【医師監修】新生児のゲップの上手な出し方を解説 いつまで必要?しないで寝ても大丈夫?

新生児期の赤ちゃんは、ミルクや母乳を飲む際に空気も一緒に飲み込みやすく、胃の未発達さから自力で空気をうまく排出できません。そのため、パパやママが授乳後にゲップを促すことが大切。ゲップはお腹の張りや吐き戻しだけでなく、赤ちゃんの不快感や窒息のリスクも防ぐ役割があります。この記事では、ゲップが必要な理由や、縦抱き・座らせる方法といった基本の出し方、上手に出すコツ、出ないときの対処法、安全な寝かせ方など、育児の現場ですぐに役立つノウハウを詳しく解説します。
監修者プロフィール
今西洋介先生
一般社団法人チャイルドリテラシー協会代表理事
小児科医・新生児科医。日本小児科学会専門医/日本周産期・新生児医学会新生児専門医。医学博士(公衆衛生学)。一般社団法人チャイルドリテラシー協会代表理事。小児公衆衛生学者。富山大学医学部卒業後、都市部や地方のNICU(新生児集中治療室)で新生児医療に従事。「ふらいと先生」の名で、小児医療や育児に関する啓発を行い、社会問題解決に取り組む。現在は米国在住。3姉妹の父。 主な著書に『新生児科医・小児科医ふらいと先生の子育て「これってほんと?」答えます』(西東社、監修)、『小児科医「ふらいと先生」が教える みんなで守る子ども性被害』(集英社インターナショナル)ほか多数。
新生児のゲップはなぜ必要?
新生児は授乳の際、ミルクや母乳と一緒に空気も飲み込んでしまいやすいものです。この時期はまだ胃の入り口の筋肉が未発達なため、胃の中に空気がたまりやすくなっています。そのため、赤ちゃんのお腹の張りや不快感、吐き戻しの原因になることもあります。
そこで、授乳後にママやパパがゲップを促してあげることで、体内にたまった空気を外に出し、赤ちゃんの負担を軽くすることができます。しっかりゲップを出すことは、赤ちゃんが快適に過ごし、健康を保つためにもとても大切なケアのひとつです。
新生児のゲップはいつまで必要?
赤ちゃんは、生後3~4ヶ月頃になると首がしっかりしてきて自分で姿勢を保てるようになり、ミルクや母乳の飲み方も上達します。その結果、一緒に飲み込んでしまう空気の量が減り、自分でゲップを出せる子も増えてきます。
そのため、授乳後のゲップのサポートが不要になるのも、首がすわる生後3~4ヶ月くらいが目安です。数分抱っこしてもゲップが出なくなることが増えたり、吐き戻しがほとんどなくなったり、授乳後も機嫌よく過ごしているなら、ゲップ卒業のサインです。
ただし、成長や発達には個人差があり、早い段階でゲップが自然に出なくなる子もいれば、長くサポートが必要な子もいます。赤ちゃんの様子を見ながら、必要に応じてゲップをさせてあげましょう。
首すわり前の新生児のゲップの基本的なさせ方
首すわり前の新生児のゲップは、以下の2つが代表的なやり方です。
- 縦抱きで肩に抱きかかえる方法
- 親の膝の上に座らせる方法
それぞれ具体的な手順やコツを見ていきましょう。
縦抱きでのゲップのさせ方
まずは、縦抱きでゲップさせる方法を説明します。
- 準備する
赤ちゃんを抱っこする前に、肩にタオルやガーゼをかけておきましょう。吐き戻しがあっても衣類が汚れないようにするためです。
- 縦抱きする
片腕で赤ちゃんのお尻と背中全体をしっかり支え、もう一方の肩に赤ちゃんの頭を乗せます。首が前後左右に傾かないよう、手のひらでしっかり頭を支えましょう。
- 背中を伸ばす
赤ちゃんの体がまっすぐになるように背筋を軽く伸ばしてあげます。こうすることで胃の中の空気が上がりやすくなります。
- 背中をたたく・さする
もう片方の手で、肩甲骨の下あたりや背中の左側を下から上に向かって、やさしくリズミカルにトントンと叩きます。強く叩かず、赤ちゃんが心地よく感じる程度で。ゲップが出にくい場合は、同じ場所を優しくさすってもOKです。
