妊娠後期に起こる恥骨痛を和らげる方法は?原因と対策を紹介【医師監修】
「歩くたびに恥骨がズキッと痛む」「寝返りを打つのもつらい」――妊娠後期に多い恥骨痛。おなかが大きくなるにつれて骨盤まわりに負担がかかり、痛みを感じやすくなります。
この記事では、恥骨痛が起こる原因と、日常生活でできる対策・緩和方法について詳しく紹介します。
監修者プロフィール
佐藤歩美先生
あゆみレディースクリニック高田馬場
日本周産期・新生児医学会周産期専門医。2008年横浜市立大学医学部卒業。愛育病院、NTT東日本 関東病院に勤務後、2022年より現職。できるだけ妊婦さんの気持ちに寄り添えるように、悩みなども話せるような雰囲気づくりを心がけている。
この記事で知ることができるのは?
- 妊娠後期のママは、ホルモンの変化や骨盤のゆるみ、赤ちゃんの成長などで恥骨に痛みを感じやすくなります。原因には恥骨結合の炎症や周辺の病気が関わることもあることを説明します。
- 恥骨の痛みは、ヘルニアや膀胱炎、尿道炎、子宮筋腫などが原因になることがあります。赤ちゃんに影響する場合もあるため注意が必要であることを解説します。
- 痛みの感じ方は人それぞれで、チクチク、ズキズキ、ズーンとした重い痛みなどがあります。歩ける程度の人もいれば、歩くのがつらくなる人もいることを説明します。
- 痛みをやわらげるには、骨盤ベルトやクッションを使う、蒸しタオルや湯たんぽで温める、整体やマッサージを受けるなどの方法があります。これらが効果的であることを解説します。
- グッズを使わない場合は、ストレッチや軽い運動、姿勢を正すことが大切です。具体的な方法や避けたい姿勢を紹介し、改善につなげられるように解説します。
妊娠後期に恥骨痛が起こる原因
骨盤が緩んでくる妊娠後期に恥骨の強い痛みを感じる主な原因は、以下の5つです。
- ホルモンが変化しているため
- 骨盤底筋の筋力が低下しているため
- 大きくなった子宮や赤ちゃんの頭が恥骨を圧迫するため
- 恥骨結合炎の影響
- 恥骨周辺の病気
ホルモンが変化しているため
妊娠すると「リラキシン」という女性ホルモンが分泌されるようになります。リラキシンの働きは、出産に備えて骨盤周囲のじん帯をゆるめ、骨盤を広げることですが、骨盤を支える筋肉が弱かったり左右差があったりすると、骨盤にもゆがみが生じます。また、骨盤そのものも広がり、バランスもくずれることに。妊娠後期になると子宮が重みを増し、さまざまな部位を圧迫しますが、出産に向けて恥骨結合部がゆるみ、痛みが増すこともあります。
骨盤底筋の筋力が低下しているため
骨盤底筋群は、子宮、膀胱などの臓器を支える筋肉ですが、妊娠すると体を動かす機会が減り、筋力が落ちてしまいがち。支える力が弱くなると、その下にある部位が影響を受けます。恥骨もそのひとつです。
そうでなくても、妊娠が進むと赤ちゃんも子宮も大きくなります。支えなければならない重さが、臨月には10kgほどになりますから、妊娠前に比べると大きな変化といえるでしょう。たとえ筋力が落ちていなくても、骨盤底筋群に大きな負荷がかかれば恥骨が圧迫され、痛みにつながります。
大きくなった子宮や赤ちゃんの頭が恥骨を圧迫するため
出産が近づくと、子宮が大きくなるだけでなく、赤ちゃんの頭が下向きになり生まれる準備を始めます。子宮や赤ちゃんの頭に恥骨が圧迫されれば、痛みを感じるようになるでしょう。特に、妊娠週数が進んだ妊娠後期に痛みを感じるケースが多いようです。出産が近づき赤ちゃんの頭が下がるにつれて圧迫感が増し、痛みを強く感じること、痛みを感じる回数が増えることもあります。予定日間近の恥骨の痛みは、生まれようとしている赤ちゃんからのサインともいえるでしょう。
恥骨結合炎の影響
