【医師監修】粘液栓とは?おしるしとの違いや陣痛・出産が近い時のサインも紹介

「おりものにゼリー状の塊が…これって大丈夫?」―出産が近づくと現れる「粘液栓(ねんえきせん)」に、不安や戸惑いを感じる妊婦さんは少なくありません。初めて目にすると驚くかもしれませんが、実は出産の兆候のひとつ。この記事では、粘液栓の正体や特徴、陣痛までの時間などをわかりやすく解説します。
監修者プロフィール
佐藤歩美先生
あゆみレディースクリニック高田馬場
日本周産期・新生児医学会周産期専門医。2008年横浜市立大学医学部卒業。愛育病院、NTT東日本 関東病院に勤務後、2022年より現職。できるだけ妊婦さんの気持ちに寄り添えるように、悩みなども話せるような雰囲気づくりを心がけている。
この記事で知ることができるのは?
- 粘液栓とは、子宮の中で育つ赤ちゃんを細菌やウイルスなどから守るために、妊娠初期から子宮頸部に作られるものであることを説明します。
- 粘液栓はゼリー状で粘り気があり、色は透明か白であることなど、粘液栓の特徴を解説します。
- 粘液栓と見分けにくいおりものはさらさらとした水状であり、粘液栓とは異なることをお伝えします。
- 子宮内部を感染から守っている粘液栓が出てくるのは、陣痛が始まり出産が近いサインであることを解説しています。
- 粘液栓が出てからのお産が始まるまでの時間には個人差があり、一概には言えないことを説明します。
- 粘液栓が出てからのお産の進み方には「分娩第一期」「分娩第二期」「分娩第三期」の流れがあることを伝え、それぞれの状況について解説します。
粘液栓とおしるしの違いは?
粘液栓とおしるしはどちらも出産が始まるサインといわれています。同じ意味で使われることもありますが、厳密には異なるものです。
- 粘液栓は、ゼリー状で透明のおりもの
- おしるしは、出産時に血液が混ざるおりもの
粘液栓とは
出産が近づくと赤ちゃんが子宮から出ようとするために、子宮口が開き始めます。子宮は、赤ちゃんの出口である子宮頸部へとつながっていますが、この出口で栓のような機能を果たしているのが粘液栓です。
ゼリー状のやわらかいかたまりで、外部から細菌やウイルスが侵入しようとしたとき、子宮の中に入り込まないようにガードする役割を果たしています。子宮の中で赤ちゃんが健やかに育つのは、粘液栓が守ってくれているからといっていいでしょう。出産が近づくと、役目を終えた粘液栓は、自然に排出されます。
おしるしとは
おしるしとは、出産が近づくと出てくる血液が混ざったおりもののことです。赤ちゃんや胎盤を包んでいる卵膜が出産に向けて子宮壁からはがれますが、このとき毛細血管が傷ついて出血します。これが、おしるしです。粘液栓に混ざって出てくることも少なくありません。
※ユニ・チャーム調べ:2012年11月14日〜2012年12月12日に実施したアンケートより(696名のママが回答)
粘液栓とおしるしの違い
粘液栓とおしるしは、どちらも出産が近づいているというサインとしてとらえられています。区別せずに使われることもありますが、前述したように、厳密には異なるものです。
子宮頸部で栓の役割をしている粘液栓そのものには色がなく、透明です。一方のおしるしは、子宮内部の変化で傷ついた毛細血管からの出血が混ざります。排出されるときに粘液栓に混ざることも多いため区別しにくいのですが、出産間近で出血を伴わないおりものが粘液栓、出血を伴うおりものがおしるしと考えるとわかりやすいのではないでしょうか。
粘液栓の特徴
出産が近づき、以下のようなものが下着に付いていたら、粘液栓の可能性が高いかもしれません。一般的な粘液栓の特徴は、以下のとおりです。ただし、粘液栓に気づかなかったということもあります。また、粘液栓が出たらすぐに陣痛が始まるというわけではないので、その点も胸に留めておきましょう。生理のような出血がみられた場合は医療処置が必要となるので、その目安にもしてください。
- 状態はゼリー状で、粘り気のあるかたまりです。
- 粘液栓そのものには水っぽさがありません。
- 色は基本的には無色透明ですが、白みがかって見えることもあります。
- 子宮口が開いて出血している場合は血液が混ざるため、ピンク色や茶褐色になっていることもあります。
- 大きさは2cmから5cmくらいです。
