新生児期っていつまで?育児のポイントや注意点、乳児期との違いについて解説!
生まれたばかりの赤ちゃんを「新生児」と呼びますが、いったいいつまでが新生児で、それ以降の赤ちゃんとは、どんな違いがあるのか、しあわせ子供クリニック院長の二瓶浩一先生に教えていただきました。新生児の体について、授乳や睡眠、沐浴などのお世話のポイント、お部屋の環境、乳児、幼児の心と体の発達など、知っておくと子育てに役立つ情報をお届けいたします。
監修者プロフィール
二瓶浩一先生
しあわせ子供クリニック 院長
医学博士。東邦大学医学部卒業。東邦大学医療センター大橋病院小児科勤務ののち、2020年、東京都目黒区に小児専門クリニックを開院。クリニックでの診察のかたわら、東邦大学医療センター大橋病院の非常勤講師、地元、目黒区内保育園、数園の園医を務める。専門領域は循環器、川崎病。日本小児科学会専門医・指導医、日本小児循環器学会専門医、臨床研修指導医。
新生児って、いつの時期の赤ちゃん?期間は?
新生児とは生後4週間までの赤ちゃんを指します。誕生日を0日とすると28日未満、それ以降は乳児と呼ばれます。幼児と呼ばれるのは離乳後が一般的ですが、日本の法律では満1歳から就学前の子どもを幼児としています。
新生児期、気になる睡眠と授乳、おむつ替えの頻度とは?
生まれたばかりの赤ちゃんは、授乳とおむつ替えの時以外は、ずっとねんねしているのが普通です。昼夜の区別なく、夜中であっても母乳やミルクを欲しがって泣くため、新米ママは、出産後の疲れが取れない状態で、睡眠不足になりがちです。でも産後はママの体の快復もとても大切。新生児の授乳やおむつ替え、睡眠のリズムを知って、みなさんのご家庭に合ったお世話の仕方を検討してみましょう。
授乳とおむつ替えの頻度の目安
新生児の授乳回数は、赤ちゃんが泣いて欲しがるタイミングで与えることが基本で、だいたい2〜3時間おき、1日8〜12回程度が標準です。量は1日に500〜600mlぐらいが目安。母乳だと量がわからず、不安になることもありますが、体重の増加が順調で元気で機嫌よくしているなら、しっかり飲めていると考えられます。1ヶ月健診で、発育、発達をチェックしてもらえるので、あまり心配しなくても大丈夫。気になるようであれば、授乳した時刻と授乳時間などを記録し、健診の際に見てもらうとよいでしょう。
新生児のうちは1日の大半を寝て過ごします。睡眠時間はだいたい16〜18時間くらいと言われています。沐浴中ですら眠ったままの赤ちゃんもいるほどです。夜中でもおなかがすくと泣いて起きますが、母乳やミルクで満たされるとすぐに眠りにつきます。
新生児の赤ちゃんは個人差がありますが標準的には1日におしっこを15〜20回、うんちを7〜10回と頻繁にしますが、1回の量はまだほんのちょっと。おしっこのたびにおむつ替えをする必要はありませんが、うんちをしたときはすぐに替えてあげましょう。この時期は母乳やミルクしか飲まないのでうんちはゆるゆるで、そのままにしているとおむつかぶれの原因になるからです。新生児のおむつ替えの目安は授乳の前後。つまり2〜3時間おき、1日10〜12回程度です。できれば授乳の前におむつを替えてあげて、おしりがきれいな状態で授乳してあげると気持ちがいいですね。でも授乳するとおしっこやうんちをする赤ちゃんもいるので、その場合は授乳後でも大丈夫です。
家族の連携や産後ケアサービスの活用も重要
赤ちゃんが新生児の時期は、ママにとっては体を元に戻す産褥期。産後に無理をするとその後の体調にも影響するので、できるだけ体を休めておきたい時期でもあります。授乳やおむつ替えが昼夜なく2〜3時間おきに続き、睡眠のリズムも大人の生活と異なるのはとても大変なことです。だから家族との連携が重要。母乳授乳の場合は、おむつ替えはパパが担当したり、ミルクの場合はパパにも授乳ができますね。赤ちゃんのお世話だけでなく家事も含めて家族一丸となって分担して、産後のママの快復がスムーズに進むよう臨みたいですね。
仕事の関係などでパパや家族のサポートが難しい場合は、自治体や、産院と連携している施設などが実施している産後ケアサービスを活用するのも手です。産後ママの体と心のケア、育児相談などが受けられます。サービスは自宅に来てもらう訪問型、施設に日帰りで行くデイサービス型、泊りで受けられるショートステイ型などさまざま。自治体の福祉担当窓口などに聞くと情報をもらえます。
新生児の赤ちゃんの体ってどうなっているの?発達は?
