つわりを軽くする方法は?

妊娠すると多くの人が経験する、食べづわり、臭いづわり…。吐き気や嘔吐がともなうだけに、つらいものです。すぐに軽くなる方法があれば嬉しいけれど、鉄板の対策はありません。でも、ちょっと立ち止まって振り返ると、毎日の何気ない日常生活のなかに、症状を軽くできるヒントが隠れていることがあります。島岡医院(京都市南区)スタッフの経験談も交え、産婦人科医、島岡昌幸先生にアドバイスいただきました。
監修者プロフィール
島岡昌幸先生
島岡医院(京都市南区)院長
「母と子がハッピーになってほしい」と願い、専門の周産期医療はもとより、育児や子どもの皮膚のことなど、日夜勉強を重ねている。母と子が集い学び楽しむ「親育ち、子育ち」の場も多数企画。1970年関西医科大学医学部卒業。同大学附属病院産科主任、大阪府済生会泉尾病院産婦人科医長、奈良東生駒病院初代院長を経て、1983年、島岡医院院長。
つわりを軽くする食べ方、飲み方
空腹はNG⇒食事の間隔を短く
胃の中が空っぽだと気持ち悪くなることが多いものです。ですから、その状況を作らない工夫をしましょう。
- 夕食は夫の遅い帰宅を待たずに食べる
- 夕食のあと、寝る前に軽食をとる
- 夜中に目覚めたときや起床後すぐに小さなおにぎりやクッキーなどを食べる
- 日中も少量を回数多く(2~3時間おきに)食べる
- 働いている人は机の引き出しなどに軽食を用意する
水の一気飲みはNG⇒氷や炭酸水で水分補給
- 氷はかじらず、口の中で溶かしながら飲みこむ
- 炭酸水や経口補水液なら飲める人も
湯気はNG⇒冷やして食べる
- 湯気をかがないようにするため、調理は自分でしない
- 主食も副菜も汁物も冷蔵庫で冷たくするか、常温で食べる
- 冷し茶漬け、冷やしラーメン、冷製パスタなどを食べる
食べ物の選び方を工夫する
食べられるものを食べる
食べられない、食べると吐く、というときは、あまり栄養を気にせずに、食べられる物を食べましょう。
- 「胎児のために」はやめて、食べられる物を食べる
- 妊娠初期から塩分制限は不要。塩辛い物もOK
- こってり系、揚げ物も食べられたらOK
食べやすい物でも吐いたら食べない
- 食べやすい物でも、30分くらいして吐いたら、しばらくそれは食べない
- 飲みやすい物ても、30分くらいして吐いたら、しばらくはそれは飲まない
酸味の強い果物は避ける
- 食べやすいからといって、果物を無理に食べない
(酸味のある柑橘類はあとで吐くことがあるので注意) - みかんやオレンジなど柑橘類のジュースも、吐いたら控える
食べ物と吐き気の関係に注目!
吐き気を誘った食べ物をメモする
「以前は、つわりで入院された方が少し食べられるようになると、ひとりひとりに『食べたいものは?』と聞いて、献立に加えていました。でも、よく考えると、その食べ物を食べて吐いて入院されたわけですから、献立に加えるのをやめました」と、島岡医院の栄養士さん。
「食べたいから」「食べられるから」といっても、それが吐き気を誘っていることがあります。食事を振り返ってみましょう。吐き気を誘った食べ物に気づくかもしれまません。目安は食べて30分ほどして吐いたとき。そのときの食べ物をメモして、避けるようにしましょう。
吐き気を誘わない飲み物を探す
炭酸水を試してみる
水を飲むと気分が悪くなるけれど炭酸水なら飲める人は多いものです。つわりのときにはおなかが張ったり、ガスがたまる人が多いのですが、炭酸水には腸の動きをよくする作用もあります。さまざまな種類が市販されていますから、好みの物を選ぶといいでしょう。
スポーツドリンクを試してみる
経口補水液を試す場合は、市販のスポーツドリンクでもいいでしょう。嘔吐が激しく、とくに胃液まで吐く場合は、医師や薬剤師に相談のうえ、吸収がよく即効性のあるOS-1(オーエスワン)を飲みましょう。
臭いによる吐き気を防ぐ方法
臭いに近づかないのが勝ち!
時差通勤、車通勤、宅配利用も
妊娠すると、嗅覚が敏感になります。通勤電車のムンムンとした人いきれや衣服の臭い、食品売り場の臭いが、吐き気を誘います。いわゆる臭いづわりです。しかし、残念ながらこの状況は自分では変えられません。ですから、近づかないのが勝ち! 時差通勤、車での通勤、宅配などを利用する…などの工夫ができるといいですね。
シャワーにする、コスメはメーカーを替えてみる
でも、対応できる臭いもあります。湯船に張ったお湯の臭いが苦手になったら、無理に湯船に入らず、シャワーですませましょう。これまで好みだった香水やコスメ、シャンプー、コンディショナーの臭いが苦手になったら、メーカーを替えてみましょう。
Dr.島岡から「つわりは我慢しすぎない」
よく、つわりは精神的ストレスが関係するといわれます。当院の女性スタッフは「仕事中はつわりはなかった」と口をそろえます。仕事をもつ患者さんに聞いても同様です。仕事は交感神経優位の状態だからでしょう。副交感神経優位のほうが、つわり症状は強くなります。とすると、リラックスできるはずの家庭のほうが、より強くストレスを感じるのかもしれません。
ストレスの度合いは人それぞれ、環境や人間関係によると思われます。いちばんの解消法は?と聞かれたら、私は「我慢しすぎないこと」と答えます。「餅は餅屋」です。「つわりくらいで…」と思わずに、少しでもつらいと思ったら、産婦人科医に相談するのが一番です。入院によって重いつわりが劇的に治ってしまうこともあります。
参考文献
島田信宏著「周産期の母児管理 改訂5版」南山社刊
取材協力:島岡医院(京都市南区)スタッフの皆様、NPO法人チャイルドトラスト
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release : 2017.04.23
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