マタニティブルーはいつまで?症状、なりやすい時期や乗り越え方を徹底解説

わけもなく涙が出たり、周囲の軽い一言に傷ついたり、育児への不安が募り、気分が憂鬱になったり……誰にでもなる可能性があるマタニティブルー。マタニティブルーは、産前産後に多くの女性が経験するもの。産後は「産後ブルー」や「産後クライシス」と呼んだりもします。マタニティブルーが継続すると「産後うつ」の怖れもあり、放っておくと大事にいたることも。ここでは、マタニティブルーの症状や対策をご紹介します。「マタニティブルー簡易チェックリスト」も併せてチェックしてみてくださいね!
監修者プロフィール
浅井貴子さん
都内在住フリー助産師。産後ケアホテルマームガーデンリゾート葉山アドバイザーを務め、妊婦さんから乳幼児の育児指導には定評がある。
マタニティブルーとは?
妊娠中、赤ちゃんが元気で生まれるか、順調に育つかという漠然とした不安を感じたり、ちゃんと親になれるかと思い悩んだりしてしまう。そして、待ちに待った赤ちゃんと出会えて幸せなはずの産後。なのに、ちょっとしたことでも涙が出たり、何もやる気が起きず投げやりになったり……。これは産前産後のママによくある心の悩みで、一般的に総称して「マタニティブルー」と呼ばれています。医療や看護の現場で呼ばれている「マタニティブルーズ」は、産後数日から2週間程度起こる症状を指します。いずれも産前産後に起こるホルモンバランスの変化が原因。自律神経やメンタルが不安定な心理状態のことをいいます。
マタニティブルーの症状と原因
マタニティブルーは、妊娠中や産後に気分が落ち込み、わけもなく涙もろくなったりするという症状ですが、これは産前産後のママなら誰でもなりうるもので、出産後の女性の30~50%が経験しています(*)。妊娠中に大きなストレスを受けるとストレスホルモンが分泌され、気分の変動がふだんより激しくなるので、ネガティブ思考になります。特に出産後は、妊娠中に大量に分泌していた女性ホルモンであるエストロゲン(卵胞ホルモン)やプロゲステロン(黄体ホルモン)が急激に低下します。それにともなって多くのママがマタニティブルーを経験するのですが、個人差があります。
また、出産という肉体的にも負担が高い大仕事を終えたことによる体力の消耗、育児が始まることによる環境の変化、睡眠不足なども妊産婦さんの心に負担を与えていると考えられています。
(*出典:こども家庭庁・健やか親子21『健やか親子の育休START UP!!』)
マタニティブルーはいつまで続く?産後まで続く?
マタニティブルーは決して病的なものではありません。発症しやすいのは妊娠中も産後もホルモンバランスが急激に変わる時期。妊娠中では妊娠初期から中期が多く、産後のマタニティブルーズの場合は、出産直後から2週間程度の間が起きやすいと言われています。
いずれも1〜2週間程度でおさまることが多いようですが、長引く場合は産後うつの可能性があるので、2週間以上続く場合は主治医に相談しましょう。
マタニティブルーになりやすい人の特徴について
ホルモンバランスの変動で起きるため、マタニティブルーは誰でもなる可能性があります。ただし、次のような人はより症状を起こしやすいとされているので、注意が必要です。
- 妊娠前から精神科や心療内科に通院している人
- PMS(月経前症候群)になったことがあり症状が重い人
- 責任感が強く、一人で抱え込みがちな人
- 妊娠中~産後転居や転職などのライフイベントがあった人
- 出産時出血が多く、貧血の人や低栄養状態の人
夫・パートナーもなる?マタニティブルーは妊産婦だけじゃない
最近は育児休業を取る男性が増加傾向にありますが、出産や子育てはパパにとってもプレッシャーを感じる一大事。ママたち同様、育児と仕事の両立に悩んだり、良いパパになろうとするあまり、精神的なストレスを感じてしまったり、子どもができることで経済的な責任感が増すことが心の負担に。実は、こういったマタニティブルーはママだけでなく、パパもなることがあるのです。産前にうつのリスクがあるとされるパパは約8%、産後1年間では8~13%前後といわれています(**)。
(**出典:こども家庭庁・健やか親子21『健やか親子の育休START UP!!』)
簡易マタニティブルーチェック
マタニティブルーの症状は個人差がありますが、長引く場合は実は産後うつで、赤ちゃんの存在を喜べないという事態に陥ってしまう可能性もあります。産後うつの症状はマタニティブルーと似ていますが、はるかに深刻なのです。以下のチェック項目が多い人はマタニティブルーかもしれませんがあくまで簡易チェックです。以下の症状が2週間以上続く場合は、出産した産院の助産師や医師、母子保健センターや子育て世代包括支援センターなどに相談にのってくれる窓口がありますので、ひとりや家族だけで抱え込まず早めに相談に行きましょう。
- 機嫌が良かったり、イライラしたり、気分の浮き沈みが激しい。
- 赤ちゃんの泣き声を聞くのがつらい。
- 人とコミュニケーションをとるのが億劫になった。
- 自分の時間が自由に取れず苦痛。
- 育児に自信が持てず不安。
- 疲れやすく、なんとなく体調が優れない。
- 赤ちゃんのあやし方など、育て方が分からず不安。
- 赤ちゃんをかわいいと思えない時がある。
- 特に何があったわけでもないのに、漠然とした不安感に襲われる。
- ちょっとしたことで悲しい気持ちになり、涙もろくなった。
- 何もする気がおきない。
- 眠れない。
マタニティブルーの治療方法はある?
