つわりはいつからいつまで?症状や対策、おすすめの食べ物を紹介

妊娠すると多くの人が経験する「つわり」。語源は「つわる」。「芽が出る」「芽ぐむ」という意味で、まさに新しい生命が芽吹く――という意味があるんです。うれしい美しい言葉とは裏腹の、少しつらい症状ではありますが、人類が誕生して以来、数え切れない天文学的な数の女性たちが経験し、乗り越えてきました。いつから始まっていつごろ終わるのか。どんな症状があるのか。不安なことは多いと思いますが、多くの妊婦さんが経験するものなんだというように考え、あまり不安に思い過ぎないように過ごしましょう。先人たちが培ってきた、つわり軽減の対策、ノウハウもあります。先輩ママたちの経験も参考にして、乗り切っていきましょう。
監修者プロフィール
島岡昌幸先生
島岡医院(京都市南区)院長
「母と子がハッピーになってほしい」と願い、専門の周産期医療はもとより、育児や子どもの皮膚のことなど、日夜勉強を重ねている。母と子が集い学び楽しむ「親育ち、子育ち」の場も多数企画。1970年関西医科大学医学部卒業。同大学附属病院産科主任、大阪府済生会泉尾病院産婦人科医長、奈良東生駒病院初代院長を経て、1983年、島岡医院院長。
つわりはいつからいつまで続く?
始まりは妊娠5週ころが多い
つわりは妊娠5週から始まることが多く、症状のピークは妊娠8~10週くらい。でも、中には予定月経のころ、妊娠4週から始まる人もいます。まだおなかの赤ちゃんの胎児心拍(生きている証拠)が確認できない早い時期から始まる人もいます。
つわりの時期には個人差がある
始まる時期に大きな個人差はあまりないのですが、終わる時期は人それぞれ。つわりの多くは妊娠5週目に始まり妊娠12週~13週には終わります。ただし、なかには妊娠16週ころまで、ときには妊娠20週ころまで続く人もいます。妊娠中ずっと、出産までつわりが続いたという人もいます。でも、これはとてもまれなケースです。
つわりの始まり方と終わり方
多くは空腹時の吐き気から始まる
「つわり」がひどくなると、英語圏では、朝起きたとき、おなかがすいているせいで吐き気を感じることが多いことから「モーニング・シックネス」といわれています。日本でもおなかがすいて気持ち悪くなり、つわりと気がつくことが多いでしょう。
でも、炊飯器から出る湯気で気持ちが悪くなった、ラーメン屋さんやお蕎麦屋さんの前を通るとき、ダシの匂いに吐き気をもよおしたなどさまざま。通勤電車に乗ると人ごみで吐き気がして、つわりと気づいたという人もいます。
後期つわりの症状は?
妊娠の後期になってつわりが再発したり、つわりが「妊娠後期まで続いた」「出産のそのときまで続いた」という人もいますが、これはレアケースといえるでしょう。ただ、妊娠後期になると大きくなった子宮が、胃や肺、心臓まで圧迫するので、胸やけや胃もたれ、ムカムカする、気持ちが悪い、食欲が落ちた…などの症状が出やすくなります。つわりとよく似た症状です。
スッキリしたら、つわりの終わり
つわりの代表的な症状は吐き気などの消化器症状ですが、眠い、だるいといった倦怠感、あるいはイライラするという人もいて、つわりの症状は本当に多彩です。
こうしたさまざまな症状がなくなったときが、つわりの終わりです! つわりの多くは不快と感じる症状なので、「スッキリした!」というのが実感でしょう。
つわりは個人差が大きい
5人にひとりはつわりがない?
つわりのある人、ない人の割合を産婦人科医の論文で探すと、「約80%の妊婦がつわりを経験するが、約20%は経験しない」という記述が目立ちます。中には「つわりがあるのは50~80%」という論文もありますが、「私が診察している感覚だと、つわりがある80%、ない20%」(島岡先生)。
ということは、妊婦さんの5人に1人は、つわりを経験しないのですね。ラッキーなのかどうなのか…?
「つわりがないと逆に赤ちゃんに何かあるのでは?と心配という妊婦さんもいらっしゃいます」(島岡先生)
つわりが軽いと、ないと感じる!?
つわりは、「つらい」「なんとなく不快」と感じるから「つわり」です。「でも、症状が軽い人は、“これってつわりなのかな?どうなのかな?”と思っているうちに終わってしまう。つわりがとても軽いと、つわりは“ない”“なかった”となるのかもしれません。そういう人もいると思います」(島岡先生)。
重いつわりで悩まされることも
つわりが軽い人がいる一方で、さまざまなつわり症状に悩まされる人や長い間続く人がいるのも事実。なかには「分娩台に乗ってからも吐いていた」という人(後期妊娠悪阻)もいます。しかし、これほど長く続くのは、普通のつわりを通り越して、食べ方や日常生活の工夫や治療が必要です。
重いつわりを軽減させる方法は?
