【医師監修】つわりで性別がわかる?胎児の性別とつわりの関係
妊娠したら気になるのが胎児の性別ですね。昔から性別に関する言い伝えはたくさんあって、つわりと関係するのが「つわりが重いと男の子、軽いと女の子」という言い伝えです。今は超音波検査で胎児の性別がわかりますが、教えない方針の病院もあります。超音波がダメなら、つわりで判断できる?と期待する人の代わりに、つわりと胎児の性別は関係あるのかを、産婦人科医、島岡昌幸先生(京都市・島岡医院院長)にうかがってみました。
監修者プロフィール
島岡医院(京都市南区)院長
島岡昌幸
「母と子がハッピーになってほしい」と願い、専門の周産期医療はもとより、育児や子どもの皮膚のことなど、日夜勉強を重ねている。母と子が集い学び楽しむ「親育ち、子育ち」の場も多数企画。1970年関西医科大学医学部卒業。同大学附属病院産科主任、大阪府済生会泉尾病院産婦人科医長、奈良東生駒病院初代院長を経て、1983年、島岡医院院長。
つわりが軽いと女の子?
胎児の性別が知りたいのは親心
- おなかが前に張り出すと男の子、横に広がると女の子
- 顔つきがきつくなると男の子、やさしいと女の子
- 胎動が激しいと男の子、おとなしいと女の子
など…。胎児の性別に関する言い伝えは昔からたくさんあります。いつの時代も胎児の性別を知りたいのが親心なのですね。
つわりが重い、軽いと性別は関係ない
つわりと性別とが関係する言い伝えでは「つわりが重いと男の子、軽いと女の子」が有名です。調べていくと、これとは逆につわりが重いと女の子、軽いと男の子という説もあるようです。
「これらに根拠はありますか?」と、島岡先生に質問したところ、「迷信です! つわりだけでなくほかの言い伝えにも科学的根拠はありません」と一蹴。でも、「でも、こうした想像は楽しいものですね」とも。
性別は受精の瞬間に決まる
胎児の性別は受精の瞬間に決まります。性別を決めるのは性染色体。卵子がもつのはX性染色体のみですが、精子にはX性染色体とY性染色体があります。Xをもつ精子が受精すればXXで女の子になり、Yをもつ精子が受精すればXYで男の子になります。
言い伝えの多くは生後の性差が根拠
男の子は胎児期からヤンチャ!?
「つわりが重いと女の子、軽いと男の子、という言い伝えは知りませんでしたが、つわりが重いと男の子、顔がきつくなると男の子、胎動が激しいと男の子…とは聞いたことがあります。これらは、どれも生後の男児と女児の性差が根拠になっている印象をもちます」と、島岡先生。
「昔から男の子は女の子より育てにくいといわれてきました。第一子が女の子で第二子が男の子のお母さんは、『男の子はやんちゃで目が離せない。女の子とは全然違う』といいます」と。
なるほど、そういうこと!昔からの言い伝えは、こうした子育て経験から生まれたのかも知れません。おなかの子の性別をあれこれ想像し、生まれてからの育児に思いを馳せる——。こうして妊娠中から、親となる喜びや覚悟、自覚を育てているのかもしれませんね。
つわりが重いと子どものIQが高くなる?
情報はうのみにしない。余裕で向き合いたい。
こりない記者が次に島岡先生にした質問は、「つわりが重いと子どものIQが高い」という記事について…。
つわりがひどいと子どもの知能指数が高くなる?
ウォール・ストリート・ジャーナル(本社:アメリカ)が調査・紹介したもので、「つわりと出生児の関連を研究した国、計10の論文(対象妊婦約85万人)のデータを分析。生まれた子どもを数年後に調査すると、つわりがあった母親の子は、なかった母親の子よりIQ(知能指数)と言語・行動能力テストの結果が高かったと判明した」という内容です。
こちらも島岡先生からすぐに否定されてしまいました。
「IQ(知能指数)は大部分、両親からの遺伝です。また、その後の成育環境によってかなり左右されると思います。それに最近はIQよりEQ(情動指数)のほうが重要視されていますよ」。
「こうした情報は、うのみにしないこと。つわりが軽いからといって、気にしてはいけない」と島岡先生。ただし、つわりが重かった人は、もし子どもが賢いなどとほめられたら、「妊娠中はつわりが重くてつらかったけれど、私が一生懸命乗り越えたからなのよ~」と笑顔で受け止めるといいとも。
さまざまな情報が飛び交う時代だからこそ、リアルな現実を大事に。情報とは余裕を持って向き合いたいですね。
update : 2017.04.23
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