生後3ヶ月の成長発達「ハンドリガードの、ここがすごい!」

生後3ヶ月ごろになると、自分の手を見て、なめる赤ちゃんが出てきます。ハンドリガードの始まりです。ここに潜んでいるのは、「見る」「動かす」「なめる」「味わう」「なめられている」・・・という、脳の違う場所で行っていることの、統合――。赤ちゃんにみなぎる力強いパワーを、もう一度、発見して、かみしめて、味わって、感動! 子どもの体と心の発達研究の第一人者、榊原洋一先生の解説付きです。

監修者プロフィール

榊原洋一先生

お茶の水女子大学名誉教授

医学博士。1976年東京大学医学部卒業後、ワシントン大学小児神経研究部、東京大学医学部附属病院小児科などを経て、お茶の水女子大学理事・副学長。2017年より現職。「子ども学」の研究所「チャイルド・リサーチ・ネット」所長、日本子ども学会副理事長。専門は小児神経学、発達小児科学、特に注意欠陥多動性障害、アスペルガー症候群などの発達障害の臨床と脳科学。今後の活動について、「発達障害には様々な誤解があるので正しい理解を広げていきたい」と語る。『オムツをしたサル』『アスペルガー症候群と学習障害』など著書多数。

みつめて・なめて・感じる新感覚

ある日、目の前に登場した、“なにか”

新しいおもちゃかな?

なんだろ? なんだろ?

同じように見えるけど

違うような気もするふたつの、“なにか”

じーっとみつめる、みつめる

あっ、動いた!

ヒラヒラ動くよ、動くよ

あれ残念! どこかへ行っちゃった

しばらくしてまた現れた、“なにか”

でも今度はひとつで、カタチは、“グウ”

どこから来たの? きみはだれ?

あるときグウを

口にもっていくことに成功した

なんだろな? ちょっとなめてみる

チュパチュパ チュパチュパ

おやっ? カラダのどこかが

なにか感じる

なめている感覚と、なめられている感覚が

行き交う つながる へんな感覚

不思議感覚 おもしろい

ママがやってきた

「ゲンコツしゃぶりをしているわ」

パパもきた

「ムリムリ、ゲンコツは口には入らないから」

ほんとだ、オェッ、む、むせた…

Dr.サカキハラの「ハンドリガードの、ここがすごい!」

見て、体を動かして、なめて、
脳の機能を統合していく

赤ちゃんは生後3ヶ月になると、泣き声も大きくなって、あやすと笑う、「社会的笑い」が見られるようになり、育児の手ごたえが出てきます。

この頃になると、赤ちゃんは人の顔の目もと、口もとを一生懸命見るようになります。顔の表情を理解する一歩手前まできているのです。

また、自分の目の前に自分の手を出してみつめる、「ハンドリガード」を始める赤ちゃんも出てきます。腕と手を自由に動かせるようになったからできる動作です。

道具を手で使う始まりとなる行為であり、赤ちゃんの視界の中に、初めて自分の体の一部が現れるという意味でも、大きな出来事といえます。

しかし、それはたまたま目の前に手が登場しただけ。赤ちゃんはまだ自分の体の一部だと気づいていません。やがて手を口にもっていき、自分の手をなめるようになります。

たわいなく見えるこの行為ですが、脳の中ではじつにたいへんなことが行なわれています。どういうことかというと、手をなめると、唇や舌で手をなめている感じがしますし、手の方ではなめられている感じがする。これらを感じる部位は、脳の「頭頂葉」の違った場所にあるのです。

脳の違う場所が同時に刺激を受けることで連携し、「あ、なめるとこうなるぞ」とコネクションができてくるのです。さらに、手を動かす運動をつかさどっているのは「前頭葉」、手を見る視覚の働きをつかさどっているのは「後頭葉」です。

手を見て、動かして、なめて、なめられいる――。脳の中の4つの機能を一緒に働かせて、エクササイズをしているのです。違う感覚を統合しているのです。

赤ちゃんは、大人のように本を読んで学習するわけにはいきません。自分の体の取り扱い説明書もありませんから、触ったり、なめたりして体を刺激して、いろいろ試して学んでいるのです。

update : 2017.11.08

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