(561kcal)が含まれていますから、1日2袋の点滴を24時間態勢で行います。つわりは「赤ちゃんが育たないのでは?」などの不安感が症状を強めることもあり、入院治療はこれら精神的ストレスの解消にもつながります。

点滴と一緒に行う食事療法

吐かない食べ物と食べ方は?

島岡医院の場合、早い人なら3日ほどで症状は軽快しますが、食べられるようになるのが治療目的なので、入院期間は1週間から10日くらいだそうです。島岡医院での入院中の食事療法を教えてもらいました。皆さんもマネして実行してみてもいいですね。

献立は、朝食は小さい塩にぎり2つ、食パンを4つに切った小さいサンドイッチ2つ、焼き芋小口切りをひと切れです。お昼までに食べられるものを食べられるだけ食べてみてくださいとアドバイスします。

胃の滞留時間が短いパンは吐きやすいけれど食べやすく、おにぎりは吐きにくいけれど食べにくいようです。焼き芋はほぼ全員が食べられる優等生! そして、吐き気が強いうちはおにぎりが残り、吐き気が収まるとサンドイッチが残るようになります。

大事なのは、好んで食べていて、でも吐いていた食品は避けること! その代表格は、果物です。食べやすいけれど、吐きやすい。果物が吐き気の原因になっていることは、意外に多いのです。

この献立が食べられるようになったら、入院患者用の普通食を初めは3分の1量、次に2分の1量にチャレンジしてもらい、食べられるようになったら退院です。

Dr.島岡「つわりも家族もラクになる入院」

体重減少や脈拍の増加、微熱、尿中のケトン体陽性など脱水症状が疑われる場合は、外来での投薬や点滴治療が必要と思います。一日500mlの点滴でラクになる人は、たくさんいます。

それでも日常生活を過ごすのが困難だと、妊婦さん自身だけでなくおなかの赤ちゃんや家族のためにも入院治療がお勧めの場合もあります。率直に家庭や仕事の環境を打ち明け、相談するといいでしょう。

入院なんてとんでもない。夫の食事を作らないといけないし、上の子の面倒をみないといけない…。つわりを我慢する理由はいろいろですが、家族は「そんなにつらいなら入院して治したほうがいい」と思っているかもしれません。やさしいご主人、お姑さんほど、入院を口にしたら冷たいと思われないかと遠慮しているようです。

頑張っている姿を見せたいかもしれませんが、入院して元気になったほうが家族は安心します。夫婦関係もよくなるでしょうし、上のお子さんもママが元気で笑顔で帰ってきてくれたほうが嬉しいでしょう。こんなふうに発想を変えてみるのもいいのではないでしょうか。

取材協力:島岡医院(京都市南区)スタッフの皆様、NPO法人チャイルドトラスト

update : 2017.04.23

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