新生児の鼻づまりの原因は?フガフガ音がするのはなぜ?病院に行く目安や対処法を解説【医師監修】
「赤ちゃんがフガフガ苦しそう…」「鼻が詰まって眠れないみたい」と心配になるママ・パパも多いのではないでしょうか。新生児は鼻の通りが狭く、ちょっとした刺激でもつまりやすいのが特徴です。この記事では、新生児の鼻づまりの原因や家庭でできるケア方法、受診のタイミングをわかりやすく紹介します。
監修者プロフィール
今西洋介先生
一般社団法人チャイルドリテラシー協会代表理事
小児科医・新生児科医。日本小児科学会専門医/日本周産期・新生児医学会新生児専門医。医学博士(公衆衛生学)。一般社団法人チャイルドリテラシー協会代表理事。小児公衆衛生学者。富山大学医学部卒業後、都市部や地方のNICU(新生児集中治療室)で新生児医療に従事。「ふらいと先生」の名で、小児医療や育児に関する啓発を行い、社会問題解決に取り組む。現在は米国在住。3姉妹の父。 主な著書に『新生児科医・小児科医ふらいと先生の子育て「これってほんと?」答えます』(西東社、監修)、『小児科医「ふらいと先生」が教える みんなで守る子ども性被害』(集英社インターナショナル)ほか多数。
この記事で知ることができるのは?
- 新生児の鼻づまりの主な原因は、鼻が小さく鼻腔が狭いことや、粘膜が刺激を受けやすいことです。風邪のウイルス、乾燥や鼻くそなども原因となることを説明します。
- 新生児の鼻づまりの原因はさまざまで、治まるまでの期間には個人差があります。発熱や長引く咳、食欲不振などの症状がない場合は、すぐに受診しなくてもよいと説明します。
- 夜に眠れないときは、鼻水を器具やティッシュで取る、部屋を加湿する、人肌程度に温めた蒸しタオルで温める、上体を少し起こすなどのケアが効果的と解説します。
- 新生児は構造上「フガフガ」と音を立てやすく、鼻づまりと勘違いしやすいと説明します。息が止まる心配はほとんどありませんが、発熱や食欲不振がある場合は受診すると安心です。
新生児の鼻づまりで見られる症状
新生児が鼻づまりを起こすと、以下のような症状が見られます。
- 鼻水が出る
- いびきをかく
- 口呼吸が多い
- ミルクが普段通り飲めない ※受診のひとつの目安になります
- 機嫌が悪い
- 夜中に目覚める回数が多い
新生児の鼻づまりの原因
新生児の鼻は小さく、鼻腔も広くないため、構造的に鼻づまりを起こしやすいことが、根本的な原因です。風邪のひきはじめには、体を守るために鼻水が出ます。鼻腔が狭いと、少しの鼻水でもすぐにつまってしまいます。花粉やハウスダストのアレルギーでも同じことが起こります。また、赤ちゃんにとっては、冷たい空気や乾燥した空気、ほこりなども刺激に。鼻から吸い込むと鼻水が分泌され、つまってしまいます。病気や体質だけでなく、生活環境も鼻づまりの原因になるのです。
風邪やアレルギー
鼻づまりの原因としてよくみられるのが、風邪にかかってしまった、もしくはアレルギー症状が出たときです。風邪のウイルスは少なくとも100以上のライノウイルス血清型を含む15~20の既知ウイルス種・型ともいわれ、たて続けに別のウイルスに感染してしまった場合は、赤ちゃんの体が複数のウイルスに反応するため、症状が長引いてしまうこともあります。体の防御反応という点では、原因物質を排除しようとするアレルギーも同様です。症状が重く鼻腔内が腫れてしまったりすると、鼻づまりも治りにくくなるでしょう。
鼻の粘膜が敏感
鼻の粘膜、皮膚など、生まれたばかりの赤ちゃんの感覚はとても過敏です。そのためちょっとしたことでも刺激を受けやすく、結果的に鼻水の分泌が盛んになります。例えば鼻は呼吸器官です。そのため、空気が乾燥していると鼻の中も乾いてしまいます。鼻は、本来は適度な湿り気を必要とする器官で、乾燥するとウイルスへの抵抗力が弱ることに……。そこで、鼻腔を潤すために鼻水が出るのですが、鼻が小さく鼻腔の狭い赤ちゃんは、すぐにつまってしまうのです。
