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羊水過少症とは?

妊娠初期には、卵膜や胎児の皮膚からしみ出す成分で作られていた羊水。妊娠中期あたりになると、だんだん胎児のおしっこがメインになっていきます。もし、この羊水が「胎児の尿の量が少ない」「尿を作る力が弱い」「羊水が漏れている(破水)」などで少なくなってしまうと、胎児の発育に影響するリスクが…。
ここでは、「羊水過多症」の逆パターンである「羊水過少症」について、先輩ママの体験談とともにドクターに聞いた原因や治療法をご紹介します。

取材協力・監修

久保隆彦(くぼたかひこ)先生

羊水過少症体験談「わたしの場合」1

千葉県に住むTさんは、妊娠33週の健診で、「羊水の量が少ないので4日後にまた来るように」と言われます。そして4日後。羊水はさらに少なくなっていて、急遽、NICU(新生児集中治療室)のある病院に緊急入院することになりました。

「32歳で初めての妊娠でしたが、重い悪阻もなく順調に来ていたので、不安でいっぱいになりました」

病院では、血液検査、超音波検査、心音チェック、血圧チェックなど、いろいろな検査が続きました。マルトルス輸液という点滴も行われたといいます。

「入院して1週間くらいは、無事出産できるのか、悪いことばかり考えてしまって、毎晩ベッドの上で泣いていました。日ごろあまり泣くタイプではないのですが、初めての入院と出産で情緒不安的になっていたと思います」

その後も、羊水は増えることはなく、「胎盤機能が低下する前に誘発分娩したほうがいい」ということになり、予定日より1ヶ月ほど早く出産することに。まだ閉じている子宮口を開くために、点滴のほかに、薬や棒、風船を入れる処置をして1週間後、経膣分娩で出産しました。

「お産は全く問題ありませんでした。子どもも無事生まれてきてくれて本当に嬉しいです。羊水過少になったことで赤ちゃんへの思いも強くなり、より一層大切に育ててゆきたい気持ちです」

羊水過少症体験談「わたしの場合」2

滋賀県に住むSさんは、36歳、2回目の妊娠のとき、「胎児の成長が遅く、エコーで黒く写ってる羊水部分がこれ以上少なくなれば、入院して詳しい検査をしないといけない」と医師から言われました。妊娠8ヶ月ごろのことでした。

「頼れる親も近くにいないし、上の子がいるので入院は困るなぁと思いました。自覚症状は全くなくて、1人目よりお腹が小さいなと思っていただけでした。2回とも妊娠糖尿病になったので、羊水過多は知識として知っていましたが、過少にはなると思わず…帰ってからネットで調べまくり、赤ちゃんが危険だと自覚しました」

結局、入院することになり、毎日胎児をエコーで検査し、細かく羊水量を計測。胎児の脳の血流や酸素の量の検査、胎児に疾患が無いか3次元の画像の3DCTで診断するなど、毎日検査が続きました。

「結果、赤ちゃんに異常は無いということで、染色体検査などはしませんでした。そうして1週間ほど経ったときに、急に直ぐに出産しないと明日にでも赤ちゃんがお腹で死んでしまうかも知れない、と言われたんです」

まだ1600gほどにしかなっていない、おなかの赤ちゃん。出産しても将来なにか後遺症が出たらどうしようと不安になったといいます。

出産はバルーンで子宮口を開き、陣痛促進剤を使って経腟分娩することになりました。しかし、全く陣痛がつかず3日間も苦しんだといいます。

「そして4日目の朝、今度は臍帯下垂(さいたいかすい)で、へその緒が子宮口にかかっているから、破水したら赤ちゃんが死亡するリスクが高くなる、と緊急帝王切開になりました。母子手帳にも臍帯先進(さいたいせんしん)の為に緊急帝王切開と記入されています」

産後は入院している赤ちゃんのため、おっぱいを搾乳し、一時間かけて病院に通いました。

「帝王切開の傷は痛いし、しんどい毎日でした。でも、今、子どもは2歳半になりました。他の子より小柄ですが健康です。あの時に強く入院を進めてくれた先生に感謝しています」

羊水量は超音波検査で推測。羊水過少の診断基準は?

「羊水量が基準より少ないのが“羊水過少”。そのことによるさまざまな症状が出てくるのが、羊水過少症です」と、国立成育医療研究センター産科医長の久保隆彦先生。

羊水量の調べ方は、前回の「羊水過多症」のときと同じです。お腹の上からの経腹超音波で調べます。

羊水量は超音波検査で測定する

羊水ポケット(MVP)

羊水ポケット2cm以下が羊水過少。

羊水インデックス(AFI)

A+B+C+D=AFI
AFI5cm以下が羊水過少

子宮を垂直に測った長さ(MVP/羊水ポケット)が2cm以下、もしくは羊水インデックス(AFI)といって、子宮を上下左右に四分割して、それぞれの腹壁から胎児までの距離を足した合計が、5cm以下の場合に“羊水過少”と診断されます。

