妊娠検査薬はいつから反応する?時期や使い方、病院へ行くタイミング、注意点を解説
妊娠検査薬はドラッグストアやインターネットで手軽に購入することができ、尿をかけるだけで簡単に検査できるので頼りになります。なかには早く結果が知りたくて、何度も生理前に妊娠検査薬のフライング検査を行ってしまうという人も。しかし、妊娠検査薬は正常な妊娠以外の場合でも陽性反応が出る場合もあるので、正しい知識を持って、正しいタイミングで使用する必要があります。妊娠検査薬でいつ頃から陽性反応が出るのか、陽性反応が出た後、いつ頃産婦人科へ行くのがベストなのかなど、正しい妊娠検査薬の使い方をご紹介します。
監修者プロフィール
浅井貴子さん
都内在住フリー助産師。産後ケアホテルマームガーデンリゾート葉山アドバイザーを務め、妊婦さんから乳幼児の育児指導には定評がある。
妊娠検査薬の目的とは?
妊娠検査薬は産婦人科で受診する前の目安に
妊娠初期は胎児の脳や心臓などの諸器官が形成されるとても重要な時期です。胎児が外部からの影響を受けやすい時期でもあるので、妊娠の兆候が見られたらできるだけ早く検査が必要です。妊娠検査薬はドラッグストアで300円~1000円前後で販売されています。さまざまなメーカーのものが販売されていますが、いずれも大きな差はありません。スティックに尿をかける判定窓がついており、尿をかけて1分程度待つと陰性か陽性の反応が出ます。これは妊娠しているかどうかを補助的に検査するもので、妊娠の確定診断を行うものではありません。しかし、今の妊娠検査薬は精度が高く、9割の確率で陰性・陽性の正しい判定が出ます。とはいえ、使用する時期や使い方を間違うと正しい判定が出ないこともあるので、あくまでも産婦人科で受診する前の目安として使いましょう。妊娠検査薬が日本で販売され始めたのは約30年前から。妊娠検査薬がなかった時代は、下記のような症状で妊娠の兆候に気づいて産院を訪れていました。人によって兆候はさまざまなので、「なんだか体調がおかしいな」と思ったらまずは検査をしてみましょう。
検査前に確認すべき症状
- 生理がこない
- 37℃程度の微熱が続く
- おっぱいが張り、痛みを感じる
- 食欲がなくなる、吐き気を感じる
- とにかく眠い・だるい
- お腹に軽い痛みを感じる
妊娠検査薬で陽性がでる仕組みとは?
妊娠検査薬はどのような仕組みで陽性を判定しているのでしょう。妊娠すると、hCGと呼ばれるヒト絨毛性性線刺激ホルモンが体内でつくられ、尿中に排泄されるようになります。妊娠検査薬はこの尿中のhCGを検出するものです。排卵日に排卵した卵子が精子と受精して受精卵となると、約1週間かけて受精卵は子宮内に到達します。その後、子宮内膜に着床した受精卵は、子宮内膜から剥がれないように絨毛の根を生やします。そのまま子宮内膜で着床状態を維持するために絨毛組織からhCGが分泌されるのですが、このhCGは尿中にも含まれているので、妊娠していると妊娠検査薬で陽性反応が出るのです。hCGが分泌されるピークは、妊娠9週から10週目頃で、40週目頃まで分泌され続けます。この絨毛組織はその後、赤ちゃんに栄養や酸素を送る重要な組織である胎盤へと変化していきます。
妊娠検査薬の正しい使い方
妊娠検査薬はいずれも尿を検査薬にかけて判定する仕組みでメーカーによる大差はありませんが、正確に判定するために必ずそれぞれのパッケージや添付されている取扱説明書をよく読んでから使いましょう。
①妊娠検査薬に尿をかける
妊娠検査薬はスティック状のものがほとんど。スティックの先の部分に尿をかけるタイプ、コップに尿をとってそれにスティックをつけるタイプなどがあります。尿をかけたりつけたりする秒数はメーカーによって異なります。
②妊娠検査薬を平らなところに置いて待つ
尿をかけた妊娠検査薬を平らなところに置いて判定窓に判定の印が出るまで待ちます。メーカーにもよりますが、だいたい1〜2分ですので説明書に従いましょう。判定終了を知らせる窓がついているものもあります。
③判定窓に出た結果を確認する
時間が来ると判定窓に陽性か陰性かを表す印が出ます。陽性の場合に「|」と出るもの、陽性の場合は2本線で陰性の場合は1本線のもの、陽性の場合は「+」と出るものなどメーカーによって表示は異なります。
妊娠検査薬で失敗しないためのポイント
妊娠検査薬は本来は精度が高いものですが、正しい使い方をしないと正確に判定されないことがあります。失敗しないためにも以下のポイントをおさえておきましょう。
①朝一番の濃い尿で検査する