鼻くそができている
赤ちゃんの鼻の中に鼻くそができると、小さな鼻腔の中で、鼻水の通り道がふさがれてしまいます。つまり、鼻くそができてしまい、鼻づまりを起こしてしまうこともあるということです。鼻くそは、鼻水に空気中のほこりなどが付着してかたまったもの。大人であれば鼻くそができる前に鼻をかんだり鼻くそを取り除いたりできますが、赤ちゃんにはそれができません。いつの間にかできてしまった鼻くそが、赤ちゃんの鼻をふさいでいることもあるのです。
環境の変化
季節の移り変わり、旅行や引っ越しなどで赤ちゃんを取り巻く環境が変化することも、鼻づまりを引き起こす要因となります。季節でいえば、冬の空気の乾燥は、赤ちゃんにとっては大きな刺激といえるでしょう。乾燥だけでなく、空気の冷たさも鼻腔を刺激するため鼻水の分泌を引き起こします。春なら、ほこりや花粉も刺激であり、鼻水の要因です。それまで慣れていた環境と違う環境に移ったときも、新しい環境に対応するために鼻水の量が増えることがあります。
新生児の鼻づまりはいつまで続く?
赤ちゃんの鼻づまりの原因は、風邪のウイルスによるもの、アレルギー反応によるもの、環境によるものなどさまざまです。その原因によって鼻づまりの期間は異なるため、短期間で解消することもあれば長引くこともあります。
新生児の鼻づまり・鼻水が長引く原因
赤ちゃんが複数のウイルスに感染していたり、アレルギー反応を起こしていたりする場合は、治るまでに時間がかかるかもしれません。新生児の頃から寝返りを打てるようになるまでは仰向けに寝ていることも多いため、鼻水が排出されにくいことも要因といえるでしょう。
新生児の鼻づまりで病院へ行く目安
赤ちゃんは構造的に鼻がつまりやすいので、たとえ鼻づまりになったとしても機嫌よく過ごしているようであれば、すぐに受診する必要はありません。ただし、以下のような症状もみられる場合は、診察を受けるようにしましょう。
- 熱がある
- 咳が出て長引いている
- 食欲が落ちている
- 夜、ぐずって眠れない
- 日常生活に支障が出ている
大阪府:匿名希望(。・ω・。)
生後2ヶ月では風邪はひかないと聞いていたのに、鼻づまりや咳があり、受診すべきか迷いました。機嫌も良かったので、大丈夫かなと思いつつも受診し、先生に「心配しなくても大丈夫」と言っていただき、非常に安心しました。初めての子どもが苦しそうにしていると焦ってしまうので、親が安心するためにも念のため受診はアリなのかなと思いました。
新生児における鼻づまりのケア・対処法
機嫌よく過ごしてはいるものの赤ちゃんの鼻づまりが長引いているというときは、以下のケアを試してみましょう。
- 器具で鼻水を吸い取る
- ガーゼやティッシュで鼻水を取り除く
- 加湿する
- 鼻の周りを温める
- 上体を起こしてあげる
器具で鼻水を吸い取る
器具を使い、つまっている鼻水を吸い取ることができます。手動や電動の鼻吸い器が市販されているほか、スポイトで代用してもいいでしょう。ポイントは、器具の先端で鼻の粘膜を傷つけないように、まっすぐにあてること。器具の押し込みすぎにも気をつけ、長時間にわたって使うこと、赤ちゃんがいやがるときに無理することはやめましょう。
ガーゼやティッシュで鼻水を取り除く
やわらかい薄手のガーゼやティッシュを水で湿らせて、鼻の入り口をやさしく拭いながら取り除いてあげることも方法です。粘り気のある鼻水が続けて出てきたら、少しずつ引き出すようにして拭うといいでしょう。鼻くそが見えているときは、ティッシュで細いこよりを作り、そっとさしこむと、くしゃみとともに出てくるかもしれません。
