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妊娠初期症状のチェック方法とは?思い込みや生理前との違いを解説

妊娠に敏感になっている時期は、ちょっとした体調の変化で「妊娠したかも!?」なんて、ピン!とくることがあります。妊娠検査薬で調べる時期にはまだ早いけれど、「すぐ知りたい」と思う人のために、妊娠初期に現れる特徴について、芥川バースクリニックの芥川修院長に話を聞きました。赤ちゃんからの「ママのおなかにいるよ」というサインを見逃さないように、17個ある兆候を覚えておきましょう。

監修者プロフィール

芥川修院長
医療法人社団 寿修会 芥川バースクリニック

1998年東京医科大学医学部医学科卒業。同年5月、東京医科大学病院産科婦人科学教室臨床研修医として勤務。東京医科大学八王子医療センター、霞ヶ浦病院などを経て、2010年東京医科大学講師 東京医科大学産科婦人科教室医局長に就任。2013年に退職後、芥川バースクリニックを開業。育児雑誌・webの取材・監修多数。

妊娠初期症状とは?

妊娠初期症状とは、妊娠した場合に体に表れる変化のこと。妊娠期間は、妊娠前に最後に月経が来た初日を妊娠0週0日として、そこから280日後(40週0日)が出産予定日となります。その40週のうち0〜15週を妊娠初期、16〜27週を妊娠中期、28〜40週を妊娠後期と呼びます。妊娠初期の期間に見られる症状を妊娠初期症状と言いますが、特に3週目までに表れる症状を妊娠超初期症状と呼ぶこともあります。

一番わかりやすいのが、生理予定日に生理が来ないこと。月経周期が規則正しい人は生理が遅れると「妊娠かな?」と気づくことも多いようです。しかし、妊娠以外でも、ストレスや生活習慣の乱れ、ホルモンバランスの乱れ、ダイエットによって栄養が不足した場合、子宮や卵巣に何からの病気がある場合などでも生理が遅れるケースがあります。

妊娠初期症状はいつから起こるの?

妊娠初期症状が現れるまでを妊娠週数の時系列で見てみましょう。

・妊娠0週0日: 妊娠前の最後の月経の初日

    ↓

・妊娠2週ごろ:排卵 ※このときに性行為をすることで受精します

    ↓

・妊娠3週ごろ:受精からおよそ7日目に受精卵が子宮内膜に着床=妊娠の成立

    ↓

・妊娠4週ごろ:体に変化が現れ始める

妊娠初期症状は、最終月経の初日から4週間後ごろ、性行為からは1〜2週間後ごろから起こる症状と言えそうです。

妊娠初期症状が現れる理由

妊娠に大きく関わる3つのホルモンが大量に分泌されることにより、各ホルモンの作用や、ホルモンバランスが乱れることで、さまざまな妊娠初期症状が現れるのです。

妊娠に関わる3つのホルモン

hCGホルモン(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)

妊娠を維持し、赤ちゃんを育てるのに重要なホルモン。妊娠した女性にだけ分泌されます。妊娠検査薬で陽性が出た場合はhCGホルモンが多く分泌していることを示しており、妊娠判明のカギとなるホルモンといえます。

卵胞ホルモン(エストロゲン)

女性らしい体をつくり、妊娠に備えて子宮内膜を厚くしたり、精子を通りやすくしたりします。産後に分泌する母乳をつくるために乳腺を発達させるといったことにも役立ちます。

黄体ホルモン(プロゲステロン)

受精卵が着床しやすいように、子宮内膜をふかふかな状態に整えます。受精卵が子宮内膜に着床すると、子宮内膜のコンディションを厚く保ち、妊娠の継続を助けます。基礎体温を上昇させる、食欲を増進させる、乳腺を発育させるといった働きもあります。

妊娠初期の17の特徴

17の特徴別に、妊娠初期の体の変化について知っておきましょう。

1.着床出血

受精卵が子宮内膜に着床したとき、出血が1~2日続くことがあります。これが着床出血と呼ばれるもので、受精卵が子宮内膜につく際に子宮壁が傷ついて起こるとされています。

着床出血の量や色などに典型的といえる目安はありません。「おりもの程度」から「いつもの生理くらいの出血量」まで差があり、色も、ピンク、茶、鮮血色など人それぞれ違います。