新生児期の赤ちゃんの体の特徴
新生児の赤ちゃんはなんだかぐにゃぐにゃしていて首がすわっておらず、抱っこするのも大変。まだ筋肉が発達していないから柔らかくて、お肌も薄くてデリケート。体温は37度前後と高めですが、まだ体温調節ができないので、室温や衣類で調節してあげてください。
生まれながらにおっぱいを吸う力が
人間の赤ちゃんは、他の動物に比べかなり未熟な状態で誕生しますが、生きるために必要な母乳が飲めるように、お口のまわりの機能は胎児の頃から発達しています。超音波写真で臨月に近い赤ちゃんを撮影すると、指を吸う姿が見られることがあります。唇と舌を上手に使って母乳や哺乳びんの乳首を吸えるのは、生まれながらに備わっている原始反射のひとつ、「吸てつ反射」によるものです。
新生児の赤ちゃんの五感の発達は?
新生児の五感の発達、視覚・聴覚・触覚・嗅覚・味覚について見ていきましょう。
- 視覚
光の明暗がわかり、生まれてすぐでも人の顔の輪郭がぼんやりわかるといわれています。生後6週間ぐらいになると、輪郭がなくても顔のパターンを認識できるようになるようです。 - 聴覚
胎児の頃から音に反応します。生まれてすぐに聴力検査をするので、そこで音に反応していることがわかります。生後1ヶ月近くなると、眠っていても突然の音にびっくりして目を覚ましたり、泣いている時や動いている時に声をかけられると、泣き止んだり動きを止めたりするようになります。 - 触覚
寒い、暑い、冷たい、痛い、痒いなどの皮膚感覚は、新生児の頃から備わっています。 - 嗅覚/味覚
ママの母乳の匂いがわかり、味覚は新生児でも、甘い、苦いがわかるといわれています。
脳が発達するにつれ、外界からの刺激の情報処理ができるようになり、五感も発達。逆に、脳が発達するには外界からの刺激が必要だともいわれています。
新生児に見られる「原始反射」って何?
原始反射とは、大脳からの指示がないままに、外からの刺激で特定の筋肉が動くことです。生まれてすぐに母乳が飲めるのは、吸てつ反射によるものだと説明しましたが、新生児には他にもいくつかの原始反射が見られます。
- 探索反射
頬や口周りに何かが触れると、そちらに顔をむけます。生まれてすぐに母乳を飲むための反射です。 - 吸てつ反射
口に入ったものを強く吸う反射です。哺乳類であれば、乳を飲むため生まれながらに備わっています。 - 把握反射
何かが手のひらに触れると、それを掴むようにぎゅっと手を握ります。足の裏も同様で、足の裏に刺激を与えると、足の指を曲げます。 - モロー反射
音や光など外部からの刺激で、ビクッとして両手を広げ、何かに抱きつくような動きをします。 - ガラント反射
赤ちゃんをうつ伏せ状態で抱き上げ、背骨の片側をなぞると、なぞった方に下半身を曲げます。 - 歩行反射
赤ちゃんを、足が床につくようにして立たせた体勢で支えると、歩くように交互に足を動かします。 - 非対称性緊張性頸反射
赤ちゃんの頭を片方に向けると、向けられた方の腕が伸び、反対の腕は曲がります。
1ヶ月健診では、これら新生児特有の原始反射が備わっているかを確認します。
新生児期の赤ちゃんのお世話のポイントと注意点
体温調節機能が未熟な新生児の赤ちゃんが快適に過ごせるよう、服装や室内環境を季節やその日の気候に応じて整えてあげましょう。
服装と着替えの頻度の目安
生まれた季節にもよりますが、新生児の服装の基本は「短肌着+長肌着(またはコンビ肌着)」。寒い時期はこれに2WAYオールやベビードレスを重ねます。大人も季節やその日の気温によって服装を変えるように、赤ちゃんも気温によって調節してあげましょう。体温調節がまだできないため、新生児の服装は「大人の服装+1枚」と言われています。ただ、成長とともに動きが激しくなり、赤ちゃんはもともと汗っかきなので、生後2ヶ月ごろからは大人と同じ枚数、生後3〜4ヶ月以降は「大人の服装-1枚」と、枚数の目安は逆転していきます。
いつも清潔にしてあげていれば着替えの頻度は決められた回数はありません。赤ちゃんは汗をよくかき、授乳後のげっぷ時に吐き戻して服を汚してしまうこともあるので、汗をかいたり汚れたりしたらその都度着替えさせてあげましょう。毎日の着替えの目安としては朝起きたときと、沐浴のタイミングです。
赤ちゃんが過ごしやすい環境を整える
前述のように新生児の赤ちゃんは1日の大半を寝て過ごします。エアコンを上手に取り入れて、赤ちゃんが眠るのに快適な室温を保つようにしましょう。室温の設定は、夏は26~28度、冬は20~23度が目安です。赤ちゃんは肌が乾燥しやすいため湿度は50〜60%を目安に、冬場にエアコンで乾燥しすぎる場合は加湿器を使って湿度を保ってあげましょう。エアコンの風が赤ちゃんに直接当たらないように、赤ちゃんの居場所や風向きにも気をつけてあげましょう。
直射日光が当たりすぎないように気を付ける
最近は紫外線を必要以上に避ける傾向が強すぎて、一部の妊婦さんにビタミンD不足が心配されていると言われています。赤ちゃんも同様で、適度な日光浴は必要です。ビタミンDは日光に当たることで合成され、季節にもよりますが、1日に15分程度で十分。それ以上は逆にお肌が敏感な赤ちゃんには紫外線による害の方が心配されます。赤ちゃんの居場所はカーテンなどで日射しが調整できるようにしたいですね。
乳児から幼児へ、どんな風に育っていく?その違いは?
