帝王切開になる理由って?どう切るの?
予め医師に勧められて帝王切開する人もいれば、経膣分娩を予定していても、トラブルが発生して急遽、帝王切開になることもあります。だから誰もが可能性をもっているもの。もちろん、母子の安全のために行うものなので不安に思う必要はありません。帝王切開になる理由について知っておきましょう。
監修者プロフィール
井上裕子先生
井上レディースクリニック 理事長・院長
医学博士。日本産科婦人科学会専門医、日本乳癌学会認定医、日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医、母体保護法指定医師。
診療のかたわら、思春期から更年期の様々な女性に対しての講演活動、また、雑誌などに、出演、監修、執筆するなど多方面で活躍。
著書に「産婦人科の診療室から」(小学館)、「元気になるこころとからだ」(池田書店)、「赤ちゃんとお母さんのための妊娠中のごはん」(池田書店)など。
現在は、リボーンレディースクリニック 理事長、NPO法人マザーシップ 代表を兼務。
帝王切開はなぜするの?帝王切開の種類は?
帝王切開で出産する人も珍しくありませんよね。それでは、どういう場合に経膣分娩でなく帝王切開になるのでしょう?
帝王切開には2種類あります。一つがあらかじめ経膣分娩が難しいと判断された場合に行う「予定帝王切開」。もう一つは、お産の途中でトラブルが発生し、緊急に行う「緊急帝王切開」です。
どんな場合に帝王切開するの?
予定帝王切開の場合
定期健診の段階で、経膣分娩ではリスクが大きいことが事前にわかっている場合は、母体と赤ちゃんの安全を守るために医師から帝王切開を勧められます。37週以降に手術日を決めて行うので、パパやパートナーの日程などは調整しやすいようです。
以下、予定帝王切開になるケースの例です。
さかご(骨盤位)
赤ちゃんのお尻や足が下にきている場合をいいます。赤ちゃんは羊水の中で頭を下にしている「頭位」が一般的で、経膣分娩では頭から出てきますね。骨盤位の場合、そのまま分娩して足や臀部が先に外に出ると、大きな頭が産道にひっかかることで、赤ちゃんに危険性が及ぶことがあります。骨盤位は自然に頭位になおることが多いですが、妊娠37週になってもなおらなかったり、赤ちゃんの姿勢や、ママの骨盤の大きさなどによって、経膣分娩が難しいと判断されると帝王切開になることがあります。
前置胎盤
胎盤が部分的、もしくは完全に子宮口をふさいでいる場合は、経膣分娩だと子宮口にある胎盤が剥離して大出血を起こし、死産になる危険性もあるため、陣痛が発生する前に、輸血などの緊急対応が可能な周産期母子医療センターや病院で帝王切開で出産します。
多胎妊娠
双子なら、赤ちゃんの位置によっては経膣分娩が可能な場合もありますが、トラブルの危険性も多いので、現在では帝王切開を選ぶことも。3つ子以上の場合は、母体の安全のために、ほぼ帝王切開になるようです。
児頭骨盤不適合
ママの骨盤の大きさより赤ちゃんの頭が大きかったり、骨盤が狭い場合など、赤ちゃんが骨盤を通り抜けることができない場合は帝王切開になります。低身長のママに多く見られます。
妊娠高血圧症候群
症状が重いと胎盤の機能が低下するので、十分な酸素が赤ちゃんへいかず悪影響がおきることがあります。赤ちゃんの発達が悪かったり、分娩前に胎盤がはがれ落ちる危険性がある場合などは、早めに帝王切開をすることがあります。
緊急帝王切開の場合
お産が始まってからトラブルが生じ、経膣分娩では危険だと判断された場合、緊急に同意を経て行います。
心の準備ができていないので、焦ってしまうかもしれません。でもママと赤ちゃんの安全を最優先に考えてのことなので、心配せずにまずは落ち着いてくださいね。
一度帝王切開で出産すると2人目も必ず帝王切開?
一度帝王切開で出産すると2人目も必ず帝王切開になるわけではありません。しかし、第1子が帝王切開になった理由にもよりますが、帝王切開になる可能性は高いので、経膣分娩を希望する場合は医師に慎重に判断してもらいましょう。
第1子が帝王切開で第2子を経膣分娩するリスクは、子宮破裂など母子ともに命に関わることも多く、最近では陣痛発生前に、予定帝王切開する出産施設がほとんどです。
帝王切開はどう進む?
帝王切開はメスを入れて手術すること。出産のためとはいえ自分の体にメスが入ることだから、ちょっと不安になるママもいるかもしれませんね。どんなことが起きるかを知ることで、そんな不安を解消しておきましょう!
帝王切開の流れ
- 手術の前に点滴をして血管を確保します。
- 血圧計と心電図をセットし、導尿をします。
- 麻酔をします。局所麻酔が一般的です。
- 麻酔が効いてきたら切開します。切開の方法は、横切りと縦切りの2種類があります。医師や産院の考え方によるので確認しておきましょう。
- お腹を切開してから5~10分ほどで赤ちゃんが誕生します。その後に胎盤も取り出します。
- 縫合します。麻酔をかけてから縫合するまでは約1時間くらいで終わります。
- 術後は問題がなければ自分の部屋で休みます。麻酔が切れる時、まれに頭痛や吐き気をもよおすことがありますが、時間がたてば治るので安心してくださいね。
帝王切開の傷の処置
子宮を縫合し、その後、出血がないことを確認して腹膜、腹壁を縫合して手術は終了です。糸やステープラーと呼ばれるホチキスのような針で縫合されます。縫合方法などについては、産院によって違うので事前に確認しておきましょう。溶ける糸(吸収糸)で縫合されている場合以外は、経過にもよりますが術後5~7日後に抜糸します。
※術後の経過については「手術後の傷の痛みはいつまで?回復までの期間は?」で詳しくご紹介していますので、ぜひご覧ください。
監修/井上レディースクリニック院長 井上裕子先生
update : 2022.07.27
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