妊娠中も何かと忙しい。あれもやらなきゃ、これも!と、ついつい無理をしがちですが、今はおなかの赤ちゃん最優先、自分のからだ最優先で生活しましょう。職場にも妊娠を伝えて、配慮をお願いしましょう。つわり経験者が編み出したさまざまな対処法や軽減法を試してみましょう。無理しない、がまんしない、つらいときは休む。お医者さん、助産師さんに頼る。人の助けも借りながら、ゆったりモードで過ごしましょう。
吐きつわりの対策
いつもなんとなくむかむか、胃もたれがしていて、何か食べたり飲んだりすると吐いてしまう「吐きつわり」。妊娠初期に多くの人が体験します。そんなときは、次のようなことを試してみましょう。
- 栄養バランスを気にせずに食べられるものを食べる
- 食べられるものなら揚げ物、塩辛いものでもOK
- 食べやすいものでも、30分くらいして吐いたら、しばらくそれを避ける
- 飲みやすいものでも、30分くらいして吐いたら、しばらくそれは飲まない
- 酸味のある果物が食べたくなる人は食べてもいいが、あとで吐くときは避けた方がいい
- 水をゴクゴクと一気飲みしない
- 水を飲めないときは、水や経口補水液の氷をつくり、氷はかじらずに、口の中で溶かして飲む
- 炭酸水や経口補水液なら飲めることがあるので、試してみる
食べつわりの対策
胃の中が空っぽになり、空腹になると気持ちが悪くなってしまう「食べつわり」。こうしたときは、まず空腹状態にならないように工夫してみましょう。
- 小さなおにぎりやクッキーをいつも用意しておく
(夜中に起きたとき、朝の寝起き、出先などでも、すぐ食べられるように) - 食事は1日3回と決めず、日中も2~3時間おきに食べる
- 夕食後も、夜食を食べる、寝る前にも軽食をとる
匂いつわりの対策
今まではだいじょうぶだったのに、いきなり特定の匂いに敏感になって、気持ち悪くなってしまう「匂いつわり」。「この匂いがダメ」と思ったら、匂いに近づかない、なんとか嗅がないように工夫しましょう。
- ご飯が炊ける匂いがダメなら、ごはんを炊かない
または、家族などに炊いてもらい、その間はキッチンに行かない。炊けたご飯を買ってくる - 湯気がダメな場合は、調理をお休みする
家族などに作ってもらう。お惣菜を買ってくる - ご飯もおかずも味噌汁も冷たく冷やして食べる
- 冷たいお茶漬け、冷やしラーメン、冷製パスタなどを食べてみる
- 電車やバスの人ごみがダメになったら、時差通勤、マスク着用
ミントなど好みのアロマがあれば、マスクに垂らす - コスメやシャンプーなどの匂いがダメになったら、メーカーを変えてみる
- お風呂のお湯の匂いがダメになったら、シャワーに切り替える
よだれつわりの対策
唾液がたくさん出てきて口の中に溜まってしまう。飲み込むのも気持ちが悪いし、自分の唾液の味や匂いでまた気持ちが悪くなってしまう「よだれつわり」。よだれつわりはなかなか治らないと言われていますが、次の方法を試してみましょう。
- ティッシュに吐き出す
- ペットボトルを持ち歩き、その中に出す(ボトルカバーをすれば気づかれにくい)
- 歯みがきやマウスウォッシュなどで、口の中をさっぱりさせる
- さっぱりするガムを試してみる
- 氷をなめてみる
眠りつわりの対策
日中でも仕事中でもおかまいなしに眠気が襲ってくる「眠りつわり」。体がだるくて横にならずにはいられないこともあります。女性ホルモンのプロゲステロンの催眠作用によるものだと考えられています。体が眠ることを要求しているのですから、ここは無理せず、赤ちゃんからの声ととらえて、眠れるように工夫をしましょう。
- 家にいるなら、とにかく横になって眠る
- 仕事中なら、事情を話して、保健室などで休ませてもらう
- 運転中なら、安全な場所に車を停めて休む
- どうしてものときはミントティ—などを飲む。コーヒーなどのカフェインに頼らない
規則正しい生活、就寝時間、起床時間などの睡眠習慣を大切に、できることならお昼寝の時間もとるなど、ゆったりした生活を心がけましょう。また安全に配慮しながら、適度に体を動かすことも忘れずに。
その他の対策
つわりの程度は、人それぞれですが、いつか必ず終わります。でも、だからといって、つらいのをがまんしていては、いけません。軽くても重くても、とにかくつわりで困った、つらい…そんなときは、
- かかりつけ医や助産師に相談する
多くの妊婦を診てきたプロだからわかること、できる治療もあります。明けない夜はありません。いろいろ試しながら、かかりつけ医に相談しながら、気分転換も図りながら、つわりを乗り越えていきましょう。
つわりの時期におすすめの食べ物とは?