乳児期:特定の大人との関係を築くことで、心と体が成長
新生児は、0ヶ月の乳児ということになり、その後1歳になるまで、年齢ではなく「1ヶ月児」というように月齢で数えられます。乳児期は一生のうちで一番成長が著しく、体の発育だけでなく、運動発達も精神発達も月単位で変化します。生まれた時は手足と首、顔を動かすぐらいしかできなかった赤ちゃんが、寝返り、お座り、ハイハイ、つかまり立ちと、運動発達面で大人に近づいていきます。視覚、嗅覚、聴覚、触覚、味覚といった五感も、外からの刺激で発達していきます。
最初は「快」と「不快」しか感じず、泣くことでしか自分の感情を表現できなかった赤ちゃんが、 3〜4ヶ月ぐらいにはあやされると笑うようになり、 ママやパパの姿が見えなくなると不安を感じて泣いたり、寂しいという感情を抱いたりするように。感情が芽生え始めたこの時期の赤ちゃんに必要なのは、自分を愛おしく思って世話をしてくれる大人の存在です。特定の大人への信頼感や安心感が芽生える「愛着」が形成されると、心も育まれていきます。「あれは何だろう」という好奇心が芽生え、それが探索心へと繋がります。
母乳やミルクだけで栄養をとっていた赤ちゃんも、生後半年ぐらいになると離乳食を食べるようになり、徐々に授乳から食事へと移行。離乳が完了し、食事から栄養をとるようになると、もう乳児ではなくなります。その頃には歩けるようにもなり、幼児の仲間入りを果たします。
幼児期:言葉の発達とともに、著しく精神面が成長
1歳を過ぎ、歩いて行きたいところへ行けるようになると、自立心が芽生えます。大人の言うことが理解できるようになり、「まんま」などの一語文も出てくるように。自分と他人の違いに気づき、自我が芽生え、自己主張も強くなっていきます。言葉が話せないうちは、叩いたり噛みついたりという、大人から見たら困った行為で気持ちを表すこともありますが、話せるようなるにつれ、それもおさまっていきます。
1歳も後半になると、記憶力が発達しイメージする力がついてきます。「ワンワン見に行こうか?」といわれると過去に見た犬を思い出し、それをイメージできるようになるのです。やりたいことにじっくり取り組み、夢中なって遊ぶことで、集中力や思考力が育まれます。幼児期は、目で見てすぐわかる体の発達は、乳児期ほどではなくなりますが、目に見えない精神面がめざましく成長しています。
2歳を過ぎると多くの子どもは二語文を話すようになり、自立心もさらに強くなります。思い通りにならず泣き叫ぶことも増えますが、我慢も覚え、自律心が芽生えてきます。3歳近くになると友だちとの遊びを好むようになり、社会性も芽生えます。保育園や幼稚園に通い出すと、子どもの世界はどんどん広がってゆくのです。
あっという間の新生児期を楽しんで
初めての子育てだと、わからないことが多くて不安になりますが、授乳、おむつ替え、沐浴など、基本的なお世話をしているうちに、赤ちゃんはどんどん成長していきます。赤ちゃんについての知識が増えれば不安も減り、赤ちゃんが笑顔を見せてくれるようになると子育てがぐっと楽しくなっていきます。特に赤ちゃんが新生児のうちは、ママも産後疲れで、体力的にも精神的にも余裕がなくて当然です。パパと一緒に赤ちゃんのお世話や家事をすることはもちろん、産後ケアサービスなど使える外部サービスにもどんどん頼ってしまいましょう。乳児から幼児への成長ぶりはめざましいものです。あとから赤ちゃん時代をもっと楽しむべきだったと後悔することがないよう、子育てを楽しんでくださいね。
監修/しあわせ子供クリニック 二瓶浩一先生
update : 2024.10.25
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