- 様子を見ながら続ける
無理に長時間続けず、赤ちゃんの表情や機嫌を観察しながら5~10分を目安に行いましょう。
座らせてのゲップのさせ方
次に、座らせてゲップをさせる方法を説明します。
- 赤ちゃんを膝に座らせる
親は椅子に浅めに腰掛け、平行にした膝の上に赤ちゃんを安定して座らせます。赤ちゃんの背中が丸まらないよう姿勢に注意します。
- 頭と胸を支える
片手の親指と人差し指で赤ちゃんのあごを支え、残りの指とてのひらで胸周辺を支えるようにします。首がまだ不安定な時期なので、頭をしっかり支えてください。
- 背中をたたく・さする
もう片方の手で肩甲骨の下あたりを下から上へなで上げるか、やさしくトントンとたたきます。力はあくまでソフトに。
- やや前傾の姿勢にする
赤ちゃんの体を少し前傾させることで、胃から空気が上がりやすくなります。体のバランスが崩れないよう、しっかり支えてください。
- 安全を最優先に見守る
突然のけぞったりしないように、赤ちゃんの様子をこまめに確認しながら、安全第一でサポートしましょう。
新生児にゲップを上手にさせる3つのコツ
ゲップを上手にさせるために、次の3つのコツを押さえておきましょう。
- 背中をたたく・さする位置と強さに注意する
- 授乳の途中で一度ゲップを試みる
- 体勢や抱き方を工夫してみる
それぞれ詳しく説明します。
1.背中をたたく・さする位置と強さ
ゲップを出す際は、赤ちゃんの背中の「左側」や「肩甲骨の下あたり」に注目しましょう。空気は特に胃の裏側にあたるエリアにたまりやすいため、ちょうど肩甲骨のやや下から中央よりも少し左寄りを、優しく下から上へ向かってリズミカルにたたきます。頻度は1~2秒に1回くらいが目安です。
もし強くたたくのが心配な場合は、下から上にそっとさすり上げるだけでも効果があります。赤ちゃんは皮膚が敏感なので、「気持ちいい」と感じるくらいの力加減・リズムで十分です。また、赤ちゃんの背筋が伸びていると空気が上がりやすくなります。何度もトントンするより、狙いを絞ってやさしく行いましょう。
2.授乳の途中で一度ゲップをさせる
赤ちゃんは、一気にミルクや母乳を飲むほど空気も多く飲み込みやすい傾向があります。そのため、授乳の途中で一度ゲップを試すのが効果的。特に哺乳瓶の場合は空気が入りやすいので、半分飲んだ時点で一度ゲップを促すことをおすすめします。母乳の場合は、赤ちゃんの咥え方や勢いにもよりますが、5分~10分ごとに一度ゲップの機会を設けてみてください。
途中でゲップをさせることで、飲み込んだ空気をこまめに排出でき、吐き戻しや不快感を予防できます。授乳が終わった後も改めてゲップを促しましょう。赤ちゃんの様子に合わせて、無理のないタイミングを探ってみてください。
3.少し体勢を変えてみる
いつもの姿勢でなかなかゲップが出ない場合は、赤ちゃんの体の向きや角度をほんの少し変えてみましょう。例えば、縦抱きの時に赤ちゃんの体幹をやや前後や左右に傾けてみる、座らせる姿勢の時も少し前傾姿勢にしてみる、親の胸や肩の位置を数センチ高くしたり低くしたりしてみるなど、変化をつけるのもコツです。
体勢を変えると空気が動き、自然と「コポン」と音を立てて出ることも。無理に力を加える必要はなく、赤ちゃんがリラックスしている状態を保つことが大切です。体勢を数分ごとに変えるだけでも効果があるので、何通りか試してみましょう。
新生児のゲップが出ない時の対処法
どうしてもゲップが出ない時は、次の2つの対処法を実践してみましょう。
- 5~10分で区切る。無理に長くトントンしなくて大丈夫
- ゲップが出ないまま寝てしまった時は、寝かせ方を工夫する
具体的に説明します。
1.5~10分試しても出ない場合は?