ちょうど生理予定日前後あたりに起こるので、生理との区別がつきにくいかも。「いつもの生理と違う」と思ったら着床出血の可能性があります。

着床出血はある人とない人がいますが、生理的な現象なのでどちらでも心配ありません。

2.胸の張り・痛み

卵胞ホルモンと黄体ホルモンが増えると、乳腺や乳管が発達するために胸が張ったり痛くなったりします。生理前にも見られる症状なので区別がつきにくいのですが、生理開始予定日を数日たっても続くようなら妊娠しているかもしれません。赤ちゃんに母乳をあげる準備は、妊娠初期から始まっているのですね。

3.おなかの張り、腹痛、下腹部痛

hCGホルモンの作用と、ホルモンバランスが乱れることで、腸の動きが弱くなることが原因です。おなかが引っ張られるような張りや、シクシクする鈍痛、むずむずした違和感など、感じ方はさまざまです。下腹部に感じることも多いようです。

痛みの持続期間は個人差があり、1日だけの人もいれば断続的に続く人もいます。

生理前の腹痛に似ているので、痛みの症状だけでは区別がつきにくい場合があります。「いつもの生理だ」と思って、安易に鎮痛薬などを服用しないように注意してください。

4.腰痛

妊娠すると、分娩時に赤ちゃんがスムーズに出てこられるように、黄体ホルモンや、リラキシンという女性ホルモンの作用で、骨盤周辺の関節や靭帯が少しずつ緩くなります。そのため、骨盤が不安定になり体の重心が多少変化して、腰痛を引き起こす原因となります。

また、子宮が大きくなるにつれて自然に重心が後ろへ移り腰が反りやすい姿勢になる人が多く、腰に負担をかけることも関係しています。

5.頭痛

こめかみのあたりがズキズキと痛む片頭痛が一般的です。黄体ホルモンによる血管拡張作用や、ホルモンバランスの乱れも原因のひとつです。

頭痛薬に頼らず、ソファやベッドなどでゆっくり横になりましょう。痛みがつらい場合は病院を受診すれば、妊娠中でも飲める薬を処方してもらえます。

6.肌トラブル

ホルモンバランスの乱れが原因で、肌トラブルが出る人は珍しくありません。ニキビ、吹き出物、かさつき、かゆみがよく見られます。洗顔を丁寧に行い、清潔に保つことを心がけましょう。妊娠中は肌が敏感になるので、「今までの化粧品が合わない」と感じたら、敏感肌用や保湿効果の高いスキンケア化粧品に変えることがおすすめです。

また、ホルモン分泌の影響でメラニン色素が増え、色素沈着が起こりやすくなり、シミやソバカスが目立つようになることも。外出時には、日焼け止めクリームを塗り、帽子などの紫外線対策も必要です。

7.嗅覚の変化

hCGホルモンの影響で、においに敏感になることがあります。スーパーの揚げ物やお総菜、魚介類、コーヒー、タバコ、香水など、今まで大丈夫だったにおいが、突然苦手になります。つわりのピークは妊娠8~11週なので、つわりの前段階といえるでしょう。

出かけるときはマスクを着用し、柑橘系やミント系のアメを持参してみては。苦手なにおいがして気分が悪くなったときに口に含むと、気持ちが落ち着きやすくなります。

8.唾液・鼻水の変化

ホルモンバランスの影響を受けて自律神経が乱れることで、唾液や鼻水の量が増えることがあります。ティッシュなどを持ち歩き、こまめにぬぐいましょう。外見上はマスクでカバーすることも賢い方法です。

鼻水が多くなると「風邪かな」と勘違いする人は多く、区別がつきにくい症状です。のどの腫れや高熱などがなければ、妊娠の可能性を考えます。

9.頻尿、便秘、下痢

ホルモンバランスの変化や子宮が少しずつ大きくなることで、頻尿が起こります。膀胱は子宮の前にあり、子宮が大きくなるにつれて膀胱を圧迫するため、尿があまりたまっていなくても尿意を感じます。

便秘や下痢は、hCGホルモンの作用や、ホルモンバランスの変化で自律神経が乱れ、腸の運動が鈍くなるために起こりやすくなります。少しずつ大きくなる子宮が腸を圧迫することも影響しています。

下痢と比べて、便秘は圧倒的に多いです。快便だった人は便秘に、もともと便秘だった人は悪化します。食物繊維が多いものを積極的に摂るなどして対策しましょう。

10.おりものの変化

妊娠の兆候として代表的です。卵胞ホルモンと黄体ホルモンの分泌が増えることで、おりものが変化します。乳白色や薄い茶色で、量が増える、状態が水っぽい、においがしないか少ないのが特徴です。