羊水が少ないと、子宮の壁が胎児を圧迫してしまう

羊水は、赤ちゃんを守り育てる水。その羊水が少な過ぎるということは、赤ちゃんをしっかり守れなくなるということ。赤ちゃんが、正常に成長できなくなるということ。

「羊水はクッションの役目を果たしているので、それが極端に少なくなると、臍帯が胎児と子宮との間に挟まれて圧迫され、血液の流れが悪くなるのです。そうなると充分な酸素や栄養が胎児に届かなくなり、胎児機能不全といって、赤ちゃんの健康に問題が出てくるのです」(久保先生)

羊水が減ってしまうと、臍帯だけでなく、胎児まで子宮の壁に圧迫されます。そうなると、肺がうまく成長できなかったり、手足や関節が縮こまったり、変形したりしてしまうのです。胎児と羊膜が癒着してしまうこともあるといいます。

羊水が少ないと子宮の壁に胎児が圧迫されてしまう。

飲む羊水が充分にないと、肺がしっかり育たない!

胎児は、羊水を飲んで肺の成長を促しています。羊水を飲むことで肺呼吸の練習をして、肺の機能を育てているのです。それができないということは、肺が充分に育たないということ。

肺呼吸ができるかどうかは、この世で生きていけるかどうかを左右する大問題。肺が育たなければ、呼吸不全となり、生きていくことが難しくなるのです。

原因は、母体側、胎児側、胎盤、臍帯、それとも薬?

それにしてもなぜ、羊水は少なくなってしまうのでしょう?

「原因はいろいろです。その一つは、母体側に原因があって、胎盤から胎児に酸素や栄養が充分に届かなくなり、赤ちゃんに元気がなくなる場合。羊水は妊娠中期ごろから赤ちゃんのおしっこがメインになりますから、赤ちゃんに元気がなくなれば尿量も減ってしまうのです。また、胎児の腎臓機能が弱くて尿が作れないこともあります。お母さんが飲んだ薬の影響ということもあります。いろいろ検査しても原因がわからない、ということも多々あります」と久保先生。

*羊水過少のいろいろな原因

母体側 :妊娠高血圧症候群、抗リン脂質抗体症候群、膠原病、血栓症など、胎盤機能不全を起こしやすい病気。
「胎盤機能が弱くなれば、赤ちゃんの元気もなくなります。そうなると心不全となり、羊水の主成分である胎児の尿も作られなくなるのです」(久保先生)

胎児側 :腎無形成、腎異形成などの先天性疾患、閉鎖性尿路障害などの尿排出障害、胎児染色体異常、胎児発育不全、胎児死亡、過期妊娠など。
「妊娠中期の羊水過少の約半数は胎児異常によるものです。腎臓がないポッター症候群や、尿の出口までのどこかに閉塞があって、おしっこが出ないのが原因になっている場合があります」

 :解熱剤、鎮痛剤、ACE阻害剤など。
「今は危険だということが知れ渡ったのであまり飲みませんが、お母さんがこうした薬を飲むと、胎児の腎動脈の攣縮(れんしゅく)が起こって、胎児の尿量が減ることがあります」

胎盤・臍帯・卵膜 :破水、胎盤梗塞・血栓、双胎間輸血症候群、胎盤早期剥離など。
「多いのは、お産の前に破水してしまう前期破水。妊娠中期の羊水過少の約3割を占めています」

原因不明 :「いろいろ検査しても、原因がまったくわからないことも多々あります」

胎児が充分に尿を作れなかったり、破水して羊水が流れ出てしまったり…。羊水過少の原因はいろいろ。原因不明の場合も。

治療方法はあるの? 人工羊水を注入することはある?

「妊娠高血圧症候群など、母体側に原因があるとわかった場合は、積極的に母体の治療をします。薬の影響とわかれば、その薬を別の薬の代えることも。しかし、赤ちゃんにもともと腎臓がないような場合は、治療といっても難しいのが現状です。人工羊水を注入するというケースもないわけではありませんが、あまり現実的ではありません。羊水が多過ぎるときに抜くのはそれほど難しいことではありません。子宮の中は羊水で満ちているので、針も刺しやすいのです。でも、羊水が少ないということは、子宮の中の空間が狭いので、胎児を避けて針を刺し人口羊水を入れるのはとても難しいのです。それに人工羊水を注入してよかった、という確かなエビデンスもありません」(久保先生)

前回取り上げた羊水過多も心配でしたが、羊水は少な過ぎても心配。予防法はなさそうですし、治療が難しいケースも多々あるのが現実なようです。しかし、早く産んで赤ちゃんへのリスクを減らしたり、早く生まれた小さな赤ちゃんを無事に育てたりする医療技術は、確実に進歩しています。

妊娠中にできることは、妊婦健診を欠かさず受けて、異常を早く見つけること。また、「なにかへんかも?」と思ったときに、ためらわずに医師に相談すること。世界トップレベルの産科医療の恩恵をフルに活用しながら、妊婦生活を楽しみましょう。

  • 羊水過少症体験談は、『ベビータウン』アンケートにご協力いただいた方の体験です。ほかにもたくさんの方々にご協力いただきました。ありがとうございました。

取材協力・監修/久保隆彦(くぼたかひこ)先生

update : 2015.02.04

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