妊婦にお灸は効果的?安産、むくみにも!

おなかが大きくなるにつれ、「なんだか足が重い」「だるい」といったむくみの症状が現れはじめます。ひどくなると、足首がなくなるほど足がパンパンになってしまうことも……。この不快なむくみ、どうしたら解消できるのでしょうか?
今回は、むくみをケアする方法を求めて、妊婦や産婦への鍼灸も行っている『みやび鍼灸院』に伺いました。院長の武石佳代子さんに聞いたお灸でむくみをセルフケアする方法や、お灸の注意点をご紹介します!

取材協力・監修

『みやび鍼灸院』院長
武石佳代子さん

明治国際医療大学(旧:明治鍼灸大学)で鍼灸を学び、卒業後、都内の鍼灸接骨院に勤務。北京中医薬大学で薬膳を学び、国際中医薬膳師の資格を取得。不妊専門の鍼灸院に勤務したのち、開業。不妊治療・逆子・産後ケアの分野で研鑽を重ねている。安産灸ネットワークでの2年間の研修により、触診で逆子の位置が分かるように。逆子を治す運動法や、体操の意義、意味を理解してもらい、女性の不安を取り除く治療を心がけている。「お灸は、妊娠や出産、育児、更年期といった女性のすべてのライフステージに生かせます」(武石さん)。『みやび鍼灸院』(東京都新宿区)は、新宿の喧騒を感じさせない心地よい空間。もぐさの香りに癒されます。

お灸は、昔から伝統的にお産の現場で使われてきた

「お灸」ときくと、もくもくすごい煙がたっていたり、熱さに耐え忍んだり…。ちょっぴりストイックで、なんとなくお年寄りがやっているようなイメージがあります。でも、実態はさにあらず! 今、不妊治療、妊娠中のマイナートラブル、逆子、安産、産後ケアに、お灸が注目されています。

「お灸は西洋医学が日本に入ってくる前から、この国にあった伝統的な医療なんです。特にお産の現場、お産婆さんや助産院の間では、逆子なおしや、陣痛が遠のきそうなときに、お灸が使われてきました。それが今、再び注目を集めているんです」というのは、女性のための鍼灸院『みやび鍼灸院』院長の武石佳代子さん。

『みやび鍼灸院』院長、武石佳代子さん

むくみは大きなお腹のせいだけじゃない、
冷えも原因!?

『みやび鍼灸院』には、さまざまな悩みを抱えた女性たちがやってきます。妊娠中の女性に多いのは、「足のむくみ」。足が象のようにパンパンになり、靴が履けないからと、つっかけのまま来院する女性もいるそうです。

「一歩足を踏み込むたびに、足の裏でジュワ~ッと水を踏むような感触がある、というほどむくみに悩んでいる方もいらっしゃいます。でも、これほどの自覚症状があっても、健診では、"むくみなし"と診断されることも。妊娠中のむくみはある程度しかたない、と」

そ、そんな…。いくら医学的にはむくみじゃなくたって、本人はつらいんだから、なんとかして欲しい。それにしても、妊娠するとどうして足がむくんでしまうのでしょう?

「原因はさまざまです。ホルモンバランスの変化、塩分の過剰摂取、運動不足、妊娠にともなう体重増加、大きくなったお腹やきつい衣服、仕事で座ったままの姿勢が、足の付け根にある血管やリンパ管を圧迫して流れを滞らせます。その結果、足に水分や老廃物がたまってしまい、むくみになるのです。妊娠中の冷えも大きな原因になります。妊婦は体を冷やしてしまいがちなんです」

ん? 冷やしがち? 妊娠していると、少し動くだけで汗がでるほど暑いんですが…。

「暑いのは、羊水が体温よりも高いからです。妊娠中は湯たんぽを抱っこしているようなものなので、いつもより暑く感じるのです。そのせいで冷たいものを取りすぎたり、薄着をしすぎたりして、知らず知らずのうちにからだを冷やしてしまう。顔はのぼせるくらい暑いという人でも、足やお腹は冷えている、という人が意外に多いんです」(武石さん)

妊娠出産に万能。
「三陰交(さんいんこう)」へのお灸で血流を促そう

「生活改善も当然、必要ですが、ぜひツボにお灸をしてみてください。体にはWHOも認める361のツボがあるのですが、この中で三陰交は、女性にとってとても重要。子宮の血流をよくする、子宮下垂を整える、ホルモンバランスを整える、冷え症、むくみ、などのマイナートラブルに効くツボです。三陰交で体を温めておけば、いい陣痛がつきやすく、分娩もスムーズになりやすい、といわれているんです」(武石さん)