量が多いときは下着をこまめに取り替え、おりものシートを利用するなどして常に清潔に保つことが大切です。

11.体のだるさ、眠気

hCGホルモンの影響で、だるさや眠気を感じます。「体がだるくて朝起きるのがつらい」「いくら眠っても眠い」などというのは、妊娠初期によくある症状のひとつなので、できるだけ体を休めましょう。

風邪の症状とよく似ていますが、のどの腫れや高熱がないなら、妊娠初期の症状かもしれません。

12.情緒不安定

ホルモンバランスの乱れや妊娠に対する不安感から、気持ちが敏感になりコントロールが難しくなることがあります。

  • イライラする
  • 怒りっぽくなる
  • わけもなく悲しくなる
  • 泣く
  • 不機嫌になる
  • 誰にも会いたくない
  • 暴飲暴食

などが見られます。中でも、泣く人が多くみられます。

自分なりのリラックス法を見つけ、おおらかな気持ちで妊娠と向き合ってみませんか。散歩や買い物など、外へ出かけて上手に気分転換するのもいいですね。

13.胃のムカツキ

妊娠初期は、消化器系のトラブルが多く見られます。特に、hCGホルモンや黄体ホルモンの影響で胃腸の働きが弱くなり、胃のムカツキを感じることがあります。ムカムカする、キリキリ痛むといった状態で、ひどいときは食事が食べられないこともあります。症状や程度は人それぞれです。

14.基礎体温が高くなる

通常、生理が始まって2週間程度は基礎体温が低い「低温相」、排卵をはさんだ2週間程度は「高温相」と、低温と高温がはっきりわかれています。妊娠すると、基礎体温を上げる黄体ホルモンの働きが高まり、高温相が続きます。3週間続いた場合、妊娠の可能性が。

15.食べ物の変化

ホルモンバランスの変化による自律神経の乱れで、味覚が変わることがあります。

  • 今まで好きだったものが食べられない
  • 今まで嫌いだったものが食べられる
  • 特定のものばかり食べる

などということが起こります。

食べ物は、体重管理にも大きく影響します。毎日決まった時間に、よくかんで食べることを心がけてください。胃のムカツキや吐き気が激しいときは、無理をせず食べられる物を食べて。このとき、サプリメントなどを活用し、葉酸をはじめビタミンB群を摂ることをおすすめします。

ビタミンB群とは、ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、パントテン酸、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、ビオチンの8種類です。中でも葉酸は、胎児の脳や神経、体の成長を助けるために積極的に摂りたい栄養素です。ビタミンB群は、互いに活動を補い合いながら健康を保つ特性があり、炭水化物、タンパク質、脂質などの栄養素の代謝を促進し、エネルギーの産生を助ける働きがあります。

少しでも体調が戻ったら、なるべく栄養バランスを整えた食事にしていけるように心配りしましょう。

16.息切れ

少しずつ大きくなる子宮に肺が圧迫されて、息切れが起こります。

また、妊婦さんは、おなかの赤ちゃんに酸素や栄養を運ぶため血液の量が増えます。大量の血液を全身に送るために心臓の負担が大きくなり、動悸や息切れを起こしやすくなります。赤血球の量が減り、鉄欠乏性貧血によって息切れすることもあります。普段から、ゆっくり行動することを心がけましょう。

17.生理の遅れ

生理が規則的な人にとって、最もわかりやすい妊娠の兆候です。生理予定日より1週間遅れているなら、妊娠しているかもしれません。

生理は、子宮内で受精卵を迎え入れるために、ふかふかに厚くなった子宮内膜がはがれ落ちて排出される現象です。妊娠すると受精卵は子宮内膜に着床して発育するため、子宮内膜は排出されることなく役割をまっとうします。そのため生理が止まるのです。

ストレスが多い、生活習慣が乱れている、過剰なダイエットをしているといった人は、生理周期が乱れがちに。生理が遅れても気づきにくいので注意してください。

妊娠初期症状はないこともある?

今まで挙げた中で、誰にでも現れる妊娠初期症状は、「基礎体温が高くなる」ことです。そのほかの妊娠初期症状には個人差があり、まったくない人もいます。「妊娠が継続できていないのでは」などと不安になる人がいますが、その心配はありません。

妊娠初期症状と思い込み・生理前との違い

妊娠を強く望んでいる場合や、逆に妊娠を望んでいないのに性行為をしたことで妊娠に対する不安が強い場合に、妊娠していないのに妊娠初期症状に似た体の変化が起こることがあります。例えば、生理の遅れ、着床出血に似たようなおりものに少量の血が混ざる、胃のムカつき、高めの体温などの症状が現れ、妊娠したと思い込んでしまう場合があります。一般的に想像妊娠と呼ばれていますが、一時的にホルモンバランスが妊娠時に似た状態になって起こる症状です。

また、上記の妊娠初期症状の特徴を見て「生理前の体の状態に似ている」と思った人も多いかもしれません。実際に妊娠初期症状と生理前症状はとても近いものなのです。妊娠していない場合は、生理予定日を過ぎると基礎体温が下がりますが、妊娠している場合は生理予定日を過ぎても高温期が続くので、妊娠初期症状か生理前症状かを見分ける手立てとなります。

妊娠検査薬は使ってもいい?