- 量の目安はティースプーンに1~2杯程度で、大量に出ることはありません。
- 粘液栓そのものには、においはありません。
粘液栓とおりものを見分ける方法
妊娠すると、おりものの量が増えます。その状態が出産間近まで続くため、下着についているのが粘液栓なのか通常のおりものなのか判断に迷うことも少なくないようです。迷ったときに見分けるポイントをお伝えします。
- 色の違い:おりものの色は、うすいクリーム色か白です。粘液栓は、通常は透明か白っぽい色をしていますが、血液が混ざりピンクや茶褐色になることもあります。
- 状態の違い:おりものは水っぽくさらさらとした液状です。粘液栓はゼリー状のかたまりで、粘り気があります。
- みられる時期の違い:妊娠中はおりものの量が増え、時期を問わずにみられます。粘液栓は子宮を守る栓なので、出産が近づいたときに排出されるものです。いつもと違うおりものの場合は、粘液栓かもしれません。
粘液栓が出るタイミングと理由
粘液栓は、細菌やウイルスが侵入しないように子宮頸部の栓として機能しています。しかし、そのまま栓としてあったのでは、赤ちゃんが外に出るときに道をふさいでしまうことに。そこで、赤ちゃんが通過できるように、体内で出産の準備が整うと、自然に粘液栓が排出されます。赤ちゃんを守る役目を終えたということで、タイミングは出産間近のころです。粘液栓が確認できたらすぐにお産が始まるわけではありませんが、陣痛や破水にも注意しながら「そろそろかな」という心構えができるといいですね。
粘液栓が出てからどれくらいで陣痛が始まる?
粘液栓が出たということは、子宮の入り口をガードしていた栓がはずれ出産が近いことを知らせるサインです。一般的に、この後に陣痛が始まりますが、どのくらいの時間を見たらいいのかが気になるところですよね。
じつは、粘液栓が出てから陣痛が始まるまでの時間には個人差があります。粘液栓が出てから数日というケースもあれば、1~2週間後になることも。
ですから、粘液栓が出たら特にママの体に異常が感じられない限りは、陣痛を待ちながらゆったりと過ごしてくださいね。陣痛が始まったら、入院のタイミングを確認する意味も兼ねて、陣痛間隔をカウントしましょう。
ただし、正期産に入る妊娠37週目より早く「これは、粘液栓?」と思われるものが出た場合は、早産になる可能性が否定できません。早めに医師の診察を受け、状況を伝えましょう。正期産には入ったけれど、生理と同じような出血が見られる、おりものが水っぽく破水が心配など、不安がある場合も同様です。かかっている産科に連絡を入れ、医師の判断を仰いでくださいね。
粘液栓が出てからの出産の流れ
粘液栓が出ると、一般的には次のような流れで出産へと進みます。
- 陣痛開始
- 子宮口全開大(分娩第一期)
- 赤ちゃん誕生(分娩第二期)
- 胎盤の排出(分娩第三期)
分娩第一期
10分間隔で規則的な陣痛がくるようになってから、子宮口が全開大になるまでの時期。分娩第一期にかかる時間は、初産婦さんで10~12時間程度、経産婦さんで4~6時間程度というのが一般的です。お産が進むにつれ陣痛の間隔が短くなり、腰痛や足のだるさのほか、直腸が圧迫されて不快感をおぼえることもあるでしょう。
子宮口が開いて赤ちゃんがおりてくるといきみたくなりますが、できるだけがまんすることがポイントです。呼吸では吐くことを意識する、腰をさする、肛門を圧迫するなどしていきみをのがしましょう。
分娩第二期
子宮口が全開になると陣痛が1~2分間隔になり、赤ちゃんが少しずつ産道をおりてきて誕生します。この時期、一般的には初産婦は2〜3時間、経産婦は1〜1時間半ほど。お産の進行状況により、この時期に会陰切開や人工破膜の処置がされることも。
赤ちゃんも生まれようと頑張っている時期です。医師や助産師の指示に従って分娩室に移動し、下腹部に力を込め、体をそらさないようにいきんで、赤ちゃんをサポートしましょう。陣痛の合間には体の力を抜き、深呼吸をして赤ちゃんにも酸素を届けることも大切です。
分娩第三期
赤ちゃんが生まれてから胎盤が排出されるまでの期間です。かかる時間は、一般的には初産婦で15〜30分、経産婦で10〜20分程度といわれています。子宮が収縮するため、後陣痛といって、弱い陣痛を感じることもあるでしょう。