水分をたくさん摂った後など、尿の濃度が薄い状態だと正しく判定できないことがまれにあります。通常はどの時間帯でも妊娠検査薬は使用可能ですが、正確に判定したい場合には、尿の濃度が高く、hCGの濃度も高い朝一番の検査が適しています。
②尿をかけてから判定までの時間を守る
一般的な妊娠検査薬は尿をかけてから1〜2分で判定が出ます。その適正時間では陰性だったのに、10分以上経過したら薄い線が出てくることがあります。これは蒸発線というもので、陰性でも尿が蒸発することによって出る線なのでこの場合は陰性です。10分以上経過して判定することはやめましょう。
③妊娠検査薬は使用直前に開封する
妊娠検査薬は湿度や極端な気温の場所では変質してしまうことがあります。パッケージの内袋(アルミ袋)を一度開封して時間が経つと、空気中の水分を吸収して変質し、正しい判定がでないことがあります。内袋は使用直前に開封してください。買い置きをする場合も、高温多湿な場所は避け、使用期限が過ぎたものは使用しないようにしましょう。
妊娠検査薬で陽性反応が出るケース
妊娠検査薬はほとんどの製品が9割以上の高い判定精度を示しますが、陽性反応が出ても妊娠していない場合があるのをご存知でしょうか? 妊娠検査薬で陽性反応が出るケースにはさまざまな要因があるので、まずは正しい知識を得ておきましょう。
妊娠していなくても陽性反応が出る場合
- 閉経期の場合
- 絨毛上皮腫などのhCG産生腫瘍にかかっている場合
- 性腺刺激ホルモン剤などを投与している場合
妊娠検査薬で陽性反応がでるのはいつごろ?
生理予定日の1週間後から検査が可能
ドラッグストアなどでいつでも購入できる市販の妊娠検査薬は、生理予定日の1週間後から検査が可能です。朝、昼、夜、どの時間帯の尿で検査してもOKです。生理周期が順調な人の場合は、生理予定日の1週間後から検査が可能なのですが、生理不順の人など、妊娠初期は人によってまれにhCGが非常に少ないこともあり、陰性や不明瞭な結果を示すこともあります。妊娠検査薬でこのような結果が出た場合には、再検査をするか、医師に相談してください。この時期、妊娠している場合は、少しずつ身体に変化が表れて妊娠超初期症状が見られることがあります。熱っぽい、腰が痛いなどの体調の変化が見られ、便秘や下痢が続く人も。風邪の症状にも近いので体調にも気を配っておきましょう。
また、生理予定日から使える早期妊娠検査薬というものもあります。一般的な妊娠検査薬ではhCGの量が50mlu/mLになると陽性反応が出る仕組みであることに対し、早期妊娠検査薬はhCGの量が25mlu/mLで反応する仕組み。ただし、早期妊娠検査薬は薬剤師のいる薬局などでしか購入できず、価格も一般的な妊娠検査薬に比べると高めです。
陽性反応が出た場合病院へいくのはいつ?
生理予定日から5週目頃に病院へ
生理予定日から1週間経っても生理が来ず、妊娠検査薬を使って陽性が出た場合は妊娠している可能性があるということ。その時点ではまだ“可能性”で、妊娠確定ではありません。妊娠確定になるのは、医師が問診や超音波検査などをして、胎嚢の中にいる赤ちゃんの心拍が確認できた時点です。妊娠初期は母体や胎児を守るためにもとても大切な時期。また、陽性反応が出ても、子宮外妊娠など正常妊娠ではなく妊娠を継続できない場合もあります。いずれにしても、陽性反応が出たらできるだけ早く受診しましょう。
とはいえ、あまりにも早く受診するとお腹の中の赤ちゃんが小さすぎて心拍を確認できない、ということもあるので、個人差はありますが、受診は胎嚢が確認できる妊娠5週から胎児の心拍が確認できる妊娠6週目がベストです。ただ、人気の産院などは妊娠5週目で予約しないと分娩予約を取ることができないというケースもあるので事前に確認することをおすすめします。
妊娠週数の数え方については、最後に生理が来た初日を「妊娠0週0日」とカウントします。つまり、次の生理予定日から1週間は妊娠5週目です。受診するときには、基礎体温をつけている人は表を持っていきましょう。また、妊娠は病気ではないため、自費診療です。しかし、治療や投薬が必要な場合は保険がきくので、健康保険証(マイナンバーカード)は持参してください。初診では、ふだんの生理周期や痛みの程度、これまでの妊娠・出産回数、流産や中絶経験、予防接種を受けたかどうか、夫やパートナーの健康状態などについての問診があります。超音波検査のほかにも、子宮頸がん検診を最近受けていない人であれば、子宮頸部の細胞診を受けることもあります。
陽性反応が出たのに生理がきた場合は間違い?