恥骨結合とは、左右の恥骨がじん帯と軟骨でつながった骨盤内の部位。この部分に炎症が起きた状態が恥骨結合炎です。ホルモン変化によるじん帯のゆるみ、妊娠によるお腹の重みなど、恥骨結合部に連続的に負荷がかかることが原因と考えられています。症状の程度はさまざまですが、鋭い痛みのために歩行が困難になることも。なお、恥骨結合炎は、足の付け根、太ももの内側、下腹部にも痛みが出ることが特徴なので、判断の目安にしてくださいね。
恥骨周辺の病気
妊娠して感じるようになった痛みでも、以下の病気が原因ということもあります。
- 鼠径(そけい)ヘルニア ※足の付け根のヘルニア
- 大腿(だいたい)ヘルニア ※太もものヘルニア
- 閉鎖孔(へいさこう)ヘルニア
- 膀胱炎(ぼうこうえん)
- 尿道炎
- 子宮筋腫
- 骨盤腹膜炎
中でも注意したいのが、子宮筋腫です。子宮筋腫には、切迫流産、切迫早産、前置胎盤、胎位異常、胎盤の早期剥離、前期破水、妊娠高血圧症候群などのリスクがあり、赤ちゃんにも影響が及びかねません。大きめな子宮筋腫を合併している妊婦さんで恥骨痛と思われるような下腹部の痛みがある場合は、医師に相談することが大切です。
妊娠中の恥骨痛の度合い
妊娠してから感じるようになった恥骨痛、その痛みの度合いや痛みを感じるタイミングは人それぞれですが、どのような声があるのかをみてみましょう。
- チクチクする、チクッとした痛み
- ズキズキする、ズキンとした痛み
- ズーンとした鈍く重たい痛み
痛み方については、次のような声もあります。
- 歩くと痛いけれど我慢はできる
- 痛くて歩くことができない、つらい
- 動こうとしたときに痛い
- 寝ているときも痛くて寝返りが打てない
- 踏ん張ったときに痛い
妊娠後期に起こる恥骨痛を和らげる方法
妊娠後期の恥骨痛を和らげるには、以下のような方法があります。
- 骨盤ベルトを利用する
- 就寝時にクッションを利用する
- ストレッチをする
- 体を動かす
- 整骨院で調整してもらう
- 姿勢の改善を心がける
- 蒸しタオルや湯たんぽで温める
骨盤ベルトを利用する
骨盤ベルトは、骨盤周りに装着し、不安定になっている骨盤や恥骨結合を正しく安定させるグッズです。不安定な部位が安定すれば恥骨への刺激が軽くなり、痛みの軽減につながるでしょう。
骨盤ベルトには巻きつけるタイプ、ショーツと一体になったガードルタイプなどがありますが、購入するときは、お腹をしめつけず、サイズ調整ができるものをおすすめします。形状や素材を確認し、可能であれば試着して、自分にフィットするものを選んでくださいね。
就寝時にクッションを利用する
寝るときに痛みがつらい場合は、内もものあたり(股の間)にクッションをはさみ込んだり、腰にあてたりすると痛みが軽くなることもあるようです。痛みの感じ方や度合いには個人差がありますが、大切なことは「自分が楽になった」と感じること。心地よいサイズや硬さのクッションを探してみましょう。クッションがない場合は、丸めたバスタオルやぬいぐるみなどでも代用できます。妊娠後期は横向きに寝ると楽なので、抱き枕を使ってもいいですね。
ストレッチをする
恥骨に痛みを感じたときは、ストレッチでやさしく筋肉をほぐすと痛みが和らぐかもしれません。
- 床に座って足の裏と裏を合わせる。
- 背筋を伸ばし、両方の足首が動かないように両手でつかみ固定する。
- 膝を上下に揺らし、股関節をほぐす。
- 膝の動きを止めて背筋を伸ばし、そのまま前方に上体を傾ける。
- 心地よいと感じるところで10秒ほどキープし、元に戻る。
運動をする
弱くなった骨盤周りの筋肉を運動で鍛え、痛みの軽減を目指します。医師や専門家と相談しながら、無理せずに行いましょう。仰向けや四つんばいになる方法もありますが、ここでは妊娠後期でも行いやすい立った状態の運動を紹介します。