前述のようにマタニティブルーは病的な精神疾患ではなく、ホルモンバランスの変化で起きる症状なので、ホルモンが安定してくれば1〜2週間で落ち着いてくるため特別な治療はありません。ただし、2週間以上続く場合は、マタニティブルーではなく産前うつや産後うつも考えられ、その場合は治療が必要になります。長引く場合は躊躇せず、主治医に相談し、産後うつと診断された場合はカウンセリングや専門医の治療をうけましょう。
マタニティブルーの対策方法
思い切り泣いてみる
イライラして、ちょっとしたことで涙が出てくる。そんなときは、「泣いてもいい!」と割り切って思い切り泣きましょう。体形や体重の劇的な変化をはじめ、出産という大仕事の前後にはホルモンバランスが乱れるのは当然のこと。涙には心を癒やす作用もあり、気の済むまで泣くと意外と気分がスッキリしますよ。
体を休める
夜中の数回にわたる授乳で寝不足が続き、意識が朦朧としてしまうのは、育児のスタートで体験する大きな悩みです。しかし、睡眠不足がマタニティブルーの原因にもなりますし、睡眠は体力回復には何より大事です。完母でがんばっていることが睡眠不足の原因なら、夜中の数回は粉ミルクで代用して夫やパートナーに授乳を任せてみましょう。それが難しい場合は、昼間に休息がとれるように、家事は手抜きにしてもいいですし、産後ケアサービスや民間のベビーシッターなどに頼るのも手です。ママのメンタルケアが赤ちゃんのために何より大事ですから、人に頼っていいのです!
誰かと話してみる
声を発するのは息を吐き出すことなので、リラックスにつながります。イライラすることやつらい気持ちを家族に聞いてもらいましょう。話し相手がいない場合は、ママ向けの電話相談などもたくさんあります。他人に聞いてもらうことで楽になることもあるので、一人で抱え込まずどんどん吐き出しましょう。一人言でも、赤ちゃんに話しかけるのでも構いません。話す時に深呼吸をするのを忘れずに。
軽い運動をする
体調がよければ、産後の体に負担にならない程度で、軽いヨガなどの運動をするのもおすすめです。体を動かすことで自律神経が整い、ストレス解消にもなります。
お散歩やウォーキングなど、外に出て、自然の風や新鮮な空気に触れるだけでも気持ちがリフレッシュされますよ。
いずれ終わると理解する
「マタニティブルーの原因は妊娠出産によるホルモンバランスの変化のせいで、それが安定すれば1〜2週間で過ぎていくもの」と理解することで、受け入れられることもあります。自分だけでなく、妊産婦さんの多くが体験することだと思えば、少し気がラクになるかもしれません。
夫・パートナーと共有する
前述のように、マタニティブルーはパパになった人にも起こりうるもの。自分だけが不安定と思っていたら、実はパートナーも同じだったということもあり得ます。心のうちをお互いに吐き出して、親になっていくために今は無理せずに協力し合って、一緒に乗り越えようと思えたらいいですね。
産後ケアを活用する
自治体や民間の産後ケアサービスを妊娠時期から登録をしておいて、心身ともに休める環境に身を置くのも良い手です。マタニティブルー対策だけでなく、助産師さんに授乳や育児の相談に乗ってもらえます。妊娠中からリサーチしておいてとよいですね。
マタニティブルーは放っておくと産後うつになる!?
産後、急激な女性ホルモンの低下で心のバランスを崩し、マタニティブルーになってしまっても、多くの場合は1週間ほどで治まってきます。しかし、寝不足や育児・出産の疲れがなかなか取れずにいると、回復が遅れてしまうことも。産後2週間を過ぎても気持ちが落ち込む時は「産後うつ」である可能性もあります。産後うつは、産後2~3週間から3ヶ月くらいの間に発症する場合が多いと言われています。「うつ病」と同じような、不眠、憂鬱、物事を意欲的に取り組めない、すぐに疲れる、イライラしやすいなどの症状がずっと続くのが特徴です。「赤ちゃんがかわいいと思えない」というのは非常に危険なサイン。産後2週間を過ぎても症状が続く場合は産院や自治体の保健師さん、助産師さんに早めに相談しましょう。自治体で行っている「赤ちゃん訪問」は、助産師や保健師さんが自宅を訪ねて赤ちゃんの成長のチェックをするサービスですが、ママの心の気持ちについても寄り添ってもらえます。SOSを発信することは決して恥ずかしくないのです。
マタニティブルーは産前産後のママが誰でもなる可能性があるもの。しかし、症状があまりにもひどい場合や長く続く場合は産後うつの可能性も考えられるので、できるだけ家族や周りにサポートしてもらいましょう。特に夫やパートナーは誰よりも助けになる存在です。できれば育児休業を一緒にとれるとよいですが、それが難しくても、早く帰宅してもらうなど、支え合って育児の大変さを分かち合いましょう。できれば家族には妊娠初期から産前産後はマタニティブルーになりやすいことを説明しておいて、気持ちを落ち込ませる言動は控えてもらうようにお願いしておくのもよいですね。また、自治体によっては産後ケアサービスが受けられるところもあるので、事前によく調べて最大限活用することをおすすめします。
監修・取材協力/浅井貴子さん
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