胎盤を出すときには、指示に従って軽くいきむこともあります。その後、出血などの状況に応じて必要な処置がされるという流れです。
ここまできたら、力を抜いて体をゆっくり休めてください。母子ともに体調に問題がなければ、この後、赤ちゃんと一緒に過ごす時間を持つこともできます。
粘液栓やおしるしに関するママの体験談
兵庫県:こうがママ♡
私の場合おしるしは、かすかに血が出たか出てないかわからないくらいでした。それに破水がなかったので、陣痛をただの腹痛だと思っていたのですが、段々痛くなっていきました(笑)。だから次からは少しでも痛くなったら、病院に行く準備をしようと思います(着替えなど持っていかなければならないので)。
福岡県:momo
朝起きるとおしるしがありました。その時少しお腹が痛いような?と思っていたのが陣痛の始まりでした。初めての出産で陣痛がどんなものかもわからず、自分が陣痛に気づくのかな?とか出産前は色々考えていましたが、あんな痛みは陣痛以外ではありえませんでした(笑)。陣痛が強くなったので病院に電話すると「おしるしは何回ありましたか?」と言われて、おしるしは1回だけじゃないということをその時初めて知りました。誰も教えてくれなかったですね。
愛知県:りんちゃん
おしるしがきたからといって、陣痛はすぐにくるとは限らないし、予定日を過ぎることもあるので、まだこないまだこないと心配する必要はない!と思います。人それぞれ違うもので、出産は本当に赤ちゃんのタイミング次第だと思います。
Q&A:粘液栓に関するよくある質問
粘液栓がどんなものであるか、おしるしとの違い、出産がどう進むかはわかっても、まだまだ不安はいっぱい。そこで新米ママ&パパたち共通の疑問や心配のタネから代表的なものを集めてみました。不安を1つずつ解消していきましょう。
粘液栓は出産の兆候ですか?
粘液栓は、出産が始まる兆候のひとつといえます。粘液栓の役割は、子宮内部に細菌やウイルスが侵入することを防ぎ、赤ちゃんを感染から守ることです。粘液栓が出てきたということは、出産に向けて赤ちゃんの通り道が開いたと考えていいでしょう。ただし、粘液栓が出てから陣痛が始まるまでのタイミングには個人差があります。粘液栓が出たらすぐに出産になるとは限りません。
粘液栓のようなおりものはなんですか?
ゼリー状で粘り気のあるおりものが出たら、粘液栓の可能性があります。妊娠するとおりものが増え、特に妊娠後期には増えるので、粘液栓と混ざり合うことも少なくありません。粘液栓は、通常であれば透明か白い色をしていますが、出産が始まる時期に子宮内の毛細血管から出血し、粘液栓やおりものに混ざってピンクや茶褐色になることもあります。
妊娠初期の粘液栓はどのようなものですか?
妊娠初期の粘液栓は、出産前に排出される粘液栓と同じで、透明または白い色をしたゼリー状の物質です。粘液栓は、妊娠初期に子宮頸部で作られ始め、少しずつ蓄積して厚みを増していきます。まれに、ホルモンの影響で妊娠初期に排出されることもあるようです。基本的に心配はいりませんが、気になるときには受診して相談してみましょう。
粘液栓に気づかなかったらどうなりますか?
粘液栓に気づかなくても、心配する必要はないので安心してください。出産のサインといわれている粘液栓ですが、サインはそれだけではありません。おりものと混ざって排出されたり、トイレットペーパーでふき取ってしまったりすると、気づかないこともあるでしょう。いつ出るかと気にしすぎず、お腹の赤ちゃんのためにもリラックスして過ごしてくださいね。
まとめ
- 粘液栓は、細菌やウイルスが侵入しないように子宮頸部で感染症から赤ちゃんを守る役割をしています。
- 妊娠初期から子宮頸部で作られ始め、少しずつ蓄積して厚みを増します。
- 特徴はゼリー状で粘り気があることで、色は通常は透明か白い色をしています。
- 出産が近づくと役目を終え、自然に排出されます。
- 粘液栓が排出されてから陣痛が始まるまでの時間は人それぞれで、粘液栓が出たらすぐに出産というわけではありません。
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release : 2025.10.10
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