三陰交は、スネの内側。くるぶしから指の太さ4本分離れた骨の上にあります。

場所はこのあたり。さわってみると、かすかにくぼみがあるような…そこが三陰交。

ボールペンを定規代わりに使って、「指の太さ4本分」を測ります。

それをくるぶしに当て、ペン先を肌にちょっと当てて記しをつけると、お灸を置く目印にもなって便利です。

あぐら座ですわり、お灸の裏側のシールをはがして利き手じゃない方の人差し指にペタッ。

利き手でライターを持ち、お灸の突起部分に火をつけます。

すぐにもわもわ~!といい香りの煙が立ち上がります。

すかさず三陰交の上にペタッ。

このまましばらく待つと、15秒~30秒ほどで煙がなくなり、やがてじんわりと温かさが伝わってきます。

煙がひいて1~2分ほど経ったころでしょうか。あれ、なんだか、「温かい」を通りこして「熱い」になってきたような…。むむ、やはりそうだ。ア、アチチ! 先生! 先生!

「そこがお灸のはがし時です。ガマンせず、潔くはがしてください。熱すぎても効果はあがりません。ガマンすればするほど効くように思いがちですが(笑)、逆にリラックスできなくなってしまいます。ころあいを見計らってはがすのがポイントです」(武石さん)

はがしたあとのお灸は、灰皿などの耐熱容器に水をはったものに浸け、消火してから捨てます。

セルフケアのお灸いろいろ。その原料は、もぐさ

セルフケアで使うお灸には、いろいろなタイプがあります。

さっき使ったのは、写真の右のもの。左下に丸い円形タイプは、火を使わず裏のテープを剥がしてツボに貼ります。その上の四角いのはカイロタイプ。

これらの原料となっているのは、"もぐさ"。よもぎの葉っぱの裏側に生えたうぶ毛を乾燥させたものです。「チネオール」という精油成分が含まれ、精神をリラックスさせる効果があるといいます。お灸をすると癒されるのは、この成分によるところが大きいのですね。

鍼灸師は、写真のような、もぐさをわずかに指にとり、直接火をつけて肌に乗せて使います。セルフケアのお灸は、これをより手軽に、自宅でも使えるように開発されたものなのです。

火を使わないタイプも試してみた。
やんわり温かさがしみてくる

火を使わないタイプの場合は、ツボの上にシールをはがして貼りつけるだけ。火を使うタイプほど劇的な効果はないそうですが、温かさがなくなるまで貼ったままにしておける手軽さが助かります。

ちなみに、温かいペットボトルやホットタオルで三陰交を温めるだけでも、効果があるそうです。

胎動を確認したらスタート!
1日1回のお灸で、めざせ安産!

お灸をするときに、注意することはありますか?

「妊娠中の体はとにかくデリケート。三陰交などへのお灸は胎動が確認できてから、行ってください。つわりを軽くするお灸もありますが、これは心拍が確認できてから。お腹が張りやすい人や、切迫早産ぎみの人、張り止めの薬を飲んでる方は、ドクターの許可を得てから行ってください。お灸の回数は1日1回にしてください」。

時間帯は、寝る前や起きた直後など、自分が一番やりやすいタイミングでOK!

「本来は満潮か干潮の時間帯にお灸をするとより効果がでやすいとされていますが、現代の生活では難しいですよね(苦笑)。お灸を通じて、自分の体に向き合う習慣をつけ、体の感覚を磨いてください」(武石さん)

出産は、感覚がとても大事。経験したことがない「陣痛」を感じて、「いきむ」という初めての作業に、動物としての本能と感覚だけで挑むのです。日頃から自分の体に向き合って、痛さや心地よさの感覚を磨いておくと、出産や産後はもっとラクになるという武石院長。

「三陰交にお灸をすると、子宮の血流量が増えるという論文があるんです。子宮の血流量が増えると赤ちゃんにも栄養が伝わりやすいので、元気な子になり、精神的にも安定した子が産まれやすいともいわれています。赤ちゃんがたっぷりおっぱいを飲んでぐっすり寝てくれれば、ママの疲労も軽減。産後の不調やうつリスクも減らせるはず。ぜひ、妊娠中から体をしっかり温めてケアして、産後にもつなげてください」(武石さん)

update : 2015.07.01

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