加湿する
冬、暖房器具を使うなどして部屋が乾燥状態になっているときは、加湿器を使って部屋の湿度を上げると、赤ちゃんも楽になるでしょう。加湿すると、鼻の奥で乾燥してかたまっていた鼻くそも、出やすくなります。加湿器を使う代わりに、部屋に洗濯物を干すことも方法ですし、自然に湯気を吸いこむことのできる沐浴をすることも効果的です。
鼻の周りを温める
鼻の周りを温めることも、鼻づまりの解消に役立つ方法のひとつです。赤ちゃんの顔のサイズに合った蒸しタオルで、温めてあげましょう。乾いていた粘膜が潤います。温めてあげると、血行がよくなることもポイント。鼻の潤い効果にプラスして、鼻づまりの症状緩和が期待できます。先ほどご紹介した沐浴は、温めるためにも利用できる方法です。
なお、タオルは熱すぎるとよくないため、人肌の温度かどうか確認する、当て時間を少しだけにするなどの注意が必要です。
上体を起こす
鼻づまりがつらそうなときは、上体を起こしてあげると、寝たままの状態よりも、鼻が通りやすくなります。ママに時間の余裕があるなら抱き上げることも方法ですし、夜間であれば、タオルやクッションなどを背中にあてて、上体を起こしてもいいでしょう。上体を起こす高さは、赤ちゃんの月齢や様子をみながら調節してみてくださいね。
新生児の鼻づまりに関するQ&A
鼻づまりで新生児の息が止まったりはしませんか?
鼻づまりで息が止まるようなことは、まず起こりません。生まれて間もない赤ちゃんは、鼻腔も狭く、少しの刺激にも敏感に反応してしまいます。そのため、風邪をひいているわけでもないのに鼻がフガフガしたり、つまったりすることは、新生児にはよくみられる症状でもあるのです。蒸しタオルを使ったり、部屋を加湿してあげたりすると、赤ちゃんも楽になるでしょう。もし熱がある、息をするときにぜいぜいしている、食欲がないなど、ほかの症状もみられるときは診察を受けると安心です。
新生児でも鼻吸い器を使って大丈夫ですか?
鼻吸い器は、生まれてすぐの新生児から使うことができます。ただし、製品によって対象月齢が設定されていることもあるので、購入時や使用時には、取り扱い説明書をよく読み、指示通りに使うことが大切です。使用後の衛生にも気をつけましょう。ちなみに鼻吸い器は、自分で鼻がかめるようになる2歳から3歳ごろまで使えます。電動タイプ、手動タイプなどの種類があるので、赤ちゃんの個性やご家庭の状況に応じて用意しておくと役立つでしょう。
新生児の鼻のフガフガが気になってしかたないのですが…。
生まれたばかりの赤ちゃんにとって「フガフガ」は、ごく自然なこと。鼻がつまっているわけではないのにフガフガすることもあるので、心配しなくても大丈夫です。鼻の穴が小さく鼻腔が狭いという赤ちゃんの鼻の特徴、口と鼻が近いという顔の構造、胃の機能が未熟で母乳やミルクが戻りやすいことなど、赤ちゃんがフガフガする原因はいくつかあります。そばにいると気になってしまうかもしれませんが、ご機嫌がよく、ほかの症状がない場合は、見守ってあげてくださいね。
まとめ
- 赤ちゃんの鼻は小さく鼻腔も狭いため、鼻がつまりやすい構造になっています。
- 鼻水が出る原因には、風邪のウイルス、アレルギーのほか、空気の冷たさや乾燥、ほこりなどの環境も関係しています。
- 発熱や咳など、ほかの症状がなく元気があれば様子を見ていて大丈夫です。
- 鼻づまりで赤ちゃんが寝られないようなときは、加湿、鼻水の除去、温め、上体を起こすなどして対処すると楽になります。
release : 2025.11.12
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