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つわり時の体重減少、病院に行くべき?妊娠悪阻の目安

妊娠はとてもおめでたいこと。それなのに、最初に現れる自覚症状は皮肉にも気分が悪くなる「つわり」です。つわりは早い人だと妊娠4、5週の受精卵が子宮に着床したばかりのころから始まります。
多くの人が経験することだから我慢するしかないと思っているママもいるかもしれません。でも、症状が進むと食事も水分もとれない「妊娠悪阻(にんしんおそ)」となり、入院治療も必要になるんです!
ここでは、重いつわりを乗り越えた先輩ママの体験談とともに、ドクターに聞いた妊娠悪阻の予防法や治療法をご紹介します。

取材協力・監修

中井章人(なかいあきひと)先生

昭和58年、日本医科大学卒業。日本医科大学教授。日本医科大学多摩永山病院副院長、女性診療科・産科部長を経て、2018年より同病院院長。日々の診療のかたわら、『周産期看護マニュアル よくわかるリスクサインと病態生理』などの著書を手がけたり、周産期医療の分野で政策の課題解決にも尽力する。

つわり・妊娠悪阻体験談「わたしの場合」1

東京都杉並区のHさんは、妊娠4~5週の“超初期”から「つわり」の自覚症状がありました。

「検査薬で陽性が出るころには立派に“つわって”いて、心拍の確認ができたときはゲーゲーと嘔吐がおさまらない状態でした。気がつくと食べ物はおろか、水分すらほとんど取れず、1日に炭酸水を100cc飲むのがやっと…。体重は7kg減。40kgを切ってしまいました」

ついに、尿も出なくなり、尿意を感じてトイレに行くと、膀胱がものすごく痛むようになったといいます。10週を過ぎるころにはフラフラの状態。見かねた家族に抱きかかえられるようにして、最寄りのレディスクリニックを受診したそうです。

「そこは分娩をやっていなかったのですが、すぐに点滴を打ってくれました。それまでは、“食べなきゃ”“飲まなきゃ”と気持ちだけが焦る日々を送っていましたが、先生から“ムリに食べなくていいから、ご飯のつもりで点滴だけ打ちに通っていいよ”と言われ、心底ホッとしました。食べなくていい、飲まなくていいと言われて本当に精神的にラクになれました」

1日1回、2時間弱の点滴で命をつないでいた、というHさん。2週間くらい通うと明らかに体調がよくなってきて、自力で歩いて点滴に通えるようになったそうです。とはいえ、その後も完全に気分が悪いのが治まることはなく、出産直前までずっと吐き気が続いて、妊娠期間はとても長くてつらかった、と言います。

「でもね、不思議なことに、分娩室で赤ちゃんがスポーン!と出た瞬間にスッキリ! サーッと胸のつかえが取れて、地獄から天国にたどり着いた気分でした。こんなに気持ちいいんだったらもう1回産んでもいい!!って、思えるほどでした(笑)」

Hさんは、現在2児の母。2回の妊娠とも、こうした壮絶なつわりを経験したそうです。

「ところが、あんなに苦しんだのにケロッと忘れちゃうんですよ。人間って不思議です」

つわり・妊娠悪阻体験談「わたしの場合」2

福岡県のIさんは、現在3人の子どものママ。最初の妊娠から、ずっと重いつわりに悩まされてきました。

「1人目は、妊娠5~6週で、オエッと吐き気を感じ、安定期に入るまで毎日吐き続けました。主人が帰ってくると、玄関に立っている彼のニオイが部屋の奥まで臭ってきて…もうたまらず、“お帰り”をいいながら吐いていました(苦笑)。2人目のときは、食べづわりになって、フライドポテトとハンバーガーを大量に食べ続けていました。安定期に入ってもおさまらなくて、ものすごく体重が増えてしまいました」

「子どもが増えるたびにつわりがひどくなっていった気がする」というIさん。2人目から5年後に授かった3人目のときは、吐きすぎて喉が切れ、血が出てしまったほど。「ママが血を吐いた」と心配した子どもたちが泣きだしてしまったそうです。

「とうとう吐き気で夜も寝られなくなり、睡眠不足なのか栄養不足なのかわからないのですが、めまいがして立っていられなくなりました。11週のとき、たまらなくなって病院に行ったら、2~3日休養をかねて入院したらどうですか?と言われました。子どもをおいての入院は心配でしたが、下の子も5歳になっていたのでなんとか頑張ってもらいました」