検査後に流産してしまう可能性もあります
妊娠検査薬で陽性反応が出たのに生理がくることもあります。これは「化学流産」を起こした可能性がある時です。一度は受精卵が着床したものの、産婦人科の超音波検査で胎嚢が確認される妊娠5~6週前に流産してしまい、妊娠が継続できなくなるのです。しかし、着床したことでhCGの分泌ははじまるので、妊娠検査薬を使うタイミングによっては尿中濃度が高くなっているため、妊娠検査薬が陽性反応を示します。医学的には「流産」にカウントされず、生理の一部として捉えられています。妊娠検査薬で陰性か陽性かを調べなければ気づかないことも多く、かつては生理が遅れているだけと思って過ごす人も多かったようです。こうした流産は珍しいことではありませんが、妊活中の人をはじめ、流産というのは女性にとって精神的にダメージが大きいもの。そうした意味でも早すぎる妊娠検査薬の使用はおすすめできないのです。
陽性反応が出ても妊娠を継続できない場合
予定日に生理がこないことで妊娠検査薬を使用し、陽性反応が出たとしても、以下のような場合は正常妊娠ではなく妊娠は継続できません。
- 子宮外妊娠などの異常妊娠だった場合
- 胎内死亡や稽留流産など、胎児異常の場合
- 胞状奇胎などにより、大量のhCGが分泌された場合
予定していた生理がこないときでも陰性反応が出る場合
逆に、予定日に生理がこないけれど、妊娠検査薬では陰性判定が出る場合も多々ありますので、知っておきましょう。
- 判定窓に尿がしっかりかかっていない場合
- 生理の周期が不規則な場合
- 生理予定日が計算間違いだった場合
フライングに注意!陰性から陽性に変化するケースも
結果を待ちきれずに妊娠検査薬を使用すると正確な結果が出ません
赤ちゃんの誕生を心待ちにしている人は、待ちきれずに生理予定日から1週間が経つ前に妊娠検査薬を使ってしまうことがありますが、これを俗称で「フライング検査」と呼びます。hCG濃度が十分に増加していない時期にフライング検査をしても、妊娠検査薬の判定窓に現れる線が薄く、陰性か陽性か判断がつかないこともあります。また、陰性が出ても数日後に陽性に変化するケースもあるので注意が必要です。陰性反応が出ているのに「微熱が続いている」「生理がこない」など妊娠兆候はあるということも。実際に妊娠していても、このように妊娠検査薬が陰性を示すこともあるので、陰性反応があっても上記のような兆候が見られる場合は1~2週間後に再び妊娠検査薬を使ってみることをおすすめします。
妊娠検査薬の使用方法Q&A
風邪薬を飲んでいたり、お酒を飲んでいても判定できますか?
薬の服用や飲酒による影響はありません。ただ、不妊治療などでhCGを含んだ性線刺激ホルモン剤の投与を受けている場合は判定に影響が出ることもあります。
妊娠検査薬でうっすらと陽性反応がありましたがこれは妊娠ですか?
妊娠している可能性は高いですが、使用する時期が早すぎる可能性も。2~3日ほど空けてもう一度検査することをおすすめします。
尿をかけて1分後は陰性だったのですが、10分以上経って陽性反応が出てきたのですが。
この場合は陰性です。10分を過ぎての判定は避けてください。生理がこないようであれば、数日後に再検査するか医師に相談しましょう。
妊娠検査薬に使用期限はありますか?
市販の妊娠検査薬の使用期限は、メーカーを問わずだいたい3年と言われています。外箱に使用期限が記載されているので、使用前に必ずチェックしましょう。
妊娠検査薬の保管方法は?
直射日光の当たらない涼しい場所で保管し、必ず使用する直前に袋から出しましょう。他の容器に入れて保管するのはNGです。また、子どもが誤って口に入れたりしないように、手の届かない場所にしてください。
使用した妊娠検査薬の処理は?
使用後の妊娠検査薬はプラスチックゴミとして各自治体の廃棄方法にしたがって捨ててください。
妊活中の女性にとって、妊娠しているかどうかを早く知りたい!という気持ちは当然のことです。今は精度の高い妊娠検査薬を気軽に手に入れることができるので、陰性・陽性の判定がすぐに得られますが、あくまでも妊娠検査薬は補助的に検査するもの。妊娠の確定診断を行うものではないですが、もし妊娠していたら、赤ちゃんの健康のためにも栄養摂取や薬の使用に十分気をつけ、飲酒や喫煙を避けること、風疹などの感染症を避けることを心がけて安静に過ごしてくださいね。
監修・取材協力/浅井貴子さん
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