「これを食べたほうがいい」と言われても、そうできないのがつわりです。ですからムリせずに、とにかく「食べられるものを食べられるだけ食べればいい」と気楽に考えましょう。ただ、つわり軽減効果が期待できるものもあるので、試してみるといいでしょう。
ビタミンB6が豊富なもの
ビタミンB6は、神経伝達物質の合成にかかわるビタミンで、吐き気をコントロールする脳内の働きをよくすると考えられています。ビタミンB6を多く含む食品を知って、食べられそうなものを見つけてみましょう。
【穀類】
小麦胚芽・玄米・そば・全粒粉パン・くるみパン・オートミール・雑穀米
【魚・肉類】
マグロ・カツオ・サケ・マス・サバ・イワシ・タイ・サンマ
【肉・卵類】
牛豚鶏のレバー・ささみ・鶏むね肉・豚ヒレ・牛肉もも・卵黄
【野菜・果物】
ドライトマト・バナナ・パプリカ・ブロッコリー・アボカド・西洋かぼちゃ・じゃがいも・ニラ・キウイ
【種実類】
ごま・くるみ・落花生・甘栗・カシューナッツ・マカダミアナッツ・ピスタチオ
【その他の食材】
唐辛子(乾燥)・にんにく・バジル・パセリ・こんにゃく・しょうが・抹茶
*レバーにはビタミンB6のほかビタミンAが非常に多いので、過剰摂取に注意。赤ちゃんの奇形発生リスクを高めることがあるので、日常的な大量摂取は避けましょう。
葉酸が豊富なもの
葉酸がつわりに効く、という科学的なデータはありません。ただ、葉酸でつわりが軽くなった、という人もいるようです。葉酸は不足すると胎盤早期剥離や神経管閉鎖障害など深刻な事態を招くこともあるので、妊娠中は初期から後期まで、葉酸を含む食品を意識して摂りましょう。
【野菜・きのこ類】
ブロッコリー・枝豆・芽キャベツ・ほうれんそう・ひらたけ・さつまいも・舞茸
【穀類】
キヌア・ベーグル・くるみパン・ロールパン・ナン・コッぺパン・ライムギパン・玄米
【豆・種実類】
きな粉・ごま・納豆・ひよこ豆・くるみ・緑豆・落花生
【果物】
マンゴー・いちご・アボカド・さくらんぼ・キウイ・バナナ
【肉・卵類】
鶏・牛・豚のレバー・鶏卵・牛肉
【乳製品】
ナチュラルチーズ・カマンベールチーズ・プロセスチーズ・ヨーグルト
【嗜好飲料類】
煎茶・抹茶・玉露・青汁ケール・紅茶
*レバーには葉酸のほかビタミンAが非常に多いので、過剰摂取に注意。赤ちゃんの奇形発生リスクを高めることがあるので、日常的な大量摂取は避けましょう。
消化に良いもの
消化の悪いものを食べて胃が持たれたりすると、つわりがよけいにひどく感じられるでしょう。そんなときは、できるだけ消化のよいものを食べて、胃腸に負担をかけないようにしましょう。
【消化に良い食べ物】
・ごはん
・うどん
・豆腐
・白身魚
・鶏むね肉
・卵
・カボチャ
・じゃがいも
・大根
・ニンジン
・ほうれんそう
・ブロッコリー
ただし、「こってりしたものが食べたい」「食べられる」「食べて気持ち悪くならない」なら、食べてOK。つわりで辛い、食べられない、というときに、食べられるものがあるのは、いいことです。妊娠中期・後期は太り過ぎに注意が必要ですが、つわりで辛い今は、食べられるものを食べましょう。塩分も今は気にしないで、好きな塩加減で食べてだいじょうぶです。
島岡先生「つわりで自覚する妊娠生活」
つわりは妊娠したことによるホルモンバランスの変化が脳内の嘔吐中枢を刺激することや、ビタミン不足からくる代謝障害などで起こるとされています。また、精神的ストレスが関係するといわれます。当院の女性スタッフは「仕事中はつわりはなかった」と口をそろえます。仕事をもつ患者さんに聞いても同様です。仕事は交感神経優位の状態だからでしょう。副交感神経優位のほうが、つわり症状は強くなります。家に帰るとつわりが強くなるのは、リラックスしている証拠と言えるでしょう。妊娠を自覚して、もっと体をいたわるように教えてくれているのかもしれません。
つわりのいちばんの解消法は?と聞かれたら、私は「我慢しすぎないこと」と答えます。「餅は餅屋」です。「つわりくらいで…」と思わずに、少しでもつらいと思ったら、産婦人科医に相談するのが一番です。通院での薬や点滴、また入院によって重いつわりが劇的に治ってしまうこともあります。
取材協力: 島岡医院(京都市南区)スタッフの皆様、NPO法人チャイルドトラスト
はじめてのおむつ交換もあんしんの「おしりガイド」をご存じですか?
ムーニーは、赤ちゃんのおしりを置く場所がひと目で確認できる「おしりガイド」で、ママもパパも誰でも正しく簡単におむつ替えができます。
update : 2025.01.16
release : 2017.04.23
- お気に入り機能はブラウザのcookieを使用しています。ご利用の際はcookieを有効にしてください。
また、iPhone、iPadのSafariにおいては「プライベートブラウズ」 機能をオフにしていただく必要があります - cookieをクリアすると、登録したお気に入りもクリアされます。