尿検査の結果もひどい飢餓状態で、妊娠悪阻と診断。実家の母親に来てもらって2泊3日の点滴入院。退院後しばらくは自宅で安静にしていたそうですが、その後は体調が好転し、安定期のころには吐き気もおさまって、アクティブな妊娠生活を過ごしたそうです。

つわりが悪化して、栄養代謝障害が起こると
「妊娠悪阻」に

吐き気がおさまらない「吐きづわり」、お腹がすくと気分が悪くなる「食べづわり」、ニオイに敏感になる「においづわり」、だるくて眠い「眠気づわり」、唾液が増える「よだれづわり」……。

こうしたつわりを、妊婦の約半数~8割が経験します。

「つわりは、早い人で妊娠の4、5週から始まりますが、16週ごろまでにほとんど自然に治ります。出産まで続いたという人もいますが、それは大きくなった子宮が胃を圧迫するなど、別の問題。ほかの病気も含めて考えなくてはいけません」と産婦人科医の中井章人先生。

つわりが悪化して、1日に何度も何度も吐いて口から栄養をとることができなくなり、脱水症状を起こし、体重が減ってきたら、「妊娠悪阻(にんしんおそ)」が心配されます。全妊婦の1~2%に起こる病気です。

妊婦の5~8割が経験する、つわり。人によって症状はさまざま。

「つわり」と「妊娠悪阻」の境目はどこにあるの?

つわりが妊娠悪阻に進行しているかどうか、次の3つが目安になります。

  • 口から栄養や水分がとれていない
  • 体重が妊娠前より5%以上減っている
  • 尿中のケトン体が陽性

「人間が一時的に貯蔵しているエネルギーは1日ちょっと分くらいしかありません。ですから、口から栄養がとれなくなると、今度は肝臓や筋肉、皮下脂肪に貯めた糖質や脂肪をエネルギーとして使い始めます。そのときの過程で肝臓でケトン体ができ、やがて尿にも出てくるのです。ケトン体が出たということは、体が飢餓状態になっているということなのです」(中井先生)

5%の体重減少というのは、診断の根拠となる数字ではなく、治療の目安。たとえば妊娠前に50キロだった人が、妊娠してから2.5キロも減ったのでは問題がある、入院治療を検討する、という目安だそうです。

「5%減までは医者にかからなくてだいじょうぶ、という数字ではありませんよ。それより早く病院に相談して、入院しないですむようにして欲しいのです」

妊娠悪阻が進み、血液中や尿中のケトン体が高濃度になることをケトーシスといい、血液のpH(ペーハー)が下がって、血液が酸性の状態(代謝性アシドーシス)を引き起こします。その結果、肝機能障害、多臓器不全となって、脳障害が起こり、生命の危機に陥ることもあるのです。

ビタミンB1欠乏による脳障害(ウェルニッケ脳症)になると、時間や場所を認識できなくなったり、健忘症になったり、せん妄や幻覚が起きたり、作り話をしたり…。ここまでくると、完治は難しく生涯にわたる深刻な合併症として残ることもあるのです。

妊娠悪阻の時期別症状

妊娠悪阻は症状が進むと、母子の命にもかかわる。早めに病院へ。

第1期

  1. 嘔吐で食事摂取が不能
  2. 脱水症状(口が渇く、皮膚が乾燥する)
  3. 体重減少、めまい、頭痛
  4. 尿中ケトン体、ウロビリノーゲン、ウロビリン、尿蛋白が陽性

第2期

  1. 著しい体重減少、口渇、皮膚乾燥、尿量減少
  2. 軽い黄疸、発熱、頻脈
  3. 母体血液の電解質異常、蛋白減少

第3期

  1. 肝機能障害、黄疸
  2. ケトーシス、代謝性アシドーシス
  3. 意識障害、眼球運動障害、難聴、耳鳴り
  4. 胎児死亡、多臓器不全により母体死亡

妊娠悪阻予防のために、できることいろいろ

妊娠悪阻は怖い病気――ですが、深刻になる前に発見し、予防ができる病気です。つわりがひどくなりそうだったら、いろいろな方法を試してみましょう。

  • 食事を1日に何度も小分けにして食べる
  • 調理で気持ち悪くなる人は家族に作ってもらう。できあいのお惣菜を買ってくる
  • 食べられるものを探す。カロリー補助食品、お菓子、フルーツ、この時期は好きなものを食べればいい
  • サプリも活用していい
  • 水分補給はスポーツドリンクがオススメ(電解質が摂取できる)
  • ウォーキングなど軽い運動をしてみる
  • 実家に帰るなど、環境を変えてみる
  • 仕事の配置換えや時短など働き方を変える……

母健カードを活用しよう!