- 肩幅に足を開き、背筋を伸ばして立つ。
- 息を吐きながら、膣とおしりに力を入れて引き上げる。
- 息を吸いながら、ゆるめる。
整体やマッサージの施術を受ける
整体やマッサージで固まった筋肉をほぐしてもらうことも方法です。血行がよくなれば、痛みも和らぐでしょう。ただしマッサージを受ける場合は、安定期に入った妊娠中期以降が安心です。
整体やマッサージが受けられる整体院やサロンは、街中にたくさんありますが、選ぶときは以下のポイントを確認し、妊娠中であることを伝えて施術をうけましょう。
- 骨格や筋肉の正しい知識がある(専門の学びを修了している)。
- マタニティ整体やマタニティマッサージがメニューにある。
骨盤をまっすぐ保つようにする
骨盤をまっすぐに立てた状態を保つようにすると、痛みが軽減することがあります。
立つときは、両足に均等になるように体重をかけます。片足だけに体重がかかったり、前後に骨盤が動いたりするような立ち方は、恥骨のずれにつながります。お腹が大きくなってくると反り腰になりがちです。歩くときは、腰が反らないように注意しましょう。座るときは、イスの背にもたれすぎたり、前かがみになったりしないように注意してください。足を組むことも骨盤がゆがむ原因となり、恥骨にはよくありません。
蒸しタオルや湯たんぽで温める
蒸しタオルや湯たんぽで、股関節や恥骨周辺を温めることも、痛みを和らげることのできる方法です。筋肉が緊張して恥骨が痛んでいるようなときは、温めると筋肉がほぐれ、血行もよくなるためと考えられます。体を温めると心地よいので、それだけでもリラックスできますよね。手元に湯たんぽがない場合は、ペットボトルにお湯を入れて代用することもできますし、使い捨てカイロで温めるのも一つの方法ですが、低温やけどには注意して使用してください。夜なら、入浴もかねて湯舟につかると、よりリラックスできます。
骨盤の変化に関するママの体験談
愛媛県:ぴよぴよママ
やっぱり骨盤がひろがりました!びっくりするぐらいに…。よく産後は産褥体操がいいとか、骨盤ベルトをつけるといいとか言うけれど、多分当たっていると思います。でも私は初出産後だったこともあり、そんな余裕はなかったです。笑。産褥体操は忙しくて断念、骨盤ベルトはつけ忘れたりしていました。結果元の体型に戻らずです(;_;)。
あと、妊娠線は、ほぼできると思います!お腹にローションなどを塗っていましたが、私は効果がありませんでした。9ヶ月に入って急にお腹が大きくなったことも関係ありそうですが…。
愛知県:tote
骨盤が広がったせいで、腰痛がひどくなり、産後2週間頃に、ぎっくり腰になりました。整体に行き、その時は一時的に良くなったものの、元のようにもどるには、何ヶ月か時間がかかりました。そしてまた、おなかに赤ちゃんがやどり、妊娠8ヶ月頃から、腰痛と戦っています。また、立てなくなるかもしれません…。
新潟県:May
骨盤底筋という筋肉があることを知りました。産後は、この筋肉を戻すために日々運動しました。
まとめ
- 妊娠すると、分泌されるホルモンの変化、大きくなった子宮の圧迫、骨盤底筋群の筋力低下、恥骨結合炎、恥骨関連の病気などが原因で恥骨が痛むことがあります。
- 痛みの感じ方は、チクチク、ズキズキ、ズーンなど人によって異なります。
- 痛みを和らげるためには、骨盤ベルトの使用、クッションの活用、ストレッチ、運動、整体やマッサージ、骨盤を正した姿勢への改善、蒸しタオルで温めるなどの方法が有効です。
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release : 2025.11.12
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