妊娠初期症状が現れると、「妊娠したかも?」と調べたくなりますね。手軽なのは、妊娠検査薬を使う方法。妊娠検査薬は、妊娠すると分泌されるhCGホルモンに反応する仕組みになっています。尿中のhCGホルモン値が50IU/mL以上の場合に陽性反応が出ます。検査に適した時期は生理開始予定日から1週間以降です。

一方、生理開始予定日の3日前後から検査できる「早期妊娠検査薬」もあり、hCGホルモン値が25IU/mL以上で陽性反応が出ます。ただし、通常の妊娠検査薬ほどの確実性は期待できません。

ちなみに、それより前に検査することを「フライング」といいます。正確な判定が出ずに気をもむことがあるので、一般的な妊娠検査薬が使える時期まで待つことがすすめられます。

妊娠検査薬で陽性が出ても子宮外妊娠などの場合もあるので、陽性が出たらなるべく早く産婦人科の診察を受けてください。

妊娠初期症状を確認したら注意すること

妊娠を希望している時期は、常に「妊娠しているかも」という可能性を考え、安易に薬を飲まないようにしてください。妊娠初期症状がつらかったら、がまんせず受診して医師に相談することが大切です。頭痛、腹痛、胃痛、便秘などは妊婦さんでも使える薬があります。

また、注意したい生活習慣として飲酒と喫煙があります。お酒の飲み過ぎと喫煙は、流産のリスクを高めるだけでなく、おなかの赤ちゃんの発育を妨げることがあります。ママと赤ちゃんの健康のためにも、妊娠をきっかけに産後も禁酒・禁煙できるといいですね。パートナーも一緒に禁煙できると理想的です。

妊娠初期症状どうだった?(先輩ママのコメント集)

(あっきー0239さん)

生理予定日の2Wほど前に、微量の不正出血。その後膀胱炎、胃炎と続き、体調があまりよくなく、生理予定日の2日前にはまた不正出血。なんだか熱も引かないし、生理も来ないしと、生理予定日の3日後に検査薬を使ったら、くっきりと線が!(後略)

(すー&ちゃこさん)

仕事もすごく忙しい時期だったので、毎日疲れて、眠くて仕方がないと思っていたら、妊娠していました。どこでも、椅子やソファに座るとすぐ、コテッと寝てしまうので、自分でもよほど疲れているんだと思っていました。(後略)

(さくちゃんママ0111さん)

子どもが欲しくて、妊活をしていました。ちょっとでも生理が遅れたり体温が高かったりするとすぐに検査薬を使っていました。なので最短で気づきました٩( ᐛ )و笑

(mim0004さん)

生理予定日付近に胸の張りを感じました。普段の生理前にはない感じだったので、絶対妊娠してる!と確信が持てました。その後、検査薬で陽性反応が出て家族と大喜びしました。

(まめたろう_さん)

いつもなら生理一週間前から頭痛・眠気・熱っぽい・体がだるい・何もやる気が起きないなどのPMS症状が出るのですが、それらが全くなく、むしろ体調が良かったです。生理予定日3日前に生理痛のような鈍痛が一瞬あり(着床痛?)、その日以降、軽い生理痛のような痛みが1日に数回程度ありました。

生理予定日になっても基礎体温が下がらず、生理も来なかったため、生理予定日から3日後に検査薬を使ったら陽性反応がくっきりと出ました。

ひとつでも妊娠初期症状が見られたら、病院で妊娠しているか確認しましょう。妊娠していても、異所性妊娠(子宮外妊娠)など正常な妊娠でない可能性もあります。ときどき、病院で受診することに抵抗を感じたり、妊娠が分かっても「病気ではないから」と考えたりして、受診を先延ばしにしている人がいますが、それはいけません。おなかの赤ちゃんとママの健康を守るためにも、早めの受診を心がけてくださいね。

監修/医療法人社団 寿修会 芥川バースクリニック 芥川修院長

update : 2024.09.20

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