  1. 母健カードを入手する。以下などで入手できます。
    1. 母子手帳(ほとんどの母子手帳に掲載)
    2. 産婦人科
    3. Web「妊娠・出産をサポートする女性にやさしい職場づくりナビ」など
  2. カードを持って主治医に記入を依頼し、発行してもらう
  3. 会社にカードを提出し、措置を申し出る
  4. 事業主は、時差通勤や休憩時間延長などの措置を行う

「会社ではなんとか頑張ってシャキッとしていられても、家に帰ったとたんにヘロヘロになり、ゲーゲー吐いてしまうという人もよくいます。そんなときは、『母健カード』なども利用して、会社に働き方を考慮してもらうといいですよ」(中井先生)。

母健カードとは、厚生労働省が推奨している「母性健康管理指導事項連絡カード」のこと。仕事を持つ妊婦が、体がつらいとき、一時的な配置換えや時差通勤、時短などに配慮してもらうため、病院に発行してもらうカードです。

妊娠中の我慢や無理は美徳ならず。新しい命のため、できること、ラクになることを考えて、実行しましょう。

妊娠悪阻の治療で、もっとも有効なのは“絶食”

病院では妊娠悪阻を疑うと、尿検査や血液検査をして、肝臓や腎臓の機能が衰えていないかを調べます。

「軽ければ食事療法をしますが、実際は病院に来た時点で、それすらできない…という人が多いのです」(中井先生)

そこで行うのが、「絶食治療」。

「食べては吐く、飲んでは吐く、という悪循環を断ち切るためには、絶食がいいのです。ムリして食べず、ビタミンB1を配合したブドウ糖輸液を点滴して補給をしていくと、早い人で数日、長くても1~2週間続けると、劇的に気分の悪さが解消されます」

無理して食べなくても、点滴で、600~1000キロカロリーくらいは、補給できるのです。吐いて体力を消耗するより、ここは現代医学の恩恵にあずかったほうがよさそうです。

食べられないと不安になったら、辛くなったら、健診を待たず、病院へ行きましょう。

「自分ひとりでは、なかなか病院に行く判断がつきにくいものです。妊娠したら、家族や夫にも、自分のことを注意して見てもらうようにしましょう」

点滴すれば、無理して食べなくていいので、とてもラクに。高カロリーが必要な場合は、鎖骨下静脈から輸液を入れる。

つわりはいまだ原因不明。しかし、きっとワケがある

多くの妊婦に現れるつわり。原因はよくわかっていない、とよくいわれますが、本当にまだわかっていないのですか?

「妊娠すると、hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)というホルモンが分泌され、エストロゲンやプロゲステロンといった女性ホルモンも増加して、それらが脳の嘔吐中枢を刺激するから、と言われています。でもなぜ、そうしたことが起こるのか、はっきりとした原因やメカニズムは、いまだ解明されていません」(中井先生)

「しかし、つわりになることで妊娠がうまくいく。いっときあまり食べられなくて、少し脱水したり、少し体重が減るほうが妊娠がうまくいく、というなんらかの生理的な意味があるのだと思います。でも、それが何なのか――は、わかっていません」

つわりが重症化しやすい体質や、つわりになりやすいタイプ、環境などというのも、わかってないと言います。

また、つわりには、さまざまな俗説もあり、「初産ほど重い」「2人目、3人目と妊娠のたびにひどくなる」と言われたりもしますが、これも医学的にはまったく根拠がないそうです。

つわりで食べられない間、心配なのはやっぱり赤ちゃんのこと。栄養が偏ると赤ちゃんに影響が出たりしないの…? 芽生えたばかりの小さな小さな命だからこそ、ささいなこともすぐに響いてしまうのではないかと気が気ではありません。

「妊娠初期の胎児の大きさは、ほんの数ミリです。この数ミリの発育に必要な栄養は、ごくごくわずか。母体に蓄えた栄養だけで十分にまかなえます。赤ちゃんのことは心配しないで、だいじょうぶ。それより自分の体がラクになることが大切です。つわりだからしかたがないと我慢しすぎないで、早め早めに病院に行ってください」

取材協力・監修/中井章人(なかいあきひと)先生

update : 2020.03.05

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