5~10分程度優しくトントンしたりさすったりしてもゲップが出ない場合は、無理にずっと続ける必要はありません。赤ちゃんによっては空気の飲み込みが少ない、もしくは体質的にゲップが出にくい子もいます。出ないこと自体は、それほど珍しいことではありません。ゲップがなくても、おならやしゃっくりといった形で自然にガスが抜けている場合も多いので、心配しすぎないでください。
また、赤ちゃんの機嫌がよく、お腹がパンパンでなければ特に問題がないことも覚えておきましょう。特に母乳の場合は、空気をあまり飲み込まないことが多く、必ずしもゲップが毎回出るとは限らないのです。
無理強いすることで抱っこや授乳への嫌悪感につながるケースもあるため、赤ちゃんの様子を観察しながら、リラックスして取り組みましょう。
ここでは、先輩ママからの体験談をご紹介します。
愛媛県:ョリ
授乳しゲップをさせなきゃと背中をさすったり、トントンしたりと格闘…あきらめたとたんに盛大なゲップ...あるあるですよね。笑。
埼玉県:にゃんころ
おっぱいをあげてる時に泣いて飲んでくれない時があり、何で泣いているのか分からなかったのですが、ある日、授乳中泣いてる時にゲップがでで泣き止み、その後は飲んでくれました。それからも、授乳中に泣いたらゲップをさせるようにしたら泣き止むので、ゲップがうまくでなくて泣いていたことが分かり、授乳がしやすくなりました。
2.ゲップが出ないまま寝てしまったら?
ゲップが出ないうちに赤ちゃんが寝てしまった場合も、無理に起こしてゲップをさせなくて大丈夫です。
ただし注意したいのは、授乳直後に寝かせる際の体勢です。吐き戻しが起きた時に気道をふさがないようにするため、仰向けではなく「体の右側を下にして横向き」、あるいは「上半身を軽く起こして斜め上を向ける」ように寝かせるのが安全です。バスタオルやクッションを使って、右側にやや傾けた体勢をキープできるよう工夫してください。
顔や首をまっすぐにせず、やや横に向けていれば、万が一吐き戻しがあったとしても気管に詰まりにくくなります。ベビーベッドの場合は、角度のあるマットで頭側を少し高くしてあげるのも対策のひとつです。眠っている間に自然とおならやしゃっくりでガスが抜けることも多いので、赤ちゃんが安心して眠れる姿勢・環境を整えましょう。
よくある質問
新生児のゲップが出ない時、何分くらいとんとんしたらいいですか?
目安は5~10分程度です。優しく背中をトントンしたりさすったりしても出ない場合は、無理に続けなくて大丈夫です。赤ちゃんの機嫌や体調に注意しながら、様子を見ましょう。おならでガスが抜けることもあります。
新生児の上手なゲップの出し方は?
縦抱きや膝に座らせる方法で、肩甲骨の下を優しくトントンするのが基本です。さすったり体勢を少し変えるのも効果的。なるべく赤ちゃんをリラックスさせた状態で行うとゲップが出やすくなります。
まとめ
- 新生児のゲップは、飲み込んだ空気を排出し、お腹の張りや吐き戻しを防ぐために大切です。
- ゲップをさせる目安は、生後3~4ヶ月まで。首すわりまで意識的にサポートしましょう。
- 縦抱き・膝座らせの方法で、無理なく安全にゲップを促してください。
- 5~10分程度で切り上げ、ゲップが出ない時は寝かせ方に配慮を。
- ゲップが自然に出るようになったら介助は卒業。赤ちゃんの発達に合わせてやさしく見守ってください。
release : 2025.09.18
- お気に入り機能はブラウザのcookieを使用しています。ご利用の際はcookieを有効にしてください。
また、iPhone、iPadのSafariにおいては「プライベートブラウズ」 機能をオフにしていただく必要があります - cookieをクリアすると、登録したお気